黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

遅くなりました…(^-^;)

今回はちょっとボリューム控えめです。

それではどうぞ!




第80Q~エースの本領~

 

 

 

 

花月 22

桐皇 17

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

インターバル終了のブザーが鳴り、両選手達がコートへと戻ってくる。

 

「…よし!」

 

審判から空がボールを受け取り、第2Qが始まる。

 

「っ!」

 

試合が再開され、桐皇がマンツーマンで花月の選手に付くと、空は桐皇の選手達の変化に気付いた。

 

「へっ、ようやく本領発揮ってところか」

 

これまでのディフェンスとは明らかに気迫から違う。今までのただのディフェンスから先読みして相手の動きを封殺する桐皇ならではのディフェンスへと変わった。

 

「(狙い目は天さんの所だが…)」

 

最初に攻め手として考えたのは福山がマークする天野のポジション。1ON1を得意としていない天野だが、福山がそれ以上にディフェンスに難がある為、第1Qもここから得点を積み上げた。

 

「(けどまあ、当然ここは何かしらケアしてくるよな。だったら…)」

 

次に注目したのは右アウトサイドに立つ生嶋のポジション。マークするの桜井は昨日の宮地程の高さも身体能力もない。だが、桜井のポジショニングが上手く、パスルートを見事に塞いでいる。生嶋自身もマークをかわそうと動くも上手くいっていない。

 

「…」

 

ローポストに立つ松永だが、マッチアップ相手の若松の為、空は難色を示す。

 

「…じゃ、ここで試してみるか」

 

意を決して空がパスを出す。

 

『おっ?』

 

『そこは…』

 

ボールが渡ると、観客が軽くざわつく。

 

「…ほう、来んのか?」

 

青峰が軽く笑みを浮かべる。ボールの行き先は大地。

 

「…」

 

左アウトサイドでボールを受け取った大地。その意味は、両チームのエース対決を意味する。

 

「お前とまともにやり合うのは夏以来か。ちったぁマシになったんだろうな?」

 

「…」

 

「…だんまりか。これまでみたいにまた逃げるか?」

 

ここまで、大地はターンオーバーを防ぐ為に1ON1を避けていた。

 

「…」

 

大地は特に受け答えをせず、ボールを小刻みに動かしながら青峰を牽制する。

 

「…」

 

「…」

 

数秒の間、無言の駆け引きを繰り返す両者。そして…。

 

 

――スッ…。

 

 

大地はボールを空に戻した。

 

「結局またそれか。ま、お前との勝負より、今はあの関西弁の奴を相手する方が面白れえから構わねえけどな」

 

「……今はまだ…」

 

ふと、大地は誰にも聞こえない程の声量でこう呟いた。

 

「(ただ逃げたってだけじゃなさそうだな。…なるほど、ちったぁマシにはなってるようだな)」

 

横目で青峰は大地を見ながら夏からの成長を実感したのだった。

 

 

その後も、ボールを回す花月。だが、動きを読まれている為、シュートまでもっていけない。やがてボールは空の下に戻ってくる。

 

「…」

 

空にボールが渡ると、今吉がすかさずチェックする。ゆっくりボールを突きながらチャンスを窺う空。もうすぐ24秒のバイオレーションが迫っている為、これ以上時間はかけられない。

 

「(来るで!)」

 

空が動き出す気配を察知し、備える。

 

右手で突いていたボールを左へと切り返す。

 

「(そこからクロスオーバー……ここや!)」

 

切り返したボールが左手に収まったのと同時に今吉はクロスオーバーに備える。そして空の左手が動く。その直前に空の進路に先回りをする。

 

「っ!?」

 

その瞬間、今吉は驚愕する。クロスオーバーを読んでその進路に先回りをしたが、空がそこにいなかったからだ。ふと見ると、ボールは切り返して空の左手に収まった場所に止まっていた。

 

「(左から右へのクロスオーバーちゃうんか!?)」

 

空の得意パターンであり、好んで使うクロスオーバー。ここはそれが来るとデータにあったが、それが外れる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

次の瞬間、空がくるりと身体を右回転させ、背中越しにボールを右手に収め、バックロールターンで今吉の左手側を進行する。

 

「(変則のバックロールターンかいな! けど、これも選択肢になかった訳やあらへん。今ならまだ間に合う!)」

 

すぐに対応し、駆け抜ける空を追いかける。が、空はバックロールターンで抜けた直後、ボールを掴んだ右手をその場所に残し、両脚を前方へと滑らせた。

 

「はっ?」

 

空が何をしているかが理解出来ず、思わず声が出る今吉。

 

 

――ピッ!!!

 

 

空は背後に倒れ込みそうな態勢から右手のスナップを利かせてパスを出した。

 

『なんだそりゃぁっ!』

 

あまりの不可解な動きに観客席からも声が上がる。

 

「ナイスパスです!」

 

パスが出された先に大地が駆け込み、そのままリングへと突っ切り、そのままレイアップの態勢に入る。

 

「打たせっかボケ!」

 

そこへ、若松がブロックに現れる。

 

「(っ! ヘルプが速いですね)」

 

想像以上に速い若松のヘルプに大地は一瞬驚きの表情を見せる。だが、大地は冷静にボールを下げ、すぐ下へとボールを落とした。

 

「んなっ!?」

 

 

――バス!!!

 

 

落とした先にいた松永が落ち着いてゴール下を沈めた。

 

「よーし!」

 

得点を決めた松永と空がハイタッチを交わした。

 

「…っ」

 

2人とすれ違い様、今吉が表情を曇らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「第2Qに入って、桐皇が花月の動きを先読みするようになったと思ったが、神城だけは完全に読みが外れていたな」

 

「桃っちが読み違えるなんて、珍しいッスね」

 

一連のプレーを見ていた火神、黄瀬が軽く驚いた表情をする。

 

「読めるはずがないのだよ。何故なら――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「……これは想像以上に難儀な事やで」

 

額に手を当てて顔を引き攣らせる今吉。第1Q終了後のインターバル。欠けていたデータを組み合わせ、修正した新たな花月のデータを桃井から説明を受けた桐皇の選手達。その甲斐もあって相手の動きを先読み出来るようになった。だが、今吉は桃井からデータを受け取る際にこのような言葉を受け取った。

 

『言いにくいんだけど、神城君のデータだけは取れませんでした。このデータもどこまであてになるか分からないので気を付けてください』

 

この言葉どおり、桃井の読みどおり動いたがその動きは見事に外されたしまった。

 

「翔兄ならどないして止めるんやろか…」

 

自身の従兄である今吉翔一の事を思い浮かべる。

 

「…ま、そんなこと考えてもしゃーないのう。これでもスタメンに選ばれた身や。足掴んででも止めな」

 

覚悟を決め、スローワーとなった若松からボールを貰いに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ふむ、桃井さんの予想どおり、読みが外れてしまいましたね」

 

ベンチで原澤が前髪をいじりながらコートを見つめている。

 

「すいません。どうしても彼のデータだけは上手く取れないんです。基本に忠実なバスケをしてきたかと思えば、突然、セオリーから大きく外れた動きに切り替わり、しかも、そこに法則性が一切ないので、どうしても…」

 

「それは、意図的に読みを外しているという事ですか?」

 

「いえ、それは無いと思います。インターハイ時の三杉誠也さんは情報を与えないように試合をしていた節はありましたが、神城君は、少なくとも大仁田戦、秀徳戦でそんな余裕があったとは思えませんので」

 

原澤の意見に首を横に振る桃井。

 

「恐らくですが、神城君はボールを保持した時、何も考えてはいないのだと思います」

 

「何も考えていない? それが本当なら奇妙な話ですね。バスケにおいて、ポイントガード程考えを巡らせなければならないポジションはないと言っても過言ではないのですがね」

 

桃井の予想に、原澤は顎に手を当てる。

 

「その場の思い付き…いえ、もはや身体が反応するがまま自由奔放に彼はプレーをしています。そこにバスケセオリーから大きく外れた動きが加わりますからどうしても動きを予測するのが…」

 

「…確かに、無心の心を読めと言うのは無理な話。なるほど、これは一筋縄では行きそうにありませんね」

 

原澤は、コートへと視線を移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

今吉がボールを受け取り、フロントコートまでボールを進める。その今吉に空がマークに付く。

 

「(ほんま、夏とは比べ物にならんくらい成長しとるで。これなら誠凛の伊月はん、秀徳の高尾はんの方がまだやりやすいわ…)」

 

過去にも手練れの選手とのマッチアップ経験のある今吉だったが、その中で1番の評価を付けたのが空。

 

「(…しゃーない、今あるデータで確率の高い選択肢を選んで相手する他ないのう)」

 

「っ!?」

 

覚悟を決めた今吉は、おもむろにボールを掴み、シュート態勢に入る。

 

「(この距離から打つのか!?)」

 

突如、シュート態勢に入った事で面を食らう空。今吉が立っている場所はスリーポイントラインから2メートル程離れており、ノーマークならまだしも、きっちりマークが付いているこの状況で打つのは無謀に等しい。

 

「ちっ!」

 

だが、不気味に思った空はすぐさま距離を詰め、シュートコースを塞ぐようにブロックに飛んだ。

 

 

――ピッ!

 

 

空にシュートコースを塞がれると、それと同時にパスを出した。

 

「(ただパス出してもカットされるからのう。パス1つ出すのもほんま難儀やで…)」

 

元々打つ気はなかったが、不意を突いたにも関わらず、自身が最高到達点に達する前にシュートコースを塞いでしまう空の反応速度と瞬発力に今吉は寒気を抱いた。

 

「…来おったな」

 

ボールは、左アウトサイドに展開していた青峰に渡り、天野がポツリと呟く。

 

「…」

 

ジッと天野を見据える青峰。対する天野はどの動きにも対応出来るよう青峰の一挙手一投足に注視する。

 

「(…来る!)」

 

そう直感したのと同時に青峰がボールをゆらゆらと動かし始め…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

一気に加速、ドライブを仕掛ける。天野も送れずにピタリと並びながら青峰に対応する。

 

『おぉっ! 青峰に付いていってるぞ!』

 

青峰に対応する天野に観客席から賛辞の声が出る。

 

「っ!?」

 

同時に青峰がバックロールターンで反転。天野を抜きさり、シュート態勢に入る。

 

「くっ!」

 

抜かれたのを目の当たりにした大地がヘルプに飛び出す。

 

 

――ブォン!!!

 

 

「っ!?」

 

大地がシュートコースに現れたのと同時に青峰がボールをリングにドッチボールのように投げつけた。

 

 

――ガシャン!!!

 

 

ボールはバックボードに当たってリングを潜った。

 

『出た! 青峰のフォームレスシュート!』

 

『…』

 

リングの下で弾むボールを茫然と眺める花月の選手達。

 

「俺にやる気を出させた事は評価してやるよ。…だがまあ、この程度じゃ、本気を出すまでには至らねえけどな」

 

「っ!」

 

そう告げ、青峰は自陣へと戻っていった。

 

「…天さん」

 

空が思わず天野に声を掛ける。

 

「心配あらへん。さっきまでとスピードとキレがちゃうから対応が追い付かんかっただけや」

 

心配かけないよう、天野は努めて明るく返事をした。

 

「これでもディフェンスを売りにしとるからのう。次からは足掴んででも止めたるわ」

 

瞳をギラつかせながら天野は気合を入れ直したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

松永がスローワーとなり、空がボールをフロントコートまで運ぶ。

 

「…」

 

スリーポイントライン手前から慎重に攻め手を考える空。

 

「…っしゃ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

控えめに気合を入れ、一気にカットイン。

 

「今度はドンピシャやで」

 

対する今吉は今度は空の動きを読み切り、遅れずに空を追いかける。

 

「読まれたか…」

 

ならば1度停止して仕掛け直すか…そう考えたが、若松と福山がすぐにヘルプに走れる距離におり、切り込めば囲まれるリスクがある。

 

「ちっ」

 

仕掛けるのを止め、ビハインドバックパスで右アウトサイドに展開していた生嶋にボールを渡した。

 

「打たせない!」

 

生嶋にボールが渡るのと同時にマークしている桜井が距離を詰め、タイトにディフェンスを仕掛けた。

 

「…っ!?」

 

フェイスガードでピッタリとディフェンスをされてる為、シュートはおろか、ボールをキープする事もままならない。

 

「くっ!」

 

やむを得ず、生嶋は空にボールを戻す。

 

「っ!? 待て!」

 

何かに気付いた空が生嶋に制止をしたが一足遅く、生嶋はボールを戻してしまう。

 

 

――バチィィッ!!!

 

 

空と生嶋のパスコースに1つの影が高速で割り込み、ボールをカットする。

 

『青峰だぁっ!』

 

パスを読み切った青峰がパスコースに割り込み、ボールを奪い取った。

 

「ターンオーバーや、戻れ!」

 

慌てて天野が声を出し、青峰を追いかける。

 

「(あかん、速すぎや! ドリブルしとるのに追いつくどころか引き離されてまう!)」

 

必死に追いかける天野だったが、青峰のドリブルスピードが速すぎて追いつくどころか逆にどんどん距離が開いてしまう。青峰がスリーポイントラインを越えて瞬間…。

 

「っ!」

 

青峰の後ろから1本の手が飛び出し、思わず急停止。ボールを切り返してその手をかわした。

 

「ちぃっ! ダメか!」

 

青峰が停止するのと同時に手の持ち主が回り込み、正面に立った。

 

「相変わらず、スピードだけは大したもんだな。…神城」

 

「そりゃ、それが俺の神髄の1つだからな」

 

不敵な笑みを浮かべる青峰に対し、ニヤリと返した。

 

 

「…相変わらず、あいつのスピードは常軌を逸してるな」

 

「ホントッスね。前を走る青峰っちに追いつくとか考えられないッスよ」

 

青峰に追いついた空に驚く火神と黄瀬。

 

「スピードだけではない。本当に恐ろしいのは、あのスピードを1試合維持する運動量なのだよ」

 

前日に試合をした緑間が空の恐ろしさを口にする。

 

「だが、例えスピードで青峰を凌駕していたとしても、それだけでは青峰は止められないのだよ」

 

青峰の実力を良く理解している緑間がそう口にした。

 

 

「…」

 

青峰と対峙する空。

 

「(どう来る。右か…それとも左……いや、この距離なら意表を突いて直接打ってくるかもしれない…)」

 

この1本を止める為、空は青峰の動きの予測を立てる。

 

「(右か左か…直接狙ってくるか……いや、やめた)」

 

思考を巡らせていた空だったが、ここでが頭を振って思考を停止した。

 

「(頭の悪い俺が三杉さんや大地みたいに相手の動きなんざ読めねえし良い考えだって浮かぶはずがねえ。考えるだけ無駄だ。だったら…)スーフー…」

 

ここで空は1度深呼吸をし、両腕をだらりと下げ、膝の力を抜いた。

 

「(相手に合わせるなんざ俺らしくねえ。本能のまま食らい付いてやる)」

 

頭を空っぽにし、相手のどんな動きに対応出来る態勢に入った。

 

「…っ!?」

 

突如、空の様子に変化が起きた事に対峙する青峰は気付いた。

 

 

「あれは!?」

 

観客席の火神が思わず立ち上がった。

 

「そっくりッスね、あの構え、あの雰囲気」

 

黄瀬も気付き、額に汗が伝う。

 

「昨日の試合の時に薄々感じていた。奴もまた、持っているのだよ」

 

メガネのブリッジを押し上げながら言葉にする。

 

「あれは、野生なのだよ」

 

 

「…へぇ」

 

空から醸し出す野生の威圧感に思わず感心する青峰。ここでボールを左右に高速で切り返し始める。

 

『うお、速ぇっ!』

 

そのスピードはどんどん上がっていき、だんだん目で追えなくなるほどになっていく。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

そして唐突に高速のドライブを仕掛ける。

 

「っ!」

 

だが、空は身体が反応するまま動き、ピタリと青峰に付いていく。空に進路を塞がれるとそれと同時に反転。バックロールターンで逆を付く。だが…。

 

 

――スッ…。

 

 

青峰は反転しながらリングに背を向けながらリングに向かってボールを放り投げた。意表を突いたロールしながらのフォームレスシュート。誰もが決まると確信した。

 

「んがっ!」

 

フォームレスシュートに反応した空がブロックに飛ぶ。懸命に手をボールに伸ばす。

 

 

――チッ…。

 

 

伸ばした空の手の指先に僅かにボールが触れた。

 

 

――ガン!!!

 

 

ボールはリングに弾かれた。

 

『外れた!?』

 

『違う、ボールに触れたんだよ!』

 

ブロックに成功した事に気付いた観客が沸き上がる。

 

「(よし、何とか間に――)」

 

ボールが外れた事に一瞬安堵したその瞬間、空の横を高速で青峰が駆け抜けていく。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

外れたボールをそのままリングに叩きこんだ。

 

『すげー! 外れたボールをそのまま押し込んだ!』

 

「くそっ!」

 

結局失点を防ぐ事が出来ず、空は悔しがる。

 

「あの関西弁と言い、お前と言い、中々楽しませてくれるじゃねえかよ。その調子で俺を本気にさせてみろよ」

 

空の奮闘に興奮を表に出しながら空達に言う。ここから、キセキの世代のエースである青峰の本領が発揮される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は花月は動きを全て読まれていない空が巧みにボールを回し、時に自ら仕掛けて得点を重ね、桐皇は青峰を中心に得点を重ねていく。

 

 

――バス!!!

 

 

青峰が横っ飛びで天野のブロックをかわし、ボールを投げつけて得点を決める。

 

「くそっ!」

 

再び青峰に得点を許し、悔しがる天野。第2Qに入り、天野は青峰を止められずにいた。そして…。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

『チャージドタイムアウト、花月!』

 

ボールがサイドラインを割った直後、花月のタイムアウトが申請された。

 

 

第2Q、残り5分18秒。

 

 

花月 30

桐皇 28

 

 

選手達がそれぞれのベンチへと下がっていく。

 

「ちぃっ!」

 

ベンチに座るや否や、天野が悪態を吐いた。普段は周囲を盛り上げるムードメーカーの天野だが、今日ばかりは自分の不甲斐なさに苛立ちを見せる。

 

「遂に青峰が本性を露わにしてきたな」

 

選手達の前に立った上杉が腕を組みながら唸る。

 

「青峰さんを中心に、マークが集中すれば他できっちり得点を重ねてきています」

 

『…』

 

桐皇は青峰だけでなく、青峰を囮にして若松、桜井、福山も隙を突いて得点を重ねていた。

 

「とりあえずオフェンスは動きを読まれていない神城を中心に機動力を生かして速攻で確実に点を取っていく。問題はディフェンスだ」

 

得点力において、今大会最強と目される桐皇。青峰を筆頭に、他の選手も高いオフェンス力を有している。

 

「だが、やはり止めなきゃならないのは青峰だ。エースを調子付かせるとチームが活性化させてしまう。…綾瀬」

 

「はい」

 

「青峰に付け。ここからはお前と天野のダブルチームで行く」

 

「っ!?」

 

上杉がそう指示を出すと、天野がハッと顔を上げる。

 

「エースの歯車が狂えばチームの歯車も僅かに狂うはずだ。まずは青峰を止める事を最優先でいく」

 

「…っ」

 

上杉からの指示に、天野は拳をきつく握り、歯をギュッと食い縛った。

 

「私も青峰さんに付くとなると、福山さんはどうするのですか? 彼は桐皇において青峰さんに次ぐオフェンス力です。ノーマークにするのは危険だと思うのですが…」

 

大地が福山をマークを外す事の危惧を口にする。福山は全国レベルで見てもトップレベルのオフェンス力を有する選手。

 

「綾瀬の言う事ももっともだ。だが、今は青峰最優先だ。…神城」

 

「はい!」

 

「今マークしている今吉と福山の2人をお前1人で抑えろ。お前のスピードとスタミナならやれるはずだ」

 

「任せて下さい!」

 

「無理はしなくていい。最悪、そこからのある程度の失点は覚悟する」

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで、タイムアウト終了のブザーが鳴った。

 

「良いか。お前達は対等に戦えている。自信を持って行け」

 

『はい!!!』

 

「行って来い!」

 

上杉の掛け声を背に、花月の選手達はコートへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は桐皇ボールで再開される。

 

『っ!?』

 

今吉にボールが渡ると、花月のディフェンスの変化に桐皇が気付く。

 

「ほう」

 

目の前の大地と天野を見て青峰が唸る。

 

「ちっ」

 

ノーマークになった事に舌打ちをする福山。

 

少しずつ調子を上げ、本来の得点力を発揮し始める青峰。その青峰を止める為、策を仕掛ける花月。

 

試合は、少しずつ動きを見せ始めるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





投稿間隔が空いてしまい、申し訳ありませんでした…m(_ _)m

理由としまして、仕事が忙しくなった事、花粉症が発症した事、ソシャゲです。特にネックなのが花粉症です。くしゃみ鼻水が止まらなくなり、何も手に付かない。薬を飲めば症状がある程度抑えられるのですが、副作用で異常に眠くなり、これまた何も手が付かなくなる悪循環。花粉症のシーズンが終わるまで投稿間隔が空くと思いますのでご了承が下さい…m(_ _)m

ここ数年でヒノキも発症したので5月くらいまで投稿が遅くなります。ホント杉とヒノキ滅べ…(#^.^#)

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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