FLOWERS Another Episode 会長の思惑   作:抱き枕50

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進展編

今日も雨・・・・・・。梅雨に入ってからずっと雨。放課後、私達アミティエ二人で日直の仕事をしている時、ふと外を見ながら思い立って誘いかけてみた。

 

「ねえ、蘇芳。今度の安息日だけど、何か用事あるかい? 」

 

「別に無いけど。どうかしたの? 」

 

「晴れたらデートしないか? 良いところ知っているから。森の方でさ、木漏れ日がとても綺麗で、蘇芳も感動すること請け合いだよ。奥の開けた場所は花が咲き乱れ色鮮やかな蝶が舞う。ちょっとした異世界だよ」

 

「酷いわ。私が蝶のこと、苦手だって知らないの? アキラって最低・・・・・・」

 

 

目が本気で怒ってる。良い提案だと思ったのに、地雷を踏んでしまったようだ。顔めがけて黒板消しを投げてきた。それにしても蝶が嫌いとは。蛾ならともかく・・・・・・。昆虫系は全滅だと推察するのはたやすい。仕方ない、第二候補の泉の方にスイッチだ。

 

「ゴメン、知らなかったんだよ。今度、学食で奢るからチャラにしてくれる?」

 

「そうね、プラスして購買のスイーツもね」

 

「蘇芳・・・・・・。よし、姫の為に購買の甘い物を全部捧げましょう! 」

 

 

「それじゃ、ニキビができちゃうわよ。アキラこそああ言うの食べなきゃダメよ。貴女・・・・・・抱き心地が骨っぽいんだもの。嫌いじゃないんだけど、私の力だと折れちゃいそうで・・・・・・」

 

「ちょ、蘇芳! 誰と比べてだよ! 答えなさい! 」

 

「えへへ、嫉妬してくれて嬉しい・・・・・・誰と比べたか知りたいなら・・・・・・身体に聞いて、アキラ」

 

蘇芳がウインクして私にキスをしてきた。すっかり恋人的な会話が出来るようになった。二人で居るのがとても楽しい。でも部屋以外は気を使ってしまう故、ストレスが溜まる。

 

 

「じゃ、譲葉から教えてもらって去年行った、秘密の泉に行こう。ここは石灰石から染み出た清水で、魚や鳥は居ても少ないんだ。虫は尚の事、特に蝶は少ないからね、お姫様」

 

 

「お姫様は、やめて。私はただの女よ。アキラも王子じゃなくて、ただの女でしょ・・・・・・」

 

「そう、私はただの女だよ。でも蘇芳は、ただの女じゃない。妖精の姿をした耳年増のスケベちゃんだ。しかも実践を積んでどんどんテクニシャンに」

 

「酷いわ。アキラがそう導いたくせに・・・・・・。だから・・・・・・此処にいる間、ううん一生責任取って・・・・・・」

 

 

上目遣いでそう言う蘇芳を見たら、もう抑えは効かない。抱きしめ二人で窓のカーテンに包まる。あの夜から二人は事あることに身体を重ねる関係だ。

 

暫しキスをむさぼり、職員室に日誌を返しに行った。残っていたバスキア教諭に手渡すと、教諭はキョロキョロと周りを見回した。

 

「日直のお仕事遅くまでご苦労様。遅かったけど何か有りましたか? 黒沼さんは話があるから、ちょっと残って下さい。白羽さんは戻って良いわよ」

 

疑心の目を向ける蘇芳を見送り、ドア締めて職員室に二人。やましい事はない。でも何か叱責かと内心穏やかではなかった。

 

 

その話とは・・・・・・バスキア教諭は泣きそうな顔して一通の封筒を出してきた。そこには見覚えのある名が印刷されている。バスキア教諭からの、ある種の死刑宣告だった。

 

 

 暗い顔して戻った私を、蘇芳が問い詰める。

 

 

「何言われたの? 私達がラブラブなので別れなさいとか? 先生だって八重垣さんとベタベタしてるの皆知ってるってのに。まさか・・・・・・あの年増女に手を出されたりしてないでしょうね? 」

 

「さすがにそれはないよ。まあ、程々にしなさいってことだったさ。で蘇芳、さっきのデートの返事だけど了承で良いんだよね」

 

「ええ、二人でデートだなんて楽しみだわ。お弁当を作るからリクエストしてね」

 

蘇芳の機嫌が治ったようで何よりだった。

 

 

「蘇芳ちゃん居る? 聖母祭の料理部の収支データが出たから持ってきたよ。感想もあるんだ」

 

沙沙貴さん達が二人して訪ねてきた。最近、蘇芳を独占してるかなと思い、蘇芳に沙沙貴さん達の部屋で話したらどうかと促した。

 

「蘇芳、沙沙貴さん達が歓待してくれるって。部屋に行ってきなさい。一番の親友だろ?」

 

「それに私、ちょっと・・・・・・返還の儀の事で譲葉の所に行ってくるから」

 

 そう言って思案顔の蘇芳を後押しした。

 

「それじゃ、蘇芳を頼むよ。今晩だけなら貸してあげるから」

 

 

「三日は預からせて頂きます」

 

そう言って三人が出て行った。

 

 

「おい、アキラ。それじゃ返還の儀までなのか」

 

苛立ったような譲葉の声。

 

「まあ。居ようにも流石に事情が事情だからそこまでだね。残念だけど・・・・・・」

 

意図的に無感情を装い答える。一緒に居る小御門副会長は終始無言。返還の儀は聖母祭の真のフィナーレだから、それはどうしても出たい。まあ何とかするわけだ。

 

 

部屋に戻ると、真っ暗で蘇芳は居なかった。泣き顔を見られなくてホッとした。一人で暗い部屋で居るのは落ち着く反面、変な事を色々と考えてしまう。寝られたのは深夜になってから・・・・・・。

 

 

朝になって蘇芳が帰ってきた。泊まりは一回だけにしたわと、キスをして私を起し、着替えて一緒に連れ立つ。ふと手を見るとネイルアートがしてあった。少し嫉妬してる、私。

 

「蘇芳は、こういうの好きなの? 次は私にさせて・・・・・・」

 

「でも、ここくらいはお友達に残しておきたいからダメ」

 

「アキラにはヘアメイクやお化粧の手解きをして欲しいの、良いでしょ。」

 

上目遣いの蘇芳。断れるはずも無い・・・・・・。

 

「アキラの手を見せて。私が代わりに塗ってあげるから。そういえば現役みたいに爪綺麗に揃えてるのね。そうだアキラもピアノ弾きましょう! 」

 

一度聴かせて頂戴、アキラの音を。蘇芳はそう言った。確かに弾かなくなった今でも爪は整えている。そうだな、私もチャレンジしてみるか。何もしないよりは、心が落ち着くだろうし。

 

 

ピアノのレッスンをデートの雨天中止用と言い訳して始めてみた。合唱部の空き時間の昼休みに、合唱部のネリーに許可をもらい、蘇芳に協力してもらって。

 

放課後は一人で自室で紙鍵盤を使っての練習。蘇芳は料理部に図書委員としても用事があって放課後は一人の時間が多くなり少し寂しい。でも始めて二日でそこそこ弾けるようになった。蘇芳も少し驚いている様だ。

 

 

 

今日の放課後は、久々のお茶会。ずっと聖母祭でしていなかったのだ。久々という事で全員参加になり、ドミトリーのメドゥーサの二つ名の八重垣さんも来る事になった。そして実のところ私も初参加である。

 

蘇芳に連れられ、まずは八重垣さんの部屋から彼女を連れ出す。車椅子を押しながら初めて忌憚ない話しをしたけど、蘇芳が一目置くのが良く分かる。驚くほど博識で頭が切れる。双子の子とは違うベクトルの友人だった。

 

 

お茶会、今回はスペシャルゲストということで、ニカイアの会の会長と副会長の二人が招かれている。

 

 

私や蘇芳は色々関わりあるので、ここでどうとすることもないけど、クラスの子達は美形の上級生二人を囲んで嬌声をあげて大盛り上がりだ。特にネリーの得意な怪談話は玄人はだしで悲鳴もあちこちで上がってたくらい凄かった。

 

 

今回、もう一つ特別が有って、それはケーキバイキング。蘇芳が言うには、何でも聖母祭で料理部のスイーツ派が路線決定前に材料を意図的に先んじて発注し、まさかのスイーツ派敗退で転用できない分が残ってしまった、その材料の証拠隠滅の意図もあるらしい。これは極秘中の極秘なんで聞かなかった事にと・・・・・・。

 

 

お嬢様学校でも、一皮むけば色々あるということらしいが。しかし出来たケーキに罪はないので美味しく戴くことにした。

 

かなり残りそうなくらいだった数量のケーキは、もう何個も無い。上級生の二人、特に副会長のネリーが別腹宜しく、大量に取り込んでいったそうだ。何でも食べた分は胸に回るという。

 

去年一緒のクラスの時はそんな話は聞かなかった気がするが・・・・・・確かに学院で一番大きいと評判のあの胸を見ればさもありなんだ。

 

 

 

蘇芳はそれでも何個か残ったケーキにラッピングしお持ちの帰り割り振りをしている。仕方なくケーキを一人摘んでいると、ゲストの二人が来た。他愛ない話しを少しして、周りを見つつする話はこの間の続き。皆が楽しんでいるこの空気を、私達の無粋な話と表情で乱したくなかったので私は中座して先に帰ることにした。

 

 

お茶会も終ったその日の夜、蘇芳も私も部屋でのんびりしてる。そこで蘇芳にネイルアートを頼んだ。道具を沙沙貴さん達の部屋に取りにいってもらいそわそわ待つ。

 

デザインはシンプルに斜めストライプにしてもらった。見に来た沙沙貴さん達は床屋さんの回るやつみたいと・・・・・・。蘇芳のセンスを微妙な顔して二人して見つめていた。落ち込む蘇芳に床屋さんのサインポールの蘊蓄を語らせて機嫌を回復させる。何故って? 不機嫌なまま事に及ぶと結構サディスティックな女になってしまうから・・・・・・。

 

 

 

 長かった一週間が終わり、今日は土曜日。午後はフリーだけど午前中は聖堂でお祈りがある。普段はその後三々五々散っていくのだけど、今日は不思議と人が残っている。

 

「これから、ニカイアの会主催による、一年の白羽蘇芳と黒沼アキラのピアノ発表会があります。是非お聞きください」

 

 

 譲葉の声だ。青天の霹靂とはまさにこれだろう。頭真っ白になった。惚けて立ち尽くす私に蘇芳が手を伸ばして連れ出そうとする。なすがままの私。嬌声の中、二人してピアノの前に。

 

蘇芳に促されて椅子に腰を落とすけれど未だに状況に対応できてない。当然手は動かない。譜面も目に入らない。

 

「アキラの音を聴きたいの、弾いて・・・・・・お願い・・・・・・」

 

 

 そう言って衆目の前で私の頭を腕でがっしりと抱きしめ唇にキスしてきた。それも何秒もそのままに。歓声と嬌声の混じる聖堂。残っていたバスキア教諭のつり上がった目、上級生の驚愕の目。好奇の視線でもう倒れそうな私。でもそこまでした蘇芳に応えたくなった。

 

 

 頬を手ではたき、仕切り直しだ。酔ってるとでも言うのだろうか。緊張感の中に陶酔感が紛れ込む。ぴったりと背後にくっつく蘇芳の体温を感じる。

 

若干早弾きになってしまったようだけど、一気に三曲を弾いて蘇芳に代わる。蘇芳はさすがに聖母祭の奏者。聴く者を圧倒させる。同じく三曲を弾き、最後は即席の連弾で締めた。

 

 

拍手が心地よい。ピアノをまた始めて良かったと思った。蘇芳も・・・・・・もう完全に先生の呪いを払ったようで満面の笑顔だ。オーディエンスに頭を下げ退場する。

 

二人きりになりたくて、聖堂を出てヨゼフ座に身を隠した。今日は全体に暖かみのある白熱灯が点いている。客席に座り目を閉じ、先程の演奏を反芻する。

 

隣の席には蘇芳。蘇芳が私の手を取って自分の胸にあてる。柔らかさの奥に。早打ちしてる鼓動を感じる。それは私も同じ。逆のことをしてみた。そして互いに見つめてキスを交わし、そこに確かな愛を実感した。

 

 

 

「ねえ蘇芳。サプライズありがとう。何時企んだの?良い思い出が出来たよ。明日のデートもうまく行くといいな」

 

「お茶会で、アキラが先に帰った後に、会長と副会長に話してみたらこうなったわけ。そうだお弁当だけど何が良い?」

 

 

翌朝、安息日の日曜日だけど二人して早起きし、私は寮鑑の部屋に万が一の時の外出届を投函し、蘇芳はお弁当を作ってくれる。手を繋いで寮を出た。目指すは秘密の泉。去年の夏一度行った事があるので、迷ったりはしない。天気は曇りだけど雨は平気そうだ。

 

着いて早々裸足になっての水遊び。水はやはりまだ冷たい。きゃっきゃっ言いながら童心に戻っての水かけは楽しかった。岸の砂に木の枝で相合い傘を書いてみたり、蘇芳も私も気分はすーちゃんとアキちゃんだった。

 

 

そしてお弁当。蘇芳は昔から料理しているだけあって実に上手だ。普段はやれ野菜食えとか、魚をもっととか母親みたいに口煩いけど、今日はそんな野暮は言わない。

 

食事を堪能した後少し昼寝。うたた寝してたのに日が出てきて眩しい。起きざるを得ない。折角だからとお日様の下でまぐわう。

 

 互いに隠し立てせず、生まれたままを見つめ合う。傷に黒子、恥ずかしい場所も全て晒して互いの身体を目に焼き付ける。気のせいかここの何日かで蘇芳は一段と女らしくなった様だ。お化粧をしてあげている事を別にしても、顔の輪郭、胸の大きさ、腰の丸み、ウエストの括れ等々。それに比べて私は・・・・・・。

 

空気が湿っぽくなってきて急に曇ってきたこともあり日暮れ前に帰る事にした。本当は夜の蛍が絶品なんだけど・・・・・・残念。

 

 

寮に戻って来てすぐ蘇芳が沙沙貴さん達に拉致されてしまった。まだ三日分終わってないからと。仕方なく一人で部屋に戻り、改めて部屋を見回す。隅にはまだ開けてない段ボール箱。この部屋に来てまだ何日も経っていないのに気付く。もっと蘇芳と同じ時を・・・・・・。

 

明日の返還の儀が終わったら私は・・・・・・。

 

 

そんなことを考えていたら、蘇芳が帰って来た。手には沙沙貴君達の手作りサンドイッチ。温かいうちにささっとたいらげた。お互い疲れているので早めに寝ることにした。蘇芳は不満げだったけど、同衾することで手打ちにしてもらった。熟睡の蘇芳を隣になんだか寝つかれないまま朝になってしまった。鏡見ると少しクマが出来てる。簡単にお化粧して隠す。今日は返還の儀。聖母祭の完全終了だ。

 

 

朝の礼拝が終わり、いよいよ返還の儀が始まる。聖母祭の時に着た衣装をまとい私は聖堂を進む。そしてシスターにベールを手渡した。そこでシスターの

 

「返還の儀は滞り無く終わりました」

 

 その声で全て全てが終わった。そしてシスターのバスキア教諭から耳打ちされて、皆の間を抜けて聖堂を出た。そして迎えの車に乗り、誰にも気付かれないように学院を出た。

 

 

「本当に何処行ったのかしら。アキラ。部屋には荷物あるし。まさか攫われた?」

 

忽然と姿を消したアキラを目で捜しながら、心落ち着かずに皆と昼食を取っているとバスキア教諭が神妙な顔をして私の前に現れた。

 

「白羽さん、終わってからでいいから、聖堂に来て下さい。大事な話があります」

 

そう告げた。アキラの事だと直感したけど、聖堂でのキスとかが拙かったかなと思った。謹慎とか反省文とか書かされるとかそんな事を考えた。

 

 

「白羽さん、こっち来て」

 

手招きされてピアノの先にある個室に入った。そこには意外なことに先客として八代先輩と小御門先輩が居た。二人とも表情が暗い。下を向いたままだ。座るように促され教諭がドアを閉める。そして私の前に座り口を開く。

 

 

「黒沼さんは、今日から暫く休学します。先日実施した病気の検査結果が悪くて・・・・・・。どうしても返還の儀まではと言う本人の希望で、ここまで無理したのだけど、先程車で大学病院に移送されて入院の運びに・・・・・・」

 

 

 ここまで聞いて頭が真っ白になり、ひたすら悲しく、私は泣いた。治って戻って来られる事を問うと、三人とも押し黙ってしまい、呆然としてしまった。守秘義務も有り、詳しい事は聞けなかった。判ってる事は病気が思わしくない事。そして復学の見通しが立たない事・・・・・・。

 

 

 バスキア教諭は、途中で席を外した。以後の授業は出なくても欠席にしないと言って。残された先輩方が口を開く。

 

「アキラ、本当は治ってなかったんだよ。悪いとこ全部取ったから平気とか言ってたけど・・・・・・。色々取ったのは本当らしいけど、転移っていうか・・・・・・」

 

「どうも僕の手紙で蘇芳君の事を知ってから、無理して復学しようとしたらしいね」

 

それはアキラに聞いた。でも良くなっていたと思ってた。手術の跡は痛々しかったけど・・・・・・。

 

 

 間を置かず、小御門先輩が話し出す

 

 

「譲葉が怪我して、街の病院に入院した事があったでしょ。あの時、病院で黒沼さんのお母様に偶然会って・・・・・・」

 

「たまたまアングレカム学院の制服着た子が入院したってことで、部屋に入らしてね。名乗ると私達の事は手紙で知ってて。顔は知らなくてその時が初見だったけど」

 

「その時から良くないってことは知ってたの、まだ若い貴女たちが知ると辛いからと言ってくれたけど、つい聞き出してしまったのよ」

 

「それでここに居る私達二人、貴女と三人。秘密を知るものとして誰にもこの事は絶対に話してはいけないの。そこの誓約書にサインして蘇芳さん」

 

何時もの、ほんわかとした口調とは全然違う厳しい口調に、激しく戸惑う。

 

 

手渡された誓約書には既に二人のサインが。その下に揃えて書き、拇印を押す。そしてバインダーに綴じ八代先輩が間を執り成す様に口を開く。

 

 

「アキラここに来てから、怪我と病気とで良い思い出少ないだろ。それで、思い出作りじゃないけど、ピアノの発表会を仕立てた。アキラの上達が早かったんで間に合った・・・・・・」

 

 

「昨日は二人で出かけたんだろ。何処に行ったの? 」

 

「アキラが去年行った秘密の泉と言うところです。八代先輩から教えてもらったって言ってました」

 

八代先輩と小御門先輩が顔を見合わせる。

 

「砂に相合い傘を書いたかい? アキラの奴」

 

なんで知ってるのと思いつつ、書きましたと答えると、

 

「彼処に書いた相合い傘は、現世でなく天国でってことだ。蘇芳君を連れて行くとは思えないけど、覚悟決めてるってことかもしれない」

 

「杞憂なら良いけど・・・・・・」

 

 そんなことなら書かせなきゃ良かったと後悔した。今にして思うと、体調の悪さってのは見え隠れしてたなと。何にしても今は良くなるのを祈るだけだ。

 

 

三人元気なく部屋を出る。出なくて良い事になってる授業はもう終わりに近くなっていた。掃除当番でも無いし今更教室には行ってもしょうがない。

 

寮に向ったものの、一人部屋に居るのは辛いので図書室に行く事にした。しかし本を読んでも全く頭に入ってこない。本を戻して外を見て黄昏て居たら、白羽か?と呼ばれて慌てて振り向く。

 

 

「こんな時間にここに居るなんて、さぼりか? 。って、おい、どんだけ泣いたんだよ、そのクマ。養護の教諭から聞いたけど、お前の新しいアミティエの、名前・・・・・・なんだっけか? そう"のっぽさん"、入院したんだって? 」

 

 

私は無言で頷く。

 

「悲しいのはわかるけど、お前まで体調崩してたらしょうがないだろに。またサッカーでもやって身体動かしたらどうだ? 」

 

「うん・・・・・・」

 

「一人で悩むな、白羽。沙沙貴や委員長、それに匂坂だって力になるだろ。友達なんだし。まあ聞くだけなら私もするから話したくなったら話してみてくれ」

 

他の利用者が来たので、八重垣さんに頭を下げて一足先に図書室を出た。

 

 

一人部屋に戻る気はせず最近存在を知ったウサギ小屋を見に行き、部活の終わる頃を見計らって沙沙貴さん達の部屋に転がり込む。そんな私を受け入れてくれた。何も聞かずに。

 

 

翌朝、なんとか建て直して、二時間目から教室に行く。しかし喪失感が埋まらない。主の居ない机を見やると涙が滲む。病院で頑張ってるアキラを思い自分に元気を出させようとするも、吹っ切れない私。

 

 

直接声をかけにくいのか、手紙が授業中に回ってきた。クラス全員分だ。話したことない子も名前と顔が合致しない子も送ってきた。

 

朝のホームルームで皆も事情を知ったらしい。さすがに復帰が危ういとは言ってはいないだろうけど。読んでみると、アキラの事皆心配している。そして私にも落ち込まないでと。

 

 

 読み進めるうちに、涙が止まらなくなり、しまいに声を出して大泣きしてしまった。そんな私を立花さんが保健室に連れて行ってくれた。ベッドに寝かされそして抱き留めてくれた。

 

 

「蘇芳さん、辛い時は泣いていいのよ。私だってマユリだって、蘇芳さんの力になりたいから、だから頼って頂戴」

 

この時間は私が居るからね。そう言いながら立花さんが手を握ってきた。凄く温かく感じた。そして額にキス。すーっと憑き物が落ちたようだった。

 

「次の時間はマユリに来てもらうから、今は私が・・・・・・ね」

 

 

 チャイムと共に立花さんが帰って、匂坂さんが来た。彼女も私を抱きしめ励ましてくれる。またサッカーしよう。絵のモデルしてくれないか。等々彼女なりに気を使って話しをしてくれる。

 

 

初対面で私は匂坂さんに憧れた。いまでもその感情はある。活発で快活。私が持っていなかったものを持っている彼女。そんな匂坂さんが突然ごめんなさいと泣き崩れた。 

 

「白羽さんには悪いことをしたと思ってる。私と立花が好き合ってしまって、結果的に部屋から追い出しちゃったでしょ。友達として最低だった。立花もそう思ってるんだ。黒沼さんと白羽さんが仲良くなって,救われたと思っていたんだけど、私達の罪深さは残っていて、こんなことになってしまったのかもしれない」

 

 

うなだれた匂坂さんに、それは違うと手を握りながら諭す。絶対に貴女達のせいじゃないから、泣かないで。アキラのために祈ってと。

 

 

 それからも級友が私の所に押しかけてきた。花を持ってきたもの、新たに手紙を書いてきたもの。皆の優しさに心の中で泣いた・・・・・・。

 

 

 夜は、八重垣さんの部屋に泊まった。憔悴した私は脚がおぼつかずバスキア教諭に車椅子に乗せられて、車椅子のまま生活できる様になってる彼女の部屋に運ばれたのだ。二人だけになったら、八重垣さんが切れた。

 

「なんだよ、白羽。そんなしけたツラしやがって。ここはサナトリウムじゃないんだぞ。暗い顔は禁止だ、いいな」

 

「お前がそんなでどうすんだよ。検査終わったら戻ってくるんだろうが」

 

八重垣さんは知らないのだ。もう戻れないことを。

 

 

 窓の外の月を見て泣いた。ただひたすら。八重垣さんの声も素通りしていく。

 

「もしかして、戻ってこられないのか? 学院に。おい、白羽。お前事情知ってるんだな。話してみろ。守秘義務があるのはわかるけど・・・・・・」

 

それでも無視する私を見て、察しの良い彼女は何も問わなくなった。

 

 

「そんなに具合が悪かったのか」

 

惚けた私の車椅子の後ろに、自身の車椅子を寄せて耳元で呟く。頷く私にゴメンと謝る。お前も辛かったんだな、黙ってるってのは・・・・・・と。

 

「今日は泣けよ。私が許す。でもさ・・・・・・」

 

「判ってる。今日だけは甘えさせて」

 

車椅子の向きを変え向き合う。椅子を立った私。しかしよろけて崩れてしまい八重垣さんの膝にすがりつく。目の前には細く透き通る様な白い脚。彼女の手が私の髪を撫でる。自然と涙が滲む。

 

「あんまり泣くなよ。脚がふやけて太くなっちまうから・・・・・・」

 

 

泣きつかれた私を、お風呂の介助に来たバスキア教諭がベッドに寝かせてくれた。そのまま着替えもせず早朝まで寝てしまった。

 

 

 トイレに立とうとして、何とか立て歩けるのがわかった。まだ暗い時間なので、静かに部屋を出、トイレに行く。用を済ませて皺になってしまった制服を着替えをしに自室に向った。着替えをしてカーテンを開ける。外は朝焼けで燃える様だった。 

 

 

 アキラにも見せたい。一緒に見たいと思った。隣にアキラを想像して窓を開け暫し見続けた。聖堂のドアの鍵が開くの待って誰よりも早くアキラの事を神様にお祈りした。

 

 そして寮に戻り朝食を軽くとり、居合わせた立花さんに今日も保健室登校だからと指示されて保健室に行った・・・・・・。

 

 

しかし、保健室のドアの前で・・・・・・だった。ドアの前に立つには辛そうな顔をしたバスキア教諭。後ろに養護の先生とニカイアの会の会長と副会長が立ってる。そしてその表情が・・・・・・。

 

唐突に理解した。何が起きてしまったのかを。

 

 

倒れそうになった私を先生が二人で支える。そのまま保健室のベッドに寝かされた。鎮静剤を呑まされた。ぼんやりとした頭に、切れ切れに言葉が入ってくる。

 

 

「今朝方、急に容態が変わって、蘇生を色々したのだけど、七時二十三分に・・・・・・だそうです。・・・・・・主の許に旅立たれました・・・・・・」

 

「お祈りしたのに、なんで・・・・・・。どうして・・・・・・」

 

薬が効いてるのか不思議と落ち着いている。しかし失った悲しみは・・・・・・。

 

 

 訪ねてきた皆が色々慰めてくれるも、やはり耳に入らない。ただ、『神の許に旅立ったのだから悲しんじゃだめ』とか『真実の女神が攫って行ったのだから誉れだ』と言う声には違う! と言ってやりたかった。薬のせいなのか言おうにも口が動かない。そのうちに寝てしまった。

 

 

 夢を見た。二人が引き離される夢だった。抵抗するも、攫われてしまう。そんな夢。しかも状況変えてリピート・・・・・・。起きたら、八代先輩が手を握ってた。

 

「随分うなされてたね蘇芳君。もう忘れなさい。それは夢だ。汗を拭くから半身起して」

 

 

制服は脱がされてた。ハンガーに掛かってる。下着だけで寝ていたのに大汗かいていた。八代先輩がホットタオルで清拭してくれる。

 

「蘇芳君、ブラの下と下半身は自分でしてくれるかい」

 

「いえ、八代先輩。遠慮せずにしてくださいお願いします」

 

真っ赤になる先輩。なんかわたわたしてる。こんな先輩見たことなくて少し得した気がした。

 

「綺麗だね・・・・・・蘇芳君の肌は」

 

照れながらも拭いてくれる。下半身は私が手を添えて。この様を何処でアキラが見ていて、妬いて出て来ないかなと思ったのに結果は・・・・・・。

 

 

「蘇芳君、明後日学校でお別れの会が予定されている。辛いと思うけど最後は私達の手で送ってあげよう。アキラのご両親も来ることになってる。荷物の引き取りと、僕達にお話があるそうだ」

 

 

今晩が通夜、明日に葬儀をして、明後日お別れの会らしい。最後に会える機会もない。それがただただ悲しかった。

 

 

 

 お別れの会は、お昼過ぎから始まった。場所は聖堂に祭壇を造り皆が献花していく形。私達は喪章を付け遺影は聖母祭のメイド服の時のもの。式典は恙なく進む。泣いてる子も居るが、取り乱す様な子はいない。アキラの為に歌を歌い祈りを捧げ、最後にご両親の挨拶が有り、皆で献花して式は終了した。

 

 

祭壇はアングレカムの花とアキラの誕生花のアネモネで飾られている。献花は白のカーネーション。式典が終わると聖堂は既に後片付けが始まった。最後まで居るつもりだったけど居たたまれなくなり、外に出た。

 

 

「蘇芳君、待ってたよ。アキラのお母さんが僕たちに用があるんで会いたいって、学院の応接室で待ってるんだ。一緒に行こう。ネリーは先に行ってるんだ」

 

 

「失礼します。白羽蘇芳です。入ります」

 

八代先輩に続いて入室する。ソファーにアキラのお母さんが座っていた。お別れの会もそうだったけど毅然としている人だ。

 

「貴女が白羽蘇芳さんですか、私がアキラの母です。生前、アキラと良くして下さってありがとうございます。短い人生でしたけど、アキラにとって良い出会いが多く、充実して過ごせたと思います。ありがとうございました」

 

 

「白羽さん、大きくなったわね。それにこんなに美人に育っていたなんて。私、初対面じゃないのよ」

 

「小さい頃、アキラの送り迎えで、まだ小さかった貴女にお会いしたことが何度か有るの。貴女は覚えていないでしょうけど・・・・・・。こうして貴女にまた会えるなんて不思議だわ」

 

意外な言葉に驚いてしまった。覚えていないのが面映い。

 

 

「会長の譲葉さんや副会長の小御門さん、そして白羽さん・・・・・・。アキラからこれを預かってきました」

 

 取り出したのは三通の遺書だった。そして彼女の花のアネモネの球根と、そして私のハナズオウの木。挿し木用だ。

 

遺書を手渡され、手元に置く。今見るべきなのか躊躇し、やめた。 他の二人も同様だ。それを見て花の話を切り出した。

 

 

「アキラが、学院にあの子の花と、貴女の木を並んで植えてほしいって言ったのよ。そうしたら学院にユダツリーは・・・・・・って断られて」

 

「学院の中でなくていいから、何処かに並んで植えてやってくれないかしら。お願いします。我が儘言わない子だったけど、最後のお願いって懇願されて・・・・・・」

 

 

 その後は言葉にならなかった。泣き崩れるお母さんを、影で見ていたのだろうかお父さんが連れ出していく。戻って来たお父さんが

 

「取り乱してしまって申し訳ありません。私達にとって大事な一人娘でしたので許してください。アキラの病気のことで貴女方には辛いことをお知らせしてしまい恥じ入るばかりです。今まで秘密にしていただきありがとうございます。良いお友達に恵まれてアキラも幸せだったと思います。貴女方の今後のご活躍を願ってやみません。本日はお忙しい中、ありがとうございました」

 

 

そう言って頭を下げて出て行かれた。私達も席を立って頭を下げる。そして手渡されたモノを手に三人は部屋を出た。

 

 

 部屋に戻って、手渡された遺書を読む。それは学院から居なくなった日に書かれていた。アキラの直筆でそこには私に対する感謝の言葉、と最後が近いという無念の気持ち、私を心配する気持ち。そして愛していたと。私は泣いた。もう涙も枯れんばかりに。暫くして落ち着いて片づけてしまおうとした時、 包みにはもう一通入っていたことに気がついた。アキラのお母さんからだった。

 

 

 生前はありがとうございます。短い人生でしたけど、最後とても充実した時間を過ごしていました。アキラも神に召されて本望だと思います。貴女方の学院に伝わる真実の女神が導いてくれたのでしょう。貴女は逝人にに囚われるのではなく、良い人を見つけてくださいと。

 

 

 大体こんな内容だった。敬虔なキリスト教徒の考えに混乱した。

 

ちょっと理解できなかった。こっちの手紙は激情にかられ燃やしてしまったので大まかにしか覚えていない。

 

 

 夜、一人で淋しかろうと、八代先輩の部屋に招かれた。同室のアミティエの人に慰められて、また泣いてしまった。初登院した時この部屋に初めて来た時のことを思い出す。この間のスイーツの残り、日持ちするクッキーとコーヒーをご馳走になった。そしてお酒を飲んだ。料理部にある調理用のお酒が何故か部屋に有り、それを呑まされてしまった。

 

 

すぐに眠くなり布団の中で、二人のクリスチャンに召される意味を問うも、微笑むだけで答えてはくれなかった。

 

 

 土曜の午後、秘密の泉に八代先輩と、小御門先輩の二人と一緒に木と花を植えに行った。植えた後で手を合わせる。見上げた空は夏のはしり、高い空に入道雲が見事だった。今回は夜まで待って、蛍を堪能した。アキラと一緒に見たかった。無数の光が舞う様は、魂が舞っている様に思えた。

 

 

先頭を歩く八代先輩の持つライトの明かりの中、野道を慎重に歩く。途中で休憩した時小御門先輩が、私にだけ聞こえるような小声で

 

「蘇芳さん、譲葉の事どう思う? 」

 

不意をつかれてえっ、と聞き返す私。

 

「だって蘇芳さん、嫌いじゃないでしょ? 譲葉のこと。譲葉が貴女の事をどう思っているか知ってるでしょう? だったら、今度は譲葉を幸せにしてあげて。今直ぐでなくていいから。私からのお願い。二人で幸せになってよ。私? 私は教義に殉じるから・・・・・・」

 

「蘇芳さんはいつまでも悲しんでいてはダメ。学院生活をこのまま塞ぎ込んでしまうのはアキラさんも望まないと思うわ。前を見て蘇芳さん。あなたは愛されているんだから・・・・・・」

 

 

「さあ行くよ。残り半分。ここからは道が良いし少し急ぐよ」

 

「はっ、はい。支度します」

 

「どうしたんだい蘇芳君? 焦ったりしてらしくない。それでなんだけど明日予定無かったら、サッカーの練習でもしようよ。聖母祭は終わったけど、今度は試験が近いからね。試合はまだ先になるから、取り敢えず練習しよう」

 

何だろう小御門先輩があんな事を言うから、変に意識してドギマギしてしまう。

 

「ええ、了解です。予定ないですし。苺さんにも匂坂さんにも聞いてみますけど、あの二人は予定あるかもしれませんよ? 」

 

「まあ、来なきゃ来ないで、蘇芳君に特訓の時間が増えるだけだから・・・・・・」

 

「はっ、はぁ・・・・・・」

 

「譲葉ったらからかったりしないのよ。そうそう、蘇芳さん。今夜は私の部屋に来て寝ましょうよ。いつも譲葉の所ばかりでずるいわ」

 

「だって・・・・・・君のアミティエの千葉が、それを嫌がってたんじゃないの? 」

 

「この間のピアノの演奏見て気が変わったらしいわ。是非呼んでだって」

 

 

「もてもてだねー蘇芳君は。そうだ君の部屋のドアに山ほど手紙やカードが挟んであったぞ。ニカイアの会で預かってるから取りに来なさい。返事は書いてやってくれよ。便箋は購買に良いのあるから」

 

 

 そんなことを話してるうちに寮に戻ってきた。遅くなる話はしていたので、おとがめ無し。

 

折り詰めにして特別に用意してもらった夕食を貰って部屋に置いてから、まずは汗を流すべく直行で入浴した。上級生の時間に入るのは、少し所在無い。でも温かく歓待してくれた。

 

ただ、ため息で私を見つめる先輩が多く、色々聞かれて困ってしまった。仕方ないのでクラスで出回ってるレシピのチラシを渡すことを約束して収めた。

 

 

 お風呂の後、小御門先輩の部屋にお邪魔して折り詰めにしてもらった夕食を食べる。

 

小御門先輩のアミティエの人とはほぼ初対面なので、ちょっと緊張してしまう。ピアノの話で打ち解けてやっと緊張が解れた。そして話はアキラのことに。そこで小御門先輩に、真実の女神の話を聞いてみた。

 

「蘇芳さん、アキラさんは結局選ばれたということなのよ。真実の女神を全て肯定しようと思わないけど、結果そう示しているじゃない。蘇芳さんは前を向いて新しい道を歩むべき」

 

「忘れるということが、全て悪ではないのよ。忘れないといけないことだってあるわ。人間だもの苦悩もするし自棄にもなったりするけど、乗り越えないと」

 

 

 全ては同意できないけど,立ち止まってはいられないのだ。少しすっきりして寝ることができた。

 

 

朝になり食事の時に、苺さん、マユリさんに昨夜のうちに連絡し忘れたサッカーの練習の話したら、共に用事があるって断られてしまった。

 

 

 仕方ないので、私だけ行く。集合場所に居たのは、八代先輩だけ。バツが悪い顔してる。聞けば全員に断られた上に、ユニホームがクリーニングから戻ってきてないことが発覚したとのこと。

 

 

「それでは、中止ですか。残念ですね・・・・・・。代わりに、散歩でも・・・・・・。歩きながらでいいですから色々教えて下さい、先輩の事を知りたいんです・・・・・・ダメですか?」

 

 驚く先輩の顔を見て、変な事言ったかなと自問する。そして微笑みながら行きましょうと、手を出してみた。

 

「僕は引き出しが多いから・・・・・・。失望はさせないよ、蘇芳君。まずは温室に行って寮監にアネモネの育て方でも聞きに行こうか」

 

 

照れながらそう言い、八代先輩は私の手を取って温室に向って歩いて行った。

 




取り敢えず、一旦ここで終了です。拙い出来ですがご愛読ありがとうございました。

書きながらのBGMはタンジェリンドリームや深町純、坂本龍一、増尾好秋、KAZUMI BAND、マライア、ダダ(アルルの太陽は白眉)、デジタルバッハ(バッバ・リボリューション)、YMO、織田哲郎、クラフトワークこの辺りです。

続編は会長の思惑、Second Phaseになります。
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