夢物語(上)   作:患者

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サンシャイン、やりますね



自分は見ます。


『流石は私の惚れた人だ。』

046

 

 

 

「先輩、愛してる」

「ノーセンキューよ」

「先輩、受してる」

「似た漢字並べてもダメよ、ノーセンキュー」

「どうして!?どうして私のラブコールを受け取ってくれないんだ先輩!」

「どうしてもこうしてもないでしょ!?なんのつもりよあんた!わざわざ二人きりになるように人払いまでして!」

「……」

 

そろそろ説明が必要だろう。

簡潔に言うと、今この場。ようするにアイドル研究部部室には、この私、千里川夢と、矢澤にこ先輩しかいない状況なわけである。

高坂達はどうしたかと言うと、部室の外である。誰であろう、私から頼んで出ていってもらったのである(なおその際、部室を見て小泉ちゃんと南が騒いでいたのは別の話)。

 

「だって、前回があんな感じで終わっちゃったし。今回は私が色々やりたいじゃないですか」

「なんの話よ」

 

具体的には『今回の報酬はこれでいいやー。』の回のことである。

だって、私が全然活躍出来てなかったではないか。仮にも語りべがそれでいいわけない(これは別に主人公だから、なんて自意識過剰ではなく、単に私が見ないと描写出来ないからである)。

 

「というわけで、仲間になってよお姉ちゃん」

「だれがあんたのお姉ちゃんよ。ふんっ、なんでこの私があんた達をお手伝いしなきゃいけないわけ?」

「お手伝いじゃありません、仲間になって下さいと言ってるんです。明確に、明らかに、我らがμ´sに入って下さいと、私は真剣に言ってるんです」

「……言った筈よ、嫌だって、拒否だって」

 

…にこ先輩ならそう言うだろうとは、薄々どころか濃々気がついていた。

けれども。

だけれど。

私だって半端な気持ちでこの場に臨んでいないのだ。本気で、臨んでいる。

……それに、なにも知らないわけではない。にこ先輩のことはある程度調べた。その過程というか寄り道で、にこ先輩の過去はある程度知っているのだ、私は。

先輩がアイドルグループを組んでいたことも。

メンバーがやめていったことも。

今だアイドルを目指していることも。

あくまである程度、だが。

 

「矢澤…にこ、部長」

「……あんた部員じゃないでしょ」

「…もう、頼むのはやめます」

「……やっと諦めたわけ?」

「いえ…押してダメなら別方向から押せ。スカウトが駄目なら、私が入るまでです」

「…はぁ?」

 

鞄から取りだし、机を叩きつけたそれは、一枚の紙。端から見てもわかるこれは、入部届である。

勿論、アイドル研究部の、入部届だ。

 

「……なに、これ」

「この部に入部します。印鑑も押してますし担任からの許可も降りてます。私だけじゃないです、全員、入部希望です」

 

スカウトは駄目。彼女のプライドが許してくれない。だから、押してダメなら別方向から押せ。逆に入ってしまえということだ。

押して駄目というより、推して駄目なら、だ。

 

「どうぞ、ご教鞭お願いします、部長」

 

にこ部長の表情は見えない。下を向いていてよく見えない。

けれど、私の予感さえ当たっていれば。当たってくれているのなら━━━

 

「…この部は厳しいわよ?」

「臨むところです」

「ダメならダメでちゃんと言うわよ?」

「望むところです」

「さっきと字変わってない?」

「すでろことむぞの」

「誰が逆さまにしろと言った」

 

ふぅ。とにこ部長の一息。

これは呆れられてる奴だ。

 

「…いいわよ、あんた達の入部を認めてあげる。だけど、勘違いしないでよね、あんたの為じゃないんだから」

「テンプレのようなツンデレまで使いこなすとは…」

 

流石はにこ部長だ。

恐れ入る。

流石は私の惚れた人だ。

 

 

047

 

 

 

後日談というか、今回のオチ。

後日、私達は正式にアイドル研究部の部員となったのだった。

ちなみに、にこ部長の新部員の私達へ向けた最初の一言は。

 

「キャラを作りなさい。あんた達はキャラが弱い」

 

だった。

キャラとはなんだとか、え?これでダメなの?とか色々ツッコミ所はあったのかもしれないのだろうが。まぁ、微々たるものである。

流石は私に真似出来ないことを平然とやってのけるにこ部長であった。

 

「ちなみに私は、歴代ボスなら大統領が好きよ。あの一直線なところに共感が持てるわ。やってることはアレだけど」

 

とは、私の同じくジャンプ派のにこ部長のお言葉であった。

ではでは、部長も(正式に)加わって七人(私を入れて八人)となったμ´s。

部員も、部活も、部室も、部長も手に入れた私達は本格的にスクールアイドルを始めれよう。

よって、今日もにこ部長による、あついご指導(ちなみに、熱いと厚いを掛けたネタだ)を受けてアイ活を頑張るのだ。

 

「ほら!声が小さい!こうよ!にっこにっこにー」

「に、にっこにっこ…」

「ほら!そこのつり目!ちゃんと真剣に!」

「真姫よ!」

「にっこにっこにー…」

「ロングスカート!表情が固いわ!」

「名前で呼んでくれよ…私の名前は千里川夢だ」

「ちょっと寒くないかにゃー?」

「なるほど…!」

 

等々と、それなりに楽しいの部活動だった。 

……そういえば、顧問っていないのだろうか。

………。

触れてはいけないのだろう。

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