投稿予定の話を見直し、せめてネガティブのぐだぐだを止めようと思います。魅力を出す場面もちゃんとありますので、また何かありましたら遠慮なく言って下さい
015
会議が終わった次の日の出来事である。
今回は朗報だ、なんと、名前が決まった。
実は、名前を他の生徒に丸投げにするという、高坂の行動には少々なりとも呆れは抱いたが、高坂にしては頑張ったのではないだろうかと思った。音ノ木坂学院のスクールアイドルの名前を音ノ木坂学生が決めるというのも面白いと思うし。
そして、誰がいれたか、はたまた悪戯か。今日、その箱に一枚入っていた、紙。
その中に書かれてあった名は…『μ´s』読みはミューズ、決して石鹸のことではなく。園田曰く、女神のことらしい。大それた名前だと思うが、小さくては駄目なのだから、名前だけでも大きくあればいいんじゃないかな、と。全員一致で賛成の名前だった。
入れてくれた人に賞状でも送ろうか。勿論、全員分のサインと一緒に。
「私、この名前がいい!」
高坂にも好評のようだ。まぁ、これがいいではなく、これしかない、が正しいのだが、微々たる差である。ありがとう、名も知らぬ人よ
016
三人は交渉と練習へ行った。その間、私はが何をしているかといえば、まぁ、最悪の自体を回避するための布石とでも言っておこう。
あいつらが失敗するとは思えないが、念には念を入れてさらに保険をかけろ。精々、出来ることをするのが吉というものなのだ。私の自論だが。
「そういう訳なんです、協力してくれませんか、矢澤にこ先輩」
「嫌よ」
一蹴されてしまった、難儀なものである。
アイドルと言えばこの人だと思って協力を仰いだのだが…そんなにも嫌なのだろうか、西木野真姫一年生といい、高坂達…もとい、μ´sに協力することはそんなにも反感を買ってしまうのか。
瞬きを三度。
「お願いします。私が気軽にアイドルのこと相談出来るのは矢澤にこ先輩だけなんです」
「いやいや、私とあんたってそこまで面識ないでしょ!?商店街で一度会ったっきりじゃない!?しかも一昨日よ!?」
「それでも貴方のアイドルへの熱意はわかりましたので、その時からアイドルのこと相談するならこの人だなって確信しましたので。繋がりも作っておきましたし」
「うっ…!確かにガラガラの景品貰ったことには感謝してるけども…」
「ならば…」
「でも嫌よ!」
つい一昨日にことである。
何時も通り買い物するため商店街に来た私は、買い物ついでに貰った券で一回だけ、ガラガラを回してみたのだ(正式名称は新井式回転抽選器と言うらしいが)。
そして当たったのが、何処かで見たことあるようなスクールアイドルのグッズ。正直、使い道がないものを当ててしまったと思いながら振り向くと、凄い表情(をしてるであろう)ツインテールの不審者がいたのだった。言わずもがな、この不審者が誰を隠そう矢澤にこ先輩である。
そうして、私は使い道のないグッズを差し上げ、感謝され、今に至るということである。
思えば、当たったのは作戦外のことであったが、何にせよアイドルが好きで同じ学校の先輩と知り合えたのはラッキーだった。
と、そういう訳で今交渉してるのだが、どうも向こうも頑固である
「何故そこまで拒否するのです?」
「ふん、なんで私が出来たばっかの素人スクールアイドルの手伝いしなきゃいけないわけ?」
成る程、と思った。確かに、アイドルへ並々ならぬ熱意がある彼女にとって、高坂達は手を掛けるほどもない素人グループということか。
…いや、寧ろ…推測の域をでない憶測だが、もしかして先輩は…
「嫉妬してます?いや、これは嫉妬と言うより…」
「だぁー!!もう口開くな!」
「むぐぐ…」
「私はあんなどうせ遊びで始めたんだろう適当な素人が嫌いなだけ!それ以上でも!それ以下でもない!いい!?」
口塞がれてて返事出来ません先輩。
しかしまぁ、ここまで露骨に口を塞がれると私の勘も鈍っていないということか。先輩の過去や先輩の心情なんか私にはわからないが、これだけは言っておきたい
「(口!口!)」
「あ、ごめん」
…危うく口呼吸が出来なくなるところであった。強く押さえすぎである。あ、これが言いたいわけではない
「今度のライブ、見に来てください。それで彼女達を見てください。結論付けるのは、それからでも遅くはないでしょう」
「…ふん、誰が見に行くもんですか」
口ではこう言っているが、多分だけどこの人は来ると思う。この人ほどアイドルに一直線で向かいあえる音ノ木坂学生を私はまだこの人しか知らない。
「あと、別に私はアイドル好きなら誰でもいいってわけではないですよ。矢澤にこ先輩だから声を掛けたんです。貴方なら、彼女達に声をぶつけることが出来そうでしたから」
「あ、そ」
そう言って、先輩はそっぽを向いてしまった。やれやれ、である。私も大人しくこの部屋から出るか。礼をして、扉を開けて、部屋を出る。
次こそは、スカウトを成功させたいものだ。
017
「ガンバレーガンバレー」
「夢ちゃんっ、応援が!棒読みだよぉ…」
そのまた次の日の早朝訓練。
高坂が寝坊せずに来ただけでも驚いてたが、あの園田が出したメニューも全部こなすということにも驚いた。驚いてばかりで何もしてないので、精々とばかりに応援の言葉を投げかけている。私だ
「ふぇぇ…夢ちゃんからやる気を感じないよぉー」
失敬な、頑張って応援してるぞ。誠意を感じないのは気のせいだ、そうに決まっている。
ところで、私達が今ここで練習しているこの場所は神田神社というのだが、その前にある石段の階段。紛れもなくそこで登り降りの往復練習をしているのだが、この階段の名前、『男坂』という。なんとも青春を謳歌する少女が登る名前ではないと思う。
私はまず登れないから、神社へ行くなら遠回りをするのだが。それも面倒なので上から降りてくる二人に下から声援を送っているのである。というわけで
「ガンバレ、ガンバレ」
「せめてっ、何か音を!」
「ファイトだよ!」
「音ついてる筈なのにファイトしてないぃぃ…!」
ほれほれー、さっさと登れー、これも青春のためだー。あ、ラストって言い忘れてた。…まぁ、いいか。どうせ園田が言うだろ。
じゃあ、もうそろそろ登るか、遠回りで…
「キャアー!!!」
…何だ、今の声は。随分聞き覚えあるけど何だ。喧しいぞ、朝だぞ。近所迷惑だよ。
出来る限り批判してみたので、正体を確かめにいくとする。どうせ行き道だしな
「……やない?」
「……」
そこにいたのは、西木野真姫一年生と何故か巫女服着た副会長であった。
一体なんの話をしていたのか、副会長が去ってしまったので真意はわからない。西木野真姫一年生も行ってしまって、事実真実がわからなくなってしまった。もっと言うなら、副会長の人柄がわからない以上、どんな会話をしていたのか予測するのも不可能に近い。
自分達に利益のある話をしてくれてたらいいな、とか思っちゃたりしながら。そんな訳ないよなー、と内心否定しながら、私は笑って高坂達のところへ向かったのだが。
次の日のことであった。
018
「夢ちゃん!曲だよ!曲が出来てるよ!」
そう、僅か次の日のことであった。
今朝高坂の家にあった音楽プレイヤー、μ´s様へと書かれたその音楽プレイヤーには、確かに曲があった。園田が頭を捻って考えた歌詞に、曲がついていた。それを作って、歌ったであろう人物は間違いなく彼女であろう。
その綺麗な歌声と美しいピアノ伴奏で出来たその曲は、紛れもなく私達…μ´sの曲だった。その事実に、もう、色々頭の中にあった疑問は綺麗さっぱり消えたのだった。
「……これでライブが出来るぞ…!」
「やっ…たぁ!!」
「うん!」
「はい!」
ライブが出来る、ということへの希望のほうが、どんな感情よりも勝っていたからだ。