あと今回捏造自己解釈設定のオンパレードですので、全ては捏造設定独自設定でございます。目次ページの作品説明には注意書きしてるけど、作品タグにも追加した方がいいのかな??
何も信じないでください。全ては捏造です。
あ、エクシリアリマスター決定おめでとうございます!!
リヒターによる精霊学講座は、基本的な内容の確認から始まった。
「まず、この世のすべてはマナによって成り立っている」
マナはすべての命の源だ。ヒトも、魔物も、動植物も、無生物に見える大地さえ。この世界のすべてのものはマナを内包している。量の多寡こそあれど、それがこの世界の法則だ。
「一部の物質にはマナがないとされているが、それは存在しないのではなくマナが外部に放出された結果であると推測されている」
「なるほど、マナを持っていないのではなく、マナを失ったと考えるんだね」
「そうだ。もしくは我々が感知できないほど微量のマナである可能性もある。以前アステルが観測装置を改良したとき、その検知精度の向上で学会の常識が覆ったからな」
マナを持っていない物質だと長年思われていたモノから、極微量のマナが検出されたのだそうだ。一つの常識が覆された結果、『マナを持たない物質は存在しない』というのは悪魔の証明になった。
「マナを内包する物質と、意図的にマナを外部に吸い取った物質では、もともと同じ物質であったとしてもその強度や性能には差が見られた。また、マナが多い環境と、マナを少なく保った環境では動植物の生育にも差があった。……これはシルヴァラントを知っている者のほうが実感できるだろう」
「……そうね、だからこそ、シルヴァラントは滅びの危機に瀕し、再生の神子コレットに希望を託していたのだから」
作物の実りもマナが少なければ期待できない。野生生物もマナの減少は食物連鎖の激化をもたらし、狂暴化に繋がる。魔物が弱いのは逆にマナが少ないために自己強化ができず、進化できないためだと考えられていた。
「そしてマナには属性があり、世界には各属性のマナを司る存在がいる。それを、俺たちは精霊と呼んでいる」
水の精霊ウンディーネ。火の精霊イフリート。風の精霊シルフ。光の精霊ルナとアスカ。雷の精霊ヴォルト、地の精霊ノーム。氷の精霊セルシウス。闇の精霊シャドウ。
「これまでテセアラでは地、雷、氷、闇の四属性しか発見されていなかったが、それがアステルがシルヴァラントの存在を確信する切っ掛けになったと言っていた。マナの属性に対の関係があることは分かっていたからな」
「一般人にとっちゃ、シルヴァラントなんかただの伝説の存在だ。実在すると考える連中はほとんどいないし、レネゲードがテセアラ上層部に接触するまでは学者の間でも眉唾だったんだぜ」
「シルヴァラントとテセアラが古代大戦で争ったというならば、長大な寿命を誇るエルフたちの間では何らかの形で伝承が残っている可能性が高いだろう。……エルフたちは秘密の里から出てくることはほとんど無く、逆に人が彼らの里に立ち入るには王家の許可が必要だと聞く。現状、我々に確かめる術はないな」
ゼロスの言葉で若干顔を険しくさせたリフィルは、続いたリーガルの言葉に頷いた。
リヒターは話を続ける。
「テセアラに確認されていない精霊が、存在していると仮定した場合、その顕現には条件があるのではないか、という仮説が立てられたこともある。マナの量や、その濃度、あるいは属性のバランス等。その仮説のもとに実験が行われ、誕生したのが―――」
「人工精霊コリン、ってわけだ」
名を呼ばれ、コリンがしいなの傍らに出現した。
「コリンはコリンだよ。他のことなんか知らない!」
それだけ言って、コリンはまた姿を消してしまう。
「……悪いね、リヒター。アンタやアステルのことを嫌ってるわけじゃないんだけど」
「いや、コリンを実験で弄り回した連中と俺たちは結局同じだ。いまさら好かれようとも思わない」
コリンは精霊の研究には反対だと前に言っていた。よほどの何かがあったらしい。
「結局コリン以外の精霊が発生することはなかった。実験は凍結され、既存の精霊を対象とする研究が今は主流だ。精霊がいない属性は、ほとんどが思考実験か、ハーフエルフを用いたマナでの実験で研究が行われている」
「テセアラでのハーフエルフは、モノ扱いなんだね」
ジーニアスは眠るミトスをなでながらぽつりと零した。
「ミトスは……つらい思いをしたんだろうな」
「……研究機関ではそういう扱いだが、ハーフエルフのなかには、ハーフエルフであることを隠して人に紛れ僻地で暮らすものもいると聞いた。あるいは盗賊なんかに身をやつしたりな」
「うん。シルヴァラントでもそうだった。……ごめん、話を遮っちゃって」
リヒターの言葉は分かりにくいが、ジーニアスを気遣ってのものだった。これだけ長く一緒にいればそれくらいのことは分かる。
同時に優秀なジーニアスはその陰にも気づいた。テセアラにはハーフエルフであることを検出する機械がある。偽って暮らしたとしても、きっと何かの拍子に気づかれれば重罪が課されるのだ。シルヴァラントと違って、隠しきるのは不可能に近い。
救いがあるとしたら、オゼットはテセアラでもかなりの田舎であるというところだ。そう頻繁に検査の手が入ったとは思えない。
笑顔を浮かべ場の空気と話を戻そうとすると、ロイドとコレットが迷いなく断言する。
「ジーニアス。お前は俺の友達だ。ハーフエルフとか関係ないからな」
「そだよ、だいじなお友達だもん」
この二人は。昔からそうだった。そしてハーフエルフだと知っても本当に変わらずに接してくれる。それがどんなに有難いか。
「ありがとう、二人とも……」
どうかミトスも、この二人のように気を許せる人がいてほしい。いやきっと自分がそうなるのだ。
「……アステルもそうだった。俺を実験に使う部品ではなく、対等な存在として扱った。俺の意見や仮説も、真剣に検討していた。……ある日、討論の中でアステルは俺にこんな仮説を話してきた。『この世のすべてにマナが宿り、マナは精霊によって司られているというならば、マナを有するすべての存在に、精霊が宿っているとは考えられないか』、とな」
「?!」
リフィルたちのみならず、リーガルやゼロスも驚愕する。
それは逆転の発想だった。
「……精霊との契約を研究する中で、召喚術を使うしいなと俺が使う魔術を見て思いついたらしい。俺たちは大気のマナを用いて魔術を使う。しいなの召喚術は精霊を使役して呼び出し、術を行使する。だから、」
「つまり私たちが使う魔術も、精霊の力を借りている、と? でも私たちは精霊と契約などしていないわよ?」
「精霊との契約は、恐らく精霊側の意思も重要だとアステルは推測した。ヴォルトとの契約失敗は、しいなの側じゃなく、ヴォルトのほうに問題があるとな。その推測は、証明されたと言っていいだろう」
たしかにウンディーネとの契約も、精霊に誓いを立て、精霊が契約者を試すことで成立した。精霊に契約の意思がなければ成り立たないのは、ヴォルトとの契約の時をみれば明らかだ。
「精霊が顕現するには何らかの条件がある。コリンが顕現し他の精霊は現れなかったからだ。そしてコリンとは意思疎通が可能な状態になって契約が成立したが、契約前からしいなに対しては反応を示したと聞いている」
「たしかに、コリンとは契約する前から何かの意思みたいなものは感じたけど……?」
「そうだな。そしてコリンがしいなと契約してから、しいなの召喚術や符術の威力が向上した。そうだろう?」
「そうだけど、それがどうかしたのかい?」
話の繋がりがよくわからない。だがなにか分かりそうで分からない、妙な感覚がある。
リフィルが顔を上げる。
「つまり、私たちが相手にしているのは、意思を持たない下位精霊だと言いたいの?」
それだ。
つまり、術を使うとき、大気のマナではなく、大気にいる微小な精霊と繋がり術を使うという発想だ。
「いや待て。待ってくれ。精霊とは、属性を司るものだけではないのか?」
「ええ、でもコリンという例外がいる。一つの仮説とするなら、一応筋は通っているわ。仮説に仮説を重ねた、まだまだ根拠もない仮説だけれど」
「俺も根拠のない暴論だと思っている。俺自身、術を使うときにそんな意識はしていないしな。……だが、セイジ姉弟に術を教えた時に、多少気になったことはある。お前たちはテセアラのマナを扱いにくいと言ったな?」
確かにジーニアスたちは、ミズホで術のコツをリヒターに教わった。その時リヒターは、たしか大気のマナを直接取り込むのではなく、自分のマナを大気のマナに反応させるのだと説明していた。ジーニアスの感覚としては、大気のマナを燃料にするのではなく、一度自分という変換装置を通して術に紡ぐ、と理解したが。
「一般的に、精霊はマナが多いと活動が活発になる傾向がある。シルヴァラントではマナが少なすぎて微小な精霊たちは存在しないか、反応を示さなかった、と、見ることもできる。……アステルの仮説で説明するなら、だが」
アステルの仮説は新しすぎて、理論もほとんどが推論でしかなく。この仮説が仮に正しいとした場合、これらの現象にはこうこうこういう理屈で説明ができる、というものだ。そもそも存在が確認できない概念を説明の前提にしているものだから、受け入れるにはかなりの柔軟性が必要だろう。ジーニアスもリフィルも、理論は一応理解できたものの、受け入れるのは難しい。
とそのあたりでロイドとマルタがギブアップした。
「悪い、つまり、ええと、……どういうことだ?」
「アステルさんの目的は大樹の精霊? を探すこと、なんだよね? 今の説明がどういう……」
「すまん、俺が話を脱線させた。―――要するにだな、精霊は、八属性八体四対以外にも、人間たちが観測できていないだけで、世界にはもっと存在しているのではないか、ということだ」
「それは、マクスウェルやオリジンのことを言ってるのかい?」
「マクスウェル? オリジン??」
聞いたことのない名前が出てきた。
「分子を司る精霊と、精霊たちの王と言われる精霊よ。古い文献に名だけが残っているわ。でも、どこにいるのか、どんな精霊なのかは詳しくわからないの。テセアラには記録があるの?」
「いや、こっちも伝説だけサ。他の精霊たちよりも上位の存在らしいってことは分かってるんだが」
そもそも世界の記録は古代大戦時にほとんどが失われて、マーテル教会と王家がわずかに記録を残すのみなのだ。
「マクスウェルとオリジンは確かに実在している精霊だな。……誰も会ったことは無いが。だが、アステルが言ってるのはそういうことじゃない。オリジンやマクスウェルのように属性を司るわけでもない精霊が存在し、かつ歴史に登場しないために忘れられているのなら、他の、伝承にも残っていない、未知の精霊が存在するのではないか、ということだ」
属性を司る精霊は、テセアラでは半数しか確認できていないが存在するはずだとアステルは考え、そしてシルヴァラントの情報がもたらされたことで証明された。
マナの属性法則に縛られないマクスウェル、オリジンの存在は、同じようにマナの属性に精霊の数が縛られないことの証。
そして人工とはいえ、完全に伝承には登場しない未知の精霊が実在している。
ならば、他にも何かしらを司る精霊が実在すると考えることに、なんの矛盾があろうか?
「世界のすべてはマナによって成り立っている。ならばマナを有するすべてのものに、何かしらを司る精霊が存在してもおかしくはない。……そしてかつて枯れた大樹カーラーンは、マナを生み出す大樹だ。なら大樹の精霊が存在していた可能性は、微小な精霊が無数に存在すると考えるよりも十分に納得できる推論だと言える」
今度の説明はロイドもなるほど、と理解を示した。……本当に理解しているかは別問題だが。
「とはいえ、古代大戦で大樹は滅びたと言われている。今の世界に大樹はどこにもない。だからもし大樹の精霊がかつて存在していたとしても、今現在それが存在しているとは限らないのではないか?」
リーガルの言葉に、リヒターがため息を吐き頭を押さえる。
「……そうだ。そもそもが仮説を重ねたうえで成り立っている推論だ。証明するのは、俺は不可能だと思っていた。だがアステルは……」
『でも、ないことの証明は出来ないよ。それに、精霊の神殿にはかつての遺構が残ってる。どこかに、未発見の伝承が眠ってるかもしれないでしょ?』
「そして研究過程で得られるデータは、絶対に今後他の分野での研究にも役立つから無駄にはならない、と……」
「あいつが言いそうなことだな」
アステルが複数分野で結果を出しているだけに、そこを持ち出されると否定できない。
精霊研究はマナの研究に通じ、そしてエクスフィアを用いた機械や便利な道具としてテセアラの暮らしに貢献される。テセアラ上層部はそう判断したからこそ、アステルを特別扱いするのだ。
「アステルさんって、……すごい人なんだね」
「自由なのに、ちゃんとみんなの役に立ってる。すごい、こんなやり方もあるんだ……」
コレットやマルタはなにか感銘を受けたようだ。
一方で難しい顔をしているのがゼロスやリーガル。
「あまりにも壮大すぎる話だ。にわかには信じられぬ。だが確かに人々のためになる研究だ」
「革新的過ぎて、保守的な奴らには受け入れられないけどな。アステルの論文が、何回マーテル教に差し止め処分を食らったか……」
ゼロスは王家ともかかわりがあり、マーテル教の最高位に近い神子だ。きっと何度もそういうことも見てきたのだろう。アステルに対する心配と信頼がやっと理解できた。
「あいつは自分たちだけの力で成し遂げられるとも考えていない。それでも、挑むことをやめないんだ。『勇気は夢を叶える魔法』―――まずは踏み出してみなければ、何も変わらない、とな」
えー、皆様、評価や感想、コメント等反応本当にありがとうございます。しかもなにやらランキングに入ったそうで。作者はあまりの嬉しさに昨晩泣きました。
そしてあまりの嬉しさに、前回投稿してから爆速でこの話が書き上がりました。
反応が力になるという言葉を心底噛み締めております。いや本当にありがとうございます。
最近お気に入り登録とか数字がいっぱい増えてるの、嬉しいんだけどガクブルしてる小心者の作者です。アクセス数が過去最多記録を更新してるぅ……でもうれしいから数字伸びたの見てにまにまするし、嬉しすぎて窓突き破って外を駆け回りそうな勢いで心がうきうきしてます。
本当に、本当に、ありがとうございます!!