それは突然のことだった。
その男は高校での部活帰りに友達とアイスを食べながら下校していたのだ。
いつも通りの日常をいつも通りに送っていたはずだった。
そのはずだったのに……………
そいつは突然やってきた。
「翼!危ねぇぞぉ!!!!」
翼と呼ばれた少年は、歩道の外側を歩いていたが、そこに猛スピードで突進してくる大型トラックの姿が重なった。
少年は叫び声に反応し、思わず上を見ると猛スピードで自分に向かって突っ込んでくる黒一色の大型トラックが刹那見えた。そしてその運転席に運転手の姿がないことも………
「うわっ…わっ!!」
少年は無意識に歩道の内側へ横っ飛びをし、トラックから逃げようとしたが、その大型トラックはありえない曲がり方で少年を追尾してきた。
「はぁ!??
なんなんだよこれ!!」
頭の理解が間に合わぬまま、大型トラックは少年の元へ到達し、
ドッッガシャーーーーン!!!!!
周りの景色が高速で回転し、ところどころ赤い血しぶきが飛び散るのを見ながら少年の意識は途絶えた………。
真っ白…………。
「ん……?」
寝覚めの悪い夢をみた後のような、気だるい感じで少年は身を起こした。
目の前に広がるのは、何もない空間。
文字通り、何も見えない、真っ白の空間。
全てが白いため、遠近感もよくわからず平衡感覚が侵されるほどであった。
「気がついたか…バスターよ。」
後ろから唐突に声を感じ、振り返るとそこには二十代後半ほどの黒髪の男性が立っていた。
背丈は180センチくらいであろうか、肌色は黒く、茶色い短髪で着ている白装束がよく似合っていた。
「え…あの…?」
状況がつかめず、少年が言葉につまっていると、目の前の男が口を開いた。
「突然のことで、頭がついてこないだろう。
まずは非礼をわびよう、すまなかった。
私の独断で君を死亡させてしまった。」
「え…俺は死んだんですか?
やっぱり…あれは夢じゃなかったのか…。
あなたは…いったい誰ですか?天使ですか?」
「いや、私はそのような高尚な者ではない。
そうだな、はじめに自己紹介をしよう。私はクラインと言う、この代のバスターしていた者だ。バスターの説明から入ろうか、すまないが、まず私に一通りの経緯を話させてくれないか。
はじめに、君たちの世界でいう神のような役割を果たしているホメロスという者が存在する。私の上司に当たるのだが、このホメロスが飽きっぽい性格で常に面白いことを求めているのだよ。それで、言いにくいのだが、たまに人間界の人間をランダムに別次元の世界へ飛ばして反応をみるという遊びをホメロスは最近はまっているのだ。
簡単にいうと、君はその犠牲になってしまった。バスターと言うのは本来ホメロスに仇なす者を討伐することが使命だったのだが、今ではホメロスの遊びの相手のようなものになってしまっている。よってランダムに選ばれ、別次元へ行っている人間もバスターと呼ばれるようになってしまったのだ。」
「てことは、あんたも元は人間なのか?」
「いや、私は1200年ほど前に生まれた生粋のバスターだ。人間ではない。
ここからが交渉なのだが、君はホメロスが完全に次元をいじる前に私が救出できた、数少ない例だ。元の世界へは戻れないが、新しい世界で生きる気はあるかい?」
「え?それは断ったらどうなるんだ?」
「残念だが、魂を昇天させて生まれ変わってもらうことになるだろうな」
「まあ断る理由はないな。頼むバスター!!
俺を新しい世界に送ってくれ!!
ちょうど今の生活に飽きてたとこだったんだ!!」
「そう言ってくれると助かる。ホメロスの気まぐれでたかさんの人間が不幸になっていったからね。君だけはどうか新しい世界で幸せになってくれ。」
「おう、サンキュー。それ…」
「すまないが、少し時間がない。後のことは転生させた後に置き手紙にでも書いて知らせるから今は黙って従っててくれ!!」
そう言うと目の前が真っ暗になり、意識が途絶えた。