だいたい修行五日目くらいの話です。
少し時は遡る。
これは俺がレーティングゲームへ向けて修行していた途中の話。
レーティングゲームで使うための切り札を用意していた際に、ギルドハウスから連絡が入った。
この十日間ほどは修行に徹するともマスターに連絡を入れていたため、連絡を受けたことに驚いた。
詳細をマスターに電話で尋ねると、どうも様子がおかしい。
なにかそわそわしてる。
「マスター、何今更隠してんだよ?
そんなに言いづらい依頼なのか?
依頼主に問題あるのか?」
するとマスターはしどももどろに答えた。
「シルバーに対して依頼が来てるんだが……
依頼主が……四大魔王の一人、サーゼクス・ルシファーなんだ………
確認もとれてるから間違いない。」
吹き出した。
この期に及んでまたサーゼクスとあう機会があるのか!?
てか、リアスは俺がシルバーだということをバラしてはいないのか?
それとも知ってる上で俺に依頼をしているのか?
「マスター、それは確かなんだよな?
シルバーに向けてなのか?」
「ああ間違いない。
それと、依頼内容の説明を直接会って行いたいらしい。
場所はうちのギルドハウスで時間は特に指定なし。
準備ができたら送られてきた魔法陣が書かれている紙を燃やすだけで位置がわかり、ワープしてくるんだとよ……」
「そっか……」
魔王からの依頼か……
向こうの意図が読めないが、とりあえずいくしかないな。
シルバーの格好をしていくか……
厄介事にならなきゃいいなぁ。
俺はすぐにシルバーの服に身を包み、ギルドハウスへ向かった。
「遅かったな!零……じゃなくてシルバー!!
奥のVIPルームを使えるようにしたから、どうか穏便に頼むぞ。」
「助かるよマスター。
穏便に済むかどうかは向こう次第だな。
まああんま心配してくれるなよ。」
軽くマスターと挨拶した後、奥にあるVIPルームへ向かった。
この部屋は防音性に優れ、盗聴やらなんやらの対策が万全な特別な部屋だ。
豪華な部屋の真ん中に置かれているテーブル、その中心に小さな魔法陣の書かれた紙が置いてあった。
はぁ……これか……
確かに以前サーゼクスさんが来たときと同じ模様だわ……
俺は腹を決めて紙を燃やした。
数秒後、目の前に紅く光る魔法陣が出現し、紅髪の男性が現れた。
はぁ……
「お初にお目にかかります、はぐれ狩りのシルバー殿。
私、四大魔王の一人、サーゼクス・ルシファーと申します。
この度はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。」
本当にこの人は低姿勢だなぁ。
仮にもシルバーは正体不明のはぐれ狩りなんだからもっと用心してもいいんじゃないか?
まあ、対抗できる実力があるからなんだろうが……
「丁寧な挨拶ありがとうございます。
私、フリーのはぐれ狩りを生業にしています、シルバーと申します。
この度は私への指定依頼、誠に感謝いたします。
しかし、お言葉ですが、魔王様が私のような下賤なハンターに何をご依頼でしょうか?
そして、直々に依頼内容のご相談にいらっしゃることなど、恐れ多いことこの上ないです。
御拝謁に預かることは光栄なのですが、何卒理由を教えていただけませんか?」
「いえいえ、そんな謙遜なさらないでください。
敬語も使わなくて結構ですよ。
私も機密依頼の内容の相談くらいは自ら動きますよ。」
俺は顔をしかめた。まあ、相手に見えないほどわずかだが…
機密だと……?
「ということは、公にはできない任務ですか?
………暗殺……とか?」
「いやいや、そんなことを頼むつもりはありません。
機密というのも少し言い過ぎました。
実はあなたにどうしても依頼を受けて欲しくて、私が直にお願いしたいと家臣に言ったところ、許してくれなくてね。
それで仕方なく、機密ということで私が 来れる理由を作ったわけです。」
「なるほどそうでしたか。
柄にもなく、変な想像を働かせてしまいました、申し訳ございません。」
「いえ、謝ることはありません。
元はといえば、非は私の方にありますから。
さて、本題に入らせて頂きますが、あなたはレーティングゲームというものをご存知ですか?」
「悪魔の間で行われている、ある種のゲーム、社会的にも大きな意味を持つ……ですか?」
「その通りです。今やレーティングゲームは悪魔社会において大きな意味を持つ戦争ゲームとなっております。
実は実妹のリアスが今回初めてレーティングゲームに参加することになったのですが、相手が悪くて正直勝てる見込みがありません。
そして、助っ人をと思ったのですが、一人既に絶大な力を持つ人間を見つけましてね。
その人間もやる気のようなので、おおよそ心配はないのですが、あくまでも彼は人間なので万が一の事態に備えてあなたをもう一人の助っ人ととして雇いたいのです。
失礼ですが、あなたからは悪魔の力は感じないので、助っ人として参加する資格はあるのです。
どうか、勝手な願いとはわかっていますが、実妹リアスの手助けとなってはくれませんか?
このゲームには妹の結婚がかかっているのですが、兄として対戦相手でもあるあの男に妹を渡すのはしのびないのです。
しかし、私も魔王という立場上、純血悪魔を途絶えさせることに表立った協力はできない。
ということで、あなたにぜひレーティングゲームで対戦相手のライザー・フェニックスを倒して頂きたいのです」
俺は正直返答に困っている。
俺は出ることが確定しているため、シルバーとしては参加することはできない。
しかし八神零として参加しなかったら、結局あの焼き鳥から逃げ出したことと同じになってしまう。
それだけは嫌だ。
しかし、魔王の依頼を断るというのも、シルバーとしての今後の活動に大きな支障をきたすだろう。
仕方ない、バラすか。
「魔王様、私シルバーとしてはその依頼ある理由からお受けすることができませんが………」
俺は変装を取り始めた。
魔王サーゼクスはいきなりの行動に驚き半分警戒半分で見ていたが、髪をオールバックから下ろした時に、何か気づいたようだ。
「八神零としてはお受けしたいと思います。」
「まさか……君は………
八神くん……?」
「ええ、そうです。
シルバーというのは俺の仕事上の変装です。
騙しててすみません、魔王様。
しかし、妹のリアス様はこの事を知っているので、既に魔王様にも知れ渡っていると思っていました。
リアス様は意外と口が堅いんですね。
改めて自己紹介をさせてください。
私、八神零と申します。
この身に神器を宿した、人間です。」
「驚いたよ八神君。
声も違うし、にじみ出ている魔力の質も違うから別人だと思いこんでいた。
すっかり騙されてしまったよ。
ということは、レーティングゲームには参加してくれるのだね?」
「ええ。
あの悪魔は俺がどうしてもこの手で倒したいので。
ぜひ参加させていただきたい。」
「助かるよ、本当にありがとう、八神君。
君の実力なんだけど……」
「ご心配なさらないでください。
あの悪魔よりははるか格上だと自負しています。
それにいざとなったら私には2つの切り札がありますから……」
「そうか、実に頼もしいよシルバー。
それでは依頼の報酬はなにが良い?
見事ゲームに勝つことができたら、君の望む物をできるだけ叶えよう。」
「いえ、報酬なんて頂けませんよ。
俺が好きであいつとやりたいんですから。」
「まあそう言わずに、私の顔を立たせてくれよ。
そうだな…こんなのはどうかな………。」
サーゼクスの提案した内容に俺は………
「魔王、サーゼクス様!
このご恩は一生忘れません!!!」
「いやぁ、まだなにもしてないけどね笑
とにかく、レーティングゲームでは頼んだよ。」
「まかせてください!!!
シルバーの名にかけて、その依頼必ず達成致します!!!」
よっしゃー!!
絶対勝つぞ、このゲーム!!
待ってろよー焼き鳥野郎!!