ダンジョンに英霊を求めるのは間違っているだろうか   作:ごんべえ

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酒場

「せい、とりゃ。やーー」

ベルはアーチャーを呼び出してからより一層強くなるためダンジョンに潜ってモンスターと戦っていた。

「おい、前に出過ぎだそのままだと敵に囲まれるぞ、いったん引け」

それにアーチャーも同行していた。

戦闘に参加できないとしてもその豊富な戦闘経験で未熟なベルを指示を出す、

最初はただ見ていただけなのだが戦闘経験の少ないベルはその未熟さゆえに窮地に陥る場面も少なくなかった。

それを見かねてアーチャーが口を出すようになり、ベルはめきめきと腕を伸ばしていた。

(呑み込みが早いとしてもこの成長速度は異常だ、もしかしてもう一つのスキルが…)

その異常な成長にアーチャーは首をかしげつつモンスターの群れを次々と倒していくベルと見守っていた。

辺り一帯のモンスターを倒し切りベルが一息ついた。

「ふー、アーチャーさんの指導のおかげで楽にモンスターが倒せます、ありがとうございます」

そういいながら倒したモンスターのドロップ品を集めていく

「どれ、この程度なら手伝ってやろう」

そう言いアーチャーが実体化した。

(明らかに当初の頃より魔力を感じる、本当に異常だなこれは)

集め終わるとバッグはいっぱいになった。

 

 

 

ベル・クラネル

Lv.1

力H 153

耐久I 55

器用H 172

敏捷G 251

魔力H 189

≪魔法≫

【】

≪スキル≫

英霊召喚(サモン・サーヴァント)

・英霊を召喚できる

 

 

 

 

ダンジョンから戻りヘスティアにベルのステータスを書き写してもらう

それを見てベルは大喜びしていた。

(おい、憧憬一途を伏せたのはわざとだな)

アーチャーがヘスティアにひっそりと問いかけた。

(ああ、効果を見るに知らないままでいたほうがいいと僕は思う)

(確かに同意だな)

でもその数値の上昇にベルが疑問を抱いた。

「でも、神様これ間違いじゃないですかすごく伸び過ぎのような」

そう聞かれたヘスティアはその伸びこそがアイズへの思いの大きさだと嫉妬しそっぽを向いていた。

「知るもんか僕バイト先の集まりがあるから、あとは二人で勝手にするといいよ」

そう言い怒って出て行ってしまった。

「何か神様の怒るようなことしたかな?」

「はは、気にするな、女性とはそういうものだ」

経験深げにつぶやいた。

「そうだせっかくだし、朝出会った少女のお店に行くというのはどうだ?」

 

今日ダンジョンにいく前にたまたま出会った少女、彼女が働く酒場に行くことになった。

そこは辺りの店に比べても一層にぎやかで明るいお店、『豊穣の女主人』であった。

「いらっしゃいませ、あ、朝の冒険者さん、来てくれたんですね。ありがとうございます、そちらはお仲間さんですか?」

出迎えてくれたのは朝出会った少女であった。

「あ、はい、そうです、そういえばまだ名乗っていませんでしたね、僕、ベル・クラネルといいます」

「アーチャーだ」

「シル・フローヴァです、これからもうちをごひいきにお願いします」

自己紹介を終えカウンターに二人を案内する。

メニューを見て愕然とするベル、そこへ獣耳の少女がやってきた。

「君がシルのお客さんかにゃ、ものすごっく食べるって聞いてるにゃ、遠慮せずにバンバン注文するといいにゃ」

「僕そんな大食漢じゃないですよ、普通にパスタでお願いします、アーチャーさんもなにか」

無難に安めの料理を注文する。

「そうだな、私は醸造酒をもらおうか」

注文を終え、すこししたら料理が運ばれてきた。

「では乾杯と行こうか」

そう言いアーチャーがジョッキを取りそれに合わせてベルもグラス(水)をもち乾杯した。

 

ベルの皿が半分ほど減ったところでひときわ騒がしい集団が入ってきた。

明らかにほかの冒険者とは一線を画す雰囲気を持つ彼らの中に彼女はいた、

アイズ・ヴァレンシュタイン

ベルはあの時の礼を言おうか迷っていた。

しかし、同時に醜態を見せたという恥ずかしさも持ち合わせおり、そんなモヤモヤしている姿をアーチャーは楽しそうに眺めていた。

彼らに料理とお酒が運ばれ騒がしかった店内はより一層さわがしくなってくる、そんな中彼らの会話が聞こえてきた。

「そういえばアイズ、ミノタウロスが逃げたとき運悪く五層にいたひょろいガキ、ありゃ~傑作だったなミノタウロスに追い詰められて可哀想なくらい震え上がって」

一段の中一際美形の青年が笑いながら話す、周りはそれを聞き盛り上がっていた

「ほいで、その子はどうなったん?助かったん?」

アイズの目が少し険しくなっていた。

「ああぁん、ほら、そんな怖い目しないの!かわいい顔が台無しだぞー?」

さらにいっそう笑い声が大きくなる、

それとは対照的にベルはどんどん沈み込んでいった。

その様子にシルも心配そうに顔をのぞき込む、

アーチャーもまた先ほどまでの楽しそうな顔は形を潜めただただ静かにお酒を飲んでいた。

「あんな泣きわめくなら最初かあ冒険者に冒険者になるなってんだ、ああいうやつのせいで俺らの品位まで下がっちまうんだよ」

その物言いにアイズはついに耐えきらずに、

「あれは我らの落ち度でもある、それなのに酒の肴にする権利などない」

ベルはその言葉を聞きさらに落ち込んで彼の言葉に言い返すことができない弱い自分、悔しさで押しつぶされそうになっていた。

そして彼は気が付くと迷宮の入り口にいた。

 

ベルが突然アーチャーを置いて店の外にっ駆けて行った。

明らかに目立つ彼の髪を見て彼を笑っていった青年が、

「おいおい、あのガキ、分不相応にこんな店に来やがって、おいなんだ貴様」

さらに続けようとする彼を睨むようにアーチャーが近づいてきた。

「おい、貴様、それ以上マスターをコケにするというのであれば私も黙ってはおれんぞ」

周りはベートの強さがわかっているのでやめるようにヤジを飛ばす、

「てめぇ、見ない顔だな、LV5の冒険者であるこのベート様にケンカを売ろうってのか?表へ出ろ!」

ベートは立ち上がり外へ出る、アーチャーもあとに続き、通りの真ん中で互いににらみ合う

「おい、謝るなら今の内だ、額を地面にこすりつけてごめんなさ~いって言えば許してやるよ」

彼がそういうと店の窓などから見ていた連中がどっと笑う

「どうしてもその態度を改めないというのだな」

アーチャーはコートの中に手を突っ込み静かに投影を行った、コートから出てきた彼の手にはギザギザな黒い刃の短剣が握られていた

「おいおい、そんなんで俺に挑むつもりか」

ベートは相手が刃物を出してきたためこちらもと腰の剣を抜いた。

勝負は一瞬であった、ベートが剣を抜いた瞬間、間合いを詰め彼を短剣で刺し、すぐに後ろに下がった。

短剣をコートにしまい何事もなかったかのように店に戻っていった。

その行動に周りは置いて行かれベートはただ立ち尽くすだけであった。

ただ短刀に軽く刺されただけなのにベートは明らかに今それ以上の痛みを感じていた。

自分の腹部を見ると多少血は出ているものの傷は浅く治癒魔法で瞬時に回復できる位程度であった。

だがしかし、その程度の痛みにまさに初心者の頃のように痛みを感じて今にも膝を屈しそうになっていた。

ファミリアの仲間が異常事態に気付き、ベートに駆け寄る。

そんな姿をしり目にアーチャーは店主に、

「すまない、騒がせた、これは代金と少ないが迷惑料だ、受け取ってくれ」

そう言い、ベルからダンジョンでの分け前としてもらった全額を置いた。

「あの子とまた来な、今度はあんまり騒がないでおくれね」

店主にそう言われ軽く右手を上げ答えた

ベートのファミリア、ロキファミリアで事態が把握できなかった。

仲間の魔導士がすぐに傷を回復させたにもかかわらず、ベートは激しい疲労感と体の重さを感じ、その場にただ茫然としていた。

「おい、あんちゃん、うちの眷属に何してくれたん」

去りゆこうとしていたアーチャーにロキファミリアの主神ロキが問いかける、

「何、ちょっと灸をすえてやっただけだ、運が良ければそのうち戻るだろう」

そう言いマスターが行ったであろう迷宮へ向かった。

ロキはハタと思いベートの服を引っぺがし神聖文字を確認する。

数字はLv.1 ステータスオール魔法スキルなしになっており、ただうっすらと元のステータスが見えないこともない、

「かっかっかか、そりゃこうなればあんでかい口叩けんわな、やりよるわあいつ」

すこし憎しげにけれども面白そうに言う

「どうしたんですか、ロキ様」

状況の読み込めない周りが尋ねる、

「ベート、お前は今日から冒険の仕切り直しや」

そう言い力いっぱいベートの背中をたたいた。

何事かと神聖文字が読めるファミリアの仲間がこっそり見てその内容に驚愕して、そして今の状態をベートに耳打ちした。

ベートは腰を抜かすとともにこれ以上誰かに見られないように素早く上着を羽織った。

事態のわからないロキファミリアのメンバーはただ小さくなっているベートと楽しそうに笑っている主神をみてより一層訳が分からず首をかしげていた。

 

アイズは去って行ったアーチャーを追っかけて行った。

「なんだ、まだ何か私の用があるのか」

後ろからくるアイズにアーチャーが問いかけると同時に止まり振り返った。

「いや、その、あの子に伝えてほしいのごめんなさいって」

恥ずかしげにアイズが言った。

「そんなことは本人に直接言ってやれ、それと、あいつのお灸は時間がたてば戻るとはずだ、その間にせいぜい反省するように言ってやってくれ」

そう言いアーチャーは迷宮へ急いだ。

 

迷宮ではベルが一心腐乱に、いやがむしゃらにモンスターを、

狩って狩って狩って狩って狩って狩って

ただ乱暴に、闇雲に短剣を振り回していた、そして疲れ果てて倒れた。

「おい、そんなざまだとモンスターどもに殺されるぞ、ほら立て」

仰向けのベルを無理や上げき起こし立たせる、

「どうやったら強くなれますか」

ぽつりとベルが呟いた。

「余計な事は考えるな。お前に出来る事は1つ………その『1つ』を極めてみろ。」

いつか誰かに投げかけた言葉を投げかけ、ベルはその言葉に静かにうなずいた。

 




補足(いいわけ)
アーチャーの指示によって原作より多くの戦闘を経験をしているのでステータスがより伸びています
ただ数値によって何か違うかと言われればそこまで変化はないと思います
アーチャーが投影した短剣はルールブレイカーです
マスターの魔力不足もあり大分性能が落ちています
本来(キャスターのやつ)であれば魔法の初期化らしいので経験値全部とび、というかリセット
今回は魔力が弱いので一時的に飛んだだけで数日すれば戻るということになってます


アーチャーのお金がどこから来てるのかという指摘があったので描写を追加しました(ほんのちょっとだけど)
細かいとこは以下に追記
多分飲食代がパスタが300ヴァリスだからお酒は高くても200ヴァリス
この時期ベルが1日稼ぐのが2000~3000ヴァリスぐらいと思う
ダンジョンに一緒に潜ったのも2~3日くらいだろうから
店主には多くて1000ヴァリス程度渡したと考えてもらえれば

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