ダンジョンに英霊を求めるのは間違っているだろうか   作:ごんべえ

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これで一巻分終了~~


ヘスティアナイフ

ヘスティアは一日頭を下げ続けていた。

神の宴で目的の人物、ヘファイストスに会ってからずっとである。

彼女に何を頼んだのか、それは眷属の武器を作ってほしいとのことだった。

彼女のファミリア、ヘファイストス・ファミリアは所属する上級鍛冶師の作品が最高品質であると誉れ高く、

その相場は一流の冒険者やファミリアですら手を出せないほどであった。

それなのにもわかかわらずヘスティアはろくな頭金も用意せずしかもオーダーメイドを頼み込んできた。

ということで突っぱねてから何度も何度もしつこく、追い払おうとも頭を下げている。

ついにヘファイストスが根負けした。

「ヘスティア、理由を教えてちょうだい」

「あの子の力になりたいんだ!」

そう真っ直ぐ見つめられて、

「わかった、これっきりだよ、それからあんたも手伝いなさい」

「ああ、任せてくれよ!」

そう声高らかに答えたヘスティアであったがのちに請求される金額に度肝を抜くことになるはず?

 

 

アーチャーから短剣をもらってからヘスティアは帰ってきていなかった。

その間ベルは一人でダンジョンに潜っていた。

「もう私が特についていく必要はないだろう、それにこっちをどうにかしないといけないしな」

そう言い教会をさした。

その日から教会内には、アーチャー曰くみきさー? とかドリル? などなど見たことも聞いたこともない機械が並んでいた。

そして今日教会の秘密の部屋から起きて聖堂に出るとそこはまるで別世界であった。

ホコリや瓦礫、壊れた椅子が雑然としていた場所が塵ひとつない空間に変わっていた。

ベルが呆気にとられていると、

「おお、起きたかマスター、そこに朝食ができているぞ」

そういい祭壇の横にに置かれたテーブルを差した、そこには今まで見たことのないおいしそうな食事が並んでいた。

「マスターの口に合うかわからんが食べてみてくれ」

そう言われる前にベルは涎を垂らしながら席についていた。

テーブルに並ぶのはサラダとパンとコーンスープ

それらをベルはあっという間に平らげてしまった。

「そのようすだと好評だったようだ」

アーチャーは嬉しそうにほほ笑んだ。

「はい、いつも質素なものばかりなんでおいしくておいしくて、アーチャーさんって料理が得意だったんですね」

「別に得意というほどではない普通だ、そうだ今日は私もダンジョン行こう」

「あの、ダンジョンの前にちょっと寄り道していいですか?」

 

そこはお世辞にもあまりきれいなお店とは言えなかった。

「あの~、おはようございます」

ベルが扉を開けると店内には一人の獣人の女性棚の整理をしていた。

「おお、ベル君、いらっしゃい…。そこの人はじめてだね・・・」

「初めまして私はアーチャーだ、故あってベルのファミリアに所属している」

「ナァーザです…」

「ナーァザさんはミアハ様のファミリアに所属してて薬とかの調合が得意なんだよ」

いつの間にかナァーザはカウンターの裏に移動してごそごそと商品を出そうとしている。

「時にそろそろハイ・ポーションなんて使ってみない…?」

「僕にはまだポーションで十分ですよ、ポーションを4つください」

渋々といった感じにハイ・ポーションをしまい、ポーションを取り出した。

買い物を終えベルが店を出ようとする、

「すまん、用事ができた今日も一人で行ってくれ」

それに少し残念そうに答えて一人で店を出てく。

「で、物は相談なのだが」

「おや、お客さんかい?」

カウンターの奥からきれいな目鼻立ちの美青年が出てきた。

「魔力を回復できる薬など売っていないか?」

 

 

 

一人寂しくベルがダンジョンに向けて歩いていた。

「おーいっ、待つにゃそこの白髪頭ー!」

後ろから大きな声で呼びかけられベルが振り返るとそこにはシルの獣耳の同僚がいた。

彼女が慌ててベルに近寄ってきた。

「おはようにゃ、丁度良かったにゃ、これシルの忘れ物にゃんだけどこれと置けてほしいにゃ」

とベルに巾着袋を手渡した。

「へっ?」

「アーニャ、クラネル氏もいきなりで困ってますよ」

もう一人の同僚、エルフの女性もあらわれ、ベルに軽くお辞儀をした

「むー、リュー急がないといけないにゃ、シルのやつお祭りに行ったのはいいけどお金を忘れたから届けてほしいにゃんて、わざわざ言わなくても伝わるにゃん」

「ということでお願いします」

「お願いしますにゃん」

二人してお願いされてしかも日頃のお弁当の件もありベルは断ることができなかった。

「わかりました、でもお祭りってどこであるんですか?」

怪物祭(モンスター・フィリア)と言って年に一度闘技場を貸し切って行われる大きな催しです。

モンスターを調教する様を見ることができます」

とリューが懇切丁寧に説明してくれた。

「シルはさっき出かけたばかりにゃ、だから急げば間に合うにゃ」

「闘技場ですね、任せてください、では」

そう言い怪物祭(モンスター・フィリア)という面白そうな催しに期待を募らせつつ慌ててベルは闘技場に走って行った。

 

 

 

ヘスティアは怪物祭(モンスター・フィリア)へ急いでいた。

手に家族への最高のプレゼントを持って、

そしてお目当てのものはすぐ見つかった。

人ごみをきょろきょろしながら歩く白髪の少年、

(ふふ、僕を探してくれてるのかな)

ヘスティアはそう期待に胸踊らしながら驚かそうとそっと背後から近寄り、

 

「わっ」

 

ベルいきなり背後から大きな声をかけられて驚き飛び上がってしまった、本日二度目である。

そこにはいたずらに成功しうれしそうに笑うヘスティアの姿があった。

「もう、びっくりしたじゃないですか、って神様3日もどちらへ行かれていたんですか?

何も言わずにどこか行かれたので心配していたんですよ」

「悪いねベル君、ちょっと野暮用でね、それではデートとしゃれ込もうじゃないか」

そう言いヘスティアはベルの腕に手を絡ませる。

「ちょっと、待ってください、今人探しの途中で…」

「じゃあ、デートしながら探せばいいよ、一石二鳥だね」

そう言いヘスティアはベルの手を引っ張ってどんどん進んでいく。

 

ヘスティアとベルが楽しく恋人のように過ごしていると、闘技場のほうから悲鳴が聞こえてきた。

ベル達の目の前に大きな白いゴリラのようなモンスター、シルバーバックが現れた。

ベルは恐怖におののぬくヘスティアの手を引きその場を逃げる。

たくさんの人間が蜂の子を散らすようにあちらこちらに逃げている。

それにもかかわらずベルたちが逃げるほうに迫ってきてる。

(偶然か)

そう片隅で考えつつも右へ左へ逃げる方向を帰るが間違いなくそいつは追ってきていた。

 

 

「うむ、街が騒がしすぎるな」

アーチャーは事態を確認するために近くの高台へ飛び上がった。

街中にもかかわらず20匹近くのモンスターが暴れている。

「早速こいつを試す機会ができたな」

彼は懐から一本のポーションを取り出し、それを一気飲みする。

「投影、開始」

いつの間にかその手には弓と剣が握られ、

まるで剣を矢のように引くと剣は細長く矢に変わり、

「”赤原猟犬(フルンディング)”」

言葉と同時に矢がはなたれるその先には建物の壁があったがそれを避けるようにアーチャーが見据えたモンスターに命中した。

その一撃に確かな感触を感じ自然と笑みがこぼれていた。

残りの敵を掃討するために次々と弓を引く、

 

 

アイズは街中を駆けていた。

怪物祭の会場から何者かの手引きでモンスターが逃げ出してしまったということで、

あまりにもの多くの強力なモンスターが近くにいたロキ・ファミリアにも協力要請があったためだ。

アイズはモンスターを見つけ剣を構えて切りかかろうとしたとき、

空から一本の矢が降ってきてモンスターを貫き一撃で倒し地面に刺さった。

刺さった矢は役目を終えたといわんばかりに光の粒子になって消ていく、

アイズが呆気にとられふと空を見上げるといつか見た赤いマントが空をたなびいていた。

 

 

「おっと、手柄を奪ってしまったかな」

アイズが切りかかろうとしていたモンスターに矢を投じ、

次の標的、敵は残り一匹、一番離れたところにいた、そこに矢を投じようと狙いをつけるとすでに交戦中であった。

「マスターか存外苦戦しているようだな」

弓を消し、マスターのところへアーチャーは飛んでいく。

シルバーバックとベル、その背後にはヘスティアがいた。

アーチャーはヘスティアの手に握られた黒い剣に目が行く。

 

ベルは覚悟を決めて戦う、モンスターの狙いはヘスティアで間違い、

自分の神様を守るために剣を握った。

アーチャーからもらった短剣を初めて使う。

(行ける!)

まるで剣が自分を導くかのように体が自然に動きシルバーバックと互角に渡り合う。

一撃、一撃、拳と剣を交え続ける。

しかし、段々とベルが押され始める。

「ベル君、君には無理だ、逃げてくれ!」

ベルの不利を感じてヘスティアが叫んだ。

(逃げる?ここで逃げたら僕はいつまでも変われない!何より家族をもう失いたくない!)

逃げない決意を固め無茶でもベルは気合で切りかかって行く。

シルバーバックは少し追い返されたたらを踏む。

上から声が響く

「思いを込めて投げつけろ!」

いつの間にか建物の上にいたアーチャー叫ぶ。

その声を受けてベルはとっておきを思い出す。

アーチャーからもらった短剣をシルバーバックに向かって投げつける。

「”壊れた幻想(ブロークンファンタズム)”!」

そう叫ぶと短剣はこの間の爆発とは比べ物にならない大きな爆発が起きた。

シルバーバックは吹き飛ばされ仰向けに倒された。

しかし倒すには至らなく、シルバーバックに投げた短剣はその鋼のような筋肉に阻まれ刺さりが甘かったのだ。

ベルの手元には武器がなくなってしまった。

「ベル君、これを受け取ってくれ」

ヘスティアはベルに手元の短剣を投げた。

「それは、君のための武器、君とともに成長する武器だ、それで貫け、モンスターの最大の弱点、魔石を!」

ベルはもらったばかりの短剣を構えた。

剣を握ったところが熱くなる、剣から熱い鼓動がベルには伝わってきた。

その熱がベルの心を震わせる。

(狙う場所はただ一つ胸の一点、そこへ一撃を入れるのみ!)

ベルは衝撃が抜け徐々に起き上がるシルバーバックを見据える。

一瞬の勝負の時を見計らい、勝負に出た。

ただ一陣の風のようにベルの体が肉薄する。

(まだ甘いな)

アーチャーはマスターの奮闘を見ていた。

間合いを見計らったその一撃であったがそれを阻もうとシルバーバックの右手が動く、

アーチャーはそれを見逃さず矢を射る。

矢が右手に突き刺さり吹き飛ばされる。

その一撃でさらに大きくなった隙を見逃さずベルは一撃を叩き込んだ。

魔石にベルの短刀が突き刺さりついにその大きな巨体は地に伏し、崩れ去った。

「やったーーーーーー!!!」

地面に膝をつきながら叫んだ。

いつの間にか周りには人が集まっており小さな冒険者の健闘をたたえるように大きな歓声が響いた。




ということで一巻分終了~~~~

補足(いいわけ)
ポーションの下りはそのうちやるような気がする

やっとまともにアーチャーが動けるようになりました
完全に薬中英霊…

この後の展開は
リリと出会って冒険してヴォルフと出会って
18階層行って戦争遊戯やって遊郭遊びまでやれたらと思います
その間にちょこちょこサイドストーリー的なものを書けたらいいなぁ

最後に最後まで読んでいただけた方ありがとうございます

ちょっと追加
Fate、アーチャーの設定に関してはゲームとアニメ、映画のうる覚えとwikiからになります
基本的に投影して使う宝具はwikiにあるものですが
名前だけなら(次の話限定になると思う)オリジナルがでてきます

なにか設定がおかしい所がありましたら教えていただければ修正可能なら修正します

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