ダンジョンに英霊を求めるのは間違っているだろうか 作:ごんべえ
今日もまた探索へ行くためダンジョンへ向かうベル、そんな彼に声をかけるものがいた。
「お兄さん、お兄さん。白い髪のお兄さん」
背後かけられたその声に振り返るとそこにはローブを着てフードを目深にかぶり大きなバックバックを背負った小さな少女がいた。
「な、何か用かな?」
「初めまして、お兄さん。突然ですが、サポーターなんか探していたりしていませんか?」
確かに最近はアーチャーも戦闘に参加してくれているときもあり戦利品が嵩張りすぎていて、
そのせいで帰らなければならないこともありサポーターがほしいと思っており、その提案はありがたかった。
ただいきなりの提案に彼は少し戸惑ってもいた。
「混乱しているんですか? でも今の状況は簡単ですよ? 冒険者さんのおこぼれにあずかりたい貧乏なサポーターが、自分を売り込みに来ているんです」
上目づかいで回答を催促された。
「ええ、っと、僕の一存では…」
「私は賛成だ」
言いかけたところ寄り道があると遅れて合流したアーチャーがいきなり参加した。
「じゃあ、仲間がこういってるしお願いできるかな?」
「本当ですかっ!ありがとうございます。
あっ、リリの自己紹介がまだでしたね。
ソーマ・ファミリア所属、リリカル・アーデです。
よろしくお願いします、冒険者様」
フードを取り、丁寧にお辞儀をした、頭の上の耳があらわになった。
アーチャーはその時、その少女、
リリは驚愕していた。
目の前の少年は現れる敵を次々と倒していく、自分が戦利品を拾うのが追い付かなくなるほどであった。
これが4階層までであれば納得していただろうが、ここは7階層、一般的に駆け出しの冒険者の壁である5階層を超え、なおかつ彼はソロの冒険者であった。
ソロ、彼には先ほどまで仲間の冒険者がいたのだが彼はさらに別格であった。
ふらりといなくなると、どっかりと戦利品を抱えて帰ってきてはリリに渡して、ベルの戦闘を少し眺めているとまたいなくなる。
仲間と言ってもちぐはぐな二人であった。
おかげで昼を少し過ぎたぐらいの時間なのにリリのカバンはいっぱいになりつつあった。
「ベル様、おつよ~~い!」
ベルの健闘に手をたたき賛辞を贈る。
「あのさ、リリルカさん、その様付けはどうにかならないかなぁ」
「すいません、一時的な契約とはいえ、上下の関係をはっきりしないいけません。
サポーターはただの荷物もちです、いつも安全な場所にいる臆病ものです。
なので冒険者様と同格なんて傲慢です。冒険者様は怒って分け前を恵んでくれないでしょう。
だから名前を呼ぶ時もリリとお呼びください、さんもいらないので」
その彼女の言葉をベルは否定しようとしたが
「ベル様がお優しいのはわかりますが、ここで私に生意気なサポーターとして風評が流れたら、
だれもリリを雇ってくれなくなります。だから、けじめはつけないといけないのです」
悲しくも反論できなかった。
「話は変わりますが、すみません、もうバックパックがいっぱいになってしまいましたので、
よければ今日の探索はこれで終わりにしませんか?」
彼女の背負っていたバッグはダンジョンに来ていた時の倍近くの大きさになっていた。
「あれ、そんなに、もう倒していたかな」
しかし、ベルにはそれほど敵を倒し戦利品を獲た記憶がなかった。
「いや、私のせいだ」
アーチャーが戦利品を抱えて帰ってきた姿を見て納得した。
「ではそこの魔石を取って終わりにしましょう」
リリは壁にぶら下がっているキラーアントの死骸を指差し、ベルにナイフを渡した。
思ったより高いところにあり、背をのばして取ろうとすると、アーチャーがやってきて、ベルを持ち上げた。
「あ、ありがとうございます」
「さっさととれ」
そう言われたのだがベルは魔石を取ることができなかった。
「あ、あれ、うまく切れない」
悪戦苦闘するベルに業を煮やしたアーチャーは彼を下した。
「リリルカ、手伝ってやってくれ、私は取りこぼしがないか確認してくる」
そう言い先ほど出てきた方向に消えていった。
リリはこれ幸いと悪戦苦闘しているベルに近づき後ろいた。
ほどなく地上に戻ってきて戦利品を換金して、分け前の話をしようとすると、
「あ、あの、今日の分け前は結構です。なのでベル様たちでお分けてください」
「え、でもここまで稼げたのはリリのおかげだから…」
「いえ、今日はここで帰ってきたのはリリの準備が悪かったせいですし」
さっきまでパンパンに膨れていたバックパックを手に取った。
「それにこれでベル様たちの信用が買えるならお安いものです」
そういう彼女の満面の笑みにお人よしのベルは完全に信用しきっていた。
「…まぁ、あとは置き土産というところでしょうか」
彼女が何かをボソッとこぼしたが誰も気に留めなかった。
「では、これからも当分契約してもらうということでこれは契約金だ」
アーチャーが分け前のうちから3000ヴァリスほどを押し付ける。
「え、だから、分け前は結構ですから」
当然リリはまた拒否したのだが、
「バックパックの代金だ、今度会うときはもっと大きなのを用意しててくれ」
「そうだね、じゃぁ、リリ、今日はこれで、また明日」
そう言い二人は有無を言わさない態度で去っていこうとする。
「わかりました。リリはいつもバベルにいますから、いつでも会えますから!」
去っていく彼らにそう声を投げかけ手を振った。
「馬鹿な人たち」
彼らが見えなくなるとその顔から笑顔は消え、ただ無表情に冷たくつぶやいた。
リリは鑑定士のところに先ほど手に入れた戦利品を持ち込んでいた。
受け取った鑑定士のノームは刀身を見つめた、そこには神聖文字が刻まれていた。。
切れ味を確かめようと机に当てるが押しても引いても切れずより強く押すと砕けた。
「初めて見たが多分魔剣じゃろう、使い切る寸前だったんじゃろうな」
砕けて光の粒子になってしまった剣を握っていた手をノームが興味深げに見ていた。
リリはあっけにとられていた苦労して手に入れた短剣が目の前で消え1ヴァリスにもならなかった。
ただ納得でもあったリリの目にしたベルのあの戦闘力は魔剣によるものであると、
しかし、明らかに駆け出しの冒険者であるベルがなぜ魔剣を持っていたのか、
しかもなぜあんな使い捨てるかのようにほいほい使っていたのか、
リリの中でベルに対する謎ができてしまった。
いつもより早めに帰ってきたベルたちはエイナに今後の探索の相談に来ていた。
「ソーマ・ファミリアのサポーターかぁ…」
話は自然と今日出会ったサポーター、リリのことになった。
「やっぱり、よそのファミリアのサポーターと組むのはまずいですかね?」
「いえ、よそのというよりはソーマ・ファミアリア自体がね、冒険者たちの雰囲気があまりよくないのよ」
彼女はやや困った顔を浮かべていた。
「でも、あなたたちの探索にサポーターは必要でしょ、だから雇うのは賛成かな。
結局、決めるのもそのことで責任を負うのは君たちということを忘れないでね」
ベルの中ではもう決まっていた。
「エイナさん、ありがとうございました」
「ええ、いつでも相談に来てね」
立ち上がり去ろうとする彼の背後に違和感を感じた。
「あれ、ベル君、ナイフはどうしたの?」
そう言われ腰に手を当てナイフを抜こうとした、が抜けない、
「落としたーーーーーーーーー!!!!」
そう絶叫したベルの頭をアーチャーが見慣れた短剣で叩き、
「まったく、なくしたことに気付かないとは、どれだけ鈍いのか」
ベルは戻ってきた短剣に涙を浮かべながら頬ずりをする。
ということでリリは盗むのに失敗しました。
多分普通に投影すれば多少の使用でも壊れはしないのですが、
あえてアーチャーが脆く投影しました、ということだと思います。
リリの種族ですがWEB版と一部小説版はホビットらしいです。
今のはすべてパルゥムになってるとか
何やら名称に関してホビットだと著作権か何かに引っかかるようで(ネット情報)
ということでホビットと書いてるのはパルゥムに直しておきます。
ごめんなさい。