問題児とドラゴンと天使を従える精霊使いの少年が来るそうですよ?   作:ユンベルク

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グダグダ感があります。


6話

 

 

グリフォンとのギフトゲームは春日部さんの勝利で終わった。その時見せた春日部さんのギフトは『友達になった生き物の特性を使える』というギフトらしい。

今回はグリフォンの風を操るギフトを使ってグリフォンの背から落下するのを防いでいた。

 

『お嬢!怪我はないか!?』

 

「うん、大丈夫。指がジンジンするのと服がパキパキになったくらい」

 

駆け寄ってきた三毛猫を優しく撫でる春日部さん。その向こうで拍手する白夜叉と感嘆の眼差しで見つめるグリフォンがいる。

 

『見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使って欲しい』

 

「うん。大事にする」

 

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。...........ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性か?」

 

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになった」

 

「木彫り?」

 

『お嬢の親父さんは彫刻家やっとりますり親父さんの作品でワシらとお嬢は話せるんや』

 

おう。春日部さんのお父さんは凄い人なんですね!あらゆる動物と話せるようになる木彫りを作るなんて!

ちなみにさっきからの会話はティアに通訳してもらってます。

 

「ほほう......彫刻家の父か。よかったらその木彫りというのを見せてくれんか?」

 

白夜叉にそう言われた春日部さんは頷くと、ペンダント状の木彫り細工を取りだす。

白夜叉は手の平大の木彫りを見つめて、急に顔を顰める。ジブリールと十六夜、久遠さんもその隣から木彫り細工を覗き込む。

 

「複雑な模様ね。何か意味があるの?」

 

「意味はあるけど知らない。昔教えてもらったけど忘れた」

 

「.........。これは」

 

白夜叉だけでなく、十六夜とジブリールと黒ウサギも神妙な顔をして鑑定している。

 

「材質は楠の神木みたいでございますね」

 

「Yes。でも、神格は残ってないようですが......この中心を目指す幾何学線.......そして中心に円状の空白.......もしかしてお父様の知り合いには生物学者がおられるのでは?」

 

「うん。私の母さんがそうだった」

 

「生物学者ってことは、やっぱりこの図形は系統樹を表しているのか白夜叉?」

 

「おそらくの.......ならこの図形はこうで.....この円状が収束するのは........いや、これは......これは、凄い!!本当に凄いぞ娘!!本当に人造ならおんしの父は神代の大天才だ!まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは!コレは正真正銘‘‘生命の目録(ゲノム・ツリー)”と称して過言ない名品だ!」

 

興奮したように声を上げる白夜叉。横でジブリールもキラキラした目で生命の目録(ゲノム・ツリー)を見てる。

 

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ?でも母さんの作った系統樹の図はもっと樹の形をしていたと思うけど」

 

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化を遂げて進む円の中心、即ち世界の中心を目指して進む様を表現している。中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、生命の完成が未だ視えぬからか、それともこの作品そのものが未完成の作品だからか。ーーーうぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されとるぞ!実にアーティスティックだ!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

 

「ダメ」

 

春日部さんは即答で断ると白夜叉から木彫りを取り上げる。

 

「それで、これはどんな力を持ったギフトなんですか?」

 

「それは分からん。今分かっとるのは異種族と会話できるのと、友になった種から特有のギフトを貰えるということぐらいだ。これ以上詳しく知りたいのなら店の鑑定士に頼むしかない。それも上層に住む者でなければ鑑定は不可能だろう」

 

「え?白夜叉様でも鑑定出来ないのですか?今日は鑑定をお願いしたかったのですけど」

 

黒ウサギがそういうと気まずそうな顔に白夜叉。

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなのだがの」

 

白夜叉は困ったように白髪を掻きあげ、着物の裾を引きずりながら四人の顔を両手で包んで見つめる。

俺の事を見ている時に一瞬だけ目を見開いて驚いたような顔をしてましたけど気のせいですかね?

 

「うむ、四人とも素養が高いのは分かる。しかしこれではなんとも言えんな。おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」

 

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「禁則事項です☆」

 

「うおおおおい?いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるが、それじゃ話が進まんだろうに」

 

「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札貼られるのは趣味じゃない」

 

拒絶する声音の十六夜と同意するように頷く久遠さんと春日部さん。

 

「俺はほぼ分かってますし使えるんで大丈夫です」

 

別に鑑定はいらないという俺。

ジブリールとティアも俺と同意見のようだ。

それぞれの返事に困ったように頭を掻く白夜叉は、突如妙案が浮かんだとばかりにニヤリと笑った。

 

「ふむ。何にせよ‘‘主催者(ホスト)”として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには‘‘恩恵(ギフト)”を与えねばならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

白夜叉がパンパンと柏手を打つ。すると四人の眼前が光り輝く四枚のカードが現れる。

カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

コバルトブルーのカード 逆廻十六夜

ギフトネーム

‘‘正体不明(コード・アンノウン)

 

ワインレッドのカード 久遠飛鳥

ギフトネーム

‘‘威光”

 

パールエメラルドのカード 春日部耀

ギフトネーム

‘‘生命の目録(ゲノム・ツリー)

‘‘ノーフォーマー”

 

ホワイトシルバーとブラックパープルのカード 一ノ瀬悠弥

ギフトネーム

‘‘テルミヌス・エスト”

‘‘レスティア・アッシュドール”

‘‘天翼種(フリューゲル)

‘‘天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)

 

それぞれの名前とギフトが記されたカードを受け取る。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「商品券?」

 

「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が合ってるのですか!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの‘‘生命の目録(ゲノム・ツリー)”だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

黒ウサギに叱られながら四人はそれぞれ物珍しそうにカードを見つめる。

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるんだが、おんしらは‘‘ノーネーム”だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

「ふぅん......もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 

十六夜が水樹にカードを向ける。すると水樹は光の粒子となってカードに呑み込まれた。

見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、ギフト欄の‘‘正体不明(コード・アンノウン)”の下に‘‘水樹”の名前が並んでいる。

おお!本当に凄いですね!

 

「ジブリールも入ってみますか?」

 

「はい!未知の体験でございますのでやってみとうございます!」

 

俺はジブリールにカードを向けるとさっきの水樹と同じように光の粒子になってカードに呑み込まれる。カードの絵は天使の翼を広げているような絵になっていた。

それを確認した後、すぐにジブリールを元に戻す。

 

「どうでしたか?」

 

「少々窮屈な感じでございました。例えるならモ◯スターボー◯の中のポケ◯ンの気持ち、と申しましょうか」

 

「いや、モン◯ターボ◯ルの中とか知りませんから。ていうかなんでそんな事知ってるんですか?」

 

「私ですので」

 

あー、これで納得できてしまう俺が悔しいですね。

 

「ティアはどうです?」

 

「私は狭いところは好かんのでな、やめておくとする」

 

「そうですか」

 

そうこうしてる間に十六夜と黒ウサギが揉めていた。また十六夜の悪ふざけに黒ウサギがハラハラしているのでしょう。

 

「そのギフトカードは、正式名称を‘‘ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった‘‘恩恵(ギフト)”の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ」

 

ん?と白夜叉が十六夜のギフトカードを覗き込む。その瞬間白夜叉の表情が変化した。

 

「......いや、そんな馬鹿な」

 

パシッと白夜叉は十六夜からカードを取り上げ、真剣な眼差しでギフトカードを見つめる。

 

「‘‘正体不明(コード・アンノウン)”だと......?いいやありえん、全知である‘‘ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 

パシッと白夜叉からギフトカードを取り上げる十六夜。白夜叉は怪訝そうな瞳で十六夜を睨み何かを考える仕草をする。

暫くして納得したのか白夜叉は次は俺の方へ来る。

 

「おんしのも見せてもらってもよいかの?」

 

「別に構いませんよ」

 

そう言って白夜叉にギフトカードを渡す。

白夜叉はカードをじっと見つめたまま何も言わない。

さっき顔を覗き込んできた時の表情から察するに何かあるかと思ったから俺のを見に来たという所ですかね。

 

「......この‘‘天翼種(フリューゲル)”と‘‘天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)”というのは後ろの二人で間違いないか?」

 

「ええ。ピンクの髪が‘‘天翼種(フリューゲル)”のジブリール。青い髪が‘‘天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)”のティアです」

 

ふむ、とまたギフトカードに視線を戻す白夜叉。何かを考えるように手を顎に持って行き考えている。

 

「龍の純血が隷属しているのも驚きだが、それと同等程の力を持つ者も隷属させてるも素晴らしいの。それにおんし自身も相当の実力を持っとるし、この霊格は........」

 

ブツブツと何やら呟く白夜叉。

考えがまとまったのか俺にギフトカードを返してくる。

 

「おんしに聞きたいことがある。この後少し店に残ってくれないか?」

 

「俺は別に構いませんが、黒ウサギにこの後コミュニティに案内してもらう予定なので黒ウサギにも聞いてみてください」

 

「なら問題ない。後からさっきの店員に黒ウサギのコミュニティの本拠地まで案内させるからの」

 

さっきのとはあの女性店員さんの事ですか。

なら大丈夫そうですね。

 

「わかりました」

 

「うむ、手間をかけるの」

 

そして、俺とジブリールとティアを除く‘‘ノーネーム”一行は先にコミュニティの本拠地に帰っていった。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

俺たちは初めに通された白夜叉の私室で座って待っていた。白夜叉は十六夜達の見送りに行っているみたいだ。

すると、障子が開けられ白夜叉が入ってきた。

 

「いやはやすまんのう。待たせてしもうた」

 

「いえ、気にしてませんよ」

 

ケラケラと笑いながら入ってきた白夜叉は大して悪びれもなく謝ってくる。

そしてそのまま上座に座ると真面目な雰囲気に変わり俺に話しかけてきた。

 

「さて、おんしと話したい事があるのは他でもない。ーーーおんし、何処で‘‘魔王”となった」

 

その言葉を言った瞬間に白夜叉は殺気を飛ばしてくる。

うっわ、これは少しキツイですね。

別に悪い事してないのにした気分になりそうです。

 

「何処でと言われたら彼女(・・)と契約してから、という事になります」

 

「契約?」

 

殺気を弱める事はせずに怪訝な顔で聞いてくる白夜叉。

俺は両手の刻印を白夜叉に向け、レスティア

とエストを召喚した。

一瞬驚いたような顔をした白夜叉は現れた二人をまじまじと見つめる。

 

「闇色の髪をした方がレスティアで銀髪の方がエストです」

 

「契約精霊か......二人ともそれぞれ最高位の精霊のようだのう」

 

感心するようにいう白夜叉。

てかまだ殺気収めてくれないんですか?

結構ビビってるんですけど。

 

「はい。レスティアは闇の精霊王の分身で魔王を覚醒に導く導き手。エストはその魔王を討ち滅ぼす為の聖剣」

 

「なんと!?.....相反する二つの力を持つ精霊と同時に契約したのか?」

 

驚愕した顔をする白夜叉。

俺は更に説明を続ける。

 

「白夜叉が感じ取った魔王の気配はレスティアと契約しているからでしょう。彼女と契約することで‘‘魔王・スライマン”の候補者となるのです」

 

「なるほど、そういう事か.....」

 

「ええ。だから黒ウサギのコミュニティを消滅させようと思って近づいたわけじゃないです。それならここに来るまでに潰してます」

 

そういうと白夜叉から発せられていた殺気がなくなる。

ふぅ、焦りました〜。下手な答え方したら消し飛んでましたね。

 

「いや、申し訳ない。おんしらを疑うような事を言ってしまったのう」

 

白夜叉はバツの悪そうに頭を掻きながら謝ってくる。

 

「いえいえ、気にしてませんよ。黒ウサギにも同じような対応をされましたしね。彼女のコミュニティが魔王によって滅ぼされたのなら当然の反応ですから」

 

「本当にすまぬな」

 

「はい」

 

白夜叉は頭を下げてまた謝ってくる。

俺は出来る限りの笑顔で返事をすると頭を上げるとスッと真剣な顔で俺を見る。

 

「さっきの奴らにも聞いたのだが、おんしらのコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているのか?」

 

「ええ。名も旗印も仲間も奪われたと。そして、それを取り戻す為に‘‘魔王”と戦わなければならないということを聞きました」

 

「ふむ........では、それを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

「はい」

 

白夜叉の質問に間髪入れずに返事をする。

 

「そうか。まあ、魔王がどんなものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むなら私は止めんが.......先程の娘二人は確実に死ぬぞ」

 

「......ええ、そうですね」

 

そう。正直言うと今の久遠さんと春日部さんでは魔王とのギフトゲームになったところで足手纏いの何者でもないのは事実。

仮にティアとジブリールを護衛に付ける事になったとしたら彼女達のプライドを傷つけてしまう事になってこれからの戦いに支障をきたす。けれど........

 

「けれど、今の(・・)彼女達ならの話ですよね」

 

俺はそう言って白夜叉に笑いかける。

それを見て白夜叉もニヤリと口角を上げて笑い返してくる。

 

「そうだの。今の(・・)娘達なら、の話じゃ」

 

「なら大丈夫ですよ。彼女達は必ず強くなりますから」

 

それを言った後に立ち上がり部屋を出る為に障子を開けようとする。

 

「あ、おんしに言っとく事があった」

 

白夜叉の言葉に首だけを向ける。

 

「近々うちのコミュニティの幹部が主催するギフトゲームが行われる。それの景品が‘‘ノーネーム”の元同士だ」

 

「......人を景品にするんですか?」

 

今の俺の目は酷く冷たいものになっていることでしょう。自分の中が急速に冷えていくのがわかりますからね。

 

「それがこの箱庭のギフトゲームというものだ。そこは割り切っていくしかないのう」

 

「......それで?そのゲームに俺が出ればいいんですか?」

 

「ふむ。おんしの力なら十分クリア可能なゲームじゃからな。今の‘‘ノーネーム”に足らないものは人材じゃ。おんしとあの小僧はかなり戦力になるが数が絶対的に足りん」

 

「そこで元同士を取り戻して戦力を増強すると......そういう事ですか?」

 

「その通りじゃ」

 

「しかし、その元同士がどれ程の実力かはーーーー」

 

「心配いらんよ」

 

俺の言葉を遮るように言葉を被せる白夜叉。

 

「彼女は元・魔王の純血の吸血鬼じゃからな」

 

「!......それはかなり心強いですね」

 

「まあ、このゲームはあの小僧とおんしとで出れば確実に勝てるゲームだ。詳細は追って伝えるのでな」

 

「わかりました。では失礼します」

 

そう言って部屋から出て行く俺達。

箱庭には吸血鬼がいるんですね。早く見てみたいですねー。それに白夜叉と同じ元・魔王ですから相当強いはずですし。

その後店の前にいた女性店員さんに‘‘ノーネーム”のコミュニティまで案内してもらった。

帰り道の間、女性店員さんの顔がずっと赤かったのが気になりましたね。風邪でも引いていたのでしょうか?悪い事をしてしまいました。今度何か菓子折りでも持って行きましょう。

後、エストとレスティアが俺の腕にずっと絡んできて女性店員さんを睨んでたように思いましたけど、何かあったんですかね?

俺的には仲良くして欲しいんですけど.....。

 

 

 

 

 

 

 

 




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