最初に動いたのは美鈴、鋭く地を蹴り垣根の懐に潜り込もうとする
対する垣根は翼を発現させ美鈴の掌底を防ぐ
「…驚きました、まさか能力持ちだとは」
「言ってなかったか?とりあえず吹っ飛びな」
返す刀で翼を振るい、美鈴を吹き飛ばす
「っつオラァ!」
さらに翼を振るい、純白の羽を弾丸のように飛ばし追撃を図った
「っは!」
しかし美鈴はナイフのように鋭く尖った羽をいなし、かわし、時には拳で弾き飛ばす
その光景ははたから見れば羽を背景に舞う踊り子のようにも見える
純白の羽を全て避け切った美鈴が叫ぶ
「これはどうですか!虹符『彩虹の風鈴』!」
すると美鈴を中心に虹色の弾丸が全方位に広がり、垣根の逃げ場を塞いだ
「そらっ!」
チルノと戦った時と同じく烈風を巻き起こし弾丸を吹き飛ばす
…はずだったのだが垣根の予想を裏切り、弾丸は烈風をものともせず密集していく
「っつ!?」
動揺のまま瞬時に翼で弾丸を叩き落とし、難を逃れる
(チルノの弾丸は風で吹き飛んだっつのに、コイツのは効かねぇ?
翼で弾いた感触からすると同じ方式の力だった
特別コイツが強いだけっつーことか…いや違うな、思い出してみりゃ簡単だ
チルノは弾丸を出したあと凍結させた
つまり正体不明の力からただの氷になった、対してコイツはそのまま俺に
力をぶつけて来やがった…つーことはあの力は
俺の未元物質で直接防ぐ、ないしは迎撃する必要がある…面倒だな)
「弾幕を避けずに防御するとは…相当に自信があるんですね」
「あいにく実力だけにゃ自信があるんでな」
(出力そのものは対したことねぇが、弾幕?をいちいち打たれんのは面倒だ
接近戦で速攻カタをつけた方が良さそうだな)
「そらっ!」
全力に近い速度を乗せ、美鈴の背後へと回り込み一撃を入れる
それだけでこの勝負は決着が着く、簡単に終わる
(悪ぃがこれでチェックメイトだ)
そう思い、美鈴の首筋に一撃を入れようとし
視界が反転すると同時に背中に鋭い痛みが走る
「ガハッ!?」
(何だ?何が起きたっつんだ!?)
思わず顔を上に向けると、そこには自分の腕を掴んでいる美鈴の姿があった
(やべぇ!とにかく離脱だ!)
羽で地面を打ち、その反動で上空へと離脱をした
そして窮地から脱し、先ほどの状況を分析する余裕が生まれた
(…まさか、『背負い投げ』ってやつか?あの体勢からなら上手くいくかもしれねぇが
俺の速度に反応し、なおかつ反撃できる奴なんざ学園都市でもそうそういねぇぞ
あの脚の筋肉、それにあの技量…ミスったな、アイツの本職は接近戦か)
離れれば弾幕が、接近すれば達人級の武術が待ち構えている
(仕方ねぇ、本領発揮と行くか)
一方美鈴は、自分の射程圏内から垣根が離脱したことを素直に賞賛していた
(私の武術を受けておきながらあそこまで動けるとは、やりますね
しかし、あの能力はなんなんでしょう…『翼を生やす程度の能力』とかですかね)
初撃の掌底を難なく防ぎ、反撃を許したあの翼は
これまで様々な妖怪と闘ってきた美鈴にとっても驚異と感じるレベルにあった
そう思考を巡らせていると、垣根が翼を広げ、白い球体を大量に作り出していた
「弾幕の真似事ですか?」
「まぁな、あんまし形が綺麗とはいえねぇのは勘弁してくれ」
垣根の言葉とともに白球が美鈴目掛けて飛来する
(速度はなかなかですが、軌道が直線的すぎです)
先ほど白い羽を躱した動きで、簡単に白球を避ける
しかし、避けたはずの球体がまたも美鈴目掛け飛来してくる
「っつ!追尾弾ですか!」
高速で飛来する白球を避けきれず、逃げ場が塞がれてしまう
(弾くしかないっ!)
正面を覆い尽くす白球に掌底をぶつけ、突破を図る
そして、異常な衝撃が美鈴の腕に響く
「あぐっ!?」
痛みに顔を歪めながらも背後から近づいてくる白球に反応し、蹴りを放つ
「がっ!?」
またも脚にも痛みが走り、体制を崩し落下してしまう
(いったい何が…ただ硬いだけではあそこまでは…っつ)
落下した美鈴の視界に映ったのは、自分の首に純白の羽を当てている垣根であった
「俺の勝ち…ってことでいいよな?」
「…ええ、参りました。降参です」
「全くだっつの…早いとこ案内頼むわ」
翼を消し、美鈴を起き上がらせる
「いたた…すみません、ちょっと案内は無理そうです」
美鈴の足首は紫色に腫れ上がっていて、とても歩ける状態ではなさそうだ
「ったく仕方ねぇな、しっかり掴まってろよ?」
「えっ!?ちょっ!?」
美鈴の抗議も聞かずに、垣根は美鈴をおんぶの形で背負った
「その足じゃまともに歩けねぇだろ、流石に放置すんのも気分が悪ぃしな」
「あはは…助かります」
門を潜り、西洋作りの庭を歩いていくと大きな玄関が見える
「あちらが入口です、中で咲夜さん…メイド長がいると思うので
案内に従っていただけると助かります」
「また戦闘になんのか?」
「うーん、どうでしょう。私はお嬢様から直接言われたので
他の人が何を仰せつかっているかまでは分からないですね」
そんな会話をし、庭にある小屋まで美鈴を送り届けた
美鈴と別れ、垣根は先ほどの戦闘のことを思い返していた
(弾幕の真似事だったが意外と上手くいったな)
垣根が作り出した白球は『対象を追い続ける』という特性と
『物質に接触すると衝撃を放つ』という特性を持った未元物質で構成されていた
故に美鈴が白球に触れた際に、衝撃が発生しダメージを与えることができた
(こっちの世界の力を解析して未元物質と組み合わせられれりゃ
回避も迎撃も不可能な一撃が作れそうだな…面白くなってきやがった)
門の前に着き扉を開けると、立派な玄関ホールが広がっていた
「こりゃすげぇな一流のホテル並じゃねぇか」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「っつ!?」
横から急に女の声が聞こえ、垣根は咄嗟に飛び退いた
「驚かせてしまい申し訳ございません
私は紅魔館のメイド長、十六夜咲夜と申します
本日はわが主のご招待に応じていただきありがとうございます」
(俺があれだけの距離で認識出来ないわけがねぇ
間違いなくアイツは、あの瞬間に俺の真横にまで接近しやがった
…空間移動系の能力か?)
「まさか美鈴が敗北するとは思っていませんでした
ここは私も丁重におもてなしをさせていただきます」
昨夜は物騒な言葉と反対に洗練された一礼をする
「テメェもか…イイぜ、こうなったらとことん付き合ってやるよ」
こうして、紅魔館内にたどり着いた垣根であった
未元物質で実現可能な範囲が曖昧なので、想像に任せている部分が大きいです
次は VS咲夜となります