とある第二位の幻想入り   作:海山拓人

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投稿が遅くなり申し訳ございません



とある完璧従者の定常業務

紅魔館のホールで2人の人間が対峙していた

 

一人は紅魔館のメイド長十六夜咲夜、もう一人は学園都市第二位垣根帝督

 

二人の間の空気は張り詰め、いつ激突してもおかしくはない状態だ

 

その中。そういえば、と咲夜が話を切り出した

 

「ウチの門番が世話になったわね」

 

「ハッ、そりゃどっちの意味でだ?」

 

「両方よ、美鈴はよく無理をするから。助かったわ」

 

「なら、礼におもてなしとやらを取り消してくれるとありがてぇんだがな」

 

一度緩んだ空気が再び張り詰める

 

「私の個人的な感情とお嬢様のご命令

 

どちらを優先するかなんて決まりきってるでしょう?」

 

そうかい、と軽く返し純白の翼を出現させる

 

「ふふっ、天使みたいに見えるわね」

 

「俺だって好き好んでやってるわけじゃねぇよ、っと!」

 

先程美鈴との戦闘の際に使った白球を生み出し、咲夜に向けて打ち出した

 

(悪いが早々にケリをつけさせてもらうぜ)

 

最初はステップをし躱していた咲夜だったが徐々に逃げ場がなくなる

 

(そのままアイツと同じようになっとけ)

 

そして、咲夜の周囲を白球が囲んだ

 

その瞬間白球が霧散し、突然垣根の眼前に数十本のナイフが現れた

 

「なっ!?」

 

身をひねり、翼を振るうが何本かのナイフが浅く皮膚を切り裂く

 

たまらず翼をはためかせ、後方へと離脱する

 

しかし、またも垣根の周囲にナイフが出現した

 

咄嗟に全方位に烈風を巻き起こしナイフを叩き落とす

 

ナイフの攻撃を防ぎ切った垣根に対して無傷の咲夜は拍手をしていた

 

「思ったよりもやるじゃない、素直に賞賛するわ」

 

「テメェ…」

 

(いったいどうなってやがる、あそこまで連続して空間転移させるなんざ

 

学園都市のレベル4相当でも無理だろ…それに、だ

 

例え空間転移しようとも俺の未元物質で作った白球は対象を追うはず

 

なのに白球は一瞬で霧散した、遠距離から衝撃を与えりゃ出来ないこともねぇが)

 

ホールはどこの扉も閉ざされた密室であり、狙撃が可能とは言えない環境だ

 

また、暗部で鍛えた気配察知能力がこのホールの中にいるのは

 

咲夜と自分だけだと感じ取っている

 

「動揺してるわね?」

 

「そりゃどうだろうな」

 

「隠さなくてもいいわよ、人は理解不能な事に出合うと誰しも恐怖を感じるのだから」

 

(思考を切り替えろ、学園都市のフォーマットに当てはまるような

 

能力じゃねぇのは確かだ、他に物体を一瞬で出現させられる可能性のある能力…

 

そもそも俺の速度域に反応している以上は座標指定するような能力じゃねぇ

 

もっと、根本的な部分を見逃してるはずだ…体当たりで検証といくか)

 

透明な未元物質を自分を囲むように円状に散布し

 

物体の動きや流れを観測をする体制に移った

 

「今度は私から攻めさせてもらうわよ」

 

咲夜はナイフを取り出し、垣根目掛けて投げつけた

 

そのナイフを注視し翼で叩き落とすと同時に背後に多量のナイフが出現する

 

「オラァ!」

 

背中の翼の出力を上げ、ナイフを迎撃すると

 

咲夜の姿がない、それを認識すると同時に腹に蹴りを叩き込まれる

 

「がっ!?…クソがァ!」

 

痛みをこらえ、咲夜の足首を掴む

 

流石の咲夜も蹴りを耐えられるとは思わなかったのか

 

顔を驚きに染めるが、体を捻りすぐさまもう片方の脚で胸を蹴る

 

肺への衝撃を受け、空気が吐き出された瞬間に咲夜は離脱をする

 

(痛ってぇ…けど、おかげでヤツの能力に検討がついた

 

空間移動なら俺に掴まれた時に転移すりゃあ済む話だ

 

それをしなかったっつーことは…超高速移動に近い能力だ)

 

それに加えて、先程周囲に散布した未元物質の動きから

 

垣根は咲夜の能力の正体に至っていた

 

(円が外から破られた形跡は無ぇ、急に未元物質の内部に現れやがった

 

つまり高速移動じゃねぇ、高速移動と同じような挙動ができる可能性があり

 

なおかつ空間移動にも似た能力なんざ一つしか無ぇ…バカみてぇな考えだが)

 

「さて、そろそろ終わりにしましょうか?」

 

「…あぁ、確かに終わりだな」

 

ナイフを構え能力を発言させ、咲夜だけの世界が現れる

 

全ての時が停止し、垣根の顔は薄ら笑いを浮かべたまま凍りついている

 

「何が面白くてこんな顔してるのかしらね」

 

先程までとは比べ物にならないほどの量のナイフを設置していく

 

「ンンッ…ちょっと空気が悪いわね、後で掃除しておきましょう」

 

後は、垣根の正面にナイフを設置すれば全方位を囲むナイフの檻が完成する

 

もう少しでナイフの檻が出来あがる、という所で自分の体の違和感に気づく

 

「ケホッ、ケホッ…おかしいわね、喉が、ケホッ」

 

急に、咳きこみゲホゲホッっと咳が止まらなくなってしまう

 

(な、何っ!?こ、呼吸が、まずいっ…能力が…)

 

呼吸へのダメージが許容量を超え、能力が解除されてしまう

 

つまり、半端な状態でナイフの檻が垣根を襲う

 

そして、学園都市二位にはそんな状態の攻撃など通用しない

 

高速で包囲網を抜け出し咲夜の正面に立つ

 

「よぉ、風邪でも引いたか?」

 

(っつ…いったい何が…)

 

「テメェの能力…時間停止だろ?ったく、どんだけ反則なんだっつーの」

 

(能力が看破されている…でも分かったところで対処のしようはないはず…)

 

時間を停止させらせる以上、垣根に出来ることは少ない

 

ただ、咲夜が人間である以上『呼吸』をする必要がある

 

そう推測した垣根は周囲の窒素分子の性質を変化させた

 

咲夜は、時を止めることでその変化した窒素をより多く吸い込んでしまった

 

そのため呼吸器へのダメージが異常に高くなってしまった

 

「ま、それなりに寒いからな。風邪くらい引くよな」

 

「ツッ…このっ…ゴホゴホッ!」

 

ナイフを取り出し切りつけようとするも、構えることすらできない

 

「おいおい、無理すんなよ…んで勝負アリでいいよな?」

 

咲夜が落としたナイフを突きつけ、宣言する

 

それで構わないわ、と返事をしようとしたが

 

咳が止まらず上手く言葉が出てこない、それどころか呼吸すら危うくなっている

 

「返事すらできねぇのか、ほらよ」

 

未元物質を解除し、咲夜の体内から変化させた粒子が消える

 

「はぁ、はぁ…私の負け、よ」

 

「意外とアッサリ認めるんだな、もっと食い下がると思ってたんだが」

 

服の埃を払い、先程までの戦闘などなかったかのように凛と立つ咲夜

 

「私がお嬢様より仰せつかさった命は貴方の実力を図ること

 

…それに、私の命はお嬢様の物。勝手にその命を落とすわけにはいかないのよ」

 

「ふーん、俺にゃ理解できねぇが

 

命を預けられるほど信用できるヤツがいるってのは羨ましくはあるな」

 

ふふ、と微笑を浮かべ歩き出す咲夜

 

「さて、お客様こちらでございます」

 

そう会話を区切り扉の方へと歩き出す

 

「おう、次は何と闘わさせられんだ?」

 

扉を開け長い廊下に出る、カーペットも壁もすべてが紅一色であり

 

まさに『紅魔館』に相応しい造りだった

 

「いえ、このままお嬢様の元へと案内させていただきます」

 

(やっとボスとご対面か、さて吸血鬼ってのはどんなバケモンなのか)

 

しばらく歩き、咲夜が一室の前で立ち止まる

 

「この中でお嬢様がお待ちになっております、くれぐれも失礼のないように」

 

咲夜が扉を開け、中へと案内される

 

部屋の中心には赤いカーペットが敷かれ、その先には荘厳な椅子があった

 

そして、その椅子に鎮座する人物は他でもない

 

紅魔館館主レミリア・スカーレット、その人だ

 

こうしてついに紅魔館の主と対峙した垣根であった。

 




正直なところ少し苦しい戦闘だったと感じております
独自解釈の塊ですがご容赦ください

次回は学園都市のお話です、扱いとしては5.5話となります
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