とある第二位の幻想入り   作:海山拓人

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とある迎賓客人の豪華晩餐

 

二人の激突から二時間ほど経った時

 

紅魔館でも特別大きな部屋の中に四つの人影があった

 

「へぇ、どれも美味そうじゃねぇか」

 

「当たり前でしょう?咲夜が作ったんですもの」

 

「お褒めに預かり光栄でございます」

 

「咲夜さんの料理は本当に美味しいですからね」

 

レミリアと垣根に加え、先程垣根と闘った咲夜、美鈴だ

 

「そういや、こんだけデカイ屋敷なのに

 

他に誰もいねぇのか?」

 

「いえ、今日は外出していらっしゃいますが

 

普段でしたら妹様とパチュリー様がいらっしゃいます

 

後は、お手伝いの妖精メイドくらいですね」

 

咲夜が言うには、レミリアの友人のパチュリー

 

そして、レミリアの妹のフランがいるという

 

(あいつ姉だったのか、どっちかっつーと妹だろありゃ)

 

「冷めてしまわないうちに食べましょうか」

 

レミリアの声を合図に各々が食事を開始する

 

(なかなか美味いな、店で食べたら四・五千円くらいか?)

 

「んぐんぐ…どうかしら?紅魔館のディナーは」

 

美味しそうに食事を頬張り、緩んだ表情で聞いてくる

 

「ああ、なかなかのモンだな…ってか何でそんなの食べてんだ?」

 

テーブルにはステーキなどの洋風なメニューが並んでいるが

 

何故かレミリアの前には納豆が置いてあった

 

「吸血鬼ってのは豆が苦手なモンだと思ってたけどな」

 

「豆といっても、炒った豆じゃないと効果はないわよ」

 

話半分に美味しそうに納豆を頬張っている

 

(ま、納豆を投げつける節分なんざ見たくもねぇな)

 

そうこうしているうちにディナーも終わりとなり

 

垣根は客室に案内されることになった

 

「貴方の話はまた明日聞かせてもらうことにするわ

 

今日はゆっくり休んでちょうだい」

 

「期待に添えるような話はできないかもしれねぇが

 

お言葉に甘えさせてもらうとするか」

 

ではこちらへ、と美鈴に案内され部屋を退出した

 

二人は足音だけが響く静かな廊下を歩きながら会話を交わしていた

 

「…そういやこういうのはメイドの役目じゃねぇのか?」

 

普通なら客人の案内や世話はメイドがするものであり

 

実際、レミリアの部屋へは咲夜が案内をした

 

「あはは…普通ならそうなんですけど…」

 

うーん、と首をかしげながら悩んでいる様子の美鈴

 

「…まぁ、言っちゃっても大丈夫ですよね

 

実を言うと、今夜はお嬢様が大分興奮すると思うので

 

咲夜さんがそばについてるんですよ」

 

レミリアに聞かれないよう配慮したのか少し小声で

 

事情を説明してくれる

 

「なんだそりゃ、闘ってテンション上がっちまったのか?」

 

「似たようなものですね、お嬢様は常に主らしく

 

振舞おうとしているんですけど…まぁ、その

 

やっぱりお客様が来ると嬉しいんだと思います」

 

言葉を濁すように苦笑いをしながら暗に伝える

 

(…なる程な、久しぶりの客が来たってんで

 

楽しくて舞い上がってるっつーことか…

 

あんだけの実力の癖して、実際は見たまんまってわけか)

 

「後はもう一つ…先程はありがとうございました」

 

「ん?…ああ、闘った時のか」

 

門で美鈴と戦闘になり、美鈴を小屋まで送り届けたことを思い出す

 

「そういやもう大丈夫なのか?」

 

「ええ、例に漏れず私も人間ではありませんから」

 

へぇ、と短く返事を返すと丁度客室らしき部屋の前に着いていた

 

「どうぞ、こちらです」

 

美鈴がドアを開けると、どこぞのホテルのスイートルームのような

 

そんな豪華な部屋が顔をのぞかせた

 

「結構立派なモンだな」

 

「お客様が滞在する部屋ですし、割と綺麗にしてますよ」

 

「衛生面では全く心配してねぇけどな」

 

ここに来るまでの廊下や、先程食事を摂った部屋も

 

汚れ一つなく、完璧に清掃が行き届いていた事を思い出す

 

「では、明日の朝九時くらいに起こしにきますので

 

ごゆっくりどうぞー」

 

バタン、という音とともにやっと一人になった垣根

 

「…シャワーでも浴びるか」

 

部屋に備え付けられているシャワーを浴び

 

体を拭いたところで気づく

 

「そういや替えの服持ってきてねぇな」

 

元々夕食だけのはずだったので着替え等は

 

特に持ってきていなかった

 

「どうすっかな…お?」

 

適当にタンスを覗いてみると、里の人が着ている服が

 

何着か用意されており、その上には

 

『こちら替えの服でございます、ご自由にお使いください』

 

と丁寧な字で書いてあるメモが置いてあった

 

「…あのメイド長だな、流石ってところか」

 

咲夜の仕事っぷりに感心しつつ着替えを済ませ

 

ついでに服を洗い、温風を発生させ乾かしておいた

 

ドサッ、とベッドに倒れ込み天井を見上げる

 

(今日は激動の一日だったな…)

 

思い返せば里を出発したのが今日の昼前の事

 

しかし、それからの時間の密度が異常なまでに濃かった

 

(妖精に人外門番にメイドに果ては吸血鬼と来たもんだ)

 

学園都市にいた時は暗部での仕事こそあれど

 

第二位の力を持ってすれば、流れ作業のように済んでしまう

 

有り体に言えば退屈な日々だった

 

しかし、今日の出来事の数々は垣根の興味を引くのに

 

十分すぎるほどのインパクトがあった

 

(そういや、射命丸が紅魔館は幻想郷の中でも

 

大きな影響力のある所だとか言ってたな)

 

「…そりゃこんだけ色々揃ってりゃ強い勢力だわな」

 

そういや、と呟き先程の闘いで使用したエネルギーを掌で形造る

 

「ッチ…まだまだ制御は難しいか」

 

しばらくするとバチッという音とともにエネルギーは霧散した

 

(俺の未元物質とエネルギーの掛け合わせ…

 

俺の能力がさらに『先』へ進化できるかもしれねぇな

 

それこそ、超能力者の限界を超えたラインにな…)

 

そう思考を巡らせているうちに

 

やはり体はかなり疲労していたのだろう

 

垣根は警戒すら不可能なほどに深く眠り込んだ

 

こうして、長い一日を終えた垣根であった。

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