とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

ISで同じネタを考えたら束さんが最初からラスボスとしてプレイヤーを無双する未来しか思い浮か
びませんでした。あの人に運営任せたらあかん。
中の人ネタで兎さんが憑依するのは...ないかな。北都さんでも田村さんでもネタがぶち込めるなの
はちゃんマジ優秀。

前回のあらすじ
久遠はかわいい(完)

っていうのは冗談で、帰宅後、ログインしゲーム内で2日間ぶっ続けで作業して、刻也君の拠点が
完成しました。(完)



第4話    6月14日 日曜日①

 近隣住民がまだ寝静まっている時間に、小鳥たちの囀り声に混じり、ある家から聞こえる木と木

がぶつかり合う音が聞こえていた。音の発信源はその家の敷地内に建てられた道場からだ。

 

 カンッ!カン!カン!カンッ!カン!カンッ! っし! バシッ! せい!! カンッ!

 

「あぁ、もう。完全に私の動きについてこれるようになってるよ!!」

「鍛えてますから。」

「私だって、トキ君より長く鍛えてるんだど...スピードだったら恭ちゃんにも負けないのに...。」

「俺、成長期なので。」

 

「それで納得出来るかぁー!!もうこれで終わらせてあげるんだから!美沙斗お母さん直伝"小太

 刀二刀御神流裏 奥技之参 射抜"!!」

「っちょっと!洒落にならないですよそれ!士郎さん止めてくださいよ!」

「これも経験さ。なに美由希もちゃんと加減するさ。」

「あぁ~、もう!」

 

 "小太刀二刀御神流裏 奥技之参 射抜"とは御神流二刀奥義の中では最長の射程で最速の突きだ。

例えるなら、新撰組に登場する斎藤一の牙突級の速さで突きを繰り出し、突いた勢いからもう一方

の小太刀で相手を完全に貫くという、エグイ技である。更に、一撃目を引き戻す事でさらに突きを

放つ事も出来る。例え男性より筋力が劣る女性でも、最大威力で放てば重い鉄板さえ貫けるのだ。

 この技の回避手段は、受け流すか横に避けるしかないのだが、加減しているとは言え、今の状況

で美由希さんの放つこの技を回避するのは不可能だ。

 アレを使うしかないのだけれど、使用後の負担が半端ない上に、完全にモノに出来ていないので

成功率も4割くらいなのだが......こうしている間にも美由希さんは俺の元へ物凄いスピードで近

づいて来ている。...やるしかないか。

 

「もらったよ!」

「やばっ。("神速"からのもう一度"神速")」

「えっ!?これって...きゃっ!!」

 

 神速。正式には"御神流 奥義之歩法 神速"という御神流の奥義の歩法。集中力を極限まで高める

事で超高速で移動する事が可能になる。その際、世界がモノクロになり周囲の動きが止まっている

ように見え、自身の動きもスローモーションに感じられる。だが、これだけでは美由希さんの射抜

を完全に回避する事は難しい。

 そこで、神速状態でさらに神速を行う事でより超高速域で移動する事が出来るようになる。だが

ただでさえ、極限の状態なので負担が大きい上に、発動時間も極端に短い。これは「攻撃を完全に

見切り、カウンターを取るための技」だと恭也さんに教わった。もちろん多用は禁止されている。

この神速を重ね掛けする事を恭也さんは"極限の神速"と呼んでいた。

 

 そして、極限の神速をなんとか成功させた俺は美由希さんの攻撃を回避した所で、通常の神速に

戻り、美由希さんに蹴りを放ちそのまま反転し地面に叩きつけた。という訳だ。あぁ、頭が痛い。

 

「そこまで!!2人ともお疲れ様。」

「いたた...って、お父さん!トキ君が今使ったのって...。」

「神速の重ね掛けだね。まさかここまで出来る様になっていたなんて、僕も知らなかったよ。」

「嬉しそうに笑ってる場合じゃないんだけど...。」

「しかし、まだ完璧に修得しているわけじゃなさそうだ。火事場の馬鹿力で成功させたっと言った

 方が正しいかな。恭也め、自分だってトキ君に色々と仕込んでいるじゃないか...。」

「やっぱ恭ちゃんの入れ知恵なんだ。」

「僕は神速は教えたけど、重ね掛けまでは教えていないからね。本当に..僕の楽しみを...。」

 

「それで、トキ君は大丈夫なの?」

「頭痛以外は許容範囲内です。この後も、模擬戦以外なら支障はないかと。」

「そっか、分かってると思うけど、それは神速以上に多用しちゃダメだからね。」

「わかってます。ところで士郎さんがさっきからブツブツ独り言ってますけど...。」

「ああなったら、戻ってくるの待つしかないだろうね。」

「はぁ。」

「私達は鍛錬の続きをしようか。まずはさっきの模擬戦の反省会かな。その後は軽く打ち合って終

 わりにしよう。」

「了解です。」

 

 その後、俺と美由希さんは互いの問題点を挙げ、動きの確認を含め軽く打ち合った。

 

 

「刻也さん。あとお父さんとお姉ちゃん。お母さんがもうすぐご飯出来るって。」

 

 なのはちゃんが、道場に顔を出した時には、士郎さんは再起動し正常になっていた。時刻は7時

過ぎ。大体いつも通りの時間だ。鍛錬の事もあるが朝食は毎日必ず高町家でご馳走になっている。

 俺はシャワーで汗を流し高町家の食卓に着いた。

 

「ごめんね、先にシャワー浴びちゃって。」

「美由希さんは女性なんだし気にしなくて良いっていつも言ってますよね。」

「まあね。って、なのは。そんな顔で睨まないでよ。別にトキ君とったりしないから。」

「べ、別になのはは、睨んでなんかいません。」

「あらあら♪」

「トキ君も来たことだし、食べようじゃないか。」

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

「ふにゃ~。」

「なんだ、なのは。昨日はよく眠れなかったのか?」

「別に今日の事が楽しみで眠れなかったわけじゃないんだよ。あの後もみんなでお話したり、情報

 集めてたら寝るのが遅くなっただけなの。」

「一緒じゃないかそれ?」

「ちがうの。」

 

「そんなに凄いのかいSLOっていうゲームは?」

「凄いですよ、本当に自分の体を動かしている感覚でプレイ出来るんで、戦闘とか質の高いイメー

 ジトレーニングにもなります。」

「そうなのかい?それは、どれ程のモノか僕もやってみたいものだね。」

「士郎さんだったら例えレベル1でも高レベルのボス倒せそうですね。」

「はは、そういうのはある程度システムで管理されているんじゃないのかい?」

「SLOは、プレイヤーの身体能力を元にゲームのステータスで動作が補正されていくので、素で強

 い人なら、レベル1でもかなり動けるんです。(どういう仕組みか分からないけど)」

 

「だったらトキ君も、相当強いんでしょ?」

対人戦闘(PV)はやった事がないので分からないけど、苦戦する相手に遭遇した事はまだないかな。」

「そうなんだ。仮想現実か...とうとうそんな事が可能になったんだね。」

「お姉ちゃん、なんだか年寄臭いの。」

「なんだと~。そんな事言うのはこの口かぁ。」

「にゃ~~!!」

「元気なのはいいけど、2人とも、もう少し静かに食べましょうね(黒笑)」

 

「「イエス、マム!!」」

 

 こうして、高町家で楽しい朝食を終え、待ち合わせの時間までなのはの部屋で時間を潰した。ヘ

ッドギアは持ってきているので家に戻る必要はない。ベッドの上に寝転んだ時に、なのはが騒がし

ったが、どうかしたんだろうか。ベットの下にBL本でも隠してあったのか?大丈夫、お兄さんはた

とえなのはがBL好きでも自分かネタにされなければ受け入れるからな。

 

 

「...刻也さん、そろそろ時間なの。」

「ん?もう8時30分か。それじゃあ、行くか。」

「それじゃあ、はい!」

 

 そういって、なのはは右手を差し出してきた。本当にこういう所は変わらない。俺は差し出され

た手を取りテスタロッサ家へ向かった。ご近所様から微笑ましい視線を向けられるがもう慣れた。

 

 

 

 

 

現在時刻は8時50分。俺達はテスタロッサ邸に到着した。

 

 ピンポーン!

 

「はーい。すぐ開けるね!みんな、刻也となのは、やっと来たよ。」

 

 インターホンに出たのはアリシアだ。聞いたか限り俺達以外すでに来ていた様だ。10分前に着

いたんだが、一体どれくらい前に来ていたんだろうか。

 

 ガチャッ!

 

「遅いよ。もうみんな来てるよ。」

「「お邪魔します。」」

 

「あら、あなたが刻也君?昨日電話越しで話をしたけれど、直接会うのは初めてね。プレシア・

 テスタロッサよ。」

「鏡 刻也です。すみません、ご在宅なら手土産の1つでも持ってきたんですけど。」

「気にしなくて良いわ。貴方を含めて説明しないといけない事があるから居るだけで、終わったら

 会社に行くから。」

 

 リビングに入るとプレシアさんが待ち構えていた。他の面子は各々ヘッドギアを見ている。早く

やりたいんだろうな。俺も当日はそうだったから気持ちは分かる。

 

「これで全員揃ったわね。私からあなた達にSLOを渡す前に伝える事があります。いくら私でも理

 由もなく6人分の機材とアカウントを用意するのは不可能です。なので、みんなには今後、導入

 する予定のシステムの先行試験者という、名目でポストを用意しました。」

「それってどんなシステムなん?」

「昨日も言ったのだけど、今後もプレイヤーは増えて行くのだけれど、みなが単純にゲームを楽し

 む事を目的にするわけではないの。その被害を少しでも減らすためのシステムよ。一定年齢以下

 の子がプレイするには保護者に設定したプレイヤーが同伴していないとログインすら出来ないっ

 ていうモノよ。まあ、事前登録で年齢を偽ることも出来るから完璧ではないのだけれど、その際

 はこちらは何があろうが一切責任は負わないって条約にも載せるから、自己責任になるわね。」

 

「そこまでやる必要なるの?」

「心配する親がいるのよ。私とかね。」

「なるほどね。私のパパも昨日、この事言ったらとても心配されたわ。刻也と一緒って言ったら納

 得したけどね。」

「そういう事よ。保護者に設定出来るプレイヤーの条件はまだ詰めていないのだけれど、18歳以

 上である事が最低条件ね。今回は例外だけど...まあ、その辺の話は私達の問題になってくるか

 ら気にしなくて良いわ。」

 

「それで、私達はどうなるの?」

「そうね、さっきも言った様に刻也君がログインしていないとあなた達もログイン出来ないわ。次

 に、あなた達にフレンド登録するには刻也君の許可が必要になるの。刻也君にはその見極めをし

 て貰う事になるわ。後は、プレイヤー狩りの被害に合わないようにPK無効設定が出来るわ。」

 

「刻也さんに負担掛けるだけじゃない?」

「確かにそうだよね。」

「そう言われると思っていたわ。私達も保護者になったプレイヤーにも何か恩恵を与えようと考え

 ているのだけれど、なかなか決まらなくてね。それで仮ではあるのだけれど刻也君には、称号を

 与える事にしました。」

「称号ですか?」

「そうよ。所有効果は保護下のプレイヤーが戦場にいる場合に、ステータスが上昇するっていう凡

 庸なモノで悪いのだけれど。」

「別に構いません。貰えるだけ有り難いです。」

「そう。これにならなくても、称号を消す事はないから、それは約束するわ。っと、私が伝えたか

 ったこんな所ね。それじゃあ、刻也君のヘッドギアを貸してもらえるかしら?バージョン上げる

 だけだからすぐ終わるわ。」

 

「はい、これです。」

「ありがとう。ってあら?」

「どうかしたのお母さん。」

「刻也くん。あなたSLOでの名前ってもしかして"クロノス"なのかしら?」

「そうですけど...見て分かるものなんですか?」

「このヘッドギアのナンバーは私達がクロノスというプレイヤーに贈ったモノなのよ。」

「そうなの?」

「確かに、俺は開発元からSLOを送って貰ったけど...。」

 

「やっぱりそうなのね。あの動きをしていたプレイヤーが娘と知り合いだったなんて...。」

「刻也さん、何かしたの?」

「β版のテスターをやっていた。」

 

「「「「「えー!!!!!」」」」」

 

「なんで黙っての!」

「別に言ってまわる程の事じゃないと思ったから?」

「それはちゃうで。βテスターは1000人しか選ばれてへんねんで!応募者何十万人もおったの

 にその反応はズレとるで。」

「それに、刻也さんいつも通り過ごしてましたよね?」

「そうだな。」

「そうだな...って、刻也あんた。」

 

「それよりも、刻也はそこでなにやらかしたの?」

「別に普通に、敵倒したりアイテム作ったりしていただけだぞ。」

「っで、本当の所どうなの、お母さん。」

「そうね...確かに刻也君が言っている事に間違いはないのだけど......。」

「けど?」

「その内容が私達の想定外だったのよね。大型レイド級っていってもフェイトは分からないわね。

 私達が20人位で戦う事を前提に用意した相手に、刻也君は使役するモンスターはいたのだけれ

 ど実質1人で倒したのよ。それも1回も攻撃に当たることなくね。」

「うわぁ。」

「刻也さん、お父さんに言ってた事を自分でやってるの。」

「俺はレベル1で挑んだわけじゃないぞ。」

 

「「「「「「そういう問題じゃない(の)(よ)(で)(です)(から)!!」」」」」」

 

「明らかに刻也君のステータスで動けるスピードじゃなかったから、不正してるんじゃないかって

 話題になってね、ログ漁ったり色々調べたのだけれど一切不正の痕跡はなかったのよ。」

「刻也さんが不正なんてするわけないよ。お母さん、それが刻也さんの実力なんだよ。」

「そうね。そんな事もあって少しの間監視していたのだれど、その間も設定上、どれだけ数値を上

 げても成功率が5%に満たないアイテムを1度で作ってしまったり色々あったのよ。」

「刻也さん、凄いんだね。」

「そうだったのか...。」

「って、なんで本人が知らないのよ!」

「いや、アイテムの成功率って見れないんだよ。自分で演算して大体の数値は算出出来たけど、上

 限が設定されていたとか知るわけがない。ソロだったし。」

 

「そうなのよね。他のプレイヤーよりプレイ時間は短いし、ソロで活動しているはずなのに攻略の

 スピードがありえないくらい早かったのよね。それでこっちも次第にプレイヤー"クロノス"のプ

 レイを見る事が楽しくなってきちゃってね。是非とも正規版もプレイして欲しいって事になって

 シリアルナンバー入りの特性仕様のヘッドギアを送る事にしたのよ。」

「このヘッドギア特注品だったのか。」

「えっ?そこに食いつくの?」

「まあ、刻也はゲーム内でも刻也だったって事よ。」

「現実の刻也さんを知ってる私達にしてみれば、"らしい"って思えちゃうね。」

 

「あらあら、現実でもそんな感じなのね。今度じっくり観察してみたいわ。」

「それなら、今度の休日に一緒に翠屋に行いこうよ。」

「そこで働いている刻也さん、凄いんだよお母さん。」

「そうねぇ。なんとしてもお休みを貰いましょう。」

 

 そんなやり取りをしていたら、プレシアさんの作業が終了していた。

 

「これで準備が整ったわね。それじゃあ、私は行くから、あとは思う存分楽しみなさい。」

 

「「「「「「は~い!」」」」」」

 

 

 そして、プレシアさんを見送った俺達はSLOを起動した。

 




可笑しい、家を出る段階ですでに2800字を超えていた!
もう、ここで区切っても良いんじゃないか?と思ってしまった作者です。

そして、明かされたβ時代の刻也君行動の一端。
クロノスは髪型と髪色を変えているので印象も変わり、プレシアさんは刻也を見ても気付きません
でした。

次回でようやく舞台が整うかな?もしかしたらもう1話挟む事になるかもしれないけど。
やりたい事がたくさんあるので、早くそこに行けるようにしたいです。


※今回もスキル説明はありません。
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