とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

前回、相棒について語ってしまいましたが、今回の相棒は"冠城亘"法務省のキャリア官僚という発
表が出ましたね。妄想は大外れという結果になってしまいました。早まった事をしてしまったもの
ですね。お恥ずかしい限りです。

前回のあらすじ。
学校での生活はいつもと変わらないようで、何事もなく放課後を迎えた。今後、神咲生徒会長と小
恋はどう絡んでいくのか!?(完)



第15話   6月15日 月曜日②

 スタート地点は翠屋SLO支店。まあ拠点だ。保護下組は当たり前だが姫とチワワもどうやらま

だログインしていないようだ。確か、姫が弓道部でチワワが空手部だったか?きっとまだ、部活動

の時間なんだろう。

 その内誰かしらログインしてくるか...っと。とりあえず内装をちょっとずつ変えていくか。

 ロビーからエントランス、厨房はこのままで問題ないだろう。

 あと1階には、俺の個室と工房だけあればいいかな。それと庭への通用口か。調合用の薬草類の

育成エリアの立ち入りは俺の個室からしか行けない様にすれば問題ないだろう。

 階段は共有エリアが出来上がってから設置すれば、作業中に入って来る事はないだろうしな。

 それじゃあ、早速取り掛かるか。外観の変更はないからな、増築の処理はオートで任せるとしよ

う。えっと、材料は必要なしで費用が10万エリーか。高いがまあ出せない額じゃないし、必要な

事だから、出し惜しんでも仕方がない。

 それで、完成まで約30日。ログアウト中も処理は行われるから現実だと3,4日っといった所

か。オート生産だとこんなもんか。急いでる訳じゃないし問題ない。

 

 これで、増築はクリアした。あと今日中に個室の確立だけはしておきたい。1階にはまだ余って

いる領域が存在している。どうせまだ誰も来ていないしこの際だから、1階全体を一気に弄ってし

まうのも悪くないかもしれないな。

 一度、作成したエリアであれば、内装の変更は比較的容易である。1階の管理をするためのコン

ソールパネルを呼び出し改築していく。

 

 

 

 およそ2時間くらいだろうか。1階の改装はこの様な感じで終了した。

 

1階

                     庭

      ┌――――――――――戸―――――――――――――――――┐

    栽 |         | |             階段 |

    培 |   工房    | |           ―――――|

    エ |         | |            | 共 |

    リ |         | |  エントランス    戸 有 |

    ア |―戸―――――――| |            | 倉 |

      |         | |            | 庫 |

      戸   個室    | |            |   |

      |         | |         ┌戸―――――|

      |         | └――     ――|      |

      |―戸―――――――┘     ロビー   |  厨房  |

      |                     |      |

      └―――――――――――――玄関―――――――――――――┘

 

 幾分、個人スペースを多く取ってしまったが、これくらい許容してくれるだろう。現在、階段を

上っても途中で壁の様なモノに遮られて上がる事は出来ない。

 

「あれ~、なんか建物の中変わってない?」

「確かに、昨日はこんな所に壁なんてなかったよ。」

「早速、刻也さんが色々と手を加えたんじゃないかな?」

「十分ありえるで。向こうで数十分経ったらこっちは数時間経過しとる訳やしな。」

 

 タイミングが良いな。ちょうどなのは達が来たようだ。やり始めた、個室の模様替えを中断し、

声がしたロビーの方へと歩みを進める。

 

「あっ、刻也さん。まだここに居たんですね。」

「まあな。えっと4人だけか?」

「はい。アリサとすずかは習い事があるみたいで、2時間くらい遅れるって。」

「それでも来るんだな。」

「遅れは取りたくないみたいだよ。特にアリサが。」

 

「それより、刻也さんはもう増築を終わらせたの?」

「まだだな。1階の改装は終わったけど、2階の増築は金曜日まで掛かる。」

「それで、刻也はここに居て大丈夫なの?」

「オート生産に任せてあるからな。後は時間経過を待つだけだから、何してても良いんだよ。」

「そうなんだ。」

 

「それで、今日は何をするつもりなんだ?」

「昨日話し合ってな、とりあえず全員揃ったら街に行って調理スキル取ろうって事にしたんや。」

「それに、街の何処に何があるのか、全部見て回った事がないから、その後に街の探索をしようっ

 て事になったの。」

「前もってどこでどうやれば良いのかは調べてあるから、後はクリアするだけだよ。」

「それって、アリシアも調理スキルを取るって事か?」

「当たり前でしょ。」

「そうだよな...。現実の腕前がそのまま出る訳じゃあないしな。まあ、頑張れ。」

「めっちゃ頑張る!」

 

 

「それで、アリサちゃん達が来るまで何しようか?」

「折角だし、この辺で一狩り行こうよ。」

「いいけど...。」

「刻也さん。この辺のモンスターってどの位の強さなの?」

「そうだな...レベルで言えば7,8位のが多くて4体出て来るかな。4人で組むなら、悪ノリし

 て無茶しなければ死に戻る事はないだろ。」

「だってさ、はやて。気を付けてよ。」

「それはこっちの台詞や。」

「でも、誘引スキルは、はやてしか持ってないから。」

「はやてちゃんの心掛け次第なの。」

「分かっとるよ。ウチかて死に戻りは勘弁や。」

「それじゃあ、決定だね。」

 

「あの...刻也さんは?」

「俺か?俺は自室の整理が残ってるからな。ここに残って作業してるから、2人が来たら連絡する

 よ。他にも色々とやる事があるから、しばらく戦闘はしないかな。」

「そうなんだ。」

「残念だね。」

「それじゃあ、刻也との差もどんどん縮めちゃおうか!」

「せやな。バンバンレベル上げてくでー!」

「「おぉーー!!」」

「お、おぉー!」

 

「それでは刻也さん、連絡お願いします。」

「おぅ。フェイトもここは、任せていってこい!」

「はい!いってきます。」

 

 

 なのは達を見送った俺は、再び自室に戻った。模様替えと言っても調度品は微々たるモノなので

ベッドの位置や、簡易キッチン・机や椅子、ソファーといった物の配置を考えるだけだ。

 構想を考えはじめ約30分。自室の整理も完了し一息入れる事にした。工房の方は、必要な機材

を生産するにせよ、購入するにせよ、本格的な物を用意するには資金や材料と言った物が不足して

いるので、少しずつ設備を整えていく事にする。

 

 自室に備えた簡易キッチンで紅茶を淹れ、ソファーに腰かけ香りを楽しんだ後に一口。ここまで

休みなく作業していたので非常に安らいだ。

 そしてようやく、ここまで姿を現さなかった久遠が恒例の如く現れ、肩まで登り身を寄せて甘え

てくる。だが今回はそれだけに止まらず.....。

 

「ちょっと...久遠。勝手に出て行っては..ダメ。」

 

 続くようにさくらも現れ、そのまま久遠を窘めている。そうか、お前も出来るんだな。条件は不

明だが、現在この2体に限り俺の呼びかけなしでも、自由に出て来る事が出来る。

 俺としては、この久遠の行動も慣れてしまったので咎めるつもりは全くない。

 

「これも、いつもの事だからなぁ。さくらも気にするな。」

 

 そう言って、紅茶を飲み干しさくらを宥める。久遠はそんな事を気にする素振りを見せず、今度

は膝の上に移動して丸くなっている。

 

(マスター)は...甘い。」

「そんな事はないさ。戦闘では無理させてる時もあるだろうから、非戦闘時くらい好きにさせて上

 げたいんだよ。」

 

 膝の上で寛いでいる久遠に、ストレージから取り出したブラシで毛並みを整えていく。ブラッシ

ングを受け、気持ちよさそうにしている久遠をさくらが羨ましそうに見ていたので。

 

「久遠が終わったら、次はさくらの番だからな。ちょっと待っててくれ。」

「良いの.....ですか?」

「さくらが嫌じゃなければな。」

「........お願いします。主。」

「くぅ~!。」

「悪い悪い。今は久遠の番だったな。」

「くぅ♪」

 

 それから20分くらい掛けて、久遠のブラッシングを続けた。そして、満足したのか久遠は自ら

膝の上から退き、さくらに場所を明け渡した。既にその位の事をするほど、久遠も認めていると言

う事なんだろう。

 さくらはその空いた膝の上に躊躇いながらも座り、消え失せそうな小さな声で「お願いします。

」と言った。さくらは小柄ながら人型なので最初はぎこちなくなってしまったが、淡いピンク色の

髪をそっと梳かす度に、ピクンと反応する獣耳でどこをどうすれば、さくらは気持ちいいのか把握

出来る様になっていった。

 余程気持ちが良かったのか、今はされるがままの状態で尻尾をブラッシングされている。髪ほど

敏感な反応は見せないが付け根当たりを刺激すると、甘美な声を漏らすさくらを久遠が不思議そう

に正面のテーブルに乗って眺めている。人型になった久遠も同じ様な反応をするのだろうか?

 それからしばらくの間、尻尾のブラッシングを続けたが、久遠と同じ様に20分くらいで終了し

た。

 

「あ、ありがひょう...ごじゃいましゅた。」

「くぅ~♪」

「おう。気に入ったんならまたやってやるからな。」

「はひぃ。」

 

 どこかまだ放心状態にあるさくらだがしばらく経てば元に戻るだろうと思い、折角なので空牙も

呼び出した。残念ながらクラスチェンジした事で多少大きくなってしまったので、膝の上に乗せる

事は出来なくなってしまったので、その場で伏せをさせてブラッシングをしていく。

 空牙は気持ちいい所を梳かすと尻尾がふりふりと動くので非常に分かりやすい。成長したあとも

そのスポットは変わらなかったようで、とても気持ちよさそうに受けている。

 

 

 空牙のブラッシングも終え、もう一度紅茶を入れ直しのんびりしていると、再びロビーで声が聞

こえた。もう、アリサとすずかが来たのか?聞いていたよりも大分早いんじゃないだろうか?

 とりあえず、久遠・空牙・さくらを連れてロビーへと向かう事にした。

 

「.....ね?やっぱり変わってるよ。」

「そうね。さっそく刻也が色々とやってるようね。」

「やっぱ刻也先輩の処理能力は可笑しい。...昨日の今日でこんな大きく変わるなんて。」

 

 そこには、アリサとすずかに加え姫も一緒にいた。たまたま時間が一致したのか...なんて事は

この際どうでもよく、お姫様は好き勝手に言ってくれているみたいじゃないか。

 

「どうも、処理能力が可笑しい刻也先輩だ。」

「うっ..。聞いていたんですか刻也先輩。ていうか居たんですね。」

「こんばんわ..でいいのかな?」

「なんでもいいんじゃない?そんな事より、見なさいすずか。銀狼よ!銀狼!!」

「あ..うん。カッコ良いね。怖いって感じもしないし。」

「それよりも、毛並みよ。なにあの透き通った感じ。それにすっごく柔らかそうだわ。」

「そ、そうだね。」

「もう、ちゃんと見なさいよ。あれは光の加減かしら?キラキラしてすっごく綺麗じゃない。現実

 じゃ見れないわよ!こんな子。」

「とりあえず、アリサちゃんは放置して話を進めましょう。」

「あぁ。」

「そうした方が良さそうね。ていうか、あの子..あんな一面も合ったのね。」

 

 姫を弄ろうと嫌味っぽく声を掛けたのだが、アリサの暴走でそれどころではなくなってしまっ

た。とりあえず、落ち着くまで空牙には犠牲になってもらい、俺達は話を続ける事にした。

 

「すずか達は聞いていたより大分早く来たみたいだな。」

「はい。習い事っていっても、もう課題さへクリアしてしまえば終われるので。」

「速攻で終わらせて帰宅してきたのか。」

「それでも普段は課題が終わった後に先生と話をしたりするんですよ。今日はそのまま帰らせて頂

 きましたけど。」

「そうか。それじゃあ、なのは達に連絡入れとくか。」

「そういえば、先に来てるんでしたよね?」

「あぁ。すずか達が来るまでは、この周辺のモンスターを狩りに行くって言って出ていったぞ。」

「そうですか。」

「―――これでよしっと。しばらくすれば、戻って来るだろ。」

「はい、それまでにアリサちゃんも、元に戻れば良いけど。」

「そうだな。」

 

「それで?姫は今日1人なのか。」

「スバルはまだ部活やってるので。私の部活はナイター設備ないので日が暮れる前に終わるんで

 す。もうすぐで引退だっていうのに。」

「ティアナさん達は何の部活をやってるんですか?」

「えっと、私が弓道部でスバルが空手部ね。」

「あっ、だから設備がないと練習も出来なくなるんですね。」

「そうなのよ。まったく何で導入しないのかしら。」

 

 その後は、なのは達が戻って来るまで、3人で雑談しながら時間を潰していた。途中で元に戻っ

たアリサも雑談に加わり、反対にどこかぐったりして戻って来た空牙はさくらが様子を見ている。

 それから幾分かしない内になのはとフェイトがアリシアを両側で挟み腕を引っ張りながら戻って

きた。物足りないとごねた所を2人に連れてこられたといった所だな。

 しかし、はやてはどうしたのだろうか?一人だけ残るなんて事はないだろうし、まさか死に戻っ

たのか?と心配していたのだが、少し遅れて駆け込んできた。

 

「なんやねん、あの蜂。ごっつう仲間呼んで自爆特攻してきよったで。」

「だから言ったの。敵対してない相手に攻撃するのは止めようって。」

「だって、もっと戦いたかったんだもん。」

「姉さんはしっかり反省しないとダメだよ。はやてが囮になってくれなかったら死に戻っていたか

 も知れないんだから。」

「うぅ~。ごめんなさい。」

 

 話を聞く限り、この森に生息しているハニービーに攻撃してしまったらしいな。

 ハニービーとは名前から分かる様に蜜蜂である。分類上、モンスターなのだが敵対せずに甘い物

や花などを近くに置いていくと、隠しパラメーターの友好値が上昇する。

 その友好値が一定以上になると、今度は蜂蜜をくれる様になるのだが、そうなる前に一度でも攻

撃していまうとハニービーに敵と認識されてしまい、プレイヤーからは殺戮部隊と呼ばれているハ

ニービー・決死隊が次々に集まりプレイヤーを襲ってくる。

 敵対認識は1日経過すれば解除されるのだが、それまでに友好値を上げていた場合、0から再ス

タートになってしまう。

 今回はアリシアが攻撃してしまい、PTを組んでいた他のメンバーも敵と認識されてしまったん

だな。もう遅いが、伝えておくべき事だったかもしれない。

 

「そういう敵がいるんだったら教えて欲しかったよ。」

「でも、1日経てば良いみたいだし。」

「今日はもう街で過ごすの。」

「なんにせよ、ここがあって助かったで。」

 

「抜け駆けしようとした、あんた達に天罰でも下ったんじゃないかしら?」

「まあまあ、アリサちゃん。なのはちゃん達も大変な目に合ったんだし。」

「まあ、全員無事で良かったわね。」

「ハニービーの大群なんて私でも下手すればやられるもの。あれは敵対するモノじゃないわよ。」

「ほんまに...危ないところやったんやな。」

「いや~、危機一髪ってやつだね。」

「姉さんはそれに突撃しようとしてたんだよ。」

「えへへ。」

「無知って恐ろしいわね。改めて情報の大切さが分かったわ。」

 

 

 その後、落ち着きを取り戻し、エントランスまで戻って来た。チワワ以外の全員がいるので、新

しく設置した共有倉庫について説明するためだ。

 

 共有倉庫とは、そこに在籍しているメンバーが手に入れたアイテムをひとまとめに管理出来る倉

庫である。つまり取引不可のアイテムでも、倉庫への預け入れが可能であればメンバー間での貸し

借りは可能になる。これが最大のメリットかもしれない。まだギルドを作ったわけではないので、

今は俺個人の倉庫となっている事までを伝えた。

 

「つまり私達も使える様になったら、転移の杖みたいなアイテムも共有化出来るって事ね。」

「そうだ。それと素材なんかを入れてくれれば、そこから俺がアイテムを作れる。」

「いちいち取引をする手間も省けるんですね。」

「その通りだ。まあ、素材なんかは換金も出来るからな、手に余るモノとか必要ないモノでも入れ

 ておけばいいさ。」

「確かに信頼のおけるメンバー間でなら有効ね。」

「一応、濫用を防ぐ意味で、アイテムを取り出した際は共有しているメンバー全員にインフォが届

 く様に設定してあるからな。その設定を弄れるのは俺だけだから、まあ不自然にアイテムが減っ

 ていれば俺を疑うといいさ。」

「いえ、刻也先輩の事はそんな事しないって信用してますから。私は今後もしメンバーが増えた場

 合の心配をしていただけなので。」

「分かってるさ。俺もその時の為に付け足した機能だしな。」

 

 

 説明を終えると、なのは達は当初の予定通り街に行くための準備をしている。転移で送って行っ

ても良いと言ったのだが、自分達で歩いて回るのが目的だから断られてしまった。

 確かに最初から便利なモノに頼るのは良くないよな、と納得しさっきの様なトラブルでも発生し

たら伝えるようにとだけ念入りに伝え退散した。

 姫も同行...する事はなくチワワが来るまでここに滞在するらしく、今は厨房でご飯を作ってい

る。そういえば、前回食事を摂らずに落ちたから空腹値が下がったままだったな。

 

 個室に戻るのも面倒なので、ここエントランスホールのソファーに腰掛け、今度は前回大量に取

得したスキルポイントの使い道を考えようと思う。

 

 とっ...その前に空牙の姿が見えないのだが?

 

「あの子なら...精神力が減っていたから還しました。」

 

 マジか。精神力ってMPじゃなかったのか?空牙の精神力は吐息(ブレス)を使う以外減る要素がないのだ

が...。アリサのやつ、精神攻撃出来るようになったのか!?

 それ以前に、さくらは召喚士でもないのに還す事が出来るのか!?ダメだ。訳の分からない事が

多すぎる...。

 

 そうだ!今はスキルポイントの使い道の事だけを考える事にしよう!そうしよう!!

 

 だがその前に、今もさくらは斜め後ろの位置で控えていたのでもっと楽にする様に伝えた。主従

関係は結んだがメイドさんと契約した訳ではない。今の俺とさくらは、忍さんとノエルさん、すず

かとファリンと似た様な関係に近いと思う。

 指示に従い隣のソファーへと座ったが.....これはどこかでさくらの認識を変えなければならな

いと決意した。主従という関係を結んだが、それ以前に対等な仲間なんだよ俺達は...。

 

 

 

 

 

 さて、スキルポイントだが、召喚士と盗賊のレベルがそれぞれ8上がり、元々あったポイントと

合計され現在35ポイント所有している。

 1つのスキルに消費されるポイントは今分かっている限りでは2~10。単純に消費ポイントが

大きいモノほど強力なスキルとされているわけだが、それが自分に必要かどうかが重要になる。

 

 武器スキルは前から欲しいと思っていた槍は取っても良いだろう。余り多く取っても戦闘中に武

器変更する事は隙が大きくなるのでやらないだろうし、使い分けも面倒なのでとってあと1、2種

類だな。それは、必要だと感じた時で良いだろう。

 槍スキルは4ポイント消費なので、残りは31ポイント。使い切る必要はないし、なんかの為に

5ポイントは残しておきたいから、実質使えるのはあと26ポイントになる

 

 魔法は現在取れる範囲では火魔法のみ。現在取得しているスキルのレベルが上がれば派生し選択

肢は広がるので、魔法スキルは現状維持で構わないだろう。

 

 残すはその他に分類されるスキルなのだが、ここが問題だ。何せ数も種類も多い。その中で前か

ら目を付けていたのは、並列思考(マルチタスク)と精密操作。

 並列思考はレベルが高くなれば同時に発動出来る魔法の数が増えていくというスキル。既になの

はと姫が所有している。同系統のすずかも早い段階で取ると思う。必要ポイントは5。

 続いて精密操作だが、武器の取扱が上手くなったり、アリサ達の前でやって見せた魔力操作がや

り易くなったりと幅広く影響を与えるスキル。全貌はまだ明らかではないが、解体スキルの精度も

上がるという話もある。必要ポイントは8とかなり重たいが強力なスキルなのは間違いない。

 この2つで残りは13ポイントになってしまうが、貯め込んである状態でなければ取れないのは

間違いない。さて、どうしたものか。

 

「ごめーん、ティア。帰りに後輩達とご飯食べてたら遅くなっちゃった。」

「いいわ。それくらいいつもの事だし。」

「えへへ、ありがと。それで?みんなは?」

「刻也先輩以外なら、街の探索と調理スキルを取りに出かけたわ。で、先輩はあそこでずっとウィ

 ンドウと睨めっこしてるわよ。」

「あっ、ホントだ。先輩、お疲れ様です。」

「.....ん?おう。お疲れ。」

 

 あぁ、もう。迷うくらいなら取ってしまえ!ポイントはまたレベルを上げればいいだけだ。

 そういえば、チワワの声がして無意識に返事をしてしまったが、もうそんな時間が経っているの

か?声の発生源を見ると、すでにチワワは姫が用意したと思われる料理を口にしていた。食事中は

無口になるのがチワワの特性なので、今声を掛けても仕方ないか。

 

 現実の時刻を確認すると既に21時40分になっていた。どんだけ考え込んでいたんだ。幸い、

なのは達からのメッセージは来ていないので問題は起きてなさそうだ。隣のソファーでは久遠とさ

くらが一緒になって眠っている...うん、和む。

 

 和んだところで、続きといこう。これで残りを13ポイント。保険を含めれば18ポイントなの

だが、とりあえず耐性スキルは数も多く総じてコストが高いので、今回は見送る。

 状態異常攻撃をしてくる敵は増えてきているが、今の所致命的なモノはない。混乱あたりが多発

するようなエリアが出てきたら、取っていけばいい。それに装飾品でも防ぐ事は可能だ。

 

 次の候補はステータス強化系。全部で8つ(不倒/強心/怪力/強靭/明晰/抗体/身軽/器用)。それ

ぞれが対応したステータスを上昇させる。戦闘を繰り返せばレベルが上がり、効果も大きくなって

いく。不倒・強心は7ポイント。それ以外は5ポイントで取得出来る。

 この中での有力候補は攻撃力が上昇する、怪力と明晰だ。不倒・強心はボーナスを振り切れない

生命力や精神力を強化出来るが7ポイントは正直重たいし、別に困っていないのでほっといて良い

。ステータスを重要視するプレイヤーなら、これらのスキルは早期に取得した方が良いのだろう。

 

 あと今後必要になるであろうスキルは、熱帯地域や火山地帯で役立つ防暑。雪原雪山地帯で役立

つ防寒。といった、戦闘外で活躍するスキルもある訳だが。

 

「先輩。アタシ達も出かけてきます。」

「..おぅ。気を付けてな。」

「刻也先輩も無理はしないで下さいね。次の日には増築も完成してるなんて事になったら私達が混

 乱しますから。」

「そっちは今オート生産中だからな。有りえないな。」

「そうですか。良かったです。」

「それじゃあ、先輩。いってきます!」

「いってきます。」

「いってらっしゃい。」

 

 姫達を見送りエントランスまで戻って来た。いい加減に残りポイントの使い道を決めてしまわな

いとな。欲しいスキルがある場合はそこに向かってポイントを溜めるだけなのだが、一度に大量に

取得するとこうも使い道に困るとは思わなかった。

 先に並べた候補以外で今必要だと思うモノは、栽培と採取。栽培は作物の成長速度と取れる品質

を向上させるスキル。採取は作物類の収穫量を増やし、稀に収穫時にワンランク上の作物へと変化

させるスキルだ。栽培エリアの薬草類の質の向上には是非とも欲しいスキルである。必要なポイン

トはどちらも3なので、取ろうと思えば今後も比較的容易に習得出来る案件でもある。

 後、今取るとするなら魔力運用術くらいだろうか。召喚時の精神力の消費量も軽減されるので、

取得しておくだけでも恩恵は大きいだろう。必要なポイントは6。効力と比較しても割の良い消費

量だと思う。

 

 

『フレンド登録者からメッセージが1件届きました。』

 

 

 ん?

 

 送信者はなのはか。なんか問題でも起きたのだろうか?急いでメッセージを確認する。

 

 送られてきた内容は、全員(アリシアも何とか)が調理スキルを取得出来た事の報告と、試しに作

ってみたという事でそれぞれが作った料理のスクショが添付されていた。

 トラブルではなかったようだ。送られてきたスクショに目を通すと、現段階でも見栄えにはそこ

そこ差が出ているが、どれも良く出来ていると思う。特にアリシアは先日の惨事が印象深く残って

いるので、真面な造形を保っているだけでも感動モノだった。

 

 最後に「今日は22時30分くらいに街でログアウトします。お疲れ様でした。」という一文で

メッセージは終了していた。

 

 俺は個別に料理に対するコメントと労いの言葉を送り思案を再開した。。その後、しばらく悩ん

だが結局、筋力値を上昇させる怪力と魔力運用術の2つだけ取得した。他のスキルは必要に応じて

取得していく方針でいく事に決めた。現在7ポイントを残しているので何とかなるだろ。

 

 

 現実の時刻は既に22時40分。もうなのは達はログアウトしているだろう。今から試運転に行

っても良いが、明日の生活に影響を与えてしまうかもしれない。本当は召喚モンスターの枠も埋め

て起きたかったのだが、今日はここまでにしよう。

 まだ、ログインしているか分からないが、姫とチワワにログアウトするという事とやっているな

ら、現実に影響を与えない程度に、という事を添えてメッセージを送り、俺はログアウトした。

 

 

『クロノス様がログアウトしました。』

 

 




如何でしたか?

どうなんでしょうか?獣耳の女の子にブラッシングをするのはセーフ?それともアウト?セウトな
んて言葉もありましたね。

綺堂さくらっというよりは、鳥居花音さんですが、とらハシリーズだとゆうひさんとか晶ちゃんな
んかも演じられていたんですよね。あと他のメーカーだとD.C.の音夢ちゃんの印象が強いです。
晶ちゃんは、どことなくスバルと被っている所があるので、登場はしないと思いますが、ゆうひさ
んはどこかしらで書きたい人物の一人です。
晶繋がりでレンちゃんも、某SSで格闘ゲームだったらはやてとレンは色違いの同キャラという表現
がありまして、今もそれが頭から離れずはやて=レンの構図になっているのでレンちゃんも登場し
ないと思います。
レンちゃん&晶ちゃん好きの読者様がいたらこの場でお詫び申し上げます。ごめんなさい。

次回は学校パート無しでSLOからスタートかな?ちょびっと冒頭で語るかもしれませんが、こっ
ちメインでお送りします。

※今回のステータス更新者

【PN】クロノス【性別】男【種族】人族 Lv.19
【職業】召喚士(サモナー) Lv.10 / 盗賊(シーフ) Lv.10
生命力(HP)】 74 / 74
精神力(MP)】 125 / 125
筋力値(ATK)】 25
耐久力(DEF)】 15
知力値(INT)】 29
抵抗力(MDF)】 23
敏捷値(AGI)】 34
器用度(DEX)】 27
【所有スキル】残りSP 35 ⇒ 7
 ★短剣 Lv.19 槍 Lv.1(New!) 投擲 Lv.8 蹴技 Lv.14
 召喚魔法 Lv.22 水魔法 Lv.11 土魔法 Lv.11 風魔法 Lv.14 光魔法 Lv.10 闇魔法 Lv.13
 戦闘指揮 Lv.14 魔力運用術 Lv.1(New!) 並列思考 Lv.1(New!) 識別 Lv.17 ★索敵 Lv.17
 ★気配遮断 Lv.16 ★危険察知 Lv.9 精密操作 Lv.1(New!) 連携 Lv.12 回避 Lv.19
 怪力 Lv.1(New!) 鑑定 Lv.13 騎乗 Lv.6 解体 Lv.14 採掘 Lv.11
 錬金術 Lv.58 鍛冶 Lv.52 服飾 Lv.51 装飾 Lv.51 調合 Lv.56
 彫刻 Lv.54 調理 Lv.62 建築 Lv.75
【獲得称号】
 神の手(ゴッドハンド) 娘達の守護者(ガーディアン) 召喚士の心得 盗賊の証
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