とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

連日の冷え込んだ環境に順応出来ずに体調を崩し、頭痛が半端ないです。まだ喉が炎症起こした方
がましです。頭痛のせいで全く集中力が続きません。

ネタも思い浮かばないので前回のあらすじ。
エリオとキャロがギルドメンバーに加入。レイヴンのお披露目もあったよ。でも、まだ未実装のス
キルで作った武器だからみんなの分はまた今度ね。(完)



第27話   6月20日 土曜日①

 今週も朝早くから閑静な住宅街のとある家の敷地から木と木がぶつかり合う音が響いていた。言

わずもがなその家の表札には高町と書かれている。

 

「――そう言えば美由希さん。」

「なに?」

「昨日、小恋たちが来た事―――なのはに話しましたよね?」

「話したよ。――トキくんが小恋ちゃん達と仲良さそう――っに、学校でも過ごしてるみたいだっ

 て。試合内容とか――っは、話してないけどっね!」

「―っと。その事でなのはが少々不機嫌になってまして、ちょっと余計な手間が掛かったんですけ

 ど!」

「それ――って、私のせい――だけじゃ!――ないよ―――っね!」

「どう話したかは知りません――っが、言い方次第ではどうにかなったんじゃないです―っか!」

「もし――かして。それ――っで、今日のトキくん―――っは、こんなに容赦なく――打って来て

 るのかな!」

「それは――ご想像にお任せします。」

「ぜ――ったい、そうだ――よね!いつもより、激しいもん!」

「それなら早く沈んで下さい。」

 

―――御神流奥義之伍"花菱"。

 

「えっ!ちょっと待って、いきなり奥義打つのは無しだよ!」

 

 花菱は相手に攻撃の隙を与えず、そのまま切り崩す。御神流で最も手数が多い連続斬りで本日の

一本目を早々に取った。

 

 

「トキ君は今週も鍛錬を怠っていなかったみたいだね。一週間前よりもキレが増しているよ。」

「ありがとうございます。」

「昨日の事は、僕も美由希から聞いている。霊気というモノを習うそうだね。」

「はい。素養があるみたいなので、挑戦してみたいと思ってます。」

「その意気込みは僕も良いと思う。恭也を連れて全国を回った時に神咲流の使い手も見たんだが、

 どうやら一刀流の方だったみたいだね。まだまだ僕も知らない事が沢山あるみたいだ。」

「痛てて...。お父さんその話したら、僕も結婚してなかったらな...って呟いちゃって、お母さん

 にその後連れていかれちゃったんだよね。」

「という訳だから。トキ君。身に付けたら必ず僕と模擬戦しよう。もちろん霊気を使った全力で頼

 むよ。」

「は、はい...。」

 

「それにしても、今回はあっさり美由紀も落ちたな。」

「昨日も思ったんだけど、トキ君の動きのキレが全然違ったんだよね。」

「もし、ゲームの経験がここで活かされていると見ると、ますます楽しみになっていくね。もう、

 ドラゴンの一匹でも倒しているんじゃないかい?」

「まだ見たこともありませんよ。精々、人狼吸血鬼(さくら)巨大(ジャイアント・)蜘蛛(スパイダー)が良い所です。」

「そういうのを聞くと、ファンタジーな世界だよね。」

「なんにせよ、トキ君がどこまで強くなるのか僕は楽しみだよ。」

 

「それじゃあ、2本目を始めようか。今度は美由紀も善戦して欲しいね。」

「もちろん。」

「今日は遠慮とかしないんで、最初からマジで行きます!」

「うん。良い気迫だ。それじゃあ、始め!」

 

 この朝の鍛錬は、なのはが朝食の準備が出来たと告げに来るまで続けられた。自分ではそこまで

変化がったのか分からなかったが、先週よりも有利に進められる展開が多かったので、本当に強く

なっているのかもしれない。

 

 

 

 そして場所は変わり、鍛錬を終えた俺は高町家の食卓で朝食を頂いている。

 

「あのね、トキ君。今後のお店の事なんだけどね。しばらくの間、新しい人が入る事になったの。

 それで、これまでは時間とかも決めずに手伝ってもらってたけど、これからは14時まで手伝っ

 てくれれば良いわ。」

「それは俺やなのはに配慮してって事ですか?」

「それはちょっと違うよ。実はね、僕の海外にいる知り合いの娘さんがね療養為に日本に来る事に

 なってね。家で面倒を見る事になったんだ。それで、その娘さんがタダでお世話になるのは申し

 訳がないと言ってくれてね、お店を手伝ってもらう事にしたんだ。」

「私もその話は今聞いたの。」

 

「そうなんですか。それでその人はいつ来るんですか?」

「今日の9時頃、空港に着くことになっているのよ。だからトキ君。迎えに行ってくれないかし

 ら?」

「また急ですね。俺は良いんですけど、俺が行って相手は分かるんですか?」

「それは問題ないわ。トキ君が迎えに行くことはもう、相手に伝えてあるから。写真も送ったから

 行けば向こうから声を掛けて来ると思うわ。」

「...まあ、良いですけどね。それじゃあ、士郎さんの二輪借りますよ。」

「構わないよ。いや、悪いね。本当なら僕が迎えに行くべきなんだけど。」

「店の準備がありますからね。士郎さんは抜けられないですよ。」

 

「なのはも授業がなかったら、ちゃんとお手伝いするのに!」

「今週は授業のある週だったか。私立なのに大変だな。」

「そういえば風芽丘ってずっと土日は休みだよね。こんな感じで思い出すなんて私も歳取ったな

 あ。」

 

「美由希は歳を感じる前に、良い人を見つけなさい。」

「そうだね。美由紀も身を固めないとあっという間にs「ワー!ワー!」になるぞ。」

「墓穴掘った...。私の事はいいの。その内良い人が現れるんだから。」

「そう言って、恭也お兄ちゃんが忍さんと結婚して8年くらい経つの。」

「ふふふ。私には何も聞こえない。」

 

「あらあら。この調子じゃなのはの方が先に結婚しそうね。」

「ふぇ!!」

「どこの馬の骨とも分からない奴になのはは任せられないけどね。少なくとも僕と恭也を倒して

 から、そう言った事は言ってもらわないと。」

「めちゃくちゃハードル高いですね。」

「というか、私の時と対応が全然違うんですけど。」

「美由紀はもういい年だからね。生き遅れてもらっては困る。」

 

「そうだ!トキ君。私とk「お・姉・ち・ゃ・ん」やっぱり何でもないです。地道に探します。」

 

 その後は意気消沈した美由希さんと、俺に含みのある視線を向けてニコニコしている桃子さんに

何か言いたげななのはと、それを見守っている士郎さんという状態のなか朝食を摂る事になった。

 そんな時間も過ぎ去り片づけを終え、なのはは学校へ、士郎さんと桃子さんは翠屋へ行った。美

由希さんは未だ意気消沈していたので放置し、俺は車庫へ向かい二輪の点検を行っている。

 これでも、普通二輪免許は持っているので、法律的にも問題はない。俺に二輪のメーカーなど詳

しい事は分からないが、士郎さんの所有しているこの二輪は多分良い奴だと思う。

 点検を終え、エンジンもちゃんと掛かる事を確認し終えた頃には、丁度出るにはいい時間だった

ので、そのままヘルメットを被り空港へと向かった。

 

 

 2,30分バイクで走ると目的地である空港に辿り着いた。時間は9時10分前。8時55分に

着陸する便があるので、おそらくこの便で来日してくるのだろう。

 俺は、やってくる士郎さんの知り合いの娘さんの情報を全く持っていないので、搭乗者から断定

する事は出来ないが、相手が少しでも分かる様に、ゲートの手前で待つことにした。

 

「貴方がシロウとモモコが言ってたトキヤ?」

 

 待つ事5分。無事に着陸した飛行機から降りて来た搭乗者の中でも、ひと際目を引くスタイル抜

群の金髪美人さんに声を掛けられた。

 つまりこの人が士郎さんの知り合いの娘さんという事か。ていうか年上だよな。それにどこかで

見た事があるような気がするんだが、海外の芸能人だったりするのだろうか?

 初対面で、じろじろと観察するのも失礼なので、とりあえず何か返さないとな。

 

「はい。士郎さんの代役で迎えに来た、鏡刻也と言います。長時間のフライトお疲れ様でした。」

「うん。態々ありがと。私はフィアッセ。トキヤの事はシロウとモモコから聞いてるよ♪」

「そう聞いてます。それにしても、日本語が上手なんですね。」

「向こうに日本の友達がいてね。そこ子に教えてもらったんだ。私の日本語変じゃないよね?」

「はい。綺麗な発音だと思います。」

「良かった。トキヤも写真で見たよりずっとカッコいいよ♪。」

「...えっと。ありがとうございます。」

「もしかして照れてる?」

「その...あまりフィアッセさんの様な方に直接言われる機会はなかったので。」

「私の様なって、それってどんな人?」

「......それは分かってて言ってますよね?聞いてくる雰囲気が桃子さんに似てました。」

「良いじゃない。トキヤの口から聞きたいな♪」

 

 この短時間でも、何となくフィアッセさんの事が分かった気がする。俺に近しい人で表すと、

フェイトに桃子さんの魔性が加わった感じだ。多分、俺はこの人には敵わない。それだけが、この

やり取りで分かってしまった。

 

「ねぇ、トキヤは言ってくれないの?」

「はぁ...。フィアッセさんの様な綺麗な人です。」

「ふふ、ありがとう♪」

「それじゃあ、行きましょうか。荷物が少ないですけど、受け取りはこれからですか?」

「ううん。事前にモモコからバイクで来るだろうからって聞いたから、必要なモノは宅配便で送っ

 てもらう事にしたの。」

「そうなんですか。それじゃあ、あっちに止めてあるので行きましょう。」

「はーい♪」

 

 そう言って、先導する俺の腕に自然と腕を絡めて来たフィアッセさん。正直恥ずかしいし、さっ

きから周りの人からの視線が半端ない。

 

「あ、あの...。」

「外国じゃあ、男性が女性をエスコートする時はこうするの♪」

「ここは日本...。逸れるといけないので、そうしていて下さい。」

「うん♪優しいね、トキヤは。」

「そんな事はないです。」

 

 俺の羞恥心よりも、この場を後にする事を優先した。それに何を言っても離すつもりはない事は

ないと分かってしまっているし。

 

 そのままの状態で二輪の所まで来たのだが、ここで俺は致命的なミスをした事が発覚した。俺が

運転するので、必然的にフィアッセさんは俺に密着する事になる。逆でも、それはそれで不味いの

だが、その動揺を悟られぬように、出来るだけ自然に振る舞う必要がある。

 

「俺が運転するので、フィアッセさんはしっかり掴まってて下さいね。あとこれがフィアッセさん

 のヘルメットです。それしてないと日本じゃ捕まるので。」

「はーい♪あっ、それと私の事はフィアッセって呼び捨てで呼んでほしいな。」

「それはお願いでしょうか?」

「うん。出来れば敬語もなしで♪」

「分かった。それじゃあ行きますよ。」

 

 行きよりも安全運転で、なるべく衝撃を与えない様に高町家へ向かう。背後からフィアッセに腰

回りに手を回され、背中には柔らかな感触があるが、今は運転に集中する。

 運転中も話しかけてくれるのだが、一々耳元まで近づいて囁かないで欲しい。ちゃんと聞こえて

いるし、その方が集中出来る。なんて事は直接言える訳がないので、耐えながら会話を続ける。

 

「さっき腕を組んだ時も思ったけど、トキヤって結構鍛えてるの?」

「まあ、小さい頃から士郎さんに鍛えてもらってるんで。そういった事は、士郎さんから聞いてな

 いの?」

「そうだね。シロウからは僕の代わりに頼りになる男の子を迎えに出すとしか聞いてなかったか

 な。モモコはミドリヤで私の次にデザートを作るのが上手で、料理も美味しい家の№1を送る

 わって、バトラーの格好をしたトキヤの写真が送られてきたわ。」

 

「俺は翠屋で働くホストですか?なんですか№1って。」

「バトラー姿も似合ってたよ。あれがミドリヤの制服なの?」

「それはどうもありがとうございます。あの服は俺用に用意されたやつなんで、制服とかじゃない

 です。士郎さんは普通にエプロン姿だし。そもそも俺と士郎さんしか男性定員はいないし。」

 

「そっか。それじゃあ、私もトキヤの料理が食べられるの?」

「まあ、土日の賄は俺が作らせてもらってるので食べられるんじゃない。」

「そっか、そっか。楽しみだな♪」

「言っとくけど、翠屋って結構人気店だから、初日だとそんな余裕なくなると思うぞ。」

「望むところだよ。お世話になるんだからそれくらいで、へこたれる訳にはいかないよ!」

 

「俺も聞いていい?」

「良いよ。スリーサイズ以外なら答えて上げる。」

「いや、女性にいきなりスリーサイズとか聞かないから。そんな感じに見えます?」

「冗談だよ。トキヤが聞きたいなら、スリーサイズも特別に答えて上げるよ♪」

「それで俺が本当に聞いたらどうするんですか?」

「えっとね...バストがky「本当に言わなくていいから!」トキヤの反応は面白いね。」

「ここまで、俺を翻弄する人は初めてだ。」

「私がトキヤの初めての人だね♪」

 

「もういい。着くまで大人しくしてて下さい。」

「怒っちゃった?ごめんね。ほら、なんでも答えるから。もちろん真面目に。」

「………。」

「...トキヤ?」

 

「アハハハッ!本気にした?まあちょっとした仕返しだ。」

「もぅ、本気かと思ったんだからね!」

「ちょっ。危ないんで引っ張らないで!」

「うるさい!それで、トキヤが聞きたい事ってなに?」

「フィアッセって海外で芸能活動とかしてたのかなって。」

「どうしてそう思ったの?」

「綺麗でスタイルも良いし、こうして会話して気付いたんだけど、どこかで聞いたような声してた

 から。歌手とかアイドルとかしてるのかなって。」

「...声か。」

「フィアッセ?」

「あっ、ごめん。うん、歌手活動を2年くらいしてたんだけどね、喉を傷めちゃって今は休業中な

 んだ。光の歌姫なんて呼ばれてたんだよ。」

 

「光の歌姫か...。もしかして、君よ優しい風になれって曲出してないか?」

「えっ!トキヤ聞いた事あるの?」

「歌とか詳しくないんだけどさ、友達が神曲見つけたって言って聞いた事があるんだ。その曲を

 歌ってるのが光の歌姫だって聞いたんだが。そうか、フィアッセだったのか。」

「それで、トキヤは聞いてどう感じたの?」

「優しい感じがして、自然と聞き入ってた。さっきも言ったけどあんまり音楽に詳しくないけど、

 心に響く歌ってこういう歌なんだなって思ったな。本人に直接言うのは恥ずかしいけどさ。」

「そっか...。ありがとう。トキヤ。」

 

 フィアッセがそう言うと、握りしめていた力が強まり、一段と密着する様になってしまった。

 

「ふふ。役得?」

「なっ!!」

「気付いてたよ?トキヤは必至で自然に振る舞おうとしてるけどね♪」

「勘弁してくれ......。」

「ごめんね。でもお願い。今はこうさせて。ずっと不安だったの。手紙でも優しい人達だって伝

 わったし、お父さんの知り合いで信頼出来るって聞いてたけど、それでも不安で怖かったの。」

「...落ちない様にしっかり掴まってて下さいよ。」

「ありがと。やっぱり優しいね。」

 

 その後は、会話はなかったが不思議と気まずい感じもなく、高町家に着くまで二輪のエンジン音

以外なにも聞こえないくらいの静寂な時間を過ごす事になった。

 

 

 

 

「着いた。ここが高町家。フィアッセがこれから住む所だな。」

「立派な家だね。あそこの建物はなに?」

「道場。土日は朝あそこで俺も鍛錬してるので、興味があるなら見に来るといいよ。」

「うん。絶対見に行くね。」

「士郎さんと桃子さんは翠屋で準備してるから、今は居ないんだけど部屋の場所とか聞いてる?」

「聞いてないよ?」

「それじゃあ、とりあえずリビングに今ある荷物を置いて翠屋に行こうか。」

「りょーかい♪」

 

「そういえば、宅配便は何時に届く事になってる?」

「明日の朝一だから9時くらいかな。」

「なら今日は気にしなくていいんだな。」

「そうだね。」

 

 無事に高町家に着いた俺達は借りた二輪を車庫に戻し、勝手知ったる他所の家。敷地の中を案内

してから、フィアッセの手荷物を置くため、家の中へ招き入れた。

 

「おかえり。トキ君の隣にいる人がお父さんの知り合いの娘さん?」

「只今戻りました。そうですよ。」

「フィアッセ・クリステラです。この度は受け入れて下さりありがとうございました。」

「ご丁寧に、高町美由希です。詳しい事は両親しか知らないので、また後で両親と一緒に話を聞か

 せて下さい。」

「わかりました。」

 

「………。」

「どうかしたの、トキヤ。」

「いや...。ちゃんと礼儀も身に付けてたんだなって。」

「トキヤは私の事をどう思っていたのよ。」

「フランクで人をからかうのが好きな綺麗な年上のお姉さん?」

「間違ってはないね。でも、私だってちゃんと日本の礼儀も学んだんだから、お世話になる人には

 ちゃんとしないと。」

「そうみたいだな。スゴイ、スゴイ。」

「それも仕返し?さっきまであんなに優しかったのに。」

「それはそれ。やられっぱなしは嫌だからな。」

 

「なんか既に打ち解けてるね。トキ君の女性を手懐ける手腕は恭ちゃん以上だよ。」

「失礼ですね。フィアッセは出会った時からこんな感じでしたよ。」

「それにしては、なんか雰囲気がね。フィアッセさん、トキ君より年上だよね?それなのに敬語も

 使ってないし、呼び捨てだし。」

「海外では当たり前なんじゃないんですか?俺はフィアッセの要望に応えただけですよ?」

「私からトキヤにお願いしたんです。出来ればミユキも敬語もさん付けも止めて下さい。」

 

「そういう事なら、徐々になくしていくけど。この後はどうするの?」

「フィアッセを連れて翠屋に行きますよ。」

「了解。私からお父さん達に連絡しておくね。フィアッセもこれからよろしく。」

「はい。これからよろしくお願いします。」

 

 朝のダメージから回復した様子の美由希さんと別れ、荷物を置いたフィアッセと共に今度は徒歩

で翠屋まで行く。

 

「ねぇ、トキヤ。ミユキって何をしてる人なの?」

「真由希さん?確か、国際警備員みたいな職だったはずだけど。香港に美由希さんの本当の母親が

 働いているんだけど、そこで一緒に仕事したり、こっちにいる時は要人警護なんかでたまに出か

 けるから。」

「モモコはミユキの本当の母親じゃないんだ。」

「複雑な事情があって士郎さんに預けたみたいだけど、俺が小学生の時に問題も解決したみたいで

 今じゃ、たまに美由希さんのお母さんもこっちに来て一緒に俺も鍛えてもらってるよ。」

 

「そうなんだ。じゃあ、ミユキの言ってたキョウちゃんっていうのは?」

「士郎さんの息子さんで、もう結婚して今はドイツで暮らしてる。旧姓は高町恭也で今は月村恭

 也。もう雫ちゃんっていう娘も産まれてる、一児の父親だよ。」

「そのキョウヤはモテてたの?」

「俺の知る限り3人の女性にアプローチされてたけど?」

「その一人がミユキ?」

「良く分かるな。正解だ。」

 

「トキヤもアプローチされてる女の子はいるの?」

「そんな特殊な女性はいない。」

「でも、ミユキは女性を手懐けるとか言ってたけど?」

「多分、妹のなのはとその友達の事を言ってるんだと思う。」

「トキヤには妹がいるの?」

「正確には妹分かな?俺も高校入るまで高町家でお世話になってたから。なのはって言うのは、正

 真正銘、士郎さんと桃子さんの間で出来た娘の事だよ。」

「そのナノハとその友達はトキヤにとってどういう存在なの?」

「さっきから、結構グイグイ来るな。まあ、護るべき対象で大切な友人だな。」

「そうなんだ。それでその子達は可愛いの?」

「まだ中学生なんだけど、他校にも姫だの天使だの聖女だの言われてるな。っと着いたな。ここが

 フィアッセが働く翠屋だ。中に士郎さんと桃子さんが居るはずだよ。」

 

 フィアッセの質問に答えている間に、いつの間にか翠屋まで着いたようだ。

 

「ここがミドリヤ。私の働く場所...。」

「まだ怖いのか?なんなら引っ張っていってやるけど?」

「大丈夫。でも、手を繋いで欲しいな♪」

 

 多少無理をしている感じがするし、さっきまでの調子も出てないので、素直にフィアッセの手を

取り2人で翠屋へ入っていった。

 

「おかえり刻也くん。フィアッセも良く来てくれたね。桃子!刻也君がフィアッセを連れてきてく

 れたよ。」

「は~い。いらっしゃいフィアッセちゃん。トキ君もお疲れ様。悪いけどトキ君は直ぐに着替えて

 厨房の方お願いね。フィアッセちゃんはこっちでサイズを測りましょうか...って、あらあら。

 2人とも、もう仲良くなったのね。どうだった、フィアッセちゃん。家の№1は?」

 

 俺達が手を繋いでいるのを見て、突拍子もなくそんな質問を投げかける桃子さん。フィアッセの

方は、開幕から捲し立てられて少々混乱した様子だ。

 まあ、出足を挫かれたようなもんだからな。道中あれだけ俺を翻弄したフィアッセでも桃子さん

には敵わないのか。それともまだ慣れてないだけなのか。

 とりあえず、助け船だけは出してから着替えに行こう。

 

「桃子さん。いきなりそんな事を聞いても混乱するだけですよ。道中でフィアッセに聞いたんです

 けど、なんですか?№1って。翠屋はホストクラブじゃないでしょ?」

 

「そうね。まずは慣れてもらわないとダメだったわね。ごめんなさいね。フィアッセちゃん。改め

 まして、翠屋のパティシエしてます。高町桃子です。」

「それでは僕も。翠屋のマスターをしている、高町士郎です。ようこそ高町家へ。僕達は君を歓迎

 するよ。」

「フィアッセ・クリステラです。この度は受け入れて下さりありがとうございました。ご迷惑を掛

 けると思いますが、これからよろしくお願いします。」

 

「それじゃあ、俺は着替えて厨房に入りますね。」

「ちょっと待って。本当は松下さんにフィアッセちゃんの事を任せようと思ってたんだけど、トキ

 君。お店にいる間はフィアッセちゃんに仕事を教えてあげてくれないかしら?」

「チーフじゃなくて俺ですか?指導経験なんてないですよ?」

「この土日だけでいいから、慣れるまでお願い出来ないかしら。トキ君はいつも通りの業務を熟し

 てくれるだけでいいから...ね?」

「なら14時で上がるのは早いですよね。16時までは続けますよ?」

「ありがとう。ごめんなさいね。朝言ったばかりなのに、無理言っちゃって。今週だけ16時まで

 お願いするわ。」

「悪いね。僕からなのはとその友達には説明するから。」

「態々すみません。助かります。」

 

「えっと...私は?」

「フィアッセちゃんは、今日と明日はトキ君について、翠屋の雰囲気だけでも慣れて頂戴。平日は

 後で紹介するけど松下さんっていう、指導のベテランさんがいるからその人に就いて学んでいっ

 て。その方が後々、フィアッセちゃんもやり易くなると思うから。」

「わかりました。ごめんね、トキヤ。私のために時間伸ばしちゃって。」

「気にしなくて良いぞ。元々16時くらいまで手伝ってたんだから。いつもと変わらないさ。」

「うん。ありがと♪」

 

「はいはい。それじゃあ、フィアッセちゃんはこっちで制服のサイズを測りましょうね。」

「は、はい!」

 

 そのままの勢いでフィアッセは桃子さんにスタッフルームの奥に連れられいかれた。それに続く

ように士郎さんも持ち場に戻ったので、俺もさくっと着替えて厨房で作業を開始した。

 

 その後に翠屋の制服に身を包んだフィアッセにしばらく見惚れてしまったが、男なら仕方のない

事だと思う。それほどまでに違和感がなく似合っていたのだから。

 

 

「(なのは...。不味いわよ。かなりの強敵が外国からやってきたらしいわ♪)

 私的には面白くなりそうだから、端からじっくり楽しませてもらうわね♪

 それにしても、トキ君って年上の女性が好きだったのかしら?」

 

 




如何でしたか?

士郎さんの事故がない事で、原作とは大分生い立ちが異なるフィアッセとなります。所々の設定な
どは一緒ですが、同姓同名のオリキャラ感覚で呼んだ方が違和感ないかもしれません。
フィアッセ相手に刻也のキャラが定まらないのは、慣れない年上女性にタメ口で対応しているから
だと思って下さい。徐々に改善されていくと思います。
という訳で、フィアッセのキャラ説明はオリキャラ設定のページに記述しようと思うので、気にな
る方はそちらをご覧下さい。次話投稿時に同じタイミングで更新します。

次回も、フィアッセ回が続きます。SLO編を楽しみに読んでくれている方はもうしばらくお待ち
下さい。

※今回はスキル説明&ステータス公表はありません。

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