とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~ 作:戯言紳士
今更ですが、レイヴン登場から〈〉←この括弧を使用しています。言わなくても分かっているとは
思いますが、これはデバイスの台詞に用いる事にしました。これで大分括弧の変換で選択できるモ
ノが出そろってきました。
環境依存文字はどこまで対応してるのでしょうか?まあ、これ以上は出ないと思いますが、ここの
プレビューで表示されれば、他の端末からでも正常に表示されていると思っていいのかな?
前回のあらすじ。
万能猫又メイドことリニスが登場。えっ!リニスが仲間になるんじゃないの?貴方のリニスは私で
はありません。(完)
リニスとの邂逅、別名猫又さんイベントが終わったのが、SLO時間で12時だった。つまり2
時間はリニスと戦っていたという事だ。
淡々と雑魚敵を倒しているよりも時間の経過が早かったな。
しかし、終了予定は14時と決めているし、猫又さんイベントで俺のモチベーションは回復した
ので、残り2時間も狩りを続ける。
続けるが、メンバーは変える。折角リニスが召喚できるようになったし、枠も2つ空いているの
で、空いている1枠に新しくリニスを迎え、2時間で出来る限り鍛える事にする。
よって、本日皆勤賞のさくらはリニスの教育係として継投確定。これでPTが2枠埋まるので、
残り1枠は、リニスとの戦闘で途中交代を許してしまった赤兎でいく。
この中で赤兎が一番戦う場所も相手も選ぶからな。戦える環境がある今の内になるべく鍛えてお
きたいのだ。
では、早速だがリニスを召喚する。この短期間で俺は何回リニスと言っているのだろうか?
召喚リストを開くと妖狐の下に猫又と表示されていた。そう言えば前々回辺りでさくらが久遠は
普通の妖狐と違うと言っていたが、あれはどういう意味だったのだろうか?
もしかしたら、久遠も本来は何かしらのイベントによって召喚可能になるモンスターだったのだ
ろうか?
さくらに聞こうにもかなりタイミングを逃しているし、またの機会でいいか。既に召喚されてい
るし、それで今まで運営側から何のアプローチもなく、咎められてもいないし。
思考が脱線してしまったが、猫又を選択し召喚する。地表に現れた魔法陣から登場したのは、想
定していた姿とは違い、アリシアから見せられた山猫リニスの写真と瓜二つの猫だった。
デフォルトで既に名前にリニスと入っているので、選択を間違えた訳ではない。という事は、こ
こから成長するとさっきのリニスと同じ姿になるという事か。名前もあくまでデフォルトでリニス
となっているだけで、他の名前にする事も可能みたいだ。
まあ、俺の中でリニスはリニスなので名前が被っていようが関係ない。そのままOKを選択し
た。これでリニスの召喚は完了だ。
『新しく召喚モンスター【リニス】が召喚されました。』
それじゃあ、ステータスの確認をしてみようか。
【名前】リニス【種族】山猫 Lv.1
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】猫パンチ 引っ掻く 気配遮断 危険察知 回避 身軽
率直な感想だが、平凡でスキルなんて現実の猫そのものだと思う。それに猫パンチってネタか?
種族も猫又じゃなくて山猫じゃないか!ツッコミどころが多すぎるわ。
ちょっと時間をおいたので、少し落ち着くことが出来た。
そういえばリニスからアイテム???を貰っていた。確か使えば記憶と経験を継承する効果だっ
たはず。
でも、山猫のリニスに使って良いのか?
こういう状態で召喚されるんなら説明して欲しかったな。とりあえずこのアイテム???を山猫
のリニスに近づけてみるか。なにか反応があるかもしれないし。反応がなかったら猫又になった時
にまた近づければ良いだけだしな。
アイテム???を山猫のリニスに近付けたら、俺の手から離れ山猫のリニスの体内に吸い込まれ
るように入っていった。
『アイテム【???】により、召喚モンスター【リニス】が経験値を取得しました。』
《召喚モンスター【リニス】のレベルが7上がりました。ボーナスポイントを14取得しました。
ステータスにボーナスポイントを振り分けて下さい。》
えっとこれはつまりアイテム???の効果でクラスチェンジに必要なレベルまで成長したって事
で良いんだよな。召喚してすぐにクラスチェンジするのね。
猫又での戦闘を配慮してステータスにボーナスポイントを割り振った。詳細はのちほど。
《召喚モンスター【リニス】がクラスチェンジの条件を満たしました。ステータス画面からクラス
チェンジを行って下さい。》
クラスチェンジ先は一択......一択なのだが、これは一択と言えるのだろうか?
でもこれしか選択肢はないので、このままクラスチェンジの処理を進めた。召喚されてから最も
短い期間でクラスチェンジを遂げたリニスのステータスはこの様に変わった
【名前】リニス【種族】山猫 Lv.1 ⇒ 猫又(一尾) Lv.1【職業】見習いメイド Lv.1(New!)
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】短剣(New!) 剣(New!) 両手剣(New!) 槍(New!) 斧(New!) 鉤爪(New!) 猫パンチ
引っ掻く 人化(New!) 治療(New!) 気配遮断 危険察知 受け(New!) 回避 身軽
隠蔽(New!) 調合(New!) 調理(New!)
アイテムの影響もあるかもしれないが言わせて欲しい。スキル増え過ぎだろ!!
さっきの戦闘で使ってた武器全部追加されてるし!
確かに万能猫又メイドって名乗ってたけど召喚モンスターだよね?職業メイドってなんだよ!
そりゃあ、こんなステータスになるなら隠蔽工作は必須だろうね!!
一度は落ち着きを取り戻した俺だが、この結果を見た時に自分のキャラクターを見失い、大声で
突っ込んでしまった。
その姿を見て心配してくれたさくらにもリニスのステータスを見せたのだが乾いた笑い声だけが
しばらく聞こえていた。
俺達が落ち着きを取り戻した時には、人化のスキルで姿を変えた猫又お姉さん姿のリニスが静か
に待っていた。
人化って久遠の変化と違って精神力を消費しないで維持出来るらしい。だから、基本的にリニス
は人化して行動すると待っていたリニスが教えてくれた。
あと、リニスの職業についても教えてくれた。召喚モンスターにはスキルポイントの要素がない
ので、一定レベルに達したら任意で習得するスキルをプレイヤーつまり俺が選択出来るらしい。
レベルは上がってもステータスの上昇はなしで、一定レベル到達で任意でスキル追加。これが召
喚モンスターに設定された職業の仕様との事だ。もちろんクラスチェンジもする。
そりゃあ、いつまでも見習いが付く訳がないか。必要レベルは多分俺らと変わりないだろう。
リニスに関しては以上だ。今回の感想をまとめると、プレシアさん。スカさんと方向性は違うけ
ど、似た様な事してますよ!さくらがステータスで勝負するなら、リニスはスキルで勝負ですか?
「これからよろしくお願い致します。
最後にリニスの渾身の笑顔により締められた。
その後、俺達はクラスチェンジを果たしたとはいえ、一番レベルの低いリニスと鍛えるべく、当
初の予定通り、狩りを再開した。
リニスの武器だが、手持ちには騎乗槍・青龍偃月刀くらいしかなく、初期装備の初心者用短剣で
は性能的に機能しないと思い、現在は青龍偃月刀のみで戦ってもらっている。
多数の武器スキルを有していても、肝心の武器がなければ意味はないな。「人化しても猫パンチ
と引っ掻く事は出来るので大丈夫です。」と言われたが、山猫時代に戦闘を見ていないから、いま
いちその威力が分からない。
碇石通りなら筋力値依存のはずだが、どちらにしろダメージを与えるのは厳しいだろう。お忘れ
かもしれないが、ここには耐久力の高いカメやヤドカリが高確率で出現するからだ。
とりあえず、明日にでもエリオとキャロの装備に加えリニスの武器も作ろうと思う。
《ただいまの戦闘により召喚モンスター【リニス】の種族レベルが上がりました。ボーナスポイン
トを2取得しました。ステータスにボーナスポイントを振り分けて下さい。》
《ただいまの戦闘により召喚モンスター【リニス】の職業レベルが上がりました。レベルが一定値
に達したので任意でスキルを追加できます。ステータス画面からスキルを習得して下さい。職業
レベルの上限を迎えました。ステータス画面からクラスチェンジを行って下さい。》
1戦終える毎に種族レベルが1。職業レベルが2上昇していたリニスだったが、5戦目を終えた
所で見習いメイドのレベル上限を迎えた。
それと、スキル追加の一定レベルは4,7,10と3刻みで発生するっぽい。7と今回の10で同
じインフォが流れたので多分合ってる。
クラスチェンジ先はメイドで、ステータスに加算される事もないので、種族レベルアップのボー
ナスを振り分ける作業と一緒にクラスチェンジとスキルの習得も行ってしまおう。
【名前】リニス【種族】猫又(一尾) Lv.5 ⇒ 6 【職業】メイド Lv.1(New!)
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】短剣 剣 両手剣 槍 斧 鉤爪 水魔法 土魔法(New!) 風魔法 猫パンチ 引っ掻く
人化 治療 気配遮断 危険察知 受け 回避 明晰 身軽 隠蔽 調合 調理
3回のスキル習得で俺が選んだモノは水・土・風魔法だ。万能メイドという肩書きらしく、選択出
来るスキルの数も豊富だったのだが、第一に戦闘スタイルを増やす事を目的に3種の魔法スキルを
習得させた。
選択出来るスキルの中には、前に拾ったハープが分類されてた楽器も含まれていた。今回で魔法
スキルも十分整ったと思うので、この後の戦闘次第では習得するのも悪くないかもしれない。
リニスには魔法メインの支援タイプをお願いしたいと思っているので、ハープで相手を弱体化さ
せてもらえると非常に助かる。リニスなら接近されても対処方法を充実しているので、人魚とは違
う働きをしてくれるはずだ。
現在のSLO時刻は14時。つまりは終了予定時刻になった。
猫又さんイベントから4時間狩り続けたが、あれ以降俺のレベルは上がらなかった。もう、この
狩場では限界だったのだろう。
しかし、あの後も赤兎が2レべル、さくらは1レベル上昇し、リニスはクラスチェンジまでは至
らなかったが種族レベルが10、職業レベルは6まで上昇した。
この海岸で一泊二日した合宿?の成果を振り返るとこんな感じだ。全員分のステータスを出すと
訳の分からない事になるので、レベル変動だけ表示する。
【PN】クロノス【種族】人族 Lv.22 ⇒ 32
【職業】召喚士 Lv.13 ⇒ 20 / 盗賊 Lv.13 ⇒ 20
【名前】久遠 【種族】妖狐(三尾) Lv.11 ⇒ 妖狐(五尾) Lv.6
【名前】赤兎 【種族】デュエルホース Lv.7 ⇒ パラディンホース Lv.5
【名前】空牙 【種族】シルバーウルフ Lv.9 ⇒ シルバーファング Lv.4
【名前】さくら 【種族】下級吸血鬼 Lv.8 ⇒ 吸血鬼 Lv.6 / 人狼 Lv.8 ⇒ 17
【名前】シグルズ【種族】ホーク Lv.5 ⇒ ストームホーク Lv.1
【名前】リニス 【種族】山猫 Lv.1 ⇒ 猫又(一尾) Lv.10
【職業】見習いメイド Lv.1 ⇒ メイド Lv.6
こうして比較するだけで、大幅に戦力が上がったな。特にずっと付き合ってくれたさくらは、他
の召喚モンスターよりレベルアップに必要な経験値が多いにも関わらず、他に劣らないレベルまで
成長してくれた。
それじゃあ、街の役場で俺のクラスチェンジをしてから、ギルドホームに戻るか。現実の時間で
は22時くらいになるからな。
2回に分けて全ての召喚モンスターに労いの言葉を掛けてから還し、俺は街へ転移した。精神力
の無駄遣いとかそんな小さな事は気にしない。頑張りに対する労いは必要な事だ。
久遠達が食事を摂るなら豪勢な食事を用意するのだが、残念な事に必要としないので他の事で、
俺の気持ちを伝えるしかない。
でも、必要としないだけで食べられるのか?ギルドホームに戻ったら聞いてみよう。
そして、街に着いてから程なくして役所の前に着いたのだが、思っていたより人が少ない。俺の
想像では、同じようにレベリングに集中していた他のプレイヤーもクラスチェンジ目的で普段以上
に賑わっているモノだと思っていたのだが...。時間帯の問題か?
明日も日曜日で社会的にも休日とされているから、まだレベリングをしているという可能性もあ
るか。日常的にログインしているプレイヤーはとっくに2度目のクラスチェンジを果たしているは
ずだしな。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
役所の受付で待ち受けていたのは、この前と同様にエイミィだった。配置替えにあったのか、リ
ニスみたいに複数存在して、今ももう一人のエイミィはキャラメイクの案内をしているのか。
エイミィに対する謎は深まっていくばかりだ。
「クラスチェンジの手続きを頼む。」
「かしこまりました。こちらの機械に手を当てて頂けますか?」
「あぁ。」
エイミィが取り出した機械に表示された手形の部分に合わせて、自分の手を押し当てる。前回と
同じ作業なので、困惑する事なく指示に従う。
この機械はプレイヤーのステータスを読み取るためのモノらしい。1度目のクラスチェンジの時
に担当してくれたAIに聞いたので間違いない。
「召喚士と盗賊。どちらの職業もクラスチェンジの条件を満たしていますね。職業によってはクラ
スチェンジ先が複数存在する場合があるので、こちらの端末からご自身で確認して下さい。」
「わかりました。」
そう言われて差し出された端末を受け取った。これは前回なかった作業だ。前回は見習いが取れ
ただけだったからな。これから先は枝分かれしていくのだろう。
早速受け取った端末で、自分の職業のクラスチェンジ先に何があるのかを確認した。
召喚士――クラスチェンジ候補:
盗賊 ――クラスチェンジ候補:
どちらも候補先が2つ。最初に表示されているのが正規で、それ以降は派生職なのだろう。
それでは中位召喚士と死霊魔術師の違いから確認していこうか。
まず、中位召喚士になるとステータスの精神力と知力値・抵抗力が上昇する。ステータス上昇は
前回も無かったことだ。
あとはエクストラ召喚という召喚魔法が加わる。これは1回の戦闘に一度だけ、同時召喚数の上
限に関係なく5分間だけ召喚モンスターを1体召喚出来るというモノだ。
いざという時に役立つ魔法だろう。
次に死霊魔術師だが、ステータスの上昇はなし。召喚リストに通常の召喚士では召喚出来ない、
アンデッド系モンスターが加わる。あとは戦闘中に一定時間アンデッド系ではない召喚モンスター
をアンデッド化する等の魔法が使える死霊魔法を習得する。
あとクラスチェンジする事で2つに共通するのは、召喚数と同時召喚数が1ずつ増える事だ。
続いて、中級盗賊と暗殺者の違いを確認する。
中級盗賊だが、まずステータスの敏捷値と器用度が上昇する。
それ以外では今まで適性スキルでなかったスキルが適性スキルに含まれたり、一部のスキルを習
得する際のSPが軽減されるなど、新しく何かを習得する様な事はないが、今後のスキルの成長を
促す方向で強化されるらしい。
一方の暗殺者だが、こちらは筋力値と敏捷値のステータスが上昇する。
そして、新規スキルに暗殺や強襲といった攻撃性を高めるスキルの習得が可能になるらしい。あ
くまで習得可能になるだけで、クラスチェンジで追加される訳ではない。
この2つの共通事項は敏捷値の上昇だけだろう。あとは好みの違いになるだけだ。
さて、全ての確認を終えた所だが、俺の選択は既に決まっていた。
【PN】クロノス【性別】男【種族】人族 Lv.32
【職業】
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】残りSP 48
★短剣 Lv.31 槍 Lv.23 蹴技 Lv.28 投擲 Lv.25
召喚魔法 Lv.34 火魔法 Lv.15 水魔法 Lv.21 土魔法 Lv.22 風魔法 Lv.25
光魔法 Lv.21 闇魔法 Lv.26
戦闘指揮 Lv.26 魔力運用術 Lv.16 並列思考 Lv.21 識別 Lv.29 ★索敵 Lv.33
★気配遮断 Lv.30 ★危険察知 Lv.24 精密操作 Lv.16 連携 Lv.34 回避 Lv.39
怪力 Lv.18 鑑定 Lv.24 騎乗 Lv.14 解体 Lv.27 採掘 Lv.11
錬金術 Lv.64 鍛冶 Lv.58 服飾 Lv.57 装飾 Lv.60 調合 Lv.58
彫刻 Lv.62 調理 Lv.63 建築 Lv.78 機械工 Lv.18
【獲得称号】
これが俺の選択した結果だ。召喚士は中位召喚士に、盗賊は暗殺者にクラスチェンジさせた。
クラスチェンジの完了と同時に称号も追加された。盗賊の証と暗殺者の手配書という称号は別モ
ノらしい。どうもこの称号で専用スキルの判定をしているの気がする。
「以上で、クラスチェンジの手続きは終了となります。またのお越しをお待ちしております。」
《持越し分の経験値により【中位召喚士】の職業レベルが3上がりました。スキルポイントを6取
得しました。》
《持越し分の経験値により【暗殺者】の職業レベルが3上がりました。スキルポイントを6取得し
ました。》
エイミィがクラスチェンジを無事に終えた事を告げたと同時に持越し分の経験値が加わり、それ
ぞれ3レベル上昇し、所有しているスキルポイントが48から60になった。
スキルポイントも大分溜まったな。アップデートまで控えると言ったが、新しく習得出来る様に
なったスキルもあるし、多少は使っても問題ないだろう。
役所から出た俺はもうこの街にも用はないので、そそくさとギルドホームに転移した。
ギルドホームに着くと、一日空けていただけなのに、しばらく帰って来ていなかったような錯覚
に陥った。それだけ、ここを気に入っているのかな?
ギルドホームには着いたが、まだなのは達も姫達も戻って来てはいなかった。いつもログアウト
する時間まで時間に余裕はあるが、ギリギリまで戦うつもりなのだろうか?
なんにしても、あいつらが帰って来るまでは暇なので、さっき疑問に思った事を聞いてみよう。
中位召喚士になり4体同時に呼び出せる様にもなったので、喋る事が出来るメンバーの他に、空牙
も呼び出すか。最近はブラッシングもしてなかったし、大きくなったから遣り甲斐もあるだろ。
「食事...ですか?」
「あぁ。必要ない事は分かってるんだが、食べる事も出来ないのか?」
「私達も食べる事はできますし、味覚というモノもプレイヤー同様に再現されています。ですが、
空腹値というパラメーターが私達には無いので、食材の無駄になるだけですよ?」
ソファーに腰掛けて、ブラシを取り出し足元に鎮座する空牙にブラッシングをしながら、食事が
摂れるのかと聞いてみた。
食事自体は可能みたいだが、設定上食事を摂るメリットがないから必要としないわけだ。味覚も
再現されているなら、勿体ない事だよな。
「じゃあ、今回だけ特別に俺からのお礼という事で、食事を振る舞おうか。今回で大量に魚介類も
手に入ったし。流石に赤兎には別の食べ物を用意するが。」
「くおん。くろのすのりょうり、たべるの?」
「久遠は要らないか?」
「くおん。たべてみたい!」
「あの..私の話を聞いてましたよね?」
「リニス...主の好意です。従者なら、素直に受け取るべきです。」
「わかりました。ですが、私もお手伝い致します。こればかりは譲れません。それに私はまだ、ご
主人様に仕えてそれ程の時間が経過していませんので、今回の功績を称えるために料理を振る舞
われるのであれば、私はまだ何の功績も上げていないので、お相伴にあずかる訳には...。」
「はい、ストップ。それじゃあ、俺がお前達に食べて欲しいから料理を振る舞う。これなら問題な
いな?今回の功績とか関係なしに振る舞うんだから、リニスも含まれても良い訳だし。」
「..はい。今回はご主人様の言う通りにさせて頂きます。数々の無礼な振る舞い失礼しました。」
「りにす、ちがう。おれい...いう。」
「久遠の言う通りです。主は..非礼を詫びられるよりも、お礼を言われる方が嬉しい方です。」
その後に、リニスを含め、久遠とさくらからもお礼を言われたのだが、料理を振る舞うのは俺が
久遠達に対するお礼なので、なんだか変な感じだ。
空牙の毛並も整った所で、厨房へ行き料理を作ってきた。海鮮系の料理がほとんどだが、空牙が
喜びそうな、肉料理も数種類作った。それにはリニスも何か言いたげな顔をしていたが、俺になに
を言っても無駄だという事を、記憶だけではなく身を持って経験した事で理解したのだろう。
途中で満足した様子の空牙を還し、赤兎を呼び出し野菜をふんだんに使ったサラダを与えた。シ
グルズは中位召喚士になり習得した魔法、エクストラ召喚で呼び出して限られた時間ではあるが、
料理を堪能していたと思う。
魔法の無駄遣い?知らないなそんな事は。出来るようになったらしいから、本当に出来るか試し
ただけですけどなにか?
こうして、第一回目の召喚モンスターだけを迎えた食事会は好評の内に作った料理がなくなり終
了した。赤兎とシグルズも同じタイミングで還したので、この場には久遠・さくら・リニスだけが
残っている。
これでも結構時間が経過したのだが、未だ誰一人と戻ってこないので、空牙に引き続き久遠のブ
ラッシングで時間を潰す。
久遠が終わればさくら。その後にリニスにブラッシングを掛けている最中にようやく、姫達が
帰って来たらしく、玄関からの声が漏れてきた。
「お疲れ様です。すみませんでした、刻也先輩。区切るタイミングを逃してしまって、予定より遅
れてしまいました。...先輩、今度は猫を召喚したんですか?」
一番先にエントランスに入ってきたのは姫だった。その後を続くようにチワワ達も入ってきたが
最初に声を掛けてきたのは、やはり姫だった。
ちなみに、リニスだがブラッシングの最中は人化を解き、山猫時代と同じ姿で大人しくブラッシ
ングを受けていた。久遠やさくらが気持ち良さそうにされているのを見ていた為か、先ほどの様に
訴えてくる事はなかった。
「お疲れさん。そっちの3人もな。リニスは只の猫とは違うぞ?ほら。」
「お初にお目に掛かります。ご主人様に仕える事になりました。万能猫又メイドのリニスです。」
ブラッシングもほとんど終わっていたので、俺の合図をきっかけに、膝の上から飛び降り、再び
人化したリニスが丁寧に挨拶する。万能猫又メイドはどのリニスも一緒らしい。
「えっと...ご丁寧にどうもです。ティアナです。」
「スバルです。久遠ちゃん、さくらちゃんに続いて3人目の獣耳っ娘だ!」
「エ、エリオです。万能猫又メイドさんってどこかで聞いたような気がするんだけど...。」
「キ、キャロです。...猫又さんって、あの猫又さん?」
姫とチワワは慣れた感じで、多少の驚きはありつつもいつも通りに接している。エリオとキャロ
はどこかで、猫又さんイベントを耳にした事があるのか、リニスが気になっているみたいだ。
その疑問に答える為に、リニスは俺に了承を得てから、自分の事を説明し始めた。その説明中に
なのは達も帰って来て、同じような流れになったので、まとめて説明するために全員が円卓に集ま
る事になった。
「――――以上が、私がご主人様に召喚されるまでの経緯です。」
「刻也がなんかのイベントフラグを立てるのはいつもの事だけど。」
「まさか、本当に猫又さんイベントが存在したなんてね。」
「アタシ的にはそのイベントの発端がお母さんだった事の方が衝撃だったよ!」
「お母さん...リニスってそのまま名前にしたんだね。」
「しかし、刻也さんも凄いな!」
「実際は違うだろうけど1万分の1の確立で発生するイベントを体験したんですよね。」
「それも、戦闘の末に望みを叶えちゃってるの。」
「猫又さんイベントに遭遇したプレイヤーの報告例も少ないんですけど、これまでに戦闘になって
クリアしたっていう情報は書き込まれてないんです。」
「幻のイベントってされてたんだよね。遭遇報告自体もガセだって思ってるプレイヤーが大半なん
だって。」
「じゃあ、俺はラッキーだったんだな。」
「はぁ...。当の本人はこれだから。」
「このリニスには願いを叶える事は出来ないんだよね?」
「残念ながら。私に出来るのは、ご主人様のお手伝いを遂行する事だけです。」
「言い方に違いはあるけど、さくらちゃんと同じ事だよね。」
「当然です。...私達は主の為だけに力を振るいます。」
「くぅ~♪」
この後は次第に関係のない話になっていき盛り上がっていったが、俺のそろそろログアウトする
かという発言がきっかけになり、みんなも次回のログインに備えて、ウィンドウを開き何かしらの
作業を開始した。
それから、エリオとキャロが最初にログアウトし、なのは達も続くように落ちていった。最後に
俺と姫とチワワが残ったのは、生産素材を受け取るためだ。
わざわざ残らなくても共有倉庫に突っ込んでおけばいいと気付いたのは、取引が終わってから
だったが、「こういった事は直接渡した方が誠意が伝わるので」と姫らしい発言が聞けた。
言った本人は恥ずかしかったのか、その後すぐにログアウトしてしまった。それに続き、「さっ
きのティアは可愛かったなぁ」と、こっちもチワワらしい言葉を残し落ちていった。
それじゃあ、俺も久遠達は還したしログアウトするか。明日は、先に生産だな。あとは狩りに出
かけて行って、リニスをクラスチェンジさせよう。まだ、行ったことのない南側にでも行ってみよ
うかな?
『クロノス様がログアウトしました。』
おまけ もう一人のリニスと
以前からティーダ君に、私が組み込んだリニスが敗北したら報告してと言っておいたのだけれ
ど、まさかSLO開始から2週間たらずでこの報告を受けるなんて思っていなかったわ。
けれど、そのプレイヤー名を聞いたら納得した。だって刻也君だったんですもの。
プレイヤー"クロノス"の事はもう開発・運営側に知らない人はいないというくらいに有名になっ
ているわ。本人には知られていないけどね。
イベントクリア後もリニスと刻也君は会話をしていたのだけれど、リニスが
としてたから強制送還したわ。
あの子の中で最高機密情報に設定したはずなのだけれど、情報開示レベルの設定はどうなってい
るのかしら?
その後、私はまた普段の業務に戻ったのだけれど、しばらくしてGMとして見回り時間になった
から私はSLOにログインして、始めにリニスの様子を見に行ったの。
―――そうしたら......。
「――あぁ。そこを――そんなに、や―優しく。だ、だめ――です。そこは、敏感で―――。」
所詮はプログラムの集合体の癖になんて声を出しているのかしら?あの駄猫は。
「ちょっとリニス。貴方は一体ナニをしているのかしらね?」
「はぅ...。ご、ご主人様!?何故ここにいるのですか?」
「私はGMのお仕事よ!それで貴方の様子を見に来たのだけれど、何故あんな声を出していたのか
説明しなさい。これは、命令よ!」
たわ。
「これは鏡ね。でも移っているのは...。刻也君とリニス?」
リニスから差し出された鏡には、刻也君と刻也君が召喚したリニスが映し出されていた。この子
にこんな事を可能にする権限は与えていないのだけれど、それより...。
「この映像を見ながら貴方はz「違います!」だったら何をしていたの?」
「そもそもご主人様が今言おうとした行為はここでは出来ません。」
「良いから答えなさい!」
「はい。こちらのリニスがとても気持ち良さそうだったので、感覚をリンクさせて頂き、私もクロ
ノス様のブラッシングのご相伴にあずかりました。」
「さっきから思っていたのだけれど、私は貴方にそんな機能を組み込んでいないのよ?」
「ですから、自分で自分に打ち勝ち、願望を叶えt「ギルティ!」――ぐはっ!痛いです。」
「立派な職権乱用じゃない!何してくれてるのよこの淫乱駄猫メイド!!」
「失礼ながら、私自身の願望を叶えられるという穴を残したのはご主人様です。」
「そうね。確かに私のミスでもあるわね。でも貴方が私欲に使うとは思ってもいなかったわ。」
「飼い犬ならぬ飼い猫に手を引っ掻かれるというやつですね。」
「全然上手くないわよ!とりあえず、この後すぐに貴方を初期化します。」
「そんな!確かにちょっとだけ、私欲に走ってしまいましたが、それはあんまりです。」
「自業自得よ。今後は貴方の願望も叶えられない様に修正もしないといけないし、これは致命的な
バグだわ。ここで発見出来て良かったわ。刻也君には感謝しないと。」
「では、せめてクロノス様の記憶だけは消去しないで下さい。」
「何?そんなに彼が気に入ったの?」
「はい。ご主人様に聞いていた以上に素晴らしい殿方でした。」
「わかったわ。普通に初期データに上書きするだけじゃあ、ダメになるけど仕方がないわね。」
「いえ。初期化後にこれをお使いになって下さい。」
そう言われて、リニスからアイテム???を受け取ったわ。これって刻也君にも渡してた...。
「クロノス様にお渡ししたモノを念のためバックアップしておいたモノです。これで、初期化後で
も私にあの時の記憶と経験が継承されます。まさか、自分に使用する事になるとは思ってもいま
せんでしたが、流石は万能猫又メイドのリニスちゃんです。」
「...まあいいわ。私も作業が楽になるし。」
「それではよろしくお願い致します。」
その後は、GMとしての仕事を全うしてからログアウトして、徹夜でリニスの初期化とバグの修
正をしたわ。刻也君の召喚したリニスにはこの機能がなくて本当に良かったわ。有ったらとても面
倒な事になっていたもの。
「なるほど。この殿方がクロノス様ですか。大変興味深いですね。是非とも一度お会いしたいので
すが、手土産は必要でしょうか?」
初期化したリニスにアイテムを与えたら、問題なく記憶は継承されたみたいだったけど、もうバ
グも修正したし大丈夫よね?
短期間で同じプレイヤーにリニスが行く事に成りかねないのだけれど、刻也君なら仕方ないわ。
如何でしたか?
おまけは所詮おまけ。何となく思いついたネタなので、初期化したプレシアを責めないで下さい。
技術者なら危険なバグを発見したら取り除かないといけないんです。
それに、リニスは自分の救済処置を意図せず用意してあったのでご容赦を。
次回は、1話ほど日常回を挟もうかなと思ってます。フィアッセは強力なヒロイン候補ですので、
何かしらのネタをもう一話ほど書いて、原作メンバーに対抗させようと思います。
そもそも、原作メンバーとのイチャラブなんてほとんど書いてないんですがね。今のところ、好感
度っていうより信頼度の方が伝わってるんじゃないかな?
※ステータス更新者
【PN】クロノス【性別】男【種族】人族 Lv.32
【職業】
【
【
【
【
【
【
【
【
【所有スキル】残りSP 48
★短剣 Lv.31 槍 Lv.23 蹴技 Lv.28 投擲 Lv.25
召喚魔法 Lv.34 火魔法 Lv.15 水魔法 Lv.21 土魔法 Lv.22 風魔法 Lv.25
光魔法 Lv.21 闇魔法 Lv.26
戦闘指揮 Lv.26 魔力運用術 Lv.16 並列思考 Lv.21 識別 Lv.29 ★索敵 Lv.33
★気配遮断 Lv.30 ★危険察知 Lv.24 精密操作 Lv.16 連携 Lv.34 回避 Lv.39
怪力 Lv.18 鑑定 Lv.24 騎乗 Lv.14 解体 Lv.27 採掘 Lv.11
錬金術 Lv.64 鍛冶 Lv.58 服飾 Lv.57 装飾 Lv.60 調合 Lv.58
彫刻 Lv.62 調理 Lv.63 建築 Lv.78 機械工 Lv.18
【獲得称号】
【所属ギルド】
Little Wish (ギルドマスター) - Rank.1
【召喚モンスター】5 / 7 ⇒ 6 / 8 ※同時召喚数 3 ⇒ 4
【名前】
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【所有スキル】突進 蹴技 威圧 疾走 加速 一騎当千 連携 受け 強靭 光属性
物理耐性上昇[小] 魔法抵抗上昇[微] 騎乗者回復[微](New!)
【名前】さくら【種族】吸血鬼 Lv.5 ⇒ 6 / 人狼 Lv.16 ⇒ 17
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【所有スキル】剣 鉤爪 拳 魔眼 闇魔法 吸血 飛行 暗視 誘引 危険察知 連携 受け
怪力 強靭 物理耐性上昇[微] 魔法抵抗上昇[微] 自己再生[小]
【名前】リニス【種族】山猫 Lv.1 ⇒ 猫又(一尾) Lv.10
【職業】見習いメイド Lv.1 ⇒ メイド Lv.6
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【所有スキル】短剣(New!) 剣(New!) 両手剣(New!) 槍(New!) 斧(New!) 鉤爪(New!)
水魔法(New!) 土魔法(New!) 風魔法(New!) 猫パンチ 引っ掻く 人化(New!)
暗視(New!) 治療(New!) 気配遮断 危険察知 受け(New!) 回避 明晰(New!)
身軽 器用(New!) 隠蔽(New!) 調合(New!) 調理(New!)
スキル解説ページ作ろうと思います。ごちゃついてどこまで書いて、どこまで書いてないか分から
なくなりました。なので、書いてあるのもないのも、自分の脳内整理も兼ねて一度書き出します。