とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

ロンハーSP見てたらこんな時間になってしまいました。
ご覧になった方はどう思ったか分かりませんが、最後の内輪だけでワイワイガヤガヤして笑いを取
るようになったのが、バラエティ...いや、テレビ自体が面白くなくなった原因だと思います。
当たり、ハズレが激しいですが、もはや見ているバラエティー番組はアメトーーク!くらいです。
失礼。ちょっと毒が強めに出てしまったかもしれません。

前回のあらすじ。
スライム祭り開催!?もうスライムは良いです...。ついでの様に、氷魔法と雷魔法解禁!!時魔
法は何時になったら解禁されるのか!!(完)



第41話   6月23日 火曜日①

「「いらっしゃいませ!生徒会室へようこそ!!」」

 

 

 朝目覚めて、いつも通りに学校へ登校し、昼休みになったので、小恋を連れて生徒会室のドア開

けたら、昨日昼休みの終わり際にやってきた国見姉妹が、学校の制服とは違う、お揃いの衣装を身

に纏い出迎えてくれた。

 

 一体、どういった経緯でこんな状況になったのだろうか?

 

 いきなりの事で、小恋は人見知りが発動し俺の背中に隠れているし、中では楠葉先輩がニコニコ

しながらこちらの様子を見ているだけ。

 雪那も同じ様にこちらの様子を見ているが、笑いをこらえている様子...こいつが何やら吹き込

んだに違いない。

 

 その雪那に問いただそうにも、まずは生徒会室の中に入らなければならない。俺同様、迎えてく

れた国見姉妹も予想の反応と違うからか不安気な顔に成りつつある。

 

 俺達はその場から1歩、また1歩と生徒会室の中に入り、身体が完全に入った所で小恋がドアを

閉めた。

 

 

「それで?これはどういった催しなんだ?」

 

「何故、刻也君は私に聞くのでしょう?普通は実際に可愛らしい衣装で出迎えてくれた国見さん達

 に聞くべき質問ですよ?」

「楠葉先輩の考えそうな事ではないし、国見姉妹の事は知らないが、この様子を見る限りやらされ

 ている感じがする。そして、その様子を見ていたお前の反応が主犯だと教えてくれた。」

「なるほど。私のポーカーフェイスを見破るとは...流石です。」

 

「流石です...じゃない。説明しろ。何を吹き込んだ?」

「吹き込んだとは人聞きが悪いですね。私はただ、お二人が刻也君と親しくなりたいと言うので、

 そのアドバイスとして、演劇部からこの衣装を借りて、男性が喜びそうな事を教えて上げただけ

 です。強制などしていませんし、実行したのもこの子達の意志です。」

 

「そうなのか?」

「はい。先日は鏡先輩に大変失礼な態度を取ってしまったので、」

「そのお詫びにと思って、雪那先輩が折角衣装も借りてきてくれたし、着てお出迎えしてみたんで

 すけど、」

「「いきなりじゃ、ご迷惑でしたよね。」」

 

 そう物悲しいそうにハモって言う、国見姉妹の姿に保護欲が湧いてきてしまう。

 

「確かに、いきなりの事で戸惑いはしたが、2人の意志で俺の為に態々やってくれたんだろ。それ

 だったら、迷惑でもないさ。ありがとな。」

 

 そう言って、つい丁度良い高さにある2人の頭を撫でてしまった。

 うん...髪の毛の手触りもそっくりなんだな。

 

「なるほど。素晴らしい手腕です。」

(いいな...2人とも。)

 

「楠葉先輩、何か言いましたか?」

「な、何にも言ってないよ!それより、ほら。ご飯食べよう。今日から奈々ちゃんと桃ちゃんも一

 緒だけど良いよね?」

「俺は良いですけど、特訓はいいんですか?」

「大丈夫だよ。2人ともちゃんと説明してあるから、食後はちゃんと特訓出来るから。」

「なら、問題ないです。」

 

「それじゃあ、昼飯食べましょうか。」

 

「「あっ...。」」

 

 時間は有限でこうしていたら、昼休みも終わってしまうので昼飯を食べるべく、撫でていた国見

姉妹の頭から手を離したら、またもハモって声を上げた。

 

「どうかしたか?」

「な..なんでもないです。」

「ご飯ですよね!ご飯。アタシ、実はお腹ペコペコなんです!」

「そ、そうか。」

 

「.....落とし神。」

 

「小恋さんや。いつまで俺の背中に隠れているのかな?そして今の言葉はなんだ?」

「うっさい。良いから早く席に着きなさいよ。」

「はいはい。その人見知りも面倒だな。」

「刻也が可笑しいんでしょ。自分から関わりを持とうとしない癖に、どうして初対面の人間とまと

 もに会話出来るのよ。」

 

「あの...やっぱりご迷惑でしたか?」

「陣内先輩とも仲良く出来れば良いなぁって思ってるんですけど。」

「...迷惑じゃないから、...ここで食べても平気です。」

「まあ、慣れるまでこんな感じだろうが、根気よく接して上げてくれ。」

「余計な事言わない。刻也はさっさと昼ご飯食べて、楠葉先輩とイチャコラしてればいいのよ。」

 

「イ、イチャコラって。小恋ちゃん。昨日のはちゃんとした訓練なんだよ?」

「そうだぞ。小恋もちゃんと説明聞いてただろ?」

「そうですよ。端から見たら手を取り合って、危うい言動を言っているだけでしたが、あれはちゃ

 んとした訓練だったのですから、その様な物言いは失礼かと。」

「もう!雪ちゃんまでそんな事言わないでよ。やり難くなるじゃない。」

「ですが、事実なので。今日からは初心な1年生も居るので、声は控えて下さいね。」

「そんな言い方だと、本当に如何わしいことしてるみたいだよ!」

 

 雪那が楠葉先輩を弄りだしたので、俺達は空いている席に隣同士に並んで座り、弁当を広げ昼飯

を食べ始めた。貴重な昼休みの時間をすでに10分も無駄に費やしてしまった。

 

「あの...お二人をほっといて先に食べてしまって良かったのですか?」

「ん?雪那が生き生きとしてるから良いんじゃないか。」

「確かに、普段より生き生きしてますけど...。」

 

「楠葉先輩も、本気で嫌だったら早々に打ち切るだろうし、なんか思惑でもあるんだろ?」

「ほぇ~、会長さんはそこまで考えての行動だったんですね。」

「流石は生徒会長です。」

 

「いやいや。私そんな思惑とかないから。雪ちゃんに乗せられただけだからね!」

 

「雪那、もうコントはお終いか?」

「はい。残念ながら会長がお弁当の匂いに気を取られ、返しが雑になってしまったので...。」

「あれ?なんか私が悪いみたいなことになってる!?」

「私達では、まだ刻也君と小恋さんの様にはいかないみたいです。」

「そもそも、楠葉先輩と小恋じゃ、弄る難易度も違うからな。」

「...どういう意味よ。」

「小恋さんが弄り易いと言う事ですね。まあ、今の状態では会長の方が弄り易いですが。」

「それじゃあ、雪那に対してはずっとコレでいく。」

「しかし、コレはコレで弄り甲斐がありそうなので、私的にはどちらでも構いませんよ。」

 

「ときやぁ~!」

 

「はいはい。雪那もその辺にして自分の飯食ったらどうだ?」

「そうですね。では刻也君、今日もおかずn...ってもうほとんど食べてしまっているじゃないで

 すか!」

「そりゃあ、楠葉先輩と雪那がコントやってる間に食べ始めたからな。」

「抜かりました。」

「私は刻也のお弁当少し貰ったわよ。本当に、どうして主夫力まで高くなってるのかしら。昨日よ

 り、また美味しくなっていたわ。」

 

「くっ...。まさかとは思いますが、国見さん達も?」

「えっと、はい。」

「鏡先輩のお弁当、アタシ達の寮母さんが作ってくれたのより美味しかったです!」

「食べなれていない味付けだからそう思ったんだろうけどな。」

「「そんな事ないです!」」

 

「私、もう食前に雪ちゃんと遊ばないって決めたよ。」

「私も遊ぶのは食後にしようと思います。」

 

 2人がどれだけおかず交換したかったのか、その心境は定かではないが何やら硬い決意表明をし

て、自分の弁当を食べ始めた。

 

 

 一方、先に食べ終えた俺は、楠葉先輩の食事が終わるまで、同じ顔立ちで同じ髪型にして、同じ

衣装に身を包んだ国見姉妹との親睦を深める事にした。

 

「こうして同じ格好で並んでいると、外見からは全く判断できないな。」

「それじゃあ、今話ている方はどっちだと思いますか?」

「国見妹の口調にした、国見姉だな。」

「正解!可笑しいな、結構自身あったんだけど。」

「姉さん。口調!タメ口になってます。」

 

「別にタメ口でも良いぞ。別に敬れるような事してないし。楽な方で問題ない。」

「ホント!それじゃあ、どうして先輩は私達の判断が出来たの?」

「言っても分からないと思うぞ?」

「それでも良いから教えて!」

 

「もう、姉さんは...少しは躊躇いを持って下さい。鏡先輩の意向でなければ大変失礼な行動だと

 いう事を自覚して下さい。」

「いい、いい。国見妹も、もっと緩く砕けろ。その方が俺も楽だから。」

「分かりました。でも、これが私の自然体なので。」

「それならいいか。」

 

「それで、2人の見分け方だけどな...、気配・在り方・雰囲気、この違いで判断してる。」

「それって、見て分かるモノなんですか?」

「そうだよね。どっちかって言うと感覚で判断する方だよね。」

 

「楠葉先輩からどこまで聞いているかは知らないが、俺は個人を気配で、誰でどの当たりに居るか

 が分かるようになる技術を身に付けてるからな。」

「それって凄い事だよね!?」

「そうですね。にわかには信じがたい事です。」

 

「じゃあさ、桃と2人で一度、生徒会室から出て、何も喋らずにまた入って来るから、どっちか当

 ててみてよ!」

「良いぞ。俺の認識を誤魔化せたら、実現可能な範囲で願いを叶えてやろうか?」

「ホントに!!約束だからね。」

「あの、本当に良いんですか?」

「あぁ。ただし、当たってたら潔く認めるんだぞ。」

「「はい!」」

 

 2人揃って返事をすると、仲良く生徒会室の外へ出て行った。

 

「良かったの?あんな事言って。間違えたらどうするのよ?」

「そん時はお願いを聞いてやるだけだ。あの2人なら変な事は言わないだろうしな。」

「別に私は関係ないから良いけどね。」

「なんだったら一緒にやるか?」

「いやよ。そもそも私には見分けなんて付かないもん。」

「人見知りって、個人の判断も出来ないのか?」

「そんな便利な人見知りがあったら良かったわ。」

 

「「入ります。」」

 

 ドアの外から国見姉妹が声を揃えて、再び入室してきた。本当に見た目はそっくりだ。

 小恋と話している間も、2人の気配に神経を尖らせていたので、どっちがどっちなのかは、もう

分かっている。

 本当は必要ないのだが、一度それぞれを近くで見てから回答する事にした。

 

「左が国見姉で、右が国見妹だな。」

 

「「………………、正解です。」」

 

「本当にすごいね。さっきの状態じゃあ、私も判断付かないよ。」

 

 途中から、昼食を食べ終えた楠葉先輩も、今まで事の成り行きを黙って見ていたのだが、俺が言

い当てた所で、会話に加わった。

 

「楠葉先輩は霊力とかで察知出来ないんですか?」

「私は、そこに何かがいるって事くらいしか分からないよ。気配で個人を断定するのは無理。」

 

「そうだったんですか。じゃあ、普段はどうしてるんですか?」

「いつもは、ほら。髪型とかの微妙な違いと喋り方でね。」

「なるほど。」

 

 

「でも、本当に鏡先輩って気配で判断出来るんですね。」

「ねぇ。折角お願い聞いてもらえると思ったのに。」

 

「ちなみに、俺が間違えたら何を言うつもりだったんだ?」

 

「それは...。」

「呼び方だよ!国見姉とか妹とか言う呼び方を変えてもらおうって。」

「そうです。どうせだったら名前で呼んで頂きたかったのですが、」

「当てられちゃったからね。」

 

「だったら、もう一勝負するか?」

 

「でも、鏡先輩相手じゃあ、勝てないよ...。」

「だったら、大丈夫だ。今度の相手は小恋だからな。」

 

「ちょっ。なんで私なの!?」

「小恋なら分からないだろ?それに、確立的には50%で当たる。」

「だからって...。」

「だって、ここまで国見姉妹と碌に会話もしてないだろ?少しでも絡め。」

「うぅ...。」

「小恋は二人を見て、姉か妹かを言うだけ。外しても小恋に不利益な事はないだろ?」

 

「......分かった。」

 

「という事だけど、国見姉妹はそれでいいか?」

「はい!」

「よろしくお願いします。陣内先輩。」

 

「今日、小恋が当てても、また明日もこうして遊ぶか。これでその内、小恋も慣れてくるだろ。」

「いいね。でも、今回で当てられなかったら、どうするの?」

「別に景品とかなくても、やりようはありますよ。」

 

 こうして、小恋 vs 国見姉妹の正体見破り対決が始まった。

 

 さっきと同じように、国見姉妹は一度、生徒会室から出て、再度無言で一緒に入って来た。その

様子を小恋が真剣に見て観察している。

 

 嫌だと言いながらも、やるとなったらマジで当てにいくのが小恋だ。

 入室後も無言で立っている国見姉妹を、小恋は先ほど俺がやった様に、それぞれを近くで良く観

察し、しばらく考えた後に、躊躇いながらも口を開いた。

 

「たぶんだけど.....こっちが姉。あっちが...妹。」

 

 小恋は、右が姉で、左が妹だと答えた。根拠は何なんだろうな。

 

「「正解です。」」

 

 そう、小恋は見事に見抜いて、言い当てたのだ。

 

「良く当てたな。感じゃないんだろ?」

「えっと...、口元にね。フライの衣が少しだけど付いてたから、そっちが..姉かなって。」

「えっ!ウソ!!」

「ちょっと、姉さん!そんな致命的なミスしないで下さい!」

 

 国見姉が指摘され、口元を手で擦ろうとしていたのを止め、もう一度、今度は全員で国見姉の口

元に注目して覗きこんだ。

 

「あぅ...。」

 

 その恥ずかしさからだろう、国見姉の顔が熱を帯び赤くなっていくが、気にせずに注意して見て

見ると、確かに微かながら衣が付いていた。

 これは、国見妹の方はやらなそうなミスだな。あえて、という考えもあるが、このお遊びにの様

なモノにそこまでする事もないし。

 

 最後にその衣を指で拭って、国見姉の衣鑑賞会はお開きになった。

 

「しかし、良くあんな小さいのに気付いたな。」

「刻也があの時ちゃんと見てたら気付いた事でしょ。私はたまたま目に付いただけよ。」

 

「でも、これでまた明日も続けられるね。」

「...そうだった。何かそんな話になってたんだった。」

 

「明日は絶対にこんなミスさせませんから、」

「今度こそ勝たせてもらうから、陣内先輩。」

「「その時は、陣内先輩にも名前を呼んでもらいます!!」」

 

 

「ふむ。小恋も巻き込まれてしまったな。(棒読み)」

「そうだね。(棒読み)」

「良かったですね、小恋さん。(棒読み)」

 

「はっ!ちょっ!ハメられた!!」

 

「小恋さん。女の子が大声でハメられたなんて、言うものではありませんよ。」

「うっさい。そういう意味で言ったんじゃないわよ!」

「そういう意味とは、どういう意味なのでしょうか?」

「それは...その。って、あんたから突っかかって来たんじゃない!」

 

 この流れのまま、遅れて昼食を食べ終えたばかりの雪那に、遊ばれ始めた小恋。

 

 交流を持って、それほど日数も経っていないのに、もはやお馴染みの様に思えてしまう光景が見

れた所で、俺と楠葉先輩は、昨日の続きと言う事で、霊力の講義から始めた。

 

 ちなみに、国見姉妹は小恋に意気込んだ所から、明日に向けての作戦会議なのか、隅の方に行っ

て、声を潜めながら会話をしている。

 

 

 

「―――って感じで、概要はこんな所だね。それじゃあ、これからは意識して霊力を扱える様に身

 体で覚えていこうか。」

 

 霊力とは何たるか、という話を聞き終えた所で、昨日と同様、楠葉先輩の霊気を捉える訓練から

始まった。

 楠葉先輩から送られて来る霊気は前回よりも、強くなっている。しかも、何か攻撃的というか、

包み込むような感覚ではない。

 

「どう?昨日との違いが分かるかな?」

「はい。今日のは何か、金曜日に手合せした時に近い感じです。圧力の様なモノを感じますね。」

「正解。やっぱり、感覚は結構研ぎ澄まされてるんだよね...、どうしようかな?」

 

「何がですか?」

「あっ、うん。刻也君の場合はちょっと手荒というか、実践じゃなくて実戦の方があっさり使える

 様になるんじゃないかと思って。」

「実戦ですか。やるにしても、ここでは無理ですよ。」

「私も、生徒会室で奥義とか放ちたくないからね。」

 

「それでね。規模を小さくして、これ位の霊力なら、当たってもちょっと殴られた位の威力になる

 んだけど...。」

 

 そう言う楠葉先輩の指先には、卓球の球サイズの霊気で出来た球体が出現していた。

 

「漫画で見た事ありましたけど、それってレイガンってやつですか?こう指先を対象に向けて撃ち

 出すっていう。」

 

 ド不良の主人公が、車に撥ねられそうになった子供を助けて、本来奇跡的に無傷で助かる所を、

掠り傷を与えて、自分は無駄死にした所から、物語が始まる漫画で、その主人公がレイガンを撃つ

時の動作をして見せた。

 

「その漫画は分からないけど、そんな認識かな。ばきゅ~ん、ってね。」

「それは俺が霊気を扱える様になれば出来る様になるんですか?」

「う~ん。この形状に固定して、放出する技術を身に付ければ出来る様になるよ?」

「分かりました。修練に多少の怪我は付きものですから、遠慮なく来てください。」

 

「えっと...。それじゃあ、ゆっくりと撃ち出すから、受け止めるか、打ち消そうって気持ちで対

 処してみて。避けると、ここが散らかっちゃうから。」

「分かりました。」

 

 楠葉先輩は俺の返事を聞くと、ゆっくりとした速度でレイガンを俺に撃ち出した。

 まずは、実際の威力を身を持って知るべきだよな?楠葉先輩はちょっと殴られた位と言ってはい

たけど、感じ方はそれぞれだし。

 

――― バシッ!

 

 受け身の構えもとらず一発目を胸で受けたのだが、これなら週末の鍛錬で美由希さんからもらう

浅めの一撃の方が十分威力があるな。

 

――― シュッ! パンッ!!  シュッ! パンッ!!

 

 俺が一発目を受けて平気な様子を見て、2発、3発と続けて撃ってきたので、相殺する感じで拳

を振るったら、接触した直後に破裂音がして2発とも消えてしまった。

 

「この程度じゃ、素の状態でも打ち消せるんだね。」

「えっと、普通は出来ないんですか?」

「うん。多少は拳に霊力を纏わないと、今みたいな感じで打ち消される事はないよ。」

「はぁ。でも、俺の手には、そんな感じはないですよ?」

「それはわかってるよ。一度、手合せしたから、刻也君の力量もそれとなく把握出来たと思って、

 このサイズにしてみたんだけど、見立てが甘かったみたいだね。」

 

 そう言うと、卓球の球サイズだった霊気の球を、テニスボールサイズの大きさにしてみせた。

 

「この大きさになると、さっきの3倍くらいの威力になるけど平気そう?」

「大丈夫だと思いますよ。」

「それじゃあ、撃つけど、受け止めるなら、一応は受け身の構え位とっておいた方が良いよ。」

「分かりました。」

 

 楠葉先輩の助言通り、今回は衝撃に備えた態勢をとって、テニスボールサイズに変わったレイガ

ンを受け止めた。

 その威力は、確かに最初の3発を大きく上回る程で、多少後ろに仰け反ってしまう形となってし

まったが、受けきれない程ではない。

 次もこの威力の攻撃が来ると分かれば対処出来るレベルだ。

 

「このサイズでも、その程度で受け止められるんだね。」

「でも、最初の3発より全然威力が違いますね。気を抜いたら危ないかもしれません。」

「うん。それくらいの緊張感で対処した方が良いかな。次からは、最初のサイズと今のサイズまで

 の間の大きさの奴を、何発か撃ち出すから、思うように対処してみてね。」

「分かりました。」

 

 その言葉通り、大小様々なレイガンが連続で撃ち放たれた。球速も最初の様にゆっくりした感じ

から、多少速くなりだした。

 

 基本、向かってくるレイガンを打ち消す気持ちで拳を振るっていたのだが、テニスボールサイズ

のレイガンに、同じように拳を振るったら衝撃で腕をもっていかれそうになり、球の大きさにより

籠める力と心構えを変えていき、対処していった。

 

 それから2,3分くらい続けていると、拳が何かに包まれ始め、さほど力を籠めなくても、サイ

ズに関係なく、打ち消せる様になった所で、レイガンが止んだ。

 

 そこで、改めて自分の拳を見ると、本当にうっすらとだが霊気が纏われていた。

 

「凄い...。本当にこの短時間で発現させるなんて。」

 

 この形式に変えた楠葉先輩でさえ、俺の拳を見て驚愕している様子。

 つまり、この感覚が霊気を纏うという事なんだろう。

 

 今は拳だけ纏っている状態だが、折角攻撃が止んだので、全身に意識を集中し、拳に纏っている

霊気を全身を包み込む様に強くイメージしてみた。

 すると全身に...とはいかなかったが、両腕までは非常に密度の薄い霊力の膜で覆う事に成功し

た。その状態で、軽く腕を振るってみたが、感触は今までと変わりない。

 

「刻也君、ストップだよ。発現させてから、すぐに腕まで拡張させたり、その出力を高くしたりし

 たら、私の理解の方が追い付かないからね!」

 

 そう指摘されて、腕に纏わせた霊気を見直すと、少しばかり力強くなっている気がした。これは

意識してやったわけではないので、自分では制御できない領域だ。

 周囲には、小恋や雪那達もいるし、色んな物も配置されている。ここで制御できていない力を振

るうのはダメだ。

 

 

「うん。結構安定してるみたいだね。これなら大丈夫そう。」

 

 あの後、一度纏った霊気が霧散してしまったのだが、意識を集中して、さっきの感覚を鮮明にイ

メージすると、時間は掛かってしまったが、初めて自分で意識して腕に纏わせる事が出来た。

 そして、その状態で楠葉先輩の触診により合格点を貰えた。

 

「それじゃあ、今日はここまでにして、明日からは全身に巡らせられる様に特訓していこうか。」

「分かりました。」

 

「それにしても、修練2日目。時間だと2時間足らずで、ここまで出来るなんてね。やっぱり、刻

 也君の素質って高いのかな。」

「自分では分かりませんが、楠葉先輩の指導が良いんじゃないですか?」

「そう言ってくれるのは嬉しいけどね。でも、私の力って言うよりも、今まで刻也君が積み重ねて

 きた、修練の成果が大きいと思うよ。」

「ありがとうございます。」

 

「これで第一段階はクリアですよね?」

「そうだね。でも、ここからが本番なんだからね。」

「望む所です。なんか面白くなってきましたから。」

 

「大丈夫だとは思うけど、自主練習はまだ控えてね。何かあると大変だから。」

「はい。」

 

 これで、本日の昼休みの修練は終了した。

 

 

 修練を終え、小恋達の様子を見ると、いつの間にか俺と楠葉先輩の修練を見ていたようで、視線

が集まっていた。

 

「どうした?」

 

 そんな注目集まる中、一番に俺の声に反応したのは、雪那に遊ばれていた小恋だった。

 

「どうしたって...、いきなり破裂音がしたから、そっち見たら刻也と楠葉先輩が、どう見ても悪

 ふざけしてる感じの事してたから、見てたのよ。」

 

 その小恋の言葉に同意するかの如く、うなずく国見姉妹と雪那。

 

 ふむ、端から見たら俺達はどう見えていたのだろうか?

 

 ばきゅん!ばきゅん!と俺にしている楠葉先輩と、それに反応する様に拳を繰り出し、破裂音を

出す俺...。霊気が見えなければ、小恋の言う通り悪ふざけと言えなくもない。

 

 そんな事を数分も繰り広げていたら、嫌でも気になるか。

 

「そうか。」

「それで?成果はあったの?」

「おう!両腕だけだけど、意識して纏わせられる様になった。」

 

「......楠葉先輩、本当ですか?」

「ホントだよ。」

「凄いですね。これも刻也君の素質なのでしょうか。」

 

「凄いっていうか...。生まれてくる世界間違えたんじゃない?」

「いや、何時かこの世界にも、惑星侵略を企む野菜王子が来るかもしれないぞ?」

「そうなったら地球も終わりね。」

「あっ、その漫画なら私も知ってるよ。」

「もはや国民の枠を飛び越え、世界的に有名になりましたからね。」

 

「鏡先輩と会長さんは、その域に到達してるの?」

「そんな訳ないでしょ。あれは、空想の世界の話なんですから。」

「そうだよねぇ。」

 

「しかし、一概に違うと言えないのも事実です。」

「「えっ!?」」

 

「ですが、語るには時間が足らないので、また次回にしましょう。もうすぐで昼休みが終わり、予

 鈴が鳴る時間です。」

 

「ホントだな。結構短く感じたな。」

「そうだね。」

「今日は色々な事がありましたからね。」

 

 こうして、国見姉妹を迎える所から始まった、生徒会室での昼休みが終わった。

 

 今日は、みんなで生徒会室を後にし、俺は小恋と雪那を引き連れて自分の教室まで戻り、午後の

授業を受けた。

 授業は相変わらず退屈な内容で坦々と進行していき、爆睡する生徒が数人見られたが、そんな生

徒を起こす気配も見せない教師の授業が2限とも終わり、放課後を迎えた。

 

 授業中は、多少進歩した霊気について考えたりもしたが、ここからはSLOの事だけに集中だ。

その前に日課の鍛錬もあるのだが、そこは面白味もないので割愛して、その他諸々の所用を済ませ

た、俺は早々にSLOを起動しログインした。

 

 

 

 まずは姫やエリオ達には悪いが、金曜日の事を伝えて、金曜日までの予定の立て直しをしないと

な。

 

 その後は、イベントの攻略を進めて―――――――――。

 

 

『クロノス様がログインしました。』

 

 




如何でしたか?

まあ、ここに来て小恋の人見知り設定が邪魔で邪魔で、全然セリフが出ませんでした。今までで一
番の難産。そして一番の蛇足の可能性がある話に仕上がってしまったと自負しています。
そういう設定にしてしまったのは自分なので、早い段階で馴染ませたいと思います。
国見姉妹の設定は近いうちに、オリキャラ設定にて追加しますので、気になる方はご覧下さい。

次回は、SLO編に戻り、どんどんイベントを進行させていきます。私的には土日のどちらかで迎
える大ボス戦より、金曜日の歓迎会ネタの方が筆が進みそうにありません。久しぶりに日常編で、
なのは以外のキャラを動かす事になるので、どうなる事やら。

と、先の事を心配するより、まずは次の1話ですね。頑張りますよ。まだまだこれからですから!

※1 スキル解説&ステ更新者なし

※2 観覧注意(小恋:人見知りモード中。絵のタッチ安定してません。)

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