とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

ここ3日、UFOとかUMAとか幽霊とかの特番が連続して放送されていますね。
個人的に地球外生命体の存在は否定していないのですが、こうしてテレビで放送されている映像は
まったく信じていません。
だって、お金と時間をかければ今の技術ならどうにでも出来ますからね。
最近の映像にしては画質が荒すぎる事も不信感を強くさせます。

前回のあらすじ。
アウラ成長回!クロノス、4精霊の使い手という称号を獲得!キャロも精霊の卵ゲット!他のメン
バーは精霊の加護(風)を獲得したよ!(完)



第47話   6月25日 木曜日①

 

「やったね!桃!」

「やりましたね!姉さん!」

 

――― パンッ!!

 

 木曜日の学校。時間帯は昼休みが半分くらい経過した頃、風芽丘高校の生徒会室で、双子が歓喜

しハイタッチをするという光景を目にした。

 

 

 ここまでを振り返るというほどの事情でもないので、簡潔に言うと、小恋が3日目で国見姉妹の

どちらが姉でどちらが妹かを当てるゲームで負けた。

 

 その結果、国見姉妹が歓喜しハイタッチをした、という事だ。

 

 これで国見姉・国見妹と呼べなくなった訳だ。

 元々は、俺に勝てば可能な範囲で願いを聞いてやるという、今思えば何様だと言われても可笑し

くない提案から始まったのだが、俺が勝利し「どんな事をしてもらいたかったんだ?」と聞いた所

国見姉・国見妹という呼び方じゃなく、名前を呼んでほしいという微笑ましい提案だったので、小

恋を巻き込みゲーム化した。

 小恋に勝てば、その通り名前で呼ぶと約束をして。

 

 

「負けちゃった...。」

「良く当てた方じゃないか?小恋がすごく嗅覚に優れていたって発覚もしたし。」

「そこの事はもう言わないで。散々雪那に弄られたんだから。」

「それはもう、有意義な時間を過ごしました。」

「ガルルルルル....。」

 

「その結果、雪那に対して小恋が野生動物並みに威嚇する様になったんだけどな。」

「しかし、この姿も可愛いので問題ありません。」

「はぁ...。」

 

 外した事で、落胆していた小恋を元気づけようとしたのだが、別の方向へ話が変わり、また別の

意味でため息を吐いた小恋。

 俺が楠葉先輩と特訓している間に、この2人はどんな会話をしているのだろうか?

 

 

「小恋ちゃんも頑張ったよ。私だってこの状態じゃ難しいんだから。」

「ありがとうございます。楠葉先輩。」

 

「これで小恋ちゃんも、奈々ちゃんと桃ちゃんの事を名前で呼ぶんだよ。」

「………。」

 

「フォローで上げた直後に、現実を突きつけて叩き落とす。流石、私達の会長です。」

 

「違うんだよ。これで小恋ちゃんと奈々ちゃんと桃ちゃんの仲が良くなれば良いねって事で..。」

「大丈夫です。楠葉先輩なら本当にそういう想いで言ってくれてるんだと思いますから。」

「そう?なら、良かった。」

 

 その後、楠葉先輩のフォローもあり、少し鬱状態だった小恋は回復した。

 人柄もあるだろうが、こういった役職に就いて、俺と違って全生徒から信頼されている楠葉先輩

は、こういった面でも優れていた。

 

 今、この場に限り、雪那の言う事をまったく気にせず、楠葉先輩のカウンセリングにも聞こえる

やり取りをしばらく続けていた。

 

 

その一方で俺も、国見姉妹に絡まれていた。

 

「鏡先輩!」

「約束ですから、今」

 

「「名前で呼んでみて(下さい)!!」」

 

 別にこんな風に詰め寄らなくても、呼ぶと言うのにな。そう言われると、なんかしてやりたくな

るのは、仕方のない事だろう。

 

 なので、ちょっとした意地悪をする事にした。

 

「奈々。」「桃花。」

 

 姉の方を向き妹の名を。妹の方を向き姉の名前を呼んでみた。

 

 迷いなく国見姉妹の名前を俺が呼ぶ姿を見ていた、小恋達...少なくとも雪那以外は俺が態と間

違えているなんて思いもしなかったのか、「実は当たっていたんじゃないか?」という表情をその

瞬間したのだが、

 

「もう!態と言い違えたでしょ!」

「鏡先輩が私達を間違える事はありません!」

 

「えっ!そうだったの?」

「あぁ、刻也がこんな表情してる時は、遊んでますよ。」

 

「表情ですか。私にはいつも通りに見えますが。」

「忍者なんでしょ?雪那は、こんな分かりやすい表情の変化も分からないのね。」

「言ってくれましたね。良いでしょう。普段は表に出さない様にしていましたが、小恋さんだけ、

 特別に披露して差し上げます。」

「嫌よ!一般人に力を振るうなんて、それこそ規律を破る事になるんじゃないの。」

「確かに掟にはありますが、ばれなければ問題ありません。」

「見つからなければ罪に問われないとか、犯罪者の言い分だから。」

 

 すっかり、元の調子を戻した小恋。それに本気で言っている訳ではない雪那と2人で盛り上がっ

ていった。

 

「刻也君。ちゃんと呼んであげなよ。名前を呼んだら友達なんでしょ?」

 

「「なんですかそれ?」」

 

「刻也君の妹さんみたいな人が言ったんだって。簡単に友達を作れる方法だよ♪」

「すごくシンプルな方法だね。」

「友達に成るための基準が相当低いですね。」

「でも、これなら友達100人も夢じゃないよね。」

 

「「確かに!」」

 

「俺は先輩後輩の関係より、友達としての関係の方が楽だけど、お前達が先輩として俺を扱うか、

 友達として扱うかは任せる。俺はそれに合わせよう。」

 

「「「………。」」」

 

「刻也君。私の時は無条件で先輩後輩関係持ち出したよね?」

「楠葉先輩相手に、学校で馴れ馴れしくしたら、悪目立ちするじゃないですか。」

「そうかもしれないけど...私だって友達関係の方が楽だよ!」

「そうだったんですか。」

 

「でも、今はそれに師弟関係みたいな感じも出てますからね。」

「最初から、師より強い弟子ってどうかと思うよ?」

「総合的な強さからしたらそうかもしれませんが、この分野じゃ全然足元にも及ばないじゃないで

 すか。」

 

「もう!刻也君は先輩禁止!"さん"、"ちゃん"、"呼び捨て"、この中から選びなさい!」

 

「その中だったら、楠葉さんしか選択肢がないですね。」

 

「..そう言うと思ってた。刻也君の言い分も理解するから、生徒会室の中だけでも呼びなさい。」

「まあ、それで良いなら分かりました。」

 

 何故か国見姉妹を差し置いて、先に楠葉先輩を楠葉さんと呼ぶ事になった。

 

「ちょっと会長さん、割り込んでくるなんて酷いよ!」

「しかも、先駆けしてまで、刻也さんに取り入りましたね。」

 

「...あれ?桃ちゃんも今、何気なく抜け駆けしたよね。」

「何のことでしょうか?私も学年こそ違えど、刻也さんとは友達からお付き合いを始めたいと思い

 行動に移したまでです。」

「それがズルいの。アタシだって刻也と友達から始めたいもん!」

「いきなり呼び捨ては、無礼にあたると思いますよ。」

「遠慮も敬語も要らないって前に言ってたもん。」

 

「刻也って呼んでも良いよね?」

 

 まあ、楠葉さんに突っかかる様に、沈黙状態から復活したのだが、すぐさま姉妹でちょっとした

言い争いに発展し、俺にまで飛び火してきた。

 

 呼び捨ても、アリシアやアリサはずっと前からしているので、年下からそう呼ばれる事に抵抗も

ないので、

 

「奈々の好きに呼べばいい。」

 

「あぅ...。ほ、ほら!呼んでも良いって。」

「姉さんは、刻也さんに甘え過ぎです。」

 

「いいから。桃花も気にするなよ。年下から呼び捨てにされる事にも、抵抗とかないから。」

 

「はぅ...。わ、分かりました。」

 

 どさくさ紛れに名前を呼ぶと、姉妹揃って同じような反応をした。

 この反応、面白いかもしれない。

 

 

とりあえず、これで第1回目の小恋vs国見姉妹の対決は終わり、第二回目の開催はまた後日とい

う事になり、気付けば昼休みの大半が経過していたので、今日は霊気の修練は中止となった。

 

 本末転倒という事ではないが、元々は霊気の扱いを教わるという所から、昼休み、この生徒会室

に集まる事になったので、物足りなさを感じながら、少しばかり残っている昼休みを過ごした。

 

 

 

「そうだ、小恋。」

「なに?」

 

「お前、明日の歓迎会で、何かフィアッセに渡すか?」

「歌姫様の歓迎会?なによそれ?」

 

「あれ?啓吾さんから聞いてないか?許可は貰ったんだけどな。」

「お父さん?何にも聞いてないけど?それに今週まだ一度も家に帰ってきてないし。」

「そうなのか?」

 

「それじゃあ、明日、夜に翠屋でフィアッセの歓迎会やるから参加な。啓吾さんには遅くなっても

 良いって許可ももらってるし、桃子さんにも伝えてあるから。」

 

「.........はぁ!!ちょっ!なんで明日の事を今日言うのよ!!」

 

「だから、俺は啓吾さんに許可をもらった時に、あっちから小恋に伝えるって返事が来たから、

 知ってるものだと思ってたんだよ。」

「どうして最初に、私の予定も聞かないで、お父さんに許可をもらうのよ。」

 

「だって、暇だろ?」

「そうだけど!否定出来ないけど!でも、勝手に決めるのはどうかと思う。」

「悪かったって。でも、決定事項だからな。」

「うぅ、心の準備が...。」

 

「明日直前になって聞かされるより良かったんじゃないですか?」

「そうだけど...。」

 

「それじゃあ、特にプレゼントも用意してないよね。」

「そうだよ...もぅ!紹介がこんな形になるとは思ってもなかった。刻也が翠屋にいる時にいって

 ちょっと挨拶する程度だと思ってたのに。」

「良かったじゃないですか。好きなアーティストとがっつり絡めるんですよ?」

 

「雪那、あんた。私のこの状況を楽しんでるでしょ!」

「半分はそうですね。残りは羨ましいという気持ちと、弄りたいという気持ちです。」

 

 

「雪那も来るか?飛び込みOKみたいだぞ。」

「いえ、私は遠慮させて頂きます。そのような場に行くには、それなりに下調べが必要なので。」

 

「下調べって何よ!あんたそう言って逃げるつもりね!」

「そんなつもりはありませんよ。でも、良いんですか?私が参加すれば、小恋さんは好きなアー

 ティストの前で終始弄り倒されて、物凄い面白い子だと印象付けられますよ?」

「...やっぱり来るな!」

「という訳なので、私は後日、ひっそりと見に行く事にします。」

「あぁ、そうか。」

 

 

「楠葉さん達はどうです?」

「私もね...。失礼のない様に、ちゃんと準備してから行きたいし。」

「私達は寮で何か催しがあるみたいなんで。」

「なら仕方ないか。」

 

「ていうか、奈々と桃花は寮生だったのか?」

「そうだよ。」

「さざなみ寮っていう、女子寮でお世話になってます。」

 

「さざなみって、那美さんや薫さんもそこの寮生だったんですよね?」

「そうだね。私もそこから通わないかって話もあったんだよね。」

「その二人なら知ってるよ!」

「当時、薫さんと同じ寮生だった仁村知佳さんって人が、今のさざなみ寮の寮母さんを務めてるの

 で、当時のお話はよく聞くんです。」

 

「へぇ、知佳さん今寮母さんなんだ。」

「刻也は知佳さんの事も知ってるの?」

「刻也君の交友関係ってすっごく偏ってるって言うか、何故か私達と関係しているよね。」

 

「偶々ですよ。まだ小さかった頃に、姉弟子の人(美由希さん)と、後から知ったんですけど小恋のお姉さん(美緒さん)の仲

 が良くて、その時、小恋のお姉さんがさざなみ寮生だったから、さざなみ寮に連れていかれた事

 があったんです。その時に知り合ったんで、向こうは覚えてないと思いますよ。それに、もう何

 年も会ってないので。」

 

「そうだったんだ。今日帰ったら聞いてみよ!」

「そうですね。私も陣内先輩のお姉さんのお話を聞いてみる事にします。」

 

 

 それにしても、さざなみ寮ねぇ。知佳さんもそうだが、姉の真雪さんもまだあの寮に籠っている

のだろうか?

 確か、当時から少女漫画を描いていると聞いたのだが、生憎とペンネームを聞いていなかったの

で今も活動しているか分からないんだよな。

 それに結構なシスコンだった気もするし、知佳さんがそこで寮母をしているなら、まだ居る可能

性が高いな。

 

「なあ、仁村真雪さんって、まだ寮にいるのか?」

 

「草薙先生ですか?それなら大抵寮の部屋に籠ってますよ。」

「部屋から出てる時は、いつも煙草吸いながら「どっかに面白いネタ転がってねぇかなぁ~」って

 ぼやいてます。」

 

「ちょっと待って。今、草薙先生って言った?」

 

 これまで、必要以上に国見姉妹と会話をして来なかった小恋が、草薙先生という言葉に反応して

人見知りは影を隠し、普段通りの口調で国見姉妹に聞いた。

 

「はい。仁村真雪さんは、少女漫画を描いてる先生です。」

「ペンネームは草薙まゆこって言うんですよ。」

 

「草薙まゆこって、あの草薙まゆこ先生よね?」

「少女漫画界で草薙まゆこって言ったら一人だけです。」

「マジか。こんなに近い所に草薙先生と繋がってる人が居たなんて...。」

 

「真雪さんって、そんなに有名な漫画家だったのか?」

 

「はぁ!草薙まゆこ先生って言ったら、少女漫画界じゃ読んだことがない人はいないって言われて

 る程の売れっ子作家よ。今時、見開きでも作者のプロフィールが載ってたりする中、一切情報が

 公開されていない、謎の作家なのよ!!」

 

「まあ、現実の草薙先生の実態を知ったら、」

「ファンが幻滅しちゃうから、出版社が徹底して伏せてるみたいだけどね。」

 

「そんな事まで知ってるのか?」

「だって、草薙先生って今でも手描きで原稿を描くから、」

「それに引き籠り体質なので、寮に良く出版社の人が出入りするので、会話が聞こえる時があるん

 です。」

「本人は「そんなん、どっちだっていいだろ。それより面白い奴いねぇ~かなぁ」って、ネタに

 困ってるのかな?プロフィールの事はどうでも良いみたいだよ。」

 

「へぇ、作家も出版社も大変だな。」

「刻也君がその先生に会えば、その先生の望みは叶うんじゃないですか?」

「確かに!」

「そうかもしれませんね。」

 

「俺は別に面白い奴でもないし、そんな少女漫画で描くようなネタは持ってないぞ。」

 

「「「「「………。」」」」」

 

「どうしたんだ?急に黙ったりして。」

 

「刻也、近い内に草薙先生に会いに行きましょう。先生の為に!そして私の為に!」

「どうして俺を巻き込む。一人で行けばいいだろ。それか、奈々や桃花に連れてってもらえ。」

 

「それは..その。まだ慣れてないし、こんな頼みなんて出来ないからよ。」

「この会話も聞こえてるし、すでに躊躇なく話せてたからな。」

「それとこれとはまた別なのよ。」

 

「いい?一緒に来てくれるなら、明日の事を伝え忘れていた刻也の事は、これ以上責めないし参加

 もちゃんとする。だから、お願い!!」

 

「そこまでして会いたいのか?」

「会いたい!!」

「はぁ、分かった。けど、先方の都合だってあるだろうから。」

「分かってる。ちゃんと草薙先生の都合に合わせるし、刻也の都合にも極力配慮する。」

「まぁ..いいか。」

 

 

「という訳だから、とりあえず2人からそれとなく聞いてみてくれるか?」

「分かりました。」

「面白そうだしね。」

 

「そもそも、男の俺が女子寮に入っても良いのかって問題があるけどな。」

「そこは任せて下さい。」

「絶対に許可をもらうから!」

 

「...頼りにさせてもらうよ。」

 

 

 ふとして出て来た共通の話題に盛り上がってしまい、また面倒事が起きそうな約束をしてしまっ

たったが、結局のところ、フィアッセの歓迎会への参加は小恋だけだったな。

 もともと、参加すると伝えていたのは小恋だけだし、まあいいだろう。

 

 それにこの話から、国見姉妹に対する小恋の距離はかなり近づいたし、結果オーライだ。

 

「それじゃあ、小恋。今日の放課後、何か買いに行くぞ。」

 

「了解。何を奢って貰おうかな。」

「たい焼きくらいしか奢らないからな。」

「えーっ。でも、久しぶりだしまあいいか。」

 

「私は白玉入りクリームたい焼きね。」

「お前そればっかりだな。全然上手そうに聞こえないのに。」

「刻也だって、いっつもチーズカレーじゃない。あんなの主食よ主食。おやつじゃないわね。」

「悪いか。あれは刻也さんから受け継いだ、ソウルフードなんだよ。」

「はいはい。それじゃあ、ゴチになります。」

 

 

「私達が生徒の為に業務に勤しむ時間にデートですか?羨ましい限りですね。」

「デートじゃないし。明日の為の買い物だもん。ねっ?」

「そうだな。そもそもデートの定義自体が不鮮明だ。男女が日時を定めて会うだけでデートとか訳

 が分からない。」

 

「そこから攻略する必要があるのですね。タダのモテない男性であれば、醜い僻みにしか聞こえま

 せんが...。」

 

「良いなー、陣内先輩。」

「姉さん。慌てずともまだ交友を持ってから4日目です。それに焦る必要はありません。」

(私も参加すれば良かったかな...。)

 

「楠葉さんもやっぱり来ますか?」

 

「えっ!?いいよ。でも、また時間を作るから、今度はみんなで何処か遊びに行きたいよね。」

「そうですね。お仕事頑張って下さいね。」

「うん。すごく頑張っちゃうよ!ねっ!奈々ちゃん、桃ちゃん。」

 

「「はい!!」」

 

「難聴スキルが備わっていない鈍感系主人公って性質が悪いですね。」

 

 雪那が脈絡もなく、小恋が読んでいそうなラノベの主人公を指す様な事を言ったところで、昼休

み終了を告げる予鈴がなり、それぞれ教室に戻る支度をして解散となった。

 

 

 

 

 その後、午後の授業を終え放課後になり、小恋と一緒にアウトレットモールへ行き、先週フィ

アッセが興味深そうに見ていたが、買う事のなかった商品から1点。それとこんなの好きそうだな

と思った商品を1点購入した。

 

 小恋は結構悩んだようで、色んな場所を巡る事になったが、高すぎない価格で日常でも使えそう

な商品を見つけ購入した。

 ついでに、サインペンと色紙をこっそり買っていたのだが、それについて弄る事はしなかった。

フィアッセなら快くサインするだろうしな。

 

 それと花屋で明日渡す様に花束を予約しておいた。花言葉はよく分からないので、歓迎や友愛と

いう意味がある花をチョイスして欲しいとだけ注文した。

 

 

 こうして買い物を終えた俺達は、いつもそこで開いている、自然公園のたい焼き屋で、チーズカ

レーたい焼きと白玉入りクリームたい焼きを購入し、食べながら小恋を駅まで送り、家に帰った。

 その時、小恋の注文したたい焼きを一口食べたが、味わいはワッフルみたいで悪くはなかったが

俺には甘すぎた。

 

 雪那はこれをデートと言ったが、ただ買い物を一緒にしてたい焼きを食べただけだぞ?

 家に着き、着替え中に思い返してみたが、やはりデートとは違うと思った。

 

 その後は、いつも通りの日課を終え、夕食を摂り、SLOへログインするだけとなった。

 今日も予定では、ゲートを5ヶ所巡る事になっている。

 

 さあ、今日も楽しもうか!!

 

 

『クロノス様がログインしました。』

 

 

おまけ ~今日のさざなみ寮~

 

「「ただいま(帰りました)!」」

 

「お帰りなさい。今日の勝負はどうだったの?」

 

「アタシ達が勝ったよ!」

「今回は私達もミスはありませんでした。それに嗅覚は禁止となっていたので。」

 

「そっか。それじゃあ、2人が言ってた先輩に名前で呼んでもらえる様になったんだね。」

 

「「はい!」」

 

「良かったね。」

「うん。最初にちょっと意地悪されたけどね。」

「きっと、あれが刻也さんの素の対応なんですよ。」

「だったら、嬉しいね。」

「そうですね。」

 

「その先輩って刻也くんって言うの?」

 

「はい。鏡刻也さんって言います。」

「言ってなかったけ?」

「うん。初耳だよ。」

 

「鏡刻也くん...ねぇ。何処かで聞いたような...。」

 

「そう言えば刻也さん、ずっと前に知佳さんと会っているみたいですよ?」

「えっ!本当に?」

「草薙先生の事も知ってたし間違いないと思うよ。」

 

「どれくらい前の事か聞いたりした?」

 

「えっと、陣内美緒さんがお友達と一緒に連れて来たらしくて、」

「知佳さんがまだ寮生の頃だったって言ってたよ。」

 

「私が寮生だった頃に、美緒ちゃんが連れて来た男の子か...。」

 

 

「おう!帰ってきて玄関に突っ立てるなんて、どうかしたのか?」

 

「あっ!草薙先生が部屋から出てる!」

「珍しいですね。夕飯の時間はまだですよ?」

「うっせ~な。んなこたぁわかってらぁ。」

 

「それで?マジで、なんかあったのか?」

 

「あっ!お姉ちゃん。ご飯ならもう少し待ってね。」

「んだよ!どいつもこいつも、あたしが外に出る時は飯の時だけか?」

 

「「「はい(うん)!」」」

 

「こいつら、ハモりやがったぜ。」

 

「そうだ!お姉ちゃんは、鏡刻也くんって子覚えてる?私が寮生だった頃に美緒ちゃんが連れて来

 たみたいなんだけど。」

 

「鏡刻也だぁ。んなのあれだろ、美緒がどっかから連れてきて1日ここに泊まらせたガキの名前

 じゃねえか。お前が弟にする!!とか言って離さなかった。」

 

「ウソ!私そんな事言ってたの!?」

「なんで本人が忘れてんだよ。帰る時に知佳、お前がそのガキの服を離さなくて、帰すのに苦労し

 たんだからな。」

 

「刻也ってその時から凄かったんだね。」

「そんな事があったのに、忘れてしまっている知佳さんも相当ですね。」

 

「ちょっと待ってな。確かそん時に、あたしも数年後にはとんでもねぇ事になってんじゃねぇかと

 興味が湧いて、写真撮って置いたはずだ。」

 

「小さい頃の刻也さんの写真があるんですか!」

「見たい!見たい!」

「うぅ...そんな事あったかな?」

 

「わかったから、お前らは玄関にいつまでもいないで、リビングで待ってろ。知佳もその時の写真

 みれば、ちっとは思い出すだろ。」

 

「「「はーい!」」」

 

 

 

「ほら、あったぞ。」

 

「これが、小さい頃の刻也?」

「凄く可愛らしいけど、」

「...どうして私が抱いて寝てる写真を撮ってるの!!」

 

「だから、言ったろ。知佳が離さなかったんだよ。寝る時だけじゃねえぞ。飯も態々食わせてたし

 風呂だって一緒n「もういい。何となく思い出したから、もう止めて!」、なんだよぉ~、ここ

 からが面白くなってくんだろ。」

 

「恥ずかしよ。それに思い出したから、もう写真もしまおう。ねっ?」

 

「えー。もっと見たいよ!」

「そうです。それにこんな刻也さんを1日中、好き勝手にしてた知佳さんはズルいです。」

「だとよ。」

 

「よっしゃ!そんじゃあ、あたしが酒のつまみに当時の事を聞かせてやろう!」

 

「ホントに!」

「すごく楽しみです!」

「もう...、他の子は巻き込まないでよ。変な事を言わない様に、私も仕事が終わったら見張りに

 来るからね。」

 

「とか言って、知佳も話聞きたいんだろ?待っててやるから、さっさと片付けて来い。」

「はいはい。すぐに片付けてきますよ。」

 

「入ったな。しかし何でまた、この時のガキの名前が出て来たんだ?」

 

「アタシ達の学校にいて、仲良くなれたから、色々話をしてたの、」

「そうしたら、ここに来た事があるって話になったんです。」

「それで知佳に聞いたってわけか。」

 

「んで?どんな感じになったんだ、このガキ?」

 

「学校じゃ、本人は脱力系無関心男子で通そうとしてるし、出来てると思ってるみたいだけど、」

「学校外で色々な事をして、その噂で学校じゃ知らないくらいの有名人です。」

 

「草薙先生も聞いた事あるんじゃないですか?聖祥の姫とその騎士の話。」

「あぁ、それな。確かに聞いた事がある。一人の騎士を6人の美少女が囲ってるって奴だろ。」

「なんかアタシ達の知ってるのより下衆だけど、そんな感じだよね。」

「仮にも少女漫画の作家さんなんですから、もうちょっとメルヘンに出来ませんか。」

「あんなのは、空想の中だから出来るんだよ。現実をちゃんと見ろ!」

 

「アタシ、時々なんで草薙先生が人気作家なのか分からなくなる時があるよ。」

「奇遇ですね、姉さん。私も同じです。」

 

「しかし、思ってた以上に面白くなってるな。ガキ...いや、刻也っつったか。」

「そう言えば、もう一人、刻也さんと学校では一緒にいる先輩が真雪さんのファンみたいで、」

「一度会えないか聞いてほしいって言われたんだけど、どうですか?」

 

「あたしのファンだろ。会っても幻滅して終わるだけだな。丁重に断っとけ。」

「でも、その先輩が来ると、もれなく刻也も付いて来るよ?」

 

「なに?」

 

「刻也さんに、一緒に来て欲しいってお願いしてましたから。」

「つまり、そいつも刻也ってのを狙ってるわけか。」

「狙ってるっていうか懐いてる?」

「はぁ?桃花説明しろ。」

「えっと、好意を抱いている事は間違いないと思います。ただ、陣内先輩はどこかで線引きをして

 それ以上、踏み込まない様にしている感じもします。」

 

「ふ~ん。しかし、陣内ねぇ。美緒の関係者だったりしてな。」

 

「美緒さんの妹だって聞きましたけど。」

「マジか。確かに小4の時に父親が再婚して、寮を出て行ってからの事は分からねぇが、嫁の方の

 連れ子か?一つ上なら16かそこらだし、再婚してから出来た子じゃねえだろ。」

「そこまでの事情は聞いてないよ。」

「そもそも、そんな個人的な事聞けるような間柄には成れてませんし、成れても聞けません。」

 

「それもそうだな。よっしゃ!んじゃ、刻也とそいつ連れて来い。歓迎してやる。」

 

「ホントに!流石は草薙先生!!」

「お願いしておいて何ですが、刻也さんは男性なのですが、ここに立ち入っても大丈夫ですか?

 確か、入寮時に呼んだ資料には男子禁制って書いてあった気がするんですけど?」

 

「んなもん気のせいだ。問題ない。てか、今時そんな規則守ってるとこなんてねぇぞ。」

 

 

「家の寮生はみんな守ってますよ。」

 

「げっ!」

 

「「げっ!」って何ですか。夕食作り終えて来て見れば、何か企んでるんですか?」

 

「そんなんじゃねぇって。ただここに刻也とその連れを客人として招待するだけだ。」

「それで男子禁制とか言ってたんですね。」

「別に泊まる訳でもねぇし、問題ないだろ?」

「まあ、それなら...って刻也くんをここに呼ぶんですか!!」

 

「反応がおそいなぁ。」

「そんな事はどうでも良いでしょ。それよりどういった経緯でそんな話になったの?」

 

「面倒臭せぇな。夕飯も出来たんだろ、食いながら話してやるよ。それに知佳も来た事だしな。

 本題はこれからだぜ!」

「一応、洗い物も残ってるからね。」

「私達も明日は学校があるのでほどほどにしてもらえるとありがたいです。」

「いいじゃん。滅多にない機会だよ。オールナイトで行こうよ!」

 

「奈々、良く言った!今夜は語りつくしてやるぜ!」

「オー!!」

 

「もう、明日どうなっても知りませんよ。」

「はぁ...。幾つになっても、お姉ちゃんは変わらないな。」

「妹って苦労する生き物なんですね。」

「まぁ、中にはしっかり者のお姉ちゃんもいるから。」

「それこそ、空想の産物です。」

 

 こうして、さざなみ寮の長い夜が始まった。無論、翌日に学校で眠い目を擦り必死で睡魔と戦っ

ている妹と、爆睡している姉の姿があった事は言うまでもない。

 

 




如何でしたか?

この回で小恋が敗れ、国見姉妹を名前呼びに、楠葉先輩から楠葉さんと呼ぶようになりました。
その後のおまけで、仁村真雪と仁村知佳を登場させた訳ですが、特に真雪さんのキャラがかなり原
作と離れていますね。
原作を知らない人の為に言っておきますがここまで口は悪くなかったです。何年も月日が経過して
やさぐれ度が急上昇したと思われます。酒癖もきっと悪くなっている事でしょう。
知佳さんは原作ではカナダに渡り国際救助隊に入隊という事になっていますが、ここではさざなみ
寮の寮母さんをしている事になってます。
この2人は4章以降で、おまけではなく本編に登場させます。

次回はSLO編。とりあえず5戦予定している訳ですが、2回に分けて書こうと思います。

※スキル解説&ステ更新はありません。

※観覧注意(国見姉妹:やっぱり年相応に見えない。)

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