とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

昨日、今日子さんは可愛かったし、神戸くんと大河内さんも見れて良かったけど、ストーリは酷い
モノに改悪されてましたね。後は最終回だけ見れば良いかなって思いました。
本命の相棒14に期待します。

前回のあらすじ。
ジュエルシードは18個集まったよ!キャロは水精霊の卵を入手して、他のメンバーは精霊の加護
(水)を獲得しました!武器も一部作り変えたよ!(完)



第50話   6月26日 金曜日①

 

「そういえば、草薙先生が何時でもいいから来い!歓迎してやるって言ってたよ。」

 

 学校へ登校し、昼休みを迎え、昨日は話していて時間が無くなり出来なかった、楠葉さんとの特

訓を終え、あと少しで昼休みが終わると言った時間に奈々が、昨日小恋が会いたいと言っていた、

陣内姉妹が暮らす寮に住みこんでいる仁村真雪さんという漫画家に話をしてくれたようで、会って

くれると言ってくれたらしい。

 

「そうか。無理言ってすまなかったな。」

「ありがと。」

 

 小恋も自分の事だからか、躊躇いながらもお礼を言った。しかし、真雪さんの言葉遣いって相変

わらず、男勝りというか、女性らしくはないらしい。

 

「無理なんて言ってないよ。草薙先生、刻也の事も覚えてたし。刻也の話をしたら、絶対連れて来

 いとまで言われたんだから。」

「...何故だろう。身の危険を感じて来た。」

 

 覚えていてくれた事は嬉しいし、俺も会ってみたいと思うが、その様な言い方だと何か企んでい

そうで怖い。

 

「それとね。知佳さんだけど、最初は刻也の事を忘れてたけど、草薙先生の話聞いている内に完全

 に思い出したみたいだったよ。当時の写真も草薙先生が持ってたし。」

 

「ちょっと待って下さい。つまり、奈々さんと桃花さんは幼い頃の刻也くんの写真を見たという事

 ですか?」

「えっ!ウソ!?ズルいよ!奈々ちゃんと桃ちゃんだけ!」

 

「小さい頃の刻也、可愛かったよ?何故か全部、知佳さんにくっ付かれてたけど。」

「見てみたいですね。」

 

「それに、その頃から刻也くんは刻也くんだったという事ですか。」

「雪那が何を言っているのか、さっぱりわからん。」

 

 本当に何を言っているんだろうな。何歳だろうと俺は俺に違いないと言うのにな。

 

 それに、当時そんなに知佳さんに抱き付かれたりしていたのだろうか?

 その辺りの記憶は俺も曖昧になってみたいだ。

 

「それでね、その時の話を朝まで聞いてたんだよ。その日の出来事を鮮明に覚えてた、草薙先生の

 記憶力って凄いね。お酒も煙草も大好きなのに。」

 

「その話に対して、俺は何と言えば分からないが、奈々と対照的に、桃花が今にも落ちそうなのは

 それが原因か?」

 

 奈々が元気にこれまでと変わらない様子で話しをしているが、桃花がその会話にフォローも訂正

をする事もせずに、うつらうつらと必至に睡魔と戦っているみたいだった。

 

「そういえば、ここに来てからも、ずっと上の空というか、口数が少なく覇気が感じられません

 ね。食事中はさり気なく刻也くんのおかずを拝借する辺りは流石でしたが。」

「でも、一緒に聞いてた、奈々ちゃんは元気だよね。」

 

「......姉さんは、午前の授業...全て寝ていました。休み時間を含めてです。」

「えへへ。だから、アタシは元気いっぱいだよ!」

「生徒会役員としてはあるまじき態度ですね。」

 

「今度から、授業中は寝ちゃダメだよ。」

「はーい!」

 

「会長さんは甘すぎです。耐えている私が馬鹿みたいじゃないですか。」

「耐えている桃ちゃんは偉いね。なでなでしてあげようか?」

「そんな子供じゃありません。」

 

 もう高校生だもんな。この前もつい了承もなく撫でてしまったが、不快だったみたいだな。

 

「それでは、昼休み終了までの残り少ない時間、会長ではなく、刻也くんになでなでしてもらいま

 しょう。」

「...えっt「どうして楠葉さんがダメで、俺なら良いって考えになるんだ?」..はぅ。」

 

「それを私の口から言う事は出来ません。それにどっちにされたいか、桃花さんに聞いてみては如

 何ですか?」

「えっと...、どっちかなら私は刻也さんが良いです。」

 

「だそうですよ。どうしますか?」

「どうしますか?って、俺か楠葉さんの二択なら俺ってだけだろ。」

「...はぁ。では、直接言います。刻也くんは時間まで桃花さんにご褒美としてなでなでしてあげ

 て下さい。」

 

「それt「あの!..いぇ。その..やって頂ければ、午後の授業も頑張れると思うので...。」」

「まあ、桃花本人が言うなら良いんだけどな。」

 

「それじゃあ、桃ちゃんにフラれちゃった、傷心中の私は刻也くんを撫でて、心を癒そうかな。」

「いや、それこそ意味わかりません。」

「えっと、そうだ!生徒会長命令だよ♪」

 

「ここは可愛ければパワハラも許される、そんな世界なんですよ?」

「...まあいいです。楠葉さんの好きにどうぞ。」

「やった!歳の近い男の子の頭撫でるのって、ドキドキするね。」

「......そうですか。」

 

 どこで話が脱線したのか、本当に昼休みが終わるまで生徒会室の一角に、謎の光景が広がる事に

なった。

 

「なかなか面白い絵になりましたね。」

「桃ばっかりズルいよ!」

「これは、授業中に寝るなんていう愚かな行動を取らなかったご褒美です。姉さんは自分の愚行を

 反省して下さい。」

「むぅ~。」

 

 とは言っても、こんな会話をしている間にも時間は経過していたので、3分足らずで昼休み終了

を告げるチャイムがなり、一同自分の教室へ戻る事になった。

 別れ際、奈々と桃花に、来週のどこかで行くと真雪さんに伝言を頼んでおいた。

 

 今日は無理だし、土日はこう言っては失礼だがイベントも最終局面に突入するので、正直、翠屋

での手伝い以外の予定は入れたくない。

 それに、なんの手土産もなしに訪問するのも気が引けるので、ちゃんと準備を整えてから訪問し

たいという理由で来週という事にした。

 

 小恋も俺の都合に合わせると昨日言っていたので、文句を言うこともなかった。

 それよりも、小恋は今日の事で頭がいっぱいだったのかもしれない。朝はそうでもなかったが、

次第に口数が少なくなり、生徒会室に入ってからは何時にもまして喋らなかった。

 謎の光景が広がった時も、何も言わなかったのが良い例だ。

 

そんな昼休みを終えて、教室に戻って来た俺達は、午後の授業にむけて必要な教材を出し、本鈴が

鳴るのを無言で待つことになった。

 

 

 

 

 

 

「これで本日のSHRは終了だ。部活動の無い生徒は、遅くまで残らず家に帰るように!以上!」

 

 最後の授業を終え、担任が来て定時連絡を話し終え、とうとう放課後になった。

 

「駅まで送ってくから帰るぞ。」

「あぁ...うん。ありがと。」

 

 午後の授業ではさらにガチガチになって心ここにあらず状態になっていた小恋。

 一度、家に帰り制服から着替え、17時30分にまた駅まで迎えに行く予定なので、まずは、小

恋を駅まで送る所から始まる。

 

「そんなんで大丈夫なのか?」

「..大丈夫。一度決めたんだし、約束だもん。」

 

「ならいいが、今日の授業内容全く覚えてないだろ?」

「......うん。」

 

 学校を出て、駅へ向かう道中でも、いつものキレがなく会話は膨らまない。そのままの状態で、

気が付けば駅に着いていた。

 

「それじゃあ、一旦分かれるが、降りる駅でちゃんと降りろよ。間違えたり、ボーとして行きすぎ

 たりしないようにな。」

「大丈夫。そんな事はしないから。」

 

「不安だけど、俺も着替えたり準備があるからな...。気を付けてな。」

「大丈夫だって。ちゃんと、17時30分にここに来るから。いつもの刻也らしくないよ?」

「いつもの小恋らしくないからだろ。...ったく。んじゃな、遅れるなよ。」

「分かってるって。」

 

 別れ際に少しだけ元の感じに戻ったが、一応、小恋が改札に入るまで確認してから、俺は自宅ま

で帰って来た。

 

 再び駅まで迎えに行く事を考慮すると、1時間30分は時間がある。

 ここで日課の鍛錬とは流石にいかないので、着ていく服を出して、普段はしないのだがヘアー

セット等の身だしなみを整える事にしよう、

 

 Link'sでは相変わらず、毎日丁寧に挨拶などが送られて来るのだが、4日、実際には会っていな

いので、無礼のないようにしないとな。

 

 まあ、この歓迎会自体、フィアッセには伏せているらしく、昼過ぎからシフトを空けて、家で自

由にするように言ってあるらしい。

 なのはは帰宅次第、時間までフィアッセの足止めをして、時間になったら連れてくる役目を担っ

ている。

 このサプライズが成功するかどうかはなのはに掛かっていると言っても過言ではないわけだ。

 

 

と、そこはなのはを信じるとして着替えだな。

 

 折角だしこの前、フィアッセを案内した時に買ってもらった服を着ていこうか。

 俺が選んでも、どうせ黒を基調としたシックな感じで普段と大差ないし、買ってもらったのに着

ないのも、勿体ないからな。

 断じて、コーディネートが面倒だとか、そういう事じゃない。

 

――― うん。服装はこれに、フリマで貰ったロケットペンダントを付ければ良いな。

 

 来て見てあらためて実感する、フィアッセのセンスの良さ。到底、俺には真似出来ない。

 

 ロケットペンダントだが、中に写真を入れられるようになっていてるが、今は何も入っていない

状態だ。これといって、入れられるような写真も手元になかったので、このままの状態になってい

るのだが、何か入れておいた方が良いのだろうか?

 携帯の中には、それなりに写真データが溜まっているはずなので、プリントアウトすればそれら

しい感じになると思うのだが、入れるならフィアッセと撮った写真の方が良いのかな?

 

 とりあえず、このままでは物寂しく感じたので、八束神社で街を見渡した時に、一緒に撮った画

像をプリントアウトして入れる事にした。

 これで、ロケットペンダントもそれらしく仕上がった。

 

 

 後はヘアーセットか。これが一番困るんだよな。普段しない分余計に。

 翠屋での手伝い中は、料理に髪の毛が入らない様に、全部の髪を後ろに流して束ねるだけだし、

ネットで俺でも出来そうなスタイリングの髪型を探して、見よう見真似でやるか。

 

カチャ カチャ カチャ......。

 

 何故トップにホストみたいな奴が出てくるんだ。これってカッチカッチに固めるスプレーみたい

なやつがいるんだろ?無理だ。無理。生憎と1年前に何故か購入した、薬局で売っている普通のヘ

アーワックスしかない。

 次は...モヒカンって。そもそも髪を切る気も剃る気も染める気もない。

 

―― これなら出来そうだ。前髪は流して、他は毛先を細かく外へカールさせるだけみたいだし。

 

 洗面所へ移動し、鏡の隣に見つけた画像を映した携帯を置いて、見よう見真似でスタイリングを

始めた。

 

 学校で、モテようとする男子生徒は毎日の様にヘアーセットをしているが、こんな面倒な事をし

て結果は出ているのだろうか?

 教室にいると、ビシッときめたクラスメイトが、彼女欲しいといつも言っているのが聞こえるの

で無駄な努力なんじゃないかと思う時がある。そいつに限った話かもしれないけどな。

 

 鏡の前でごちゃごちゃと髪を弄り続ける事60分。ようやくそれらしく仕上がった。

 見た感じと違って、非常に面倒なやつだった。もう2度とやりたくない。

 

 気付けば、もう17時を過ぎている。後は、昨日買ったプレゼントを忘れずに持った事を確認し

て、小恋を迎えに駅まで行かないといけない。

 

 

 

 小恋はちゃんと準備出来たのだろうか?

 

 駅に向かう道中にそんな事を思った。

 小恋は女子ながら普段、身だしなみを気に掛ける方ではない。俺と似た様なタイプだ。

 降りる駅は、海鳴から1つ離れた駅だが、準備は男の俺よりも時間が掛かるだろう。普段はまっ

たくしない化粧も少なからずするだろうし。

 

 そんな事を考えている内に、駅まで着いてしまった。

 

 時間は17時20分。

 電車の時刻表を見る限り、小恋が来るのは次に到着する28分の電車だろう。

 改札付近に小恋らしい人も気配も感じられないし、まだ来ていない事は確かだ。

 

 遅れるなら遅れるで連絡はあるはずなので、改札の様子が見えるベンチに座り、小恋が来るまで

待つことにした。

 前日に頼んだ花屋も、小恋が来てからで十分間に合う。

 

 

待つ事9分。28分に電車が時間通りに来て、しばらくしたら、小恋が改札から出て来た。

 

 俺は、早い時間から営業しているお店の呼び込みだと思われる女性に話しかけられていたのだ

が、それを無視して、やって来た小恋の方へ向かった。

 

「流石だな。あの状態でも、ちゃんと時間通りに来れたんだな。」

「あたr......。えっと、刻也だよね?」

「どこからどう見ても俺だろ。」

「...そうだよね。」

 

「私でも身だしなみを整えたんだから、刻也だってちゃんとするよね。」

「まあな。小恋はちょっと化粧したんだな。」

「これくらいするわよ。」

 

「...もしかして、どこか可笑しい?」

「いや、自然な感じだし、綺麗だと思うぞ。」

「そ..そう。ありがと。刻也も雰囲気がかなり変わったわね。普段からそうしたら?」

「やめてくれ。もう2度とこの髪型にはしないって決めたんだ。」

 

「何でよ?似合ってるわよ。」

「これのセットに1時間掛かったんだ。朝そんな時間があるなら、その分寝るか鍛錬に時間を割い

 た方がよっぼど有効的だ。」

「確かに、朝の1時間って貴重だしね。」

 

「小恋こそ、普段からそれくらいすればどうなんだ?規則違反って程でもないだろ?」

「嫌よ。メイクしたら落としたり、ケアしたりで面倒な事がいっぱいあるんだから。」

 

 結局、俺達は同じ様な理由で、これからもこういう場面以外では、着飾る事はないと言う事が判

明した。

 それに、小恋も覚悟を決めたのか、普段と変わらない感じで会話も出来ているので、少々心配し

過ぎていたみたいだ。これなら問題ないだろう。

 

「...行くか。」

「そうね。私達、似た価値観持ってるから、不毛なやり取りだったわ。」

 

「あとさ、聞きたいんだけど。どうして私、あの女の人に睨まれてるの?」

「俺をターゲットに店の呼び込みをしたけど、小恋が来て失敗したからじゃないか?」

「それ、本当に呼び込みだったの?」

「やたらと、店で話をしようって誘われたから、呼び込みだろ。」

 

「...何で、私が睨まれてるのか理由がわかったわ。」

「勘弁してほしいよな。俺未成年だし酒なんて飲めないっての。」

「そうね。勘弁して欲しいわね。」

 

 

 それ以降、呼び込みの女性の話をする事なく、花屋で注文しておいた花束とおまけだと言われ、

花束にと同じ花が咲いているミニプランターを受け取り、翠屋へ向かって歩き出した。

 

「この花、サンカヨウって言うんだっけ?」

「みたいだな。花言葉は親愛の情とか幸せって意味があるって店員さんが言ってたな。今の季節に

 ちょうど咲くらしいし、良い花を見繕ってもらえたな。」

「そうね。」

 

「私としては、刻也がこういう所にも気が利く事にも驚いたんだけどね。」

「俺は注文してだけだぞ。」

「そうじゃなくて、花を贈ろうって思考によ。」

「歓迎会なんだから、花束くらい用意するんじゃないのか?」

 

「ちなみに、刻也にそう教えたのって?」

「士郎さん。」

「なるほどね。(だったらもっと、別の事も...。)

「別の事ってなんだ?」

「刻也が気にする事じゃないわ。」

「???」

 

 

 その後、小恋が言っていた別の事の内容を言う事はなく、話題はフィアッセの事に移り変わり、

話し込んでいる内に翠屋前まで来ていた。

 

 表には"CLOSE"と立札が出ていて、中には装飾をしている桃子さんとアリシア達の姿が見えた。

 

 そのまま翠屋の中に入ろうとしたのだが、

 

「ちょっと待って。心の準備が...。」

「何言ってんだよ。フィアッセはまだ来てないんだぞ?」

「その前に、入ったらお姫様との挨拶があるでしょ。」

 

「アリシア達か?そんなもんに心の準備なんているか?」

「私には必要なの。」

 

「良いから行くぞ。」

 

 強引だったかも知れないが、空いている方の手で小恋の手を引き、翠屋の中へ入った。

 

「いらっしゃい、トキ君。それに小恋ちゃんも、良く来てくれたわ♪」

「いえ...。こちらそこ、お招き頂きありがとうございます。」

「すみません。歓迎会のお手伝いもしないで。」

「良いのよ。人数は多い方が楽しいし、刻也君がいないと本当の歓迎会にならないもの。」

「はぁ...。」

 

 桃子さんの含みのある言い方が気にはなったが、この場で追及する事も出来ないので、流す事に

した。

 

「これで、なのはとフィアッセ以外全員が揃ったね。装飾も良い感じになった事だし、集まってこ

 の後の段取りを話そうか。」

 

「「「「「「はーい。」」」」」」

 

 士郎さんの掛け声で作業を終え集まった、なのはを除く聖祥メンバー5人と美由希さん。

 

 俺達は段取りを聞く前に、カウンターの裏に用意したプレゼントを置いて、これまで小恋と直接

話した事がない、アリシア達に小恋を紹介した。

 

「はい。なのはちゃんから陣内さんのお話は聞いてます。」

「刻也の数少ない学校の友達でしょ。アタシ達とも仲良くしてね。」

「それにしても、聞いていた感じと違って綺麗よね。」

「なのはちゃんは可愛い系だって言っとったんやけどな。」

「メイクの仕方じゃないかな?」

 

「悪い。小恋は重度の人見知りだから、いきなりそんな詰め寄ったら何にも答えられなくなる。」

 

「そう言えば、そんな事も言ってたわね。」

「ごめんなさい。後でお話聞かせて下さい。刻也さんの学校での様子とか聞いてみたいので。」

「せやな。最近はゲームの中でしか会わへんし、どんな感じか聞きたいわ。」

「アタシも聞きたい!」

 

「詰め寄っちゃってまするよね、これ。陣内さんは大丈夫でしょうか?」

「まあ、本命はこの後来るんだし、これくらいのジャブは耐えてもらおう。」

 

「...刻也。見てないで助けてよ!」

 

「呼んでますよ?」

「みたいだな。こんなんでフィアッセとまともに話せるのか?」

 

 この後すぐ、みんなを落ち着かせる様に士郎さんが割って入り、小恋との親睦は歓迎会が開いた

ら各自深める様に言い渡され、フィアッセを迎えるまでの段取りの説明を聞くことになった。

 どうやらもう家を出て、あと5分もすれば、なのはとフィアッセは翠屋に着くという話から始

まったので、俺達は真剣に話を聞くことにした。

 

 

「クラッカーはみんな持ったね。この後すぐ、ここの電気を消すから入り口付近で、なのはとフィ

 アッセが入って来るまで待機。扉が開いて2人が入って来たら一斉に鳴らすんだよ。多少タイミ

 ングがズレても構わないけど、決して入って来るまでバレないようにね。」

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

「士郎さん。俺は何も持ってないけど?」

「刻也君は、花束を用意していたみたいだから、正面で気配を殺して待機。クラッカーが鳴って、

 みんなで出迎えの言葉を言ったら、渡してくれるかい?」

「分かりました。」

 

「それじゃあ、みんな持ち場についてね。すぐに電気を消すわ。」

 

 みなクラッカーを構え入り口付近に集まり、俺はカウンターの裏に置いた花束を手に取り正面で

気配を完璧に殺した。

 その様子を確認してから、桃子さんはホールの電気を消し、同じように入り口付近に待機した。

 

 

 

 しばらくすると、外からなのはとフィアッセの声が聞こえて来た。

 どうやら、フィアッセがなのはに質問しているようだが、なのはは何とか言い包めようと頑張っ

ているっぽい。

 

 次第にその声が大きくなって来たので、カウントダウンを始めよう。

 

――――― 5。

 

―――― 4。

 

――― 3。

 

―― 2。

 

― 1。

 

パンッ! パンッ! パンッ! 

 

―― ようこそ!海鳴へ!フィアッセ(さん)!これからよろしくね! ――

 

「えっ!?」

 

「フィアッセさんの歓迎会なの!」

「そういう事だ。4日振りだが無理してなさそうだな。」

「う..うん。良くしてもらってるから。」

「そうか。」

 

「あとこれな、フィアッセの為に用意した花束だ。受け取ってくれるか?」

 

「もちろん。ありがとう、トキヤ。それにみんなも!」

 

 フィアッセにもばれていなかったみたいだし、サプライズ歓迎会の出だしは成功と言って良いだ

ろう。用意した花束も嬉しそうに抱えているし。

 

「はーい♪それじゃあ、お料理を運んでくるから、トキ君はそのまま、フィアッセちゃんをエス

 コートして上げてね。小恋ちゃんはトキ君と一緒にフィアッセちゃんに付いてて。

 みんなは私と一緒に運ぶの手伝ってね。」

 

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

 料理を運ぶため、桃子さんがなのは達を引き連れ、厨房へと向かていった。

 

 残された俺達はフィアッセを、どこで調達したのか、バラエティー番組なら弄り倒されるであろ

う、玉座の様な椅子まで案内した。

 

 

 さあ、歓迎会はこれからが本番だ。一体何が起こるのか、それは俺にも分からない。

 

 




如何でしたか?

この回は、前哨戦みたいなものですね。本格的な宴は次回からになります。
必要だったかと言われれば8割方、必要なかったと思いますが、何かしらの前振りにでもなれば良
いかなと思い書くことにしました。
これが活かされるかどうかは、全くわかりませんが、少なくとも次回には全く絡んで来ない事は確
かです。

そんな次回ですが、ただでさえキャラ崩壊しているのに、あるキャラクターがさらに崩壊します。

※前回でシルバーウィークに描いたモノは終了しました。また機会があれば描くと思います。
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