とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~   作:戯言紳士

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ご愛読ありがとうございます。

いよいよ明日は、相棒14の放送日です。4代目相棒の冠城亘。法務省のキャリア官僚なのに、軟
派な性格と言う事ですが、右京さんと関わる事でどう変わっていくんでしょうか?
今のところ、亀ちゃんを超える相棒は現れていないと思っているので、ここらで盛り上がりを見せ
て欲しいです。

前回のあらすじ。
フィアッセ泥酔?によりキャラ崩壊!刻也のファーストキスを奪う!(完)



第52話   6月26日 金曜日③

 

「「「「「「「「女王様ゲーム?」」」」」」」」

 

「そうよ♪」

 

 桃子さんが提示したゲームの名前は、何とも如何わしい名前のゲームだった。

 

「ルールは簡単。この場に居る女の子が順番に女王様になって、この箱からカードを引くの。

 カードにはこの中の誰かの名前が書いてあるから、その人にやって貰いたい事を命令して、命令

 された人は、その通り実行する。もちろん、実現不可能な事はダメよ。

 あと、エッチな事もね。許容範囲は、ぽっぺにチューまでにしましょうか。」

 

 ゲームの内容も合コンなどでやりそうな内容だった。

 て言うか、俺はカードを引く権利すらなく、名前が出ればその通り実行するだけじゃないか。

 

「やるの!」

「面白そうだしね。」

「命令って何を言えばいいんだろう。」

「これで刻也さんを好き放題に出来るわけやな。」

「制裁が必要よね。」

「何にしようかな?」

 

 命令権を持つ、なのは達は何故か全員ノリ気。先ほどの騒ぎがなかったかのように、思い思いに

何を命令するのかを考えている様子。

 

「まあ、一回くらいならやってみても良いかもね。」

「いいね♪ナイスだよ、モモコ♪」

 

 小恋も意外とノリ気で、あの後水を飲ませて少しはマシになったフィアッセは桃子さんと意気投

合している。

 

 もはや、俺に止める手立てはなく、自分の名前が出ない事を祈るだけだった。

 

 

 

「それじゃあ、早速始めましょう。順番は...そうね。なのはから時計回りで、フィアッセちゃん

 にはトリを飾ってもらいましょうか。」

 

「わ..私から!?」

「OK♪」

 

 トップに任命されたなのはと、トリを任されたフィアッセ。それぞれ違った反応を見せたが、と

うとう女王様ゲームが始まる。

 

 

 早速、女王様であるなのはが、桃子さんの用意した箱の中に手を入れて、1枚のカードを引き出

し、補佐官の様なポジションに就いた桃子さんに手渡した。

 

 ある意味このゲームの基準となる、命令を執行する最初の犠牲者は?

 

「えっと...鏡刻也。なのはの命令に従うのは、トキ君ね♪」

 

 俺だったみたいだ。ここでゴネてもシラケるだけなので、なのはの指示を待つ。

 

「刻也さんにする命令だったら決まってるの!」

「なんだ?」

 

「私は刻也さんに小さい頃していたみたいにするから、それを全部受け入れるの!」

「具体性がないんだが、俺はなのはのする事を全て受け入れれば良いんだな。」

 

 なのはが小さい頃してた事だろ?別に変な事はなかったはずだし、俺が特別なにかをする訳でも

ないので、拍子抜けとまではいかないが、少し身構え過ぎていたのかもしれない。

 

「はーい♪それじゃあ、後の事もあるから時間は5分にしましょう。」

「それだけあれば十分なの!」

 

 こうして、なのはに5分間付き合う事になった。

 

 

「ねぇ、刻也お兄ちゃん。」

「どうした、なのは?」

 

「違うよ!昔は刻也お兄ちゃんはなのはの事を"なのちゃん"って呼んでたの!」

「どれだけ、昔に戻るんだよ。」

 

 確かに、俺は小学校低学年くらいまで、なのはの事をなのちゃんと呼んでいたが、観衆が見てい

る中で、そこまで時代を巻き戻さないといけないのか...。

 開始早々に、なのはの提示した命令の恐ろしさに戦慄した。

 

「いいから。はい!」

「...どうしたの、なのちゃん?」

 

―― プッ!

 

 今笑ったのは小恋だな。視線を向けると声には出していないが、顔が盛大ににやけている。

 

「刻也お兄ちゃん!今はなのはだけを見て!」

「はいはい、ごめんな。」

 

 もう周りの目とか気にしてたら出来ないな。

 なのはも昔の様に、真正面から抱き付いて、真剣な眼差しでこちらを見ながら訴えてきているし

この光景を見ても、士郎さんからは何も感じないし、このままやれと言う事だ。

 

 そのまま、ちょっと荒く頭を撫でる。確か昔は力加減とか分からなくて、

 

「もぅ!折角、なのはが自分で整えたのに...、ぐしゃぐしゃになっちゃったの。」

 

 まさに、こんな感じで頬を膨らましながら言われたんだよな。

 

「ごめん。力加減が分からなくて。...なのちゃん、痛かった?」

「痛くはないけど...、次からはもっと優しくして欲しいの。って、毎回言ってるの!」

「そうだっけ?次から気を付けるよ。」

 

 正直、凄く恥ずかしい。歳を取った状態での本人による再現。今すぐに飛び出したいが、なのは

はノリノリなので、そんな事も出来ない。

 

「絶対だよ。約束なの!」

「うん。約束。」

 

 そしてお互いの小指を結び、指切りをする。もちろん、定番の言葉を揃えて言いながら。

 

「はい。それじゃあ、刻也お兄ちゃんが髪を整えてよね♪」

「わかったよ。」

 

 もう、どこから取り出したとか突っ込む余裕すらなく、手渡された櫛を手に、いつの間にか持っ

てこれられていた椅子になのはが座り、俺は後ろから丁寧に髪をとかし、当時の髪型にセッティン

グした。

 

 自分の髪をセットするより慣れているという、何とも言い難い事実も発覚した。

 

 ここを忠実に再現すると、結構時間が掛かった気がしたので、制限時間がある今は、これまでの

経験値基づき、短時間で終わらせた。

 

「はい、出来たよ。」

「ありがとう、刻也お兄ちゃん♪」

 

「でもどうして、なのはが自分でするよりも、刻也お兄ちゃんが整えた方がキレイなんだろう?」

「お風呂上がりに、毎日なのちゃんの髪を整えているからじゃないかな。」

「ま..毎日じゃないの!一緒に入った時だけなの!」

「毎日一緒に入ってるんだから、毎日だよ。」

 

 俺が小学校高学年になった辺りから一緒に入る事はなくなったのだが、それまではほぼ毎日一緒

になのはと風呂に入っていた。

 そういえば、士郎さんや恭也さんが懸命に一緒に入ろうと誘っても、何故か俺が一緒じゃないと

嫌だとかゴネてたな。

 

「それじゃあ、今度久しぶりに一緒に入ってくれる?」

「良いよ...。って、はぁ!?」

 

 ちょっと待て、今久しぶりにって言ったよな!今の当時の再現じゃない!?

 

「了承は取ったからね、刻也さん♪」

「ちょっ!いきなり現実に戻るのはズルいだろ!」

「ズルくないの!私が昔みたいに接したら、刻也さんが自分から退行していっただけなの。」

 

「いy「はーい♪5分経過、これで終了よ♪」」

 

 まだ言いたい事が山ほどあるのだが、桃子さんの終了の声で遮られてしまった。

 

 

「なのは、かなり攻め込んだね。」

「刻也さんの滅多に見れない演技が見れただけで、私は満足だったよ。」

「なのはちゃんならではの切り口やったな。」

「最初から飛ばし過ぎだと思うけどね。」

「私達が知らない事実が発覚したね。今度、なのはちゃんを問い詰めないと。」

 

「「「「賛成!」」」」

 

「にゃっ!なんで、なのはが標的になってるの!」

「まだ色々と喋ってない事があるみたいだしね。」

「隠してた、なのはの自業自得よ。」

 

 どうやら、なのはもこの事で、後日少なからずダメージを負うらしい。

 

「でも、最後の約束は無効ですよね?」

「そうね。母親としては頑張ったと言いたいけど、流石にこの歳で一緒にお風呂は無効ね。」

「そんな~。」

 

 桃子さんならもしかしてと思ったが、この事については正式に無効と宣言したので一安心だ。

 

 

 

「それじゃあ、2人目のアリシアちゃん。引いてみましょうか♪」

「はーい♪」

 

 精神的に凄くダメージを負ったが、まだ一人目。当初の立ち位置でなのはの右隣にいたアリシア

が、桃子さんに促されるまま箱に手を突っ込みカードを物色している。

 

「私は宣言する。このカードが刻也であると!」

 

 嫌な宣言をして、箱の中からカードを掴んだ手を出し、桃子さんに手渡すアリシア。

 これだけ人数がいて、連続で俺が当たるなんて結構な確率だぞ?

 

「あらあら♪アリシアちゃん凄いわね。」

 

 渡されたカードを見てそう言った桃子さんは、みんなに見える様にカードに書かれた名前を見せ

た。

 

――― "鏡 刻也"

 

 そう言われた地点で分かっていたし、諦めてもいたが、万が一と言う事もありえるので、カード

を見てみたのだが、書かれていたのは俺の名前だった。

 

「マジかよ...。」

「大丈夫だよ。アタシはなのはよりずっとマシだから。」

 

「アリシアちゃんはトキ君に何を命令するのかしら?」

 

「えっとね。刻也にはアタシを壁ドン!して欲しいな。」

 

「確かに、なのはより明確な内容だし、かなりマシだな。」

「でしょ!」

 

「それでは、トキ君にはアリシアちゃんを壁ドン!して貰いましょう♪」

 

「ちょっと待って!刻也に流れの説明するから。」

 

 そう言って、開始の合図を一旦止め、アリシアは俺にどういう流れで、どういう感じにして欲し

いかという要望を、他の人には聞こえない様に耳打ちした。

 

「―――って感じでお願いね。」

「範囲内ではあるし、アリシアがそう言うならやってみよう。」

 

「打ち合わせは終わったみたいね。それじゃあ、リハーサル無しの一発本番スタートよ!」

 

 誰よりもノリノリな桃子さんの合図で、アリシアとの2人ショートドラマ?が始まった。

 

 

 開始の状況としては、俺とアリシアが待ち合わせしていて、アリシアの方が先に着き、俺の到着

を携帯ゲームをしながら待っている所だ。

 そこにやって来た俺は、こちらに気付かずゲームに夢中になっているアリシアを驚かせようと、

壁ドンをするとの事らしい。

 その後の展開もあるのだが、まずはここまでやるとしよう。

 

 筋書き通り、アリシアは少し離れた所で、壁に背を預けた状態で携帯を弄っている。俺はそこに

気配を消して近づき。

 

――― ドンッ!

 

 俺が気配を消した事で、本当に気付かなかったアリシアがビクっとして、携帯から目を離した。

 

 この後、音に驚き一度こちらを見たアリシアは、俺との距離の近さから恥ずかしくなり、視線を

逸らそうとしたが、俺がアリシアの下顎を持ち、視線を外させない様に自分の方を向かせ、さらに

距離を縮めていく。

 

 お互いの息遣いが感じられる距離まで近づき、

 

「目逸らすなよ。らしくないぞ。」

 

 アリシアの顔を見ながら、真剣な眼差しで、尚且つ冷たい感じで言い放った。

 

「あぅ。」

「なんだ?本当に照れてるのか?」

「ち..違うよ。」

「そうか?アリシアの瞳は、俺に本当の事を教えてくれてるぞ?」

「ウソだよ。そんな事ない...もん。」

 

 この状況になったら、しばらく言葉責めして欲しいと指示されていたので、しばらく至近距離で

の言葉責めを続けた。

 

 4,5回言葉を交わした所で、これくらいで良いだろうと判断し、最後に指示されていた事を行

動へ移る事にした。

 

 クイッっと軽くアリシアの腕を引き、前のめりに倒れて来たアリシアを抱きとめて、耳に軽くキ

スをした後で、

 

「それじゃあ、行こうか。」

「......はひぃ。」

 

 少し距離を空けて、恋人つなぎと言われる手のつなぎ方をして歩き出した。

 

 

「カット!トキ君って演技も出来たのね。私も年甲斐無くドキドキしちゃったわ♪」

「ありがとうございます。」

 

「ほら、アリシア終わったぞ。」

「あ..うん。」

 

 まだ役が抜けきっていない様子のアリシア。どこまで入り込んでいたんだろうか?

 それに、ギャラリーもさっきと違い静かだ。

 

「何て言うか、凄かったの。」

「姉さんの表情がいつもと違って見えるよ。」

「アレやな、」

「所詮、創作の世界だから成り立つモノだと思ってたけど、」

「実際に目の前でやられちゃうとねぇ。」

 

「アリシアちゃん、戻ってこれへんやん。」

「見てた私達がコレだからね。」

 

「刻也さん!とりあえず、そのキャラクターは封印なの!」

「そうですね。」

「そうして下さい。」

 

 よく分からないが、俺も要求されたからやっただけで、封印と言われなくても、自分からやる事

はない。

 

 

 

「はーい♪続いて、3人目フェイトちゃん!引いてみよう♪」

「えっと、コレかな。」

 

 今の空気を吹っ飛ばして進行を始める桃子さんと、戸惑い気味に箱からカードを取り出し、その

まま桃子さんに渡すフェイト。

 

 流石に仕組まれていない限り3連続はありえないだろう。

 

「本当に大人気ね。フェイトちゃんの命令を聞くのもトキ君よ♪」

 

 あぁ、うん。これ完全に仕組まれてる。

 どうせこの後も俺の名前が書かれたカードしか出ないぞ。

 

 ただね。すでになのは・アリシアとやっている訳で、ここで仕組まれているからと言って、残り

のメンバーはやらないとは言えない。

 

 この段階で仕組まれていると気付いただけ、この後の展開に腹が括れるというモノだ。

 もう何でも掛かって来い!

 

「あの、私、なのはや姉さんみたいな事は思い浮かばなかったんですけど。」

「そんな事、気にしなくていいのよ。単純にトキ君にしてもらいたい事を言えばいいの。」

 

 フェイトの性格上、アリシアの様に手の込んだシナリオを即興で思いついたりはしないよな。

 

「えっと、それじゃあ。刻也さんにお姫様抱っこして欲しい...です。」

 

「はーい♪フェイトちゃんから可愛らしい命令が下されました♪お姫様抱っこ、幾つになっても、

 女の子は白馬に乗った王子様にお姫様抱っこされる事を夢に見ているものね♪

 ち・な・み・に♪私の白馬の王子様は士郎さんよ♪」

 

 最後に惚気が入ったが、お姫様抱っこだったら容易い内容だな。

 ありがとう、フェイト。みんなフェイトみたいな命令だったらどれだけ救われる事か。

 

「時間は...どうしましょうか?フェイトちゃん、希望はある?」

「長い時間は刻也さんの負担になると思うので、1分もして頂ければ十分です。」

 

「本当に可愛らしいわ♪どう?ウチの娘にならない?」

「気持ちは嬉しいのですが、大切な姉さんとお母さんがいるので、ごめんなさい。」

「フラれちゃったわね♪」

 

「それでは、トキ君には今から1分間、フェイトちゃんをお姫様抱っこしてもらいましょう。」

 

 

 合図と共にフェイトを両腕で抱きかかえて、フェイトは躊躇いながらも、俺の肩から首にかけて

片腕を回し上半身を少し起こす事で、安定感を持ったお姫様抱っこが出来上がった。

 

 あれこれしなくて良い分、楽ではあるのだが、思いの外密着度が高く、お互い顔の位置も近い。

素の状態では、フェイトの顔を見るだけでも、相当照れくさく感じてしまう。

 

「あの、私重くないですか?」

 

 まだ、お姫様抱っこをして10秒もしない内にフェイトからそんな質問がきた。

 

「大丈夫だ。むしろ、フェイト位の体格からしたら軽いくらいだな。」

「良かったです。最近、身に覚えがないんですけど、少し体重が増えてしまったので。」

「そうなのか?」

「はい。みんなにも話したんですけど、姉さんやはやてからは胸だって言われたんですけど、私に

 は良く分からなくて。」

 

 フェイトのその言葉で、意識しない様にしていた胸に当たっている柔らかな弾力性を持つ感触を

意識せざる負えなくなってしまった。

 おそらくなのは達の中で一番発育が進んでいるフェイトだが、この様な知識に関しては一番疎い

というか、無警戒というか、色々危ういのも、またフェイトだ。

 

 そんな考えも過り、フェイトのこの言葉にどう返して良いのか悩んでいると、

 

「すみません。刻也さんを困らせるつもりはなかったんです。」

 

 と、俺が沈黙しているのを自分のせいだと思ったフェイトが謝罪してきたので、

 

「確かに、俺には何とも言えないけど、その辺の発育は人それぞれだからな。フェイトは他の人よ

 りも、それが進んでいるっていうだけだから、それで体重が増えたとか気にしなくて良いだろ。

 さっきも言ったが、全く重くないぞ。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

 取って付けた様な言葉ではあるが、言わないよりはマシだと思いフォローする事にした。

 

「刻也さんは...。」

「どうした?」

 

 その後、フェイトが何か質問しようとしたが、途中で中断したので、聞き返した。

 

「はやてが男の人は、好みの胸の大きさがあるって言ってたんですけど、その...刻也さんは大き

 い胸の女性ってどう思いますか?」

 

 はやてぇ。フェイトに何吹き込んでんだよ。と言う想いを込め、はやてを人睨みした。

 

 フェイトも、確かに胸に関しての話をしていたが、何故ここで聞いて来たんだ?

 

「その、無理に答えてもらわなくても良いんです。ちょっと気になってしまっただけなので。」

「そういう訳じゃないんだが、今まで女性の胸の大きさを気にする事がなかったから、何とも言え

 ないんだよな。だから、フェイトがこれから成長していったとしても、大きさとかでフェイトを

 どう思うかは変わらない。」

 

 当たり障りのない回答だが、実際に、この様な密着した時くらいしか気に掛ける事がなかったの

で、事実でもあった。

 

「そうですか。」

 

 その直後、桃子さんが残り10秒との宣言があり、フェイトは俺の肩から首にかけて回していた

腕の力を強め、互いの顔が近づき、偶然なのか狙ったのか分からないが、俺の頬にフェイトの唇が

触れた所で、10秒が経過したようで、再び桃子さんから終了の呼び声があったので、フェイトを

下ろす事にした。

 

 

「フフ♪2人でこそこそと何を話していたのかしらね♪」

「別にこそこそと何て話してなかったでしょ。」

「気付いてなかったのかしら?少なくとも、私がいた所までは届いてなかったわ。」

 

 それが本当ならはやては俺に睨まれた意味が分かっていないな。問いただす程の事では無いにし

ろ、この感じだと他にも色々と吹き込んでいる可能性が高いが、それはその時になったら、制裁を

与える事にしよう。

 

「フェイトちゃん、刻也さんと何話てたの?」

「せや、口は動いとったから、何か話したんやろ?」

「早く吐いた方が楽になれるわよ。」

「それよりも、ラスト10秒で何したの?」

 

「最後は、狙った訳じゃなくてね。その..残り10秒って聞いたら、少しでも近くにいたいって

 思ったら、身体が動いちゃっただけだよ。」

 

 下ろした後、フェイトはなのは達に捕まり尋問されている。毎回毎回同じような光景を目にして

いる気がするのだが、今回はその輪にアリシアがいなかった。

 どうやらまだ、役が抜けきっていないらしい。どこまで入り込んでいたんだろうか?

 

 

 

「ドンドン行くわよ♪はやてちゃん、どうぞ!」

「ようやく、ウチの出番や!」

 

 はやては勢いよく箱からカードを取り出し、桃子さんに渡したが、もはやこの行動に意味などな

い事は分かっている。

 

「運命の悪戯って怖いわね♪またまた、トキ君よ♪」

「よっしゃ!それじゃあ、こういったゲームの定番といくで!」

 

 ほら。それをあくまでも運命の悪戯、たまたまだとアピールする桃子さんも、既に俺が気付いて

いる事にも、気付いている。

 俺がどうこう言おうが、最後までやり通すので時間の浪費を避ける意味で、何も言わない。

 

「それでは、はやてちゃん!命令をどうぞ!」

 

「ウチと刻也さんでポッキーゲームや!」

 

「「「「「異議あり!!」」」」」

 

 はやての提示した言葉で、アリシアも一気に前線に復帰し、一緒に意義を唱えた。

 

「なんでや!」

「だって、ポッキーゲームの行きつく先って...。」

「明らかに設定範囲を超えてるわね。」

 

「そんなん事故やん。」

「それを事故で片付けるのは無理があるよ。」

 

「でも、刻也さんから逃げれば、避けられるで。」

「それは、俺への挑戦か?」

 

 はやての俺から逃げる発言。普段の俺ならばスルーした所だが、アルコールも入り、これまでの

事で少々感覚が狂っていた為か、ほぼ俺の意識とは関係なく、売り言葉に買い言葉が漏れ出てし

まった。

 

「あら♪トキ君もノリ気みたいだから、やっちゃいましょうか♪こんな事もあろうかと、ポッキー

 も用意してあったのよ♪」

 

 それを良い感じに取られ、周囲はジャッジ桃子には誰も逆らえない事もあり、俺とはやてのポッ

キーゲーム1本勝負が開催された。

 

 

「刻也さん。勝負やで!」

「こうなったら仕方がない。はやての方から折らせてやる。」

「そんな事は絶対起こらんで。」

 

 前口上を済ませ、お互いに一本のポッキーの両端を口に咥え、準備が完了した。

 今更だが、なぜたかがポッキーゲームにここまで熱くなっているのだろうか?

 

「準備はOKね♪それでは、始め!」

 

 そんな些細な疑問を思考する間もなく、はやてとの対決が始まった。

 

 1本勝負と言う事で、俺もはやても一気に距離を詰める事はせず、お互いに少しずつ齧り、じわ

じわと距離を縮めるという同じ戦法を取った。

 

「やっひゃり、ときゅやひゃんも、しょうきゅるんやにゃ。(訳:やっぱり、刻也さんも、そう来

 るんやな。)」

 

 ポッキーを加えながらなので、はやてが何を言っているのか分からないが、雰囲気から大体言っ

ている事は理解出来た。

 

「まあにゃ。いっぴょんひょうぶで、しょっきょうでけりゅがちゅいてみょ、ちゅまりゃにゃいだ

 りょ?(訳:まあな。一本勝負で、速攻でケリがついても、つまらないだろ?)」

 

 俺も同じ状況なので、自分の思うように発音出来ていないのだが、しっかりとはやてには伝わっ

たようで、互いに苦笑し、またポッキーを齧り始めた。

 

 

 そして、ついに俺とはやてのどちらかが2,3口進めれば、事故が発生するといった距離まで接

近した。

 

 今はお互いにけん制し合い、一時停止状態で硬直している。

 はやては当初、事故を起こすつもりでやっていたモノだと思っていたのだが、どうやらどちらが

先にポッキーを離す&折るかの勝負への意識が上回ったようだ。

 

「にゃかにゃか、にぇびゃりゅやにゃいか。(訳:なかなか粘るやないか。)」

「ひゃやてもにゃ。(訳:はやてもな。)」

 

 この距離だと話をするだけでも、事故が起きかねないが、ここからはどちらが相手により羞恥心

を与え、戦意を喪失させるかという戦いになるので、口を閉ざす事は出来ない。

 

 しばらく、互いに口撃を繰り返したのだが、このままでは埒が明かないと踏んだ俺は、はやての

不意を突き、もうひと齧りし、僅かに距離を詰めた。

 

 その不意を突かれたはやてを此れ見よがしに、口撃し攻め続けた結果、

 

「あかん!もう無理や!」

 

 珍しく、はやてがマジ照れをしてポッキーを口から離し、なのは達の影に隠れる様に退散して

いった。

 勝負の決着がつき、残された俺は、口に咥えたままのポッキーの残りを勿体ないので、咀嚼して

飲み込んだ。

 

 勝ったのだが、あらためて、どうしてこんなにムキになっていたのかが分からない。

 

「言うまでもないけど、勝負あり!トキ君の勝ちね♪それに止めに、はやてちゃんが咥えてた部分

 までしっかり食べちゃうんだもの♪なかなか出来ない芸当よ。」

 

 あっ。そういえば、残っている部分=はやての咥えていた部分じゃないか。

 全く気にせず食べてしまった。

 

「はやてちゃん、羨ましいの。」

「アタシが言うのもアレだけど、はやては結構頑張ったよ。」

「...私もアレやってみたかったな。」

「でも、刻也もアレよね。」

「お酒の影響もあるかもしれないけど、Sっ気に磨きが掛かってきてる感じ?」

「本人に自覚はないでしょうけどね。」

 

 あちらはまた違った感じで、今回は、はやてを励ます声が多い気がする。

 それと、すずか。確かに俺も、普段の俺じゃない所が出てきている気がしない訳でもないが、そ

の言い方だと、普段からSっ気があるみたいじゃないか。

 

 

 

「それじゃあ、半分の人数が終わった所で一旦、小休憩としましょうか。」

 

 続いて、アリサの番かと思ったが、どうやらここで小休憩を挟むらしい。

 俺もそれには全く異論はなく、思考と感覚を少しでも正常時に戻すべく一杯の水を飲み干した。

 

 その後、椅子に座り、ここまでの事を振り返ったのだが、フィアッセが不自然な程に静かだった

事に気が付いた。

 何か狙いがあっての事か、それとも他に何か理由があるのかと、考えを巡らせてみたが、見当も

つかず、本人の方を見ると、少しみんなと離れた場所で、俺と同じように水が入ったグラスを手に

持ちながら、俺の方を見ていた。

 その時、一瞬だけ目が合ったのだが、すぐさま顔を逸らされ、俺の目の錯覚でなければ、フィ

アッセの顔は赤面していたと思う。

 

 もしかして、酔いが醒めて、さっき俺とした事を冷静に考えられる様になったんじゃないか?

 

 そんな仮説を立てたのだが、今のフィアッセに聞けるような質問でもないので、この時は聞く事

が出来なかった。

 

 

「全員揃ってるわね♪それでは、続きを始めましょう。」

 

 数分後、桃子さんがみんなの様子を確かめて、高らかに後半戦の開始を唱えた。

 

 そして、俺の立てた仮説は、フィアッセの番が回って来た時に正しかったのか、間違っていたの

かが、明らかになった。

 

 




如何でしたか?

一話で全員分書こうとしたら、予想以上に長くなったので、ここで分割する事にしました。
まあ、それぞれにスポットを当てていく訳ですが、内容は酷いモノです。
こういった方面を文章にする能力はより低いようですね。自分を再認識しました。
それでも、こうして書いて読み直して、次に活かせるようになったら良いなと、前向きに考えてい
く事にしました。

次回は、今回載せきれなかったメンバーの分と歓迎会の終了までお送りします。
既に書きあがってはいるのですが、前書きのネタがないので、明日の同じ時間帯に更新します。

※観覧注意(ギルドホーム外観:裏庭は手つかずの雑木林だと思って下さい。)

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