とらなのVRMMO ~魔法はゲームの中だけなの~ 作:戯言紳士
冠城亘、亀ちゃん以来の右京さん呼びですね。
警察官じゃないが故に、独特な探り方で真相の究明しようとしている感じが、今までと違う所なの
でしょう。
弱点は、他人の運転する車に乗車する事で良いんですかね?
自分の行動に対してのプライドや弱点持ちな所は神戸君に近い感じがしました。
今後の展開に期待します。
前回のあらすじ。
みんな好き勝手にやっているみたいです!(完)
「次はアリサちゃんね♪」
「はい!私はそんな簡単にやられたりしないわ!」
再開された、女王様ゲーム。次の相手はアリサだ。
アリサのこの発言からも分かるように、これが出来レースである事は、全員が知っている。知っ
た上で継続しているゲームである。
そして、その方向性もどこか変わってきている気がする。
「良い意気込みを聞かせてくれたアリサちゃんの命令に従うのは、またまたトキ君よ♪」
むしろ、ここで別の人物の名前が出る方が驚く。それは、ここまでの4回が仕組まれていた訳で
はなく、ガチで引き当てられていた事になるからな。
「刻也、覚悟は出来てるわね?」
「あぁ。」
「それじゃあ、まずはそこの椅子に座りなさい。」
桃子さんの合図を待たずに、早速俺に命令し始めるアリサ。
これから何をするのか分からないまま、アリサが指定した椅子に座ると、アリサは間髪を容れず
に、椅子に座った俺の足にアリサが座った。
構図はお姫様抱っこに非常に近く、俺が抱きかかえている訳ではないが、片足に座ったアリサは
俺の肩から首にかけて片腕を回しているため、距離が近く、密着度も高い。
「これからどうするんだ?」
「そ..そうね。このケーキを食べさせて貰おうかしら。」
最初の勢いはどこへいったのか、時間を置いても、狂った感覚はそれほど治らなかったらしく、
このくらいの密着具合では、平常心を乱される事がなくなり、平然とした態度の俺に、出鼻を挫か
れたアリサは、ちょっと狼狽しながら、テーブルに切り分けられたケーキを指さした。
つまり今回の命令は、この状態のアリサに甲斐甲斐しくケーキを食べさせればいいと言う事か。
冒頭の意気込みから、もっと過酷な命令が下されるのではないかと思っていたが、これくらいの
事ならお安い御用だ。
手にしたケーキをフォークで、アリサの一口に合うサイズで取り分け、アリサの口に向け、ケー
キを乗せたフォークを持っていく。
それと、この体勢の安定感を高めるために、フォークを手にしていない方の手で、アリサの背中
をそっと支えた。
「ほら、口を開かないと食べさせられないだろ?」
「わ..分かってるわよ。」
それほど急いだ感じではなく、どちらかと言うとゆっくりと口元へと持ってきたのだが、アリサ
は口を開こうとしなかったので促す事にした。
そして開いた口の中にすっとケーキの乗ったフォークを入れて、アリサがそれを咥えるこの待っ
たのだが、今度は開いたままで閉じようとしない。
俺は、一回、一回の動作を促さなければならないのだろうか?
「もう入ってるぞ。」
そう言うと、ようやく口を閉じたので、フォークを抜き取ったのだが、口元にちょっとだけク
リームが付いてしまったので、フォークを一旦ケーキの乗った皿の上に置き、近くにあったナプキ
ンで、綺麗に拭き取った。
その間に、一口目を食べ終えたアリサだが、赤面しプルプルと小刻みに震え、何かに必死で耐え
ている感じがしたので、
「大丈夫か?喉に詰まらせたとかじゃないよな?」
「えぇ...。大丈夫よ。私はまだ戦えるわ。刻也は気にせずに続けなさい。」
見当違いの心配をしていたらしいが、大丈夫だと言う事なので、言われるがまま、残りのケーキ
も同じ様に食べさせる事にした。
二口目以降は、促さなくてもちゃんと食べる様になったのだが、アリサのタイミングがワンテン
ポ遅れて、さっきより口元が汚れたりなど、アリサには失礼な話だが、まるで離乳食を食べ始める
様になった幼児に、食事を与えているみたいだなと思いながら、食べさせていた。
この時の俺の表情は、自然と笑みがこぼれ、アリサを慈愛の瞳で見ていたと、この指令を遂行し
終えた後に、そっと桃子さんに耳打ちされた。
そして、いよいよ最後の一口となったところで、
「待ちなさい。これは特別に私が刻也に食べさせて上げるわ。」
そう言って、俺が手にしていたフォークを奪い、テーブルに乗っているケーキの皿を取ろうと、
前屈みになったのだが、アリサがバランスを崩し、そのまま残りのケーキへ顔面ダイブしそうに
なったので、慌てて後ろから抱きかかえ、アリサが顔面ダイブするという事態は回避した。
回避したのだが、アリサを抱きかかえている俺の左手の甲に、さっきまで胸に感じていた時とは
また違った柔らかさを持ったナニかが触れていた。
直接的に言えば、咄嗟に抱きかかえた時に、アリサの胸に非常に近い位置を持ってしまった様で
今俺は左手の甲で、アリサの胸を下から持ち上げている状態だ。
流石にこの事態は俺もアリサも全くの想定外。
脅威が去った今、この状態を継続させる意味はないので、すぐさまアリサを解放して謝罪した。
「悪い。言い訳はしないから、アリサの好きにしてくれ。」
「...じゃあ、これ。...ちゃんと食べなさい。」
叩かれる事は覚悟していたのだが、アリサはそんな事はせず、最後に残された一口サイズのケー
キを刺したフォークを俺に向けて、そう言った。
顔は赤面しているし、目には涙が出そうなくらい潤んでいたが、そう言ってくれたアリサの寛大
な心に感謝して、ありがたく最後の一口を頂戴した。
「ありがとう。」
「ふ..ふん。今回は私の不注意が招いた事態だから、特別なんだからね!」
食べ終えて感謝を伝えると、最後はいつものアリサらしい台詞を言って、なのは達の下へ戻って
いった。
「やっぱり、リアルハプニングは破壊力が抜群ね♪今回は私の出番がほとんどなかったけど、大満
足よ♪トキ君もアリサちゃんもナニか持ってるわね。」
誰よりもこのゲームを楽しんでいる桃子さん。時間の経過と共に肌に艶が出てきている気がする
が気のせいだよな。
なのは達の下に戻ったアリサも、何か言われているみたいだが、一切聞き入れず無視を貫く姿勢
を取っているみたいだ。
「さて、残り3人となったけど、すずかちゃん、この調子でお願いね♪」
「分かりました。私は私のやり方で頑張ります。」
桃子さんが次の女王様を宣言すると、今までアリサをどうにかして弄ろうとしていたメンバーも
スイッチが切り替わったかのように、今度は指定されたすずかに注目を集めた。
様式化され、それ以外の意味は一切持たない、箱からカードを引く件も行い、
「これも愛の成す奇跡かしら♪すずかちゃんのお相手はトキ君です♪」
案の定、俺が選ばれた。
「さあ!すずかちゃんは、トキ君に何をさせるのかしら♪」
「えっと、私は刻也さんを膝枕したいです。」
ふむ。俺がすずかをではなく、すずかが俺を膝枕するのか。
しかし、それだと俺がしてもらう側じゃないか?
「すずかちゃんがトキ君を膝枕するで良いのね?」
「はい。私は刻也さんにして上げたいんです。」
すずかがそれを望むなら俺は構わないが、一体どういう策略があるのだろうか?
普段の言動からは感じられないが、忍さんと同じ血筋のすずか。どこでそれが覚醒するか分から
ない以上、気は抜けない。
「だったら丁度良い事に、ここに綿棒があるから、耳掃除もしてみる?」
「はい。是非してみたいです。」
どんな事態を想定したら、この場に綿棒が必要になるのか全く分からないが、俺はすずかに膝枕
をされながら耳掃除をされる事が今回の指令になった。
「それじゃあ、椅子を何個か並べて、そこにトキ君には寝てもらいましょうか♪」
桃子さんが言うなり、なのは達は無言で作業を始め、あっという間に椅子が並べられた。
「刻也さん。ここに頭を乗せて寝て下さい。」
「分かった。」
並べられた椅子の端にすずかが座り、自分の腿をポンポンと叩き、俺に寝る様に促されたので、
そのまますずかの腿に頭を乗せて横に寝そべった。
この歳になって、自分以外に耳掃除をされる事になるなんて思ってもいなかったので、これまで
とは違った意味でドキドキしてきた。
それに膝枕も、耳掃除同様、遥か彼方に桃子さんにしてもらった時、以来だと思う。
まだ寝そべっただけなので、正面には満面の笑みを浮かべるすずかの顔と、フェイト程ではない
が、十分に発育の進んだ胸が映っている。
加えて後頭部には、丁度良い柔らかさのすずかの腿が、俺に今までに味わった事のない安らぎを
感じさせた。
「どうですか?」
「ここまでの疲れが癒されていくみたいだ。」
「なら良かったです。」
そう言いながら、すずかが俺の頭を撫でる。
そう言えば、今日の昼休みに楠葉さんにも撫でられたが、その時は感じなかった不思議な感覚が
今は感じられた。
「それでは、耳掃除を始めますから、顔を向こう側へ向けてもらえますか?」
「分かった。」
すずかに言われるがまま、顔と体の位置を変えた。
すると正面には、こちらの様子を眺めるギャラリーの姿が見えたので、俺は目を閉じた。
「ありがとうございます。では、失礼しますね。」
その後、一声掛けられ、耳の中に綿棒が入って来る感触がし、耳介から外耳道の間を、俺が痛み
を感じない様に、優しく掻いていくすずかの技術に、いつしか俺は完全に気を抜き、身を任せてい
た。
「すずかって子、凄いわね。あの刻也が完全に身を任せてるわ。」
「天然のフェイトちゃんと違って、すずかちゃんは狙って落としに掛かるから怖いの。」
「それが、今回見事に嵌ったわけや。」
「でも、これがこのゲームの正解だったみたいね。」
「私欲に走らずに刻也に献身的にすれば良かったって事?」
「その結果が今目の前に映ってるじゃない。」
「私欲に走った結果、ウチらは全員撃沈してる訳やしな。」
「小恋ちゃんは、次どうするつもりなの?」
「やっぱり、すずかと同じ路線で攻めるの?」
「...私は刻也をどうこうするつもりはなかったけど、あんな顔見せつけられたらね。ちょっと、
意地悪して見たくなったわ。」
「つまり、全く違った感じで攻めるって事やな。」
「攻めるって言うよりも、罰ゲームになるんじゃないかしら。」
ギャラリーが少々五月蠅いが、気持ちよさが勝り、何を言っているのかまでは聞き取れなかった
が、どうせ碌でもない事なので、今は気にしない事にした。
「はい。それじゃあ、反対もするので向きを変えて頂けますか?」
「あぁ。」
耳から綿棒が抜けた所で、反対側に向きを変えた。
すると、さっきまでは意識する事もなかった、すずかが纏う香りが鼻腔をくすぐり、微睡んでい
た意識が一気に覚醒した。
「どうかしましたか?」
「いや..なんでもない。」
「そうですか?では、こっちの耳もお掃除しちゃいますね。」
「あぁ。頼む。」
しかし、そんな事をすずかに告げられる事も出来ないので、そのままもう片方の耳も、すずかの
好きなようにさせたのだが、さっきまでとは違い、俺の心拍数は上昇し非常に照れくさくなり、気
持ちは良いのだが、早く終わらないかと願うようになっていた。
「はい。両耳とも綺麗になりましたよ。」
「そうか、ありがとう。」
ようやくもう片方の耳も終わり、俺は速攻で身体を起き上がらせた。
「もう少しあのままでも良かったんですよ?」
「ほら、結構長い時間やってもらったから、これ以上はすずかの負担も大きくなるだろうと。」
「刻也さんだったら、私は何時間でも構わないんですけど。」
「俺が構うんだ。」
「そうですか、残念です。」
「はい♪トキ君の珍しい表情も見れたので、これで終了よ♪」
ここで桃子さんの終了宣言が出た。
そして桃子さんの宣言後、席を立ったすずかは、俺の耳元に顔を近づけ、
「刻也さんが望むなら、何時でもして上げます。」
と言ってから、なのは達の所へ戻っていった。
今回は終始、すずかの計画通りに運ばれてしまったみたいだ。
なのは達の所に戻ったすずかは、何故か崇め奉られていた。そこで悪ノリがエスカレートし、す
ずか様と騒ぎ立て始めた、アリシアとはやては、先ほどまでとは違った笑みを含んだすずかの制裁
を受けて、桃子さんが次の女王様を宣言するまで、沈黙状態に陥っていた。
「次は、普段のトキ君を一番知るといっても過言ではない、小恋ちゃんよ♪」
「ここで、そんなキャッチフレーズは必要ないです。」
桃子さんの呼び込みに、訂正しながらも、これまでと同様に箱からカードを引く小恋。
普段はネタ振り的な感じで、変な要求をする事はあったが、こういったゲームで小恋は俺に何を
吹っ掛けてくるのだろうか?
「あと一人でパーフェクト達成ね♪小恋ちゃんもトキ君を引き当てたわ♪」
もうそのフレーズは聞き飽きました。
桃子さんが読み上げる前に、すでに俺は覚悟を決めているし、小恋は俺の方を見ながら不敵な笑
みを浮かべていた。
「それじゃあ、刻也には、あのピアノでフィアッセさんの曲を弾き語りしてもらいましょうか。」
不敵な笑みが一転し、物凄く良い笑みを浮かべながら、嬉々とそう告げた。
そして、明らかになのは達とはテイストが全く違う。小恋は自分を巻き込んでいない。
なによりも、
「お前、本人を前に弾き語りとか、どんな神経してそんな事言ってんだよ。」
「あれ?女王様の命令は絶対なんでしょ?」
「うぐっ...。」
「大丈夫よ。ちゃんと弾く前に曲を覚えるくらいの時間は上げるから。」
「はぁ。」
まあ、俺も今更止めるのもなんか嫌なので、小恋から小型オーディオプレイヤーを受け取り、
2,3回、集中して耳コピする事に専念しながら繰り返し再生し、大体のイメージが出来上がった
所で、最近は弾くことのなかった、翠屋に置いてあるピアノの椅子に座った。
「トキ君の準備も出来たみたいなので、これから小恋ちゃんの命令通りに、フィアッセちゃんの曲
を弾き語って貰いましょう♪ピアノも定期的に調律してあるから、問題ないはずよ。」
桃子さんの言う通り、音を確かめて見たが、特にズレている感じはしなかった。
「そうみたいですね。」
返事をした後、弾き始める前に、観賞モードでピアノ周辺に集まってきている一同を見渡した。
言い出しっぺの小恋はもちろんだが、聖祥メンバー、我関せずとカウンターで飲んでいた士郎さ
んと美由希さん、そして本来の歌い手であるフィアッセまでも、小休憩に見た時の様子とは一変し
俺が弾き始める事を待ち望んでいるかの様な瞳で、俺の事を見ていた。
~♪ ~♪ ~♪ ~♪ ~♪
―― 肩を並べ 君と歩く 夕焼けの道で
そんな目で見られたら、お粗末なモノは聴かせられないと思い、短時間でコピーしたフレーズを
俺なりに弾き始めた。
前奏は問題なく弾けていたと思う。
最初の歌詞も間違えず、音程もそれほど外してはいないはず。
ギャラリーからの反応は良く分からないが、1番のAメロ・Bメロと歌い終え、サビに入った。
―― 淋しく哀しくて 泣いた日も 楽しくて嬉しくて 笑う日も
自画自賛ではないが、短時間で譜面も無い状態でよく弾けていると思う。
1番のサビも歌い終え、そのまま2番へと移っていき、同様にAメロ・Bメロを歌い終え、2番
のサビを歌い始めた時だった。
―― さよならは始まりと 見送った 歩き出す君のこと 信じてた
―― Mmmmmmmm♪ Mmm♪ Mmmmmmm♪ Mmm♪
フィアッセの口から僅かに聞こえるくらいの鼻歌が混じり出したのだ。
フィアッセが歌いだした事にも驚いたのだが、喉の療養のため、大声や歌う事は控えるように医
師からも言われていると聞いていたのだが、鼻歌は大丈夫なのだろうか?
俺のこんな即興みたいな演奏のせいで悪化でもしたらと思い、2番のサビを歌い終えた所で止め
ようと思ったのだが、その雰囲気を察したフィアッセが、
「最後まで続けよう♪」
酔っていた時とはまるで違う、普段通りのしっかりとした口調で、それも楽しそうに言ったので
俺はそのままピアノを弾き続け、とうとう最後のパートとなった。
―― 僕の胸で輝く君よ 優しい風になれ 優しい風になれ
―― Mmmmmmm♪ Mmmmmm♪ Mmmmmm♪
こうして最後まで歌い終え、小恋の指令であるフィアッセの曲の弾き語りは終了した。
フィアッセは結局、2番のサビから最後まで鼻歌を続けていたな。
パチパチ!パチパチ!パチパチ!パチパチ!パチパチ!パチパチ!パチパチ!パチパチ!
当初は、本人の目の前で歌い恥をかくものだと思っていたのだが、歌い終えピアノを弾いていた
席から立ち上がると、全員が拍手で迎えてくれた。
「流石と言うか、まあ翠屋の執事様の噂は本当だったって事がこれで証明されたわ。」
なんだその翠屋の執事様の噂って。
学校だけじゃなくて翠屋のお客さんの間でもなんか言われていたのか?
海鳴には物好きが多いのか?
その後も、一人一人に称賛をもらったのだが、俺はフィアッセの力があったからこその出来だっ
たと思う。
「凄かったよ、トキヤ。音楽に疎いって言ったのは嘘だったのかな?」
最後に、歌い終えて声が擦れた様子もないフィアッセもm至って普通に話しかけて来た。
「嘘じゃないぞ。普段も音楽とか聞かないし、流行りの曲なんてさっぱりだ。」
「それにしては、さまになってたよ?」
「それはどうも。でも、ただ即興で耳にした曲をそれなりに弾けるってだけだ。」
「十分凄い特技だと思うけどな。」
ピアノの弾き方自体、なのはが小さい時に習って来た内容を聞いて、練習に付き合っている内に
弾けるようになっただけなので、我流も良い所だと思っている。
また、まだ小さい頃だった故に周りのお客さんの事とか考えずに、この翠屋のピアノで練習して
いたので、当時の事を知る昔からの常連さんは、今でも来店した際に、時間帯さえ合えばリクエス
トされて、他のお客さんの了承を取った上で弾いていたりもした。
「そんな事よりも、フィアッセの喉は大丈夫なんだな?」
「これくらいなら大丈夫だよ。そんなに大きな声を出した訳じゃないしね。」
「なら、良かった。俺のせいで悪化したなんて事になったら、合わせる顔がないからな。」
「心配してくれたんだね。ありがとう♪」
「それと、さっきはゴメンね。良い訳にしかならないけど、ちょっと飲み過ぎちゃって。」
さっきの事とは、十中八九キスの件だろう。
まあ、見るからに酔っていたし、あの時は物凄く動揺したが、フィアッセで良かったとも思った
訳で、俺はこの件でフィアッセを責めるつもりはない。
それよりも、さっきまでの距離の取られ方のほうが堪えたくらいだ。
「良いさ。こうして普通にフィアッセと話せるなら、俺は何も言わない。むしろ、美味しい経験を
させてもらったと思う事にするよ。」
「そうやって、私を弄るつもりでしょ?そうはいかないんだからね♪」
「「………。」」
「「あはははははっ!!」」
「あらためて言わせてもらうよ。ようこそ海鳴へ。ようこそ翠屋へ。喉が完全に治っても、この場
所から帰りたくないって思わせるくらいの思い出を、これからも作ってやるよ。」
「そんな事言って良いの?私、本気にしちゃうよ?」
「男に二言は無い。」
「期待してるからね♪」
「任せとけ!」
「トキヤ♪これからもよろしくお願いします。」
そう言って、フィアッセは初日にした様に、俺の頬に軽くキスをした。
「「「「「「あぁぁぁーーー!!!!」」」」」」
それと同時に、数時間前にも聞いた、なのは達の叫び声も店内に響いた。
「あらあら♪フィアッセちゃんはカードを引く前に、実行しちゃったみたいね。それとも、カード
引いて正式にやる?」
「良いの?」
「「「「「「ダメーーー!!!!」」」」」」
さっきまでの余韻は何処へ行ったのか、声を揃えてフィアッセを止めに掛かる聖祥メンバー。
「そうだね。カードを引いてもトキヤに今して欲しい事はないから...もう十分貰ったから。」
「「「「「「うっ...。」」」」」」
フィアッセのこの言葉で全員が何も言えなくなり、桃子さん発案の女王様ゲームは幕を閉じた。
「そうね。もう結構良い時間だし、最後にみんなで記念写真を撮ってお開きにしましょう。」
そう言われて、店内に置かれている時計を見ると、22時になる間際だった。18時近辺で開催
されたはずなので、もう4時間も経っていたらしい。
アリサ達は迎えの車が来るだろうが、小恋は誘われても電車で帰るだろうから、お開きにするに
は、キリも良いし丁度良い時間帯だろう。
デジカメではなく、三脚に士郎さん自慢の一眼レフをセットして、セルフタイマーで撮る事にな
り、主役であるフィアッセを中心に集まる事になった。
配置は、フィアッセの隣に俺となのは。後ろに踏み台を置いて少し高くした所に士郎さん・桃子
さん・美由希さんと高町家の住人を、俺の隣の空いている方には小恋が入り、なのは側にアリシア
とフェイト・はやての3人がフレームに収まる様に並び、小恋の隣にはアリサとすずかが並んだ。
セルフタイマーを30秒に設定して戻って来た士郎さんが配置につき、10秒前になったところ
で全員でカウントダウンを開始した。
―――――――――― 10!
――――――――― 9!
―――――――― 8!
――――――― 7!
―――――― 6!
――――― 5!
―――― 4!
――― 3!
―― 2!
― 1!
――― カシャッ! カシャッ! カシャッ!
現像し写真が手元にくるのは、また後日と言う事になるが、良い記念写真になっていると思う。
また、この後にフィアッセとそれぞれツーショットで写真を撮ったりもして、ちょっとした撮影
会になりつつあったが、鮫島さんとファリンが迎えに来たので、ここで解散となった。
翠屋の後片付けは、士郎さんと桃子さん、美由希さんがするから俺達は先に帰って良いと言われ
てしまったので、俺は小恋を送ろうとしたのだが、小恋なりに気を使ったのか、すずかの車で駅ま
で送ってもらう事にしたから、フィアッセとなのはを送り届けなさいと断られた。
そしてすずかの車に乗り込む前に、小恋はフィアッセに、今まで渡すタイミングがなかったので
と言って、昨日買ったプレゼントを渡して行ってしまった。
流石に目の前で開けられるのは恥ずかしかったみたいだ。
同様に他のメンバーもそれぞれフィアッセにプレゼントを渡して、はやては小恋とすずかと一緒
に、アリシアとフェイトはアリサと一緒に帰り、俺となのはとフィアッセの3人で歩いて高町家へ
向かって歩いている。
「ねぇ、刻也さん。」
「どうした?」
「今日は家で寝ていったら?明日だって朝早くに家に来るんでしょ?」
「そうなんだけどな。」
「大丈夫なの。刻也さんの部屋はずっとそのままになってるから。」
「そうは言ってもな。」
と言って、チラっとフィアッセの方を見た。
「私は気にしないよ。」
「ほら、フィアッセさんも気にしないって言ってるの。」
「けどなぁ。」
「渋るトキヤにはこれだね。まだ私の番は終わってないんだよ。」
フィアッセが手にしていたのは、女王様ゲームで使用された俺の名前が書かれたカードだった。
「ゲームはもう終わっただろ?」
「残念だけど、このカードの有効期限は今日までなんだって。きっとモモコはこうなる事を予測し
て、渡したんだろうね。」
「お母さんとフィアッセさん、ナイスなの!」
「という訳で、トキヤは今日、高町家の自室で寝る事。女王様の命令ね♪」
「...かしこまりました。」
「ただし!なのは、分かってるな?」
「な..なのはは、何にも分かりません。」
「どういう事?」
「俺があっちで寝ると、幾つになっても俺の布団に潜り込んでくるんだ。」
「ナノハ、本当なの?」
「だって、刻也さんが一緒だとぐっすり眠れるし、怖い夢も見ないの!」
「中3の発言じゃないよな。」
「それは私も検証してみないと何とも言えないね。」
「おい!」
「それじゃあ、今日は3人で寝るの!」
「なんでそうなる!」
「もう決定事項でーす♪」
「それに、思い出、作ってくれるんでしょ?」
「そこでそれを持ち出すのは卑怯だろ。」
「いいでしょ?それともトキヤは、私達にエッチな事するの?」
「そ..そうなの!?」
「するか!!」
「じゃあ、何にも問題ないよね♪」
「問題ないの♪」
「はぁ...。」
結局、このまま2人に押し切られる形で、高町家で寝る事になったのだが、せめてもの抵抗にと
先にシャワーで汗を流し、内側から鍵を掛けてさっさと寝る事にした。
過去、何故か内側から鍵を掛けても、翌朝にはなのはが隣で寝ていたという怪奇現象が毎日の様
に発生していたので、今日も俺が寝た後で、勝手に潜り込んで来ると良い。
精神的に非常に疲れたので、俺は布団に寝っ転がると直ぐに睡魔に襲われ、目論見通り、なのは
とフィアッセが来る前に、意識を手放すことに成功した。
おまけ ~刻也が寝た後の出来事~
ガチャガチャ ガチャガチャ
「むぅ~。刻也さん、やっぱり内側から鍵締めちゃったの。」
「往生際が悪いね。」
「全くなの。」
ガチャガチャ ガチャン!
「ナノハ、それは?」
「盗賊の鍵、あらため、刻也さんの部屋の合鍵なの。これさえあれば、内側から鍵を掛けられても
問題なく侵入できるの。」
「...まあいいかな♪」
「それと、ここから注意点があるから聞いてね。」
「なに?」
「刻也さんは自分に危害が及びそうになると、どんな状況でも必ず目を覚ますから、寝顔を見ても
悪戯しようとか思ってもダメなの。」
「なるほどね。後は?」
「意識して触れてもダメなの。寝ちゃって自然に掴むとかだったら起きないけど、私達が起きてい
る間に触れても、絶対に起きて逃走するの。」
「なかなか、面倒なんだね。」
「でも、その苦労の先には幸せなひと時が待ってるの!」
「じゃあ、行こうか。」
「待って、私が先導するから、フィアッセさんは後に続いて。」
「分かりました、なのは隊長。」
その後、2人は潜り込む事に成功し熟睡したのだが、片づけを終えて帰って来た桃子さんに3人
で寝ている所を激写された事は知らずに、現像された写真を見てひと騒動起きたとか...。
如何でしたか?
これにてフィアッセの歓迎会編終了です。次回からまたイベント攻略に戻ります。
しかし、これだけ書いて大した進展はしませんでしたね。
みんなで和気藹々の1本道のストーリーで行くつもりなので、ふんわりした感じで終わらせてみま
したが、もしかしたらフィアッセ贔屓している可能性も否めません。
たまの出番なので仕方がありませんね。
おまけに深い意味はありません。添い寝ネタも考えていたので、ちょっと書いてみただけです。
次回は、日常パート飛ばしてSLOにログインした所から始まります。土曜日は全くのノープラン
ですが、さてどうなるのでしょうか?
※観覧注意(全体マップ:かなり大雑把な上にありきたりです。今後変化する可能性あります。)
【挿絵表示】