~男女あべこべな艦これに提督が着任しました~   作:イソン

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……あれ?次で着任式いけると思ったら書いてたらいつのまにかいけてなかった。

(・ω・)まぁ、ええか。

というわけで、今回も4000文字ほど。

個人的に4000文字ほどがインターネット小説で読みやすい量だと考えているけど、
次は試しで倍か6000文字ぐらいを目安に書いてみます。




第三話 あべこべ艦これ~食堂にて~

叢雲は呉鎮守府の中でも、最古参に位置する艦娘だ。

 

基本的に各鎮守府では初めて提督が着任する際、駆逐艦の中から数名を選出し最初の艦娘……秘書官となる。

 艦娘というのは不思議な存在。一つの鎮守府に叢雲という艦娘がいれば違う鎮守府にも同じ叢雲という艦娘が存在する。性格に差異はあれど、同じ艤装を持ち、同じ顔に同じ服装。それは叢雲も例外ではない。

 しかし、記憶を共有することもなければ他の鎮守府の同じ艦娘同士が会うということは演習を行う以外では基本的にない。

 

 

 叢雲は思った。記憶が共有されていなくてよかったと。

 

 

「ううぅぅぅぅ、頭が爆発しそう……」

 

 叢雲は部屋にいた。

 

 艦娘達の部屋は基本的に同じ系列の艦種や姉妹で同部屋となっている。叢雲も例外ではなく、同じ5番艦の深雪と同部屋であった。

 そして、相方の深雪は突然帰ってきた叢雲が頭の艤装を上下に激しく動かしながら帰ってきてそのまま布団にもぐりこんだのを見て、どう声をかけたらいいものかと悩む。

 

 (うーん、だいたい叢雲がうさ耳のテンションが上がってるときって、興奮してるときだからなぁ)

 

 いつもならこのあたりでからかってやるところだが、どうやらあのうさ耳具合からするとどうもいつもと違ってかなり深刻な状態らしい。

 

 「なー、どうしたのさ。なんかあったのかい?」

 

 とりあえず深雪が取った行動は聞いてみるだった。結局のところ、深刻な状態であろうが好奇心には勝てないのだ。今の叢雲にちょっかいだしたら面白そうだし、と。

 

 「な、なななななんでもないわよ!なんで……も、うぅぅぅ」

 

 「あちゃー、だめだこりゃ……」

 

 ここまでひどいとは思ってもみなかった。こんな状態、前にあったかなーと思いながら深雪は頭を働かせる。

 

 (勝手にポエム日記見た時かな?いや、あれはどちらかというと不機嫌になっただけだし。となると、叢雲がほかの皆のために内緒で作ったスイーツが配られたときにだれが作ったのか皆の前でばらしたとき?うーん、違うな―。たくさんありすぎてわけわかんなくなってきたや)

 

 とそこで、そういえば今日は新しい提督が着任する日だと気がついた。そして叢雲が秘書官として入口まで迎えに行ったのも。

 

「うーん、もしかして新しい提督さん?ねぇねぇ、どうなの叢雲~」

 

布団にもぐりこんでいる叢雲をゆさゆさと両手で揺らしながら尋ねる。瞬間、

 

「ぴゃっ!?」

 

ぼんっと、頭のうさ耳―発光機部分が一瞬で真っ赤になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呉鎮守府の夜は平和である。

 

というのも、呉鎮守府は海外艦を除けばほとんどの艦娘達が在籍しており、軍の中でも優先的に援助を受けている場所でもあるため、いくつかの艦隊によるローテーションが組まれ全ての艦娘達に平等に休息が与えられている。

 艤装の手入れをするもの、まだみぬ男という存在に花をさかすもの、読書、音楽などなど。

 各々が自由に過ごせる大切な時間帯だ。

 

そして艦娘にとって趣味の次に楽しみにしているものがある。それがここ、食堂だ。新しく二度目の生を受けた彼女たちにとって今まで人間がとる食事というものをいつか食べてみたいとは思っていた。それが実現したのだ。必ず1日3食は絶対にとるほど食事に関しては並々ならぬ思い出がある。

現在時間にして18時30分ほど。ここ食堂は場所も広く、艦娘達が集まりやすい場所とあって前任の提督も会議室を用いず、直接ここで作戦の通達や連絡事項を言っている場所でもあった。

 

 「間宮さん、夕立はアイスが欲しいっぽい!これ、券も持ってきたよ!」

 

 「夕立ちゃん、せっかく支給されたばっかりなのに使っちゃもったいないよ。後までとっておこうよ」

 

 「吹雪は甘いっぽい!食べたい時に食べなきゃ元気でないんだから」

 

 あるものは甘いものを食べ。

 

 「伊良湖さん。これお願いしますわ」

 

 「なんだ、今日もカツ丼か。前に体重がやばいとかいっていなかったか?」

 

 「ちょ、ちょっと那智!一言多いわよ!」

 

 「い、伊良湖さん。私、これをお願いします」

 

 「あ、こら羽黒!もっとちゃんと食べなさいっていってるじゃない。私のカツ丼わけてあげるから」

 

 あるものは次なる戦いのために力ある食べ物を。

 

 「紅茶、紅茶……紅茶をくださいデース。紅茶、こうちゃあ……」

 

 「あぁ、金剛お姉さまがお餅のように垂れてらっしゃる!誰か、誰か紅茶を!」

 

 「前の提督が嗜好品の調達に関して紅茶はあまり乗り気じゃありませんでしたからね。次の提督はそういったことがなければいいのですが……」

 

 「新しい提督、良い人だといいですね。榛名、緊張します……」

 

 あるものは紅茶妖怪と一緒に新しい提督を待ちながら。

 

 各々が自由に食事をとりながら、この後の着任式を待っている。そんな中、先ほど司令室で提督を見ていた第六駆逐隊と残り二人、天龍と龍田はこの後に待っている阿鼻叫喚を思い浮かべ内心おだやかではなかった。

 

 (で、どうすんだよ。お、俺初めて見たぞ男ってやつを)

 

 (どうするのかしらね~。わ、私はさっきので大丈夫……だと思うけれど)

 

 どうやら定期的に鎮守府に来るあきつ丸が提督の詳細を連絡していなかったらしい。先ほど、そのような情報を叢雲から聞き、今度あったときはただじゃおかないと思いながら天龍達はあまり食事がのどに入らず、先ほど会った初めての異性に対し不思議な感情を抱いていた。

 

 「だけど、男の人ってすごく背が高いのね。雷の倍以上はあったわ」

 

 「な、なのです。だけどそんなに怖くなくてすごく優しそうだったのです」

 

 「ハラショー……」

 

 「うぅ、レディーなんだからこれぐらいなんてことないわよ。ピーマンくらい……」

 

 その光景を見ながら天龍はため息をついた。

 

 「はぁ、おめぇらは楽でいいなぁ。こっちの気も知らないで」

 

 「で、でも天龍さん。その割には頭の艤装がうれしそうに動いてます、なのです」

 

 「へっ?おぁ、うわっ!」

 

 ぴこぴこと、無意識のうちに気分が高まっていたのだろうか。年上として恥ずかしい光景を見られてしまった天龍は耳を真っ赤にしながらうるせぇ!と怒鳴った。

 内心、初めての男性を見て心あらずだったのだろう。それを見て龍田も自分の艤装が回転しているのを見て、発言を控える。

 

 そう、この鎮守府において男性という存在を見たものは今回の提督という存在を見たものを除けばおそらく片手で数えられるほどだろう。

 それほど男性という存在が少ないのだ。この世界は。

 

天龍達が記憶している限りでは、男にあったと自慢していたのは長門・陸奥・吹雪・雪風ぐらいだろうか。

 

 長門と陸奥は戦艦代表として本部に行った際、演説で男の人が喋っているのを遠目に見たぐらい。

 

 吹雪は駆逐艦代表として本部に提督といったとき、元帥の横に立っていたとか。

 

 雪風に関しては町に駄菓子を買いに行った際、迷子になったら男の人が声をかけてくれて駅まで送ってくれたらしい。なんてうらやましいんだろうか。

 

 やはり運が高い艦娘ほど、良い思いをするらしい。天龍、龍田共々そこまで運は高い方ではないためそういった出会いはなさそうだが。

 

とその時、食堂の入口から叢雲と深雪が入ってくるのが見えた。頭の艤装、発光機部分が真っ赤になっているのをみてまた深雪が何かやらかしたなとわかる。

 そしてあらかじめ食券を買っていたのか、手早い動きでトレーに今日の定食を置いていくと天龍達の横の机に座った。

 どうやら相当おかんむりらしい。いつも眉間にしわがよっているが今日はより一層力強さをましている。

 

 「ごめんって、今度間宮さんのアイスおごるからさ。許してくれよ~」

 

 「ふんっ」

 

 それを見て天龍はため息をついた。どうして今日という日は厄介事がくるのだろうか、せめてもう少し離れた場所に座っていたならよかったのに。

 

 「んーだ、おめぇら。また何かやらかしたのか?」

 

 「あなたには関係のないことよ」

 

 「んだとっ!?」

 

 「ちょちょっと!悪いのはうちなんだからさ、喧嘩しないでおくれよ」

 

 「そうよー、天龍ちゃんに喧嘩うったらフフ怖されちゃうわよ~?」

 

 「ちょっとまてよ龍田、なんだよフフ怖って!略したら怖くねえじゃねぇか!」

 

 「はっ、はわわわ。天龍さんたちが喧嘩しはじめたのです!」

 

 一触即発。ただでさえ両者とも性格的にかなり高飛車な部分もあるのだろう、売り言葉に買い言葉、またたくまに天龍達がいるスペースは険悪なムードが漂い始めた。

 

 「むむむむ……!」

 

 「ぬぐぐぐ……!」

 

 このままではまずい、そう思ったのだろう。この空気を何とかしようと駆逐艦の中でもかなり母性が高いと言われている雷が両者の間に割って入った。

 そして、入ったもののすぐに後悔する。まったく何も考えていなかったのだ。両者を止めるための作戦を。

 しかし、雷はすぐに思いついた。そういえば、今日はとてつもなくすごい出来事があったではないか。おそらく、自分の記憶に絶対残るであろう出来事が。

 

 「ほ、ほら!せっかくこれから新しい提督さんが来るんだから喧嘩しちゃだめじゃない、ねっ!」

 

 「そ、そうだよ!そういえば新しい提督の話聞きたかったんだーあははは、雷、ど、どんな人なんだい?」

 

 「ふふふ、聞いて驚いちゃだめよ!なんとね!」

 

 親切心というものは度が過ぎれば、逆に場をさらに乱す状況にもなりうる。そんなときがある。

 雷に悪気はまったくないのだ。それが今この食堂全体を混乱に陥れることなど。

 

 「こらっ……!」

 

 いち早く雷が何を言おうとしたのか察した龍田が雷の口を押さえようと動き出す。だが、椅子から立ち上がって雷に向かって動いた瞬間、なぜか横にいた電にぶつかってしまった。

 

 そして、

 

 

 

 

 「なんとね!今回の新しい提督さんは……男の人なのよ!」

 

 

 

 

その一言ともに食堂の時が止まった。

 




思ったより同志が多くてうれしい今日この頃。

まだまだ地の文がイメージできてないため視点がごっちゃですが
少しずつ改善していきます。

また、読み直したら誤字が結構多かったので次の土日で修正をば。



・電にぶつかってしまった
二話目の魚雷も実は電の持っていたもの。さすが電さんはぶつかる数が
違います。

・海外艦娘以外はほぼ在籍
海外の艦娘はストーリー的に後で登場させようかなと。

・今後について
一週間に2話更新ペースでいきたいなーと思っております。
途中まではだいたい話は決めてますが、要望があれば色々書いていこうと思うので見てくださっている方でこんな絡み方が欲しいなんてものがあればぜひ。



ではまた。

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