~男女あべこべな艦これに提督が着任しました~   作:イソン

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まさかのランキング一位。同志が限界突破している。どういうことなの・・・・・・

いくつかご指摘をいただき、地の文が少なく周りの背景が感じられないため
今回はそこを意識して書き上げました。

そのため、少々文字数が少ないです。きりがいい所で終わらせてはいますが今回は新しい書き方のお試しということで。

そしていまさら気づく衝撃の真実、メモ帳で書いたものをペーストすると三点リーダって解除されるのか(驚愕


第六話 あべこべ艦これ~早起きは三文の徳~

鎮守府の屋上で次第に昇って来る太陽に目を凝らす。

 

 空は快晴、波もとても穏やかで白波さえない。今日も絶好の出撃日和と言ったところか。

 

「んー、やっぱりここから見る呉は最高だクマー!」

 

 軽く背伸びをし、固くなった体をほぐす。球磨型の中でも唯一のアホ毛がぴょこんと揺れ、海から吹く風を感じた。

 

 湿度は七十パーセント、気温は23.5度。風は木の葉が軽く揺れる程度、これであれば今日一日は雨が降る心配もない。

 

 一通り体をほぐしたのか、球磨は持っていた手帳に今日の状態をメモする。あまり字は上手ではないため、所々漢字で書くべき部分を

ひらがなにしているのはご愛嬌。

 

 今日はいつもより天気がいい。そう球磨は感じた。

 これも呉に長門という新しい提督が来たからだろうか。お天道様まで味方につけるとは、やはり男という存在はとてもすごいんだなと思いながら辺りに散らかしていた私物を片付ける。

 

 「後で提督を起こしにいくクマ!」

 

 意気揚々と鼻歌混じりに球磨は言った。

 

 鎮守府の朝は早い。日々深海棲艦と戦うため、出撃だけでなく遠征や演習などただ戦うだけではなく、資材の確保等も重要な仕事の一部となってくる。

 特に今は新しい海域を攻略するために日夜を通し、ローテーションを組んでいるのだ。時間は有意義に使わなければならない。

 

 だが、提督は艦娘達と違い前線にでることはほぼない。そのため、朝は比較的ゆっくりしているはずだ。

 

 

 球磨は私物をまとめると、用意しておいた風呂敷に包み込む。今日は一日中晴れとはいったが、必ずしも予報が正確だとは言い難い。

そのため、また屋上に来るまで部屋に置いておこうと風呂敷を担ぎながら部屋に戻ろうとした。

 

 その時、梯子を降りようとした球磨の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。掛け声だろうか、規則正しく一定の間隔を置きながら聞こえる声と共に微かにだが風を切る音が聞こえる。

 

 「もう誰か起きてきたのかクマ?でも、この時間帯は誰もいないはずだけど・・・・・・」

 

 えらい物好きな奴がいるもんだと自身を棚に上げる。誰か朝練でもしているのかと思いながら、球磨は声がする方、鎮守府の裏へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦娘達の朝は早い。そう、米内さんから話を聞いている。

 

 それを聞いた長門は自身よりも若い艦娘達が日が昇らぬうちから遠征に向かうこともあると聞き、鎮守府に来る前から考えていたことがあった。

 

 

 「はっ、はっ・・・・・・はっ!」

 

 

 提督である長門は前線へ出ることはない。それは単純に危険だというのもあるが、一番は艦娘達を率いる提督としての素質を持つ存在自体が少ないためにある。

 

 提督というのはただ名ばかりのものではない。艦娘達を指揮するために編成部隊をバランスよく配置しなければならないし、本部から逐一送られてくる資材に関する書類や新しい装備、改修などをした際の報告書なども書かなければならない。

 また、素質を持つ者は艦娘の熟練度や装備しているものやどのような武器を装備できるかなどが見える。

 

 陰陽術と言ったか、空母の中でも式紙を使用して艦載機に権現させる術を持つ者たちがいるがそれと似たようなものだ。

 

 

 だからこそ、基本的に提督という職業は鎮守府にいることが多い。だが、長門はそうなりたくはなかった。

 艦娘と言えど人だ。巷では化け物だと呼ぶ人もいれば艦娘を道具として扱う提督もいると聞く。長門はそうなりたくはない。

 

 だからこうやって朝早くに起きて鍛錬をしていた。たとえ前線に出ることができずとも艦娘達のトレーニングを手伝ったり遠征の出迎えなど少しでもできることがあったほうがいいと思ったからだ。

 

 「はっ・・・・・・はぁっ! ふぅ、こんなものか」

 

 両手に握っていた木刀を近くの給水場に立てかける。ここは鎮守府の裏、艦娘達がトレーニングを行うために使用する野外演習場だ。

 野外と聞いて海で戦う彼女たちに地上での演習は必要なのかと感じたことはある。しかし、彼女たちは何も海にいるだけが仕事ではない。遠征であれば廃棄された施設から資材を取るために地上にあがり、海域の状況や天候に合わせ島に上陸し野営することもある。そのためにこういった施設も用意されていた。

 

 だが、さすがに早すぎたのだろう。時間帯で言えば朝の5時ごろ、ようやく朝日が顔を見せる頃だ。証拠に始めは演習場の奥までかかっていた建物の影が今は半分ほどにまで下がり、辺りも明るくなっている。

 

 

 長門はあたりを見回した。鳴りを潜めていた虫たちが騒がしくなり始め、赤レンガで作られた建物も浅黒かった色から本来の赤褐色へと戻っていく。

 

 「よし、誰もいないか・・・・・・。なら、せっかくだし軽く体を拭くかなあ」

 

 

 そう言って長門は上着を脱いだ。提督と名はいいが、実際はそうでもない。戦時中でもあるため、上着こそ立派ではあるものの本部などに用事がある以外は基本的に上着の下は白シャツのみだ。長門も例外ではない。

 

 あらかじめ持ってきておいたタオルを給水場で濡らす。地下水からくみ上げられている水はとても冷たく、とても気持ちがいい。

 

 水で濡らしたタオルを軽く絞り、汗をかいた体を拭く。といっても腕や首元、顔ぐらいしか拭くことはできないが。

 

 「あぁ~、生き返る。本当は体も拭きたいところだけど・・・・・・」

 

 一度だけ、長門は人前をきにせず米内さんの家でやっかいになっていた時に上を全て脱いで体を拭いていたことがある。

 

 「あの時は知らなかったからなぁ。考え方がまったく違うって言うのを」

 

 そう、長門は来た当初この世界が男性が少ない世界だけだと思い込んでいた。しかし、それは違う。

 今でも忘れることはできない。寝たきりだったせいか、衰えていた体を鍛えようと朝早くから鍛錬を行い、汗を拭くために上を全て脱いだときに米内さんと鉢合わせしたことを。

 

 

 鼻血。

 

 そう、あの米内さんが鼻血を出していたのだ。あわてて駆け寄ろうとしたが近づいた瞬間、容態は悪化。騒ぎを聞きつけたコマさんが急いで米内さんを連れて行ってくれたお陰で事なきを得たが。

 

 後にコマさんが話してくれた内容によると、女性は男性の裸体を見ることが基本的にないため耐性がまったくないらしい。

 

 (女子か・・・・・・。あ、女子だったわ)

 

 そのため、長門はなるべく人前で肌をさらすことを避けた。しかし、

 

 

 「さっき辺りを見たけど誰もいなかったよな。・・・・・・少しなら大丈夫か?」

 

 再度辺りを見回すが人影はない。昨日見た資料では、今日の遠征に向かう第一陣は朝の7時ごろと聞いている。であれば、問題はないかと長門は先ほどの思いはどこへやら、いそいそとシャツも脱ぎ捨てると、再度タオルを濡らし体を拭いた。

 

 瞬間、響き渡る悲鳴。

 

 

 

 

 「ク、クマああああああああああああ!!」

 

 

 

 建物の屋上から一人の艦娘が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 球磨は今日という時ほど、早起きをしていて良かったと思ったことはなかった。

 

 あれから声がする方へと足を運んでみれば野外演習場で一人、木刀を振っている提督の姿が見えたからだ。それも、上着を脱いで腕や胸部分の肌が露出している姿を。

 

 (ふぶぅほぉっ!)

 

 それを見た球磨に衝撃が走る。声が漏れないようにとっさに両手で口を塞げたのは幸運としか言いようがなかった。でなければ提督にばれていたかもしれない。

 

 (こ、これは強烈クマ・・・・・・! 写真で見るより何千倍もやばいクマ・・・・・・!)

 

 何度か姉妹でお金を貯め、明石直営夜のお店で男性の写真集を買ったことがある。それを見ただけでも眠れず悶々と一日をすごした日があったが、今目の前で見れる光景はそれをはるかに凌駕していた。

 

 前に、駆逐艦の吹雪が本部で男性を見たときに皆が集まって話を聞いていたときがある。球磨も例外に漏れず、その集団にいたのだがそのときの吹雪はこう言っていた。

 

 

 

 生はやばいです!

 

 

 軽巡洋艦の球磨型1番艦、球磨。その言葉を本当に体験する日が来ようとは。

 

 

 球磨は深呼吸した。提督にばれないよう慎重に。

 

 最初は声をかけようかとも思ったが、このまま見ているだけでも悪くない。そう考えたのだ。

 

 (むふふふ、これは他の人達より一歩リードだクマ)

 

 ただ長門のシャツ一丁を見ただけで何をリードしているのだろうか。それは誰にもわからない。

 

 

 とそこで、提督に動きが見られた。球磨はそれを見てもう少し早く来れば良かったと自分を恨む。おそらく、鍛錬が終わる頃なのだろう。

 しなしなと球磨のアホ毛が萎びていく。このままずっといれば帰り際に提督と鉢合わせしてしいまうかもしれない。そう考えた球磨は部屋に戻ろうときびすを返した。

 

 

 しかし、球磨は提督の次に起こす行動を見て叫ばずにはいられなかった。

 

 ぱさりと、何か布が落ちる音。そして提督の嬉しそうな声と何かを拭くような摩擦音が聞こえる。球磨はふと提督の方を振り向いた。

 

 そして、視界に移る肌色の――。

 

 

 

 球磨は歓喜にも似た叫び声を上げ、足元がふらついてしまい屋上から落ちた。

 




お読みいただき、誠にありがとうございます。


活動報告にも書きましたが、こちらでも。

思っていた以上に見ていただけているようでとてもありがたい限りです。更新は基本的に水曜日と日曜日の計二回を予定しております。執筆がはかどった時は増やしていきます。ただ、更新どおりにいかないときもありますが最低でも週一話は必ず更新します。

また、元々リハビリのために書き始めたものだったため設定や文章の言い回し、地の文などにまだまだ努力していかなければならない所がたくさんあります。

多くの方に見てもらう以上、少しでも良い物を出したいため話ごとに書き方が違ったり色々試してみるとは思いますがご容赦ください。

他にも基本的に勢いで書いていることが多いため、わかりづらい部分や説明不足等が目立つところも多々あります。現在一話から五話まで掲載しておりますが少しずつ手直ししていきます。

これからも宜しくお願い致します。

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