怪物の支配する世界、力を失い衰退するヴァンパイア。
そして絶滅の危機に瀕する、人類。
二つの種族がそろう時、物語は動き出す!
これは衰退と繁栄の物語。

1 / 1
チクショウ!また中二病の発作だ!
作品を…中二作品を書かなくては…!

というテンションで今作は出来ています。
苦手な方は…ここは俺の任せて先に行け!
ではなくバックしてください。


モンスターズ・O

セイレーン、コカトリス、バジリスク、ヒュドラにヴァンパイア…この世には多くの空想上の怪物たちがいる…

しかしその怪物たちは決して空想ではなかった。人に紛れ、姿を隠し、仲間を増やした…

運命の日(リバースデイズ)により一斉に怪物たちは姿を現した。

人は弱くただの刈り取られるのみだった。

怪物たちは、すぐに人間にとって代わり地上の支配者になった。

 

ここはとある建て物一角

周りから死角になるような校舎の影で…

「よーヴェル公?朝飯ちゃんと食ったか?俺がにんにく奢ってやるよ!」

全身に灰色の毛が生えた、犬のような顔をした男が小柄で金髪の白い肌の少年に、にんにくをこすりつける。

「やめ…ろ!アッシュ…そんなもの…近づける…な!我に…かまうな!」

「おやおやおやぁ?男爵様はにんにくはお嫌いですかぁ?」

ガハハとアッシュと呼ばれた男が笑う。

「男爵…ではない!侯…爵だ!」

にんにくを顔面こすりつけられながら、白い肌の少年が抵抗する。

「知るかよ!そんなもん!」

アッシュが無理やり少年の口ににんにくを押し込む。

「むうぉ!があ!おえ!」

「あーあ、汚ったね~掃除しとけよ?男爵?」

アッシュは笑いながら歩いていく

「くそ…お前など本来は…」

少年はしゃがみこんだまま、拳を地面に叩きつける。

少年の名はヴェルミーリオン・ツィノーバーロート人間ならば10代中盤にしか見えないが、その実499年を生きる偉大な吸血鬼の一人である。

先ほどの男はアッシュ・グリージョー、オオカミ男である。

「あーあー!ヴェル君またいじめられたの?」

校舎の影から全身が半透明の女性が現れた。

「リム・ライマス…」

「もーリムって呼んでよ、同じ国出身なんだし!」

スライムのリムが心配する。

「我が貴様のような、下等種に構うわけなかろう!」

ヴェルは心配したリムを余所にその場を後にした。

「はーあ、何時までも意地はって…馬鹿なんだから…」

その場にはリムと嘔吐物まみれのにんにくが残っていた。

 

(クソ!気に入らぬ!アッシュもそうだが、我を心配するあの下等種も!)

ヴェルは苛立ち気味に廊下を歩く。

 

前述のようにヴェルミーリオン・ツィノーバーロートはヴァンパイアである、牙をはやし蝙蝠とオオカミを従え、美女の生き血をすすり、空に君臨する夜の王!それこそがヴァンパイアである。

運命の日以降ヴァンパイアたちの姿は人間たちに恐怖を与えた。

しかしある日多くのモンスターたちに衝撃が走る。

 

それは各国に散らばった怪物たちのリーダー同志による、とある会議での結果…

人間を保護対象に決定付けられたのだ。

多くの怪物たちが人間を襲い食料にしてきたが、乱獲により数が激減してしまったのだ。

そのため怪物たちの親玉は、生き残った人間を集め「絶滅」しないように保護することにしたのだ。

人間は大きさの割に、抵抗する手段を持たない弱小種、しかし食料としては非常に優秀だった。

やはり「おいしいもの」はなくしたくないため細々とだが「量産」したいというのが本音だが。

その打撃をもっとも強く受けたのは、ヴェル達ヴァンパイアの一族であった。

ヴァンパイアの一族の食料は、人間の血液であるため一気に食料不足に陥ったのだ。

現在では夜の王も弱体化し、残されたのはかつてのプライドと多くの怪物たちからの嘲笑であった。

 

「くそ!オルガンさえ動けば犬コロなどに!」

ヴェルは廊下を走るそして自分のクラスに入る。

ここは幼い怪物たちの教育機関である、前身は人間の物だったが現在ではヴェル達が使っている。

最も300年以上かけて、教育するため校舎の方が先に壊れ、改修する羽目になるのだが…

 

「ヴェル公知ってるか?今日編入生が来るんだとよ!」

先に来ていたアッシュがヴェルに話しかける。

「口を閉じろ、ガはっ!」

「お前も理解しねーなー?ヴァンパイアの時代は終わったんだよ!」

アッシュがヴェルに拳を叩き込む。

「肉体は…瘦せ…果てても…」

「あーハイハイ!高潔な精神は~だろ?いつも聞いてるからな」

アッシュはヴェルを離した。

 

「よーし、みんないるか?出席を取るぞ?」

ヴェル達のクラスに首のない騎士が入ってきた、このクラスの担任ハルス・クエリオ先生だ。

「の前に…転入生だ、ほら入るように」

廊下から例の転入生が入ってきた。

その姿にクラス一同が呆然とする。

「人間の大空 希未(たいくう のぞみ)だ、短い間だが仲良くな」

「な!?」

「まじかよ!?」

「おかしくないか?」

生徒たちの驚きは至極まっとうな事だった。

なぜなら生徒たちにとっては、人間は高級な食料に過ぎない。

自分のクラスや職場に、松坂牛やイベリコ豚が転入してきたら誰だって驚くだろう。

「せんせーいいの?すぐ死んじゃいそうだよ?」

クラスの一人が心配する。

「だいじょうぶだ、コレはオルガンを無効化できるらしい」

先生が言い放つ。

「えー!ウソー!ねえ!こっち見てよ!」

一人の怪物が希未に話かける。

希未はその怪物を見た。

「きぁー!すっごい!この子私を見ても死なない!ホントなんだー!」

今、希未に話しかけた生徒はバシリスク、目を合わせた人間は死ぬとも、石になるとも言われている、それをたった今実験したのだ。

「あ、私もやる!」

リムが希未の腕を掴む。

「わー!すっごい!消化液出してるのに溶けない!」

興奮気味にリムが話す。

「俺にも噛ませろよ!」

アッシュが立ち上がる。

「こらこら、アッシュ君!君のキバはオルガンによるものじゃないだろう?コレはオルガンしか無効化できないんだ、死んでしまうよ」

先生がたしなめる。

「ちぇーつまんねーの!せっかく人間を食い殺せると思ったのによ!」

アッシュが心底残念そうな顔をする。

あははと教室が笑いに包まれる。

「じゃ、コレはツィノーバーロートの後ろな?」

先生が希未をヴェルの後ろに指定する。

「そりゃいいや!他の奴なら、間違って潰しちまうかもな!」

アッシュ言うと再び教室に笑いが満ちる。

 

大空 希未は人間たちの希望である。運命の日以来、人間は生物としての尊厳を失った、遊びのように刈り取られ、小腹がすいたからと食われた、墓を建てる事も、親兄弟友人の最後を看取ることさえもできなかった。

ある日数が減った人間は、保護され飼育される事となった、その場所では食べて、寝て、子孫を「量産」することだけがすべてだった、役目を終えた物は処理され食料となるしかなかった。

しかしそこに希未が生まれた、彼女は怪物たちのオルガンが効かなかった初の人類だった。

 

オルガンとは正式名称モンスターズ・オルガン(魔臓器)といい、怪物たちの能力の一部(例ドラゴンの炎を生産する、マンドレイクの即死させる悲鳴を出すノド)の源を生成している。

わずかに残った人類は彼女を、ほかの怪物たちと同じ教育が出来るように頼み込んだ、興味深い「サンプル」を手に入れた怪物たちは希未が教育を受ける事に賛成した。

 

「それでは本日はこれまで」

先生が終了の合図をする。

多くの怪物たちが希未に群がった、仲良くしようとなど毛頭思っていない、ただ面白い力を「実験」したいだけだ。

「うわーすごい!ホントに死なない!」

キャアキャと黄色い声が響く。

 

「ふん、くだらないな…」

ヴェルは学校を後にした。

 

かつて人間が使っていた、バスという乗り物を使い、ヴェルは荒れた自身の城に帰る。

「お父様、ただいま戻りました」

ヴェルがぼろぼろの扉を開ける。

この屋敷の主のロッソ・ツィノーバーロート

ヴェルの父親にしてヴァンパイアたちのボスである。

「おお、ヴェル…帰ったか…」

年老いた男がベットで横になっている。

「今日はどうだった?学校は?」

枯れ木の様な腕を伸ばす。

「今日も貴族のように、誇り高く生きました」

すっとヴェルは胸を張る。

「貴族のようにか…ヴェルよ私たちヴァンパイアはもう…」

「解っていますお父様」

ヴェルがロッソの手を掴む。

「しかし私はたとえ最後の一人になろうとも、気高く生きて見せます!」

ロッソが瞼を押さえる。

「ああ、私のかわいいヴェル…生まれる時代があと…あと少し違えば…」

枕に涙の雫が落ちる。

「お気になさらないでください…さ、もうお体に触ります、お休みになられてください」

ヴェルはそっと父親に布団をかける。

ロッソはずいぶん弱っていた、軽い日光を浴びるだけでもう灰になってしまうだろう。

「たとえ、一人でも気高く生きる」

ヴェルは自分にそう言い聞かせて眠りについた。

 

翌日

「よーヴェル公!知ってるか?今日アレ(人間)の勉強会が有るんだってよ!」

アッシュがヴェルに話しかける。

「勉強会?貴様にしては殊勝な事だ」

「何でも先輩がキョーミ持ったらしくてよ?いろいろしてみてーんだとよ!」

興奮した様子で話す。

「興味?人間にか?」

「ああ!生の人間なんて久しぶりだからよぉ!せめて悲鳴だけでも聴きてーんだよ!ああ!わくわくするぜ!」

(下種な奴らだ…)

 

 

「おい貴様、なんでここに来たんだ?」

教室でヴェルが希未に話しかける。

「私?」

「ああ、お前だ、偉大な夜の王が話しかけているのだ、感謝しろ」

「ありがとうございます」

淡々と答える。

「ずいぶんあっさり礼を言うのだな?」

「逆らっても意味ないから」

まったく調子を変えずに言う。

「貴様プライドは無いのか?」

ヴェルが憤る。

「それ、何か意味あるの?生きるために…」

「フン、面白味のない奴だ!心臓が動いているだけでは生きていない!それがわからんか?」

「解りません」

同じく答える。

「ならお前はどのように生きたいのだ!」

思わず語気を荒げる。

「眠るように、死にたいあなたは違うの?」

一切の希望もないようにいう。

ヴァンパイアはの事情を知っているのか、聞いてくる。

「少なくとも死にたいと思った事は無い!どんな状況だろうとも!お前は死にたいのか?ならよかったな、今夜お前についての勉強会が有るそうだ、何かのはずみで死ねるかもな!」

ヴェルは机から立ち上がった。

(つまらん奴だ…生きているより、生かされているといった所だな…)

 

「おい、人間少し付き合えよ」

アッシュが希未を呼び止める。

「俺達せっかく人間とクラスメートになったんだ、もっとよくお前の事知りたいんだよ?一緒に来てくれるよな?」

「はい、いきます」

希未はアッシュに連れられ、学校近くの廃墟に消えて行った。

 

「おお!来た来た!マジモンジャン!」

「すげー!初めて見た!」

「オルガン聞かないってホント?」

「試してみた方が早いって!」

無数の怪物たちが希未を取り囲む。

「なあなあ!おれ腹減った!指の一本くらいいいよな?」

一匹のオークが近づく。

「おい!ずりーぞ!食うのはもっとよく調べてからだろ?」

「そうだな!」

「違いねー!」

「「「ぎゃははは!」」」

空には満月、一部の怪物たちの力が上がっている。

月により理性が外れかけた、欲と好奇心にまみれた視線が集まる。

 

「おい!そこまでだ!」

ヴェルが声を張り上げる。

「なんだヴェル公?お前も来たのかよ?」

アッシュが笑う。

「ノブレス・オブ・リージュさ」

「のぶ?なんだって?」

「コイツら(人間)が作った考え方さ、我が唯一尊敬できる考えだ!」

「なーにが言いたいのか知らねーがよ!邪魔するなら!刻むぜ!」

アッシュが爪を立たせる。

「尻尾を振るなら今だぞ?犬コロ!」

「ふざけんな!」

アッシュがヴェルに駆け寄る。

アッシュの爪がヴェルを捕える。

「どうした!ずぅいぶんもろいな!ははは!」

「まだ行けるさ…」

ヴェルがえぐられた腕を押さえながら笑う。

「じゃ!もっと刻んでやるよ!」

爪が牙が容赦なくヴェルを襲う。

「どーした!伯爵サマ!ずいぶんと雑巾みたいですねぇ!」

「侯爵…だ…」

血だらけになりながらなおも笑う。

会場はターゲットを完全に人から、ぼろぼろのヴァンパイアに代わっていた。

「さーてと?オルガンすらまともに動かないお前、どーされたい?」

アッシュがヴェルの首を掴む。

「アッシュ…いいもんやるよ…」

ヴェルが何かを指ではじいた。

「あ?なんだ?」

「純銀のコインだ!」

「な、なんて事を!」

オオカミ男にとって銀は猛毒だ。

アッシュはヴェルを放り投げ、落ちるコインからあわてて逃げる。

「ばーか、ただのコインだ…ヴァンパイアは銀に触れない…」

ヴェルが笑う。

「おい、人間!生きる意味がないなら…我の野望を手伝え!少なくとも今とは違う世界を見せてやる!」

アッシュに投げ捨てられたヴェルは希未の近くに落ちていた。

「どうする?人間?希望かどうかはわからんがな…」

「少しでも…変わるならやる!」

希未の瞳に少しだけ光が宿った。

「よくぞ言った!」

ヴェルが希未の首筋に食らいつく。

 

「な!アイツを止めろ!」

アッシュがヴェルを引き裂こうとする。

「ずいぶんのんびりだな?」

アッシュのすぐ後ろから声がする。

「へ!?なんでうしろぉ?がああ!」

アッシュが蹴り飛ばされる。

起き上がったアッシュが見たのは、大きく蝙蝠の羽を広げたヴェルだった。

「久しぶりの血液だ、オルガンたちが動くのがわかる」

モンスターたちにはモンスター・オルガンを複数持つ者がいる、それはその分多くの力を使えるという事だ、ヴァンパイアはオルガンの数が断トツで多いのだ。

「まずは羽…次は筋肉!」

地面に降り立ち走る!

「ほら、とってこい!」

先ほどのコインをあらぬ方に投げる、そしてその方向にアッシュを蹴る。

「ぐぼあぁぁあぁ!」

血を流しながらアッシュが飛んでいく。

「ほう、しっかりキャッチできたようだな…えらいぞ?」

ヴェルがアッシュをなでる。

「ふざけんな!」

アッシュの爪がヴェルの首を引き裂く。

「まったく…かみつくとは…躾が成ってないな?」

瞬時に傷が修復されていく。

「おまえ、いくつオルガンもって…」

「大量にさ、我は夜の王だ!」

ヴェルが拳を振るい地面にアッシュを縫い付ける。

「さあ、次はお前たちだ!」

無数の蝙蝠にヴェルの体が変化する。

暫く怪物たちの悲鳴が聞こえた。

 

「あ…わたし…」

希未が目をさます。

「目を覚ましたか、行く場所はないだろ?我の城に来るがいい」

美しい月をバックにヴェルが飛んでいく。

 

 

希未のその後を知る者はいない、歴史上から全く姿を消してしまった。

暫くして力を取り戻したヴァンパイアが再び世界を変えるのはまた別の話。




え?この後の希未ですか?
ご想像にお任せします。

本来城に監禁、番を持ってきて血を量産されたでもいいし、二人は心中したでもお好きなように。
答えはあなたのなかに…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。