ソードアート・オンライン ~もう一人の黒ずくめ(ブラッキー)~ 作:牧村日影
「おぉ!キリトしばらくだな。」
「まだ生きてたのかクライン。」
「クラインか、よく生きてたな。」
「おいおい、そりゃねーよリン。にしてもお前らにしては珍しいじゃねーか連れがいるなんて...よ.......。」
「あー………っと、ボス戦で顔は合わせてるだろうけど一応紹介するよ。こいつはギルド<風林火山>のクライン。で、こっちは<血盟騎士団>のアスナ。」
キリトの紹介にアスナはちょこんと頭を下げたがクラインは目のほかに口も丸く開けて完全停止した。
「おい、クライン何とか言え。ラグってんのか?」
キリトがクラインの顔の前で手を振っていると、ようやくクラインの口がふさがりすごい勢いで最敬礼気味に頭を下げる。
「こ、こんにちは!クラインと言うものです!24歳、独身です!!」
どさくさに紛れて何言ってんだこいつ。俺はソードスキルを発動させずに片手用直剣を抜刀、クラインの首に剣を突きつけた。
「アホなこといってんじゃねーよ、バーカ。」
この瞬間、その場にいた全員がリンだけは怒らせないようにしようと思ったのである。
そんな風に話していると新たな一団の訪れを告げる足音と金属音が響いてきた。しかし森で見かけた時よりも明らかに疲れていた。安全地帯エリアの俺たちとは反対の端に部隊は停止した。先頭にいた男が休め、と言った途端残り11人が盛大な音と共に倒れるように座り込んだ。男は仲間の様子には目もくれずこちらに近づいて来た。
「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ。」
中佐だと?
「君らはもうこの先も攻略しているのか?」
「……ああ。ボス部屋の手前まではマッピングしてある。」
「ではそのマップデータを提供して貰いたい。」
「な…て……提供しろだと!?手前ェ、マッピングする苦労が解って言ってんのか!?」
確かにマップデータは貴重だからなぁークラインが騒ぐのも無理もないか。
「我々は君ら一般プレイヤーの解放の為に戦っている!諸君が協力するのは当然の義務である!」
「ぷっ、くくくく」
「何がおかしい!」
「いや何がって、開放のためとか言ってるけど今まで最前線にも出てこなかった引きこもりがよくそんなことが言えるな」
「なんだと!?」
「あとさぁ、一般プレイヤーっていったか?お前らも一般プレイヤーだろーが。攻略組を一般プレイヤーに含めないなら俺らも一般プレイヤーじゃない。これじゃ俺らは一般プレイヤーの義務とやらからは外れるよなぁ」
「くっ......」
「まぁ、こんなんになっちまったけどキリトは渡しちまうんだろ?」
「あぁ、そのつもりだ」
「相変わらずのお人好し加減だな」
話しをながらキリトはトレードウインドウを出し操作をする。コーバッツは協力感謝する、と言うとくるりと後ろを向いた。
「ボスにちょっかいを出すつもりなら、やめといた方がいいぜ」
「それは、私が判断する」
こりゃキリトの忠告は意味なさそーだな。
「貴様らさっさと立て!!」
というコーバッツの声に軍の連中はよろよろと立ち上がり、2列縦隊に整列する。コーバッツが片手を振り下ろすと部隊は進んで行った。
「大丈夫かよあの連中......」
軍の部隊が上層部へと続く出口に消え、規則正しい足音も聞こえなくなった頃、クラインが気遣わしげな声で言った。
「いくら何でもぶっつけ本番でボスに挑んだりはしないと思うけど...」
アスナもやや心配気味のようだ。
「いや、俺はヤバイ気がする。キリトの忠告は無駄になる可能性は高いな」
「......様子見に行ってみるか.........?」
この場にいる全員が首肯した。
出発しようとすると何やら後ろでキリトとクラインが騒いでいた。