少女のためにこいしちゃんが頑張ります٩( 'ω' )و
この回は残酷な描写があります。できるだけオブラートに包んだつもりですが、苦手な方はブラウザバック推奨です!
それでもいいなら、ゆっくり読んでいってね!
ここは、地底の洋館『地霊殿』。
ステンドガラスの窓が、微かな灯りを外へ零している。
そんな、薄暗く長い廊下を、二人の少女が歩いている。
「あ、あの…さとりさん、」
「どうしました?」
「一つ、お願いがあるのですが、、」
「後で聞きます。…さて、こちらですよ」
目の前に現れたのは、他のどれとも変わらぬ木製の扉。
さとりがドアノブに手を掛ける───。
ギィィッ…
少女の目に飛び込んだ景色は、これまで見たことのない、眩い灯りに照らされた部屋である。
扉の音に気付いたのか、一斉にこちらを見、口々に喋る。
「さとり様ぁ〜、もうおなかペコペコですよぉ〜」
「なんであんたは黙って待ってられないんだい?」
「よっ、さとり。お邪魔してるよ!」
「まさか本当に来客がいるなんて。妬ましいわ」
「こいし、あの子がお客さんなの?」
「そーだよー!でもね、まだ顔見てないんだー」
「じゃあさとりはもう見たのかなー?」
「そんなのずるいよ〜」
何故、、、こんなに、………
ディナーはもう運ばれ終わっていたが、明らかに人数が多い。多過ぎる。
桶に入った緑髪の少女と喋る茶色の服を着た元気そうな少女、尖った耳の持ち主は、何やらぶつぶつ呟いている。大きく赤い杯を持つ女性は、鬼なのだろうか、角が一本額から伸びている。そして、笑顔でこちらを見る青色の第三の目を持つ少女に、猫耳を生やした少女、───確か、「こいし」、「お燐」などと呼ばれていたか───は立派な翼を持った風変わりな少女にお説教中のようである。他にもいるが、遠くてよく見えない。テーブルの周りにいるのは、ここで飼われているペット達だろう。これまた数え切れない程いる。
さとりに促されるまま空いている椅子に座り、辺りを見回した。
皆がとても明るく見えるのは、他のどこよりも明るい照明と開けられた酒のせいだけではなさそうだ。
「さとりさん、あなたが…?」
「………こいし、終わったら私の部屋に来なさい」
「はぁーい」
この後、何が待っているのか。きっとこいしはわかっていないだろう。いや、そう見えるだけかもしれない。
パンッ
さとりの手拍子で、今までのざわめきが一瞬で消えた。
「…ええと、私はあなた方を呼んだ覚えは微塵もありませんが、いらっしゃい。たった一人の人間のお客様というだけで、…まぁ、確かに珍しいですが、なぜここまで騒ぐのですか」
「さとりー!私はぜひともその子と一戦交えたいよ!」
「勇儀さん、相手は里に住んでいる人間と変わりませんよ。………いいでしょう。もう好きになさい」
再び、騒ぎ出す。が、
「その代わり!終わり次第すぐにお帰りなさい!いくらこいしに呼ばれていても、私は知りませんからね!」
「お姉ちゃん、さすがにそれはひどいよ…。みんなお客さんに会うの、楽しみにしてたんだよ?」
こいしが反論しても、静まり返ったままだ。
誰も何も言わない。
そんな中、口を開いたのは───。
「あっ、あの!さとりさん!………私、は、いいと思い、ます…。だめ…ですか……?」
のしかかった重い空気が、軽くなる。
本人に言われては、さすがのさとりも、何も言い返すことができない。
「……わかりました。あなたがそう言うのなら、いいでしょう。今日はもう、好きなだけ騒いでください。酔い潰れても知りませんよ。片付けさえ手伝って頂けるのなら、ですが」
歓喜の声が上がる。
「………よし!家主の許可も降りたし、始めようか!!!」
歓迎の宴は、この一言から始まった。
──────────
とても、楽しい。こんなに楽しい時間を過ごすのは、生まれて初めてかもしれない。
見たことのない、とても美味しい食事。大人数で囲む食卓。あちこちから聞こえる、楽しい会話。そして何より、たくさんの人が、私に話しかけてくれること。全てが新鮮で、心が弾む。
「ねぇ、地上から来たんだって?ひょっとして、人間?」
彼女は、『黒谷ヤマメ』というそうだ。とても気さくな人だと思う。
………あくまで、私自身の予想。
「は、はい、、人間です…。やっぱり、珍しい、ですか?」
「地底は妖怪ばっかりだし、最近でも来た人間は二人だし、って言っても異変解決のために来ただけだったし…。だから珍しいね!…そういえば、あんまり誰かと話したことってなかった?」
「はい…、私を相手にする人なんて、先生と稗田さんだけで……ずっと一人でした…」
「な、なんか、嫌なこと思い出させちゃった?だとしたらごめんっ!あ、でもさ、私でよければ、話相手…いや、友達になろ?」
………え?友達…?私と…?
いい人を通り越して神様か何かなのかな?
「ヤマメ、お客様を独り占めなんてずるいわ」
この人(妖怪だけど)は、『水橋パルスィ』。ヤマメさんは蜘蛛の妖怪みたいだけど、彼女は橋姫なんだって。だからすごく嫉妬しやすい。…パルスィさん、言った側から嫉妬だだ漏れですよ。
「…ヤマメが友達なら私は親友になりたいのだけど、それでもいい?」
「普通は友達スタートでしょ。だったら、敬語は堅苦しいねー」
「 「………あれ?どうかした?」 」
二人が私の顔をのぞき込む。正直、顔は見られたくない。
………しょっぱい水だなぁ。
「何か、あった?なんで泣いてるの?」
泣い…てる………の?私が……?
「相談くらいなら私でよければいくらでも聞くわ」
相談、するようなこと、、は…ない……、よ?
変…だなぁ………。
ヤマメさんとパルスィさんの声が、周りの音が、見えているものさえ、遠くに感じる───。
──────────
─────人里での出来事が、走馬灯のように蘇る。
───なんで、あんなこと、されたのかな?
───私は、何もわるいこと、してないよ?
───「やーい!よわっちいようかーい!」
───「うわっ、こっち来んなよ!この妖怪女!里から出ていけ!」
石、痛いよ………。投げないで───。
───「目がなくなったら、心読めないだろ?じゃあ、そんなものとはおさらばだ!はははっ、あはははははは!!!!」
嫌…やめて……やめて…………───。
───「いいかい!おまえは妖怪の子だ!家にいるだけで迷惑だが、養ってやってんだよ!おまえがいるから、商売上がったりだ!物は売れない、お金がない、信用されない、全部全部、おまえのせいだ!!!」
私は、関係あるの?怪我してるのに、心配もしてくれないの?
本当に、私だけのせい───?
───「おまえの父親もろくでなしだったが、おまえはそれの何倍もひどい!」
───「一つ、教えてやろうか―!」
「おまえは誰からも必要とされていない!不要物だ!
『 い ら な い 子 』 だ ! ! ! 」
──────────
「いやあああああああああああああっ!!!!!!」
もう、思い出したくない。それなのに、夢で見てしまった。はぁ…。
服が汗でびしょびしょ。着替えなきゃ。………替えの服なんてないんだった。
「着替えなら、これをどうぞ。お茶でも飲んで、落ち着きなさい」
「あ、ありがとうございます、、、」
起き上がったとたん、倒れそうになる。眩暈がする。…お酒なんて飲んだかなぁ?
───さとりさん曰く、「宴」が始まってしばらくしてから、私は突然倒れたらしい。気がついたら、さとりさんの部屋に運ばれていた。
それにしても、さとりさんは本当にいい方だと思う。初対面の私に、ここまで親切にしてくれるし、今はすごく心配してくれているのだから。もうここに住みたい。
「部屋なら空いてますよ。どうぞご自由に」
………え?嘘…?
「私はさとり妖怪ですから、あなたの考えている事はわかります。ですが、あなたは今、別の事に対して驚いているようですね。いいですよ、ここに住んでも」
「私なんかが住んで、いいのですか?」
嬉しい。嬉しすぎる。嬉しくて顔がなんか大変な事になってる。恥ずかしい。しかもさとりさんも笑顔。どうしよう。
「ええ、どうぞ。ただ、いくつか変えなければならないことがありますよ」
「変えなければならないこと、ですか?」
「過去の事など、もう引きずりたくないでしょう?」
もちろんです。あんなもの、全て記憶から抹消したいです。でも、そんなこと…
「できませんよ。だから、服と名前だけでも変えた方が良いのでは?」
いい方だ。本当に。こんな私に、服だけでなく新しい名前までくれるなんて。………どうやって?
「服ならヤマメに頼みましょう。彼女は親切ですから、すぐに仕立ててもらえるでしょうね。名前は… 「お姉ちゃん!!!」 …こいし?」
「お客さん、起きたみたいだね!大丈夫?」
「はい、、おかげさまで」
「良かったぁ〜♪」
勢いよく部屋に飛び込んできたこいしさんは、私が無事だと知って安心したみたい。さとりさんだけでなくこいしさんにも心配して貰える私って、幸せ者なのかな?
「あ、この子、ヤマメのとこに連れてっていい?服作ってもらうの!」
「ちょうどその話をしていたから、どう?」
二人とも笑顔で私を見ている。これはもう行くしかない!
「い、行き、、ますっ!」
「なら、いってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
こいしさんは私の手を引き、走っている。さとりさんはそんな私達を、手を振りながら見送ってくれている。二人とも笑っている。こいしさんの顔は見えないけれど、私にはわかる。
これからか楽しみだ。私はもう、振り向かない。
二人の少女は、手を繋いで地獄街道を駆けて行った。
いかがでしたか?
いろいろとわかりにくい所があるでしょうが、楽しんで頂けたら嬉しいです(*゚▽゚)ノ
次回から少しずつ少女の事がわかっていく…かもしれません(爆)
三話目をお楽しみに!(*゚▽゚)ノ