覚る少女と覚りたい少女   作:ぽよよん

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案外早くまとまったので投下(←

ゆっくり見ていってね!


※今回も念の為ワンクッション。


少女が抱えるモノ

───どれだけの間、考え事をしていたのでしょうね。もう「逢魔ヶ刻」をとうに過ぎていたのですから。それどころかもはや早朝とも言えるようか時刻ですね。

ただ、紫殿の訪問には正直驚きました。暫くは会うのを避けたいものですが。

 

ひとまず仮眠を取ることに…

 

 

「ただいまーっ!!!」 「……只今、戻り、まし…た………?」

 

 

こいし、ドアが壊れるから、乱暴に扱わないで。

ですが───

 

「後ろの娘はどちら様で?」

 

はっきりとは見覚えのない、小柄な少女がこいしの後ろに隠れていますね。あの少女の顔はほとんど見えなかったものですから。

地底では珍しいストレートの黒髪で、肩より少し長いくらいでしょうか。小さな傷跡が気になりますが、顔は整っているほうだと思います。瞳は黒色のようですが、左目を包帯で覆っている理由は…聞いてはいけないことかもしれませんね。私達のものとは似ても似つかない黒のドレスはおそらくヤマメに仕立ててもらったものでしょう。下がふくらんでいるのは元々そういう作りだから、としか考えようがありませんね。おや、胸元と腰紐にある緑のハート型の飾りは………?

少女の心を読むと、………恥ずかしさが前面に押し出されていました。顔も赤らめて、とてもかわいらしいですね。

 

「やだなぁ、もう忘れたの?」

 

こいしはニコニコ笑っていますが…。………もしや、

 

「そーだよー!」

 

……あぁ、こいしは本当に第三の目を閉じてしまったのかときどき分からなくなります。

 

「でも、名前がないと呼びにくいよね?」

 

「名前、ね…」

 

そういえば、彼女は人間でありながら同族からの迫害を受けていたらしいですが…。

 

「何か『程度の能力』って持ってるのー?あったら見てみたいなー♪」

 

…私が考え事をしている間に、こいしの興味は、名前より『程度の能力』の方に向いていました。

 

私達のやり取りを黙って聞いていた彼女は、無言で右手から青白い光を出しはじめました。何をするのでしょうか?

手を下へゆっくりと下げ、光は人の形を作り、現れたのは…。

 

『こいし、もう、寝てもいいかしら?ずっと起きてたから、これでも結構眠たくて』

 

……………『私』でした。

少女が作り出した『私』は、こいしに微笑みかけながら、私の本音を口にしました。なぜ言ってしまうのですか…。

 

「……こ、これが、、私の、『程度の能力』…です………」

 

いろんな意味で呆然とする私とは対照的に、目をこれでもかと言うくらい輝かせているこいし。

 

ただ、彼女の『私』が私の本音を口にした、ということは、私の本音を彼女が『知っている』…いいえ、『覚った』ということでしょう。あくまでも私の予想ですが、どうもこれ以外は考えられませんね…。

『程度の能力』を私が表すとしたら、『相手を写す程度の能力』、とでも言いましょうか。彼女はどう表すのでしょう?

 

「…『相手を具現化する程度の能力』、、です………。あ、あと、、人の心、読めます…。里で言ったら、、おとなも、こどもも…………私を…」

 

……突然、泣きはじめてしまいました。うろたえる私をよそに、少女のもとへこいしが駆け寄ります。…ありがとう、こいし。

 

 

ですが、こいしが近づいた瞬間、……………。

 

 

 

「近寄らないでッッッ!!!!!」

 

少女はもう、何とも形容できないものすごい形相でこいしを突き飛ばし、『私』を操って弾幕を展開し、…。

 

 

「私は何も悪いことなんてしてない!みんなみんな能力だけで私を仲間はずれにして!寄って集って私を散々痛めつけて!」

 

 

弾幕は非常に激しく、本棚へ突っ込んだこいしのもとへ行くことができません。こいし、早く起きてそこから逃げて─!

 

「こいし!こいし!起きて!早く!」

 

私の声が、届かない…。早く逃げないと、弾幕が、………こいしに当たる!!!

 

 

「親戚まで私を除け者にして!なんで私だけあんな目に会わなきゃいけないの!?」

 

 

「弾幕を止めて!お願い!やめて!」

 

間一髪、こいしを狙っていた弾はそれました。

だけど、悲痛の叫びは、もう、誰にも届かない………。

 

 

「妖怪だって里にはたくさん来てるじゃない!なんで私だけなの!?誰も知らんぷり!?誰も助けてくれないの!?……だったら、もう、」

 

 

 

………弾幕が、消えた?この、静けさは、まさか───!

 

 

 

 

 

 

 

「 み ん な 、 き え ち ゃ え 」

 

 

 

 

 

 

 

─────弾幕は破裂するように展開し、壁まで吹っ飛ばされた私は、意識を手放しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

あれ?なんで私はここに?さっきまでさとりさんの部屋に…いた?

頭痛い。体も痛い。動かない。記憶もごちゃごちゃ。

ヤマメさんに服を作って貰って、戻って来て…?

 

───誰か、私を呼んでる?声が…。

 

 

「……み、かがみ!」

 

 

…………え?『かがみ』って、だれ?

 

 

「あなたのことよ?…あら、名前まで話は進んでいなかったかしら?」

 

 

寝間着姿のさとりさんも記憶がはっきりしてないみたい。私だけじゃなかった。

 

「さ、今日から『古明地かがみ』に生まれ変わるの。能力がどうも鏡のように思えたから。どう?」

 

 

………『古明地かがみ』…。

すごく、嬉しい。やっと、やっと、私を、名前で、…。

あれ?目から熱いものが。

 

さとりさんは、無言で微笑みながら私の頭を撫でている。とっても心地よい。なんでかな。

 

「………気に入ってもらえて、良かった…」

 

さとりさんも、泣いている。こいしさんのことが、心配なんだ…。

 

『早く、目覚めて…。せっかく新しい家族が増えたのに……』

 

 

 

───私が、家族?

 

───お二人を傷つけておいて?

 

───ありえない。

 

 

 

 

───わ た し は『 い ら な い 子 』な の に 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…まったく、まだそんなくだらないことを」

 

 

…あ。さとりさんに読まれちゃった。

さとりさんの顔が怖い。私、上からじと目で睨まれてる。

 

「いい?今日からあなたは『相手を具現化する程度の能力』を持つ『人間』で、『地霊殿』に住む『古明地かがみ』を名乗るの。もう自分を『いらない子』なんて言うのはやめなさい」

 

 

全身の痛みを忘れて、さとりさんに抱きついて泣いた。もちろん、嬉し泣き。

 

───私はもう、独りじゃないんだ。頼っていい人がいるんだ。

やっと、私が生きることを許してくれる人を見つけた。

 

 

しばらくしてから、

 

「こいしは目を覚ましたかしら?」

 

と呟くさとりさん。実の妹だから、心配するのは当然だね。

でも、なんで起きないんだろう…。

 

「…覚えてないのね。あなたの『トラウマ』が暴発したこと」

 

『トラウマ』…?何の話?

 

「…無理もないわ。どう見ても正常じゃなかったもの」

 

さとりさんは、私が書斎でどうなって何をしたかを教えてくれた。けど、そんな事を聞いてしまった以上、お二人に申し訳なくて、しばらくはまともに会えない。いくら理性による制御が効いてなかったといっても、ここのご主人さまと妹を酷く傷つけちゃったから。

 

 

………もう、ここに『も』いないほうがいいかもしれない。

 

地霊殿に来た目的はいくつかある。だけど、こればっかりは、仕方が無い。

 

私は全身の痛みを無視して、立ち上がった。私を看病?してくれていた妖怪(たぶんペット)が慌てて止めようとするけど、怪我人だからか無理矢理、という感じはしない。

 

 

ため息が一つ聞こえた。

…そういえば、さとりさんはどこへ?

 

 

 

 

「【想起『フィジカルテラー』】」

 

 

不意にさとりさんの声がした方を見ると、弾幕を展開してる。やばい、部屋から出られない。それよりも、これを避けなきゃ…!

 

 

さとりさんの第三の目が赤く光っている。

 

 

小さくて丸い弾幕は広く、水色の尖った弾幕は私を狙って、徐々に逃げ場をなくしていく。弾速は、手負いの人間には少し速すぎる気がする。

 

 

「ッ!…か、かすった……」

 

 

 

 

─────

 

 

弾が増えてきた。それどころか、横のある一点から広がるように短いレーザーが飛んできた。両側から。

 

 

ただひたすら避ける。弾幕が怖い。

 

 

よくわからない恐怖を突きつけられて、私は逃げ続けた。

 

 

 

 

─────

 

 

さらに弾幕は濃くなる。

さとりさんが手から何かを飛ばした。

 

 

短いレーザーより少し太くて長い赤色のレーザーが、私を狙って挟み撃ちしてきた。

その瞬間、真正面からレーザーが一本。

 

 

何とか避けた。もう弾幕だらけ。だけど、今のレーザー…

 

…目を狙ってた?

 

 

 

 

─────

 

 

何分続いてるの…。そろそろ体力が…。

 

 

弾幕が、どんどん私を追い詰める。もう、限界………。

 

 

 

 

─────

 

 

「ぐッ!?」

 

お腹に突然の衝撃。思わず呻き声が飛び出る。

たった一つの小さな弾幕でも痛い。どれだけの力が弾に込められてるの…。

痛すぎて、もう、立ってられない。私はその場で倒れた。

 

ぼーっとしてたら、弾幕を消したらしいさとりさんが、しゃがんで私の顔を覗き込んでた。

 

「あなたは地霊殿にいるべきよ。この先を考えたら…」

 

また、読まれてた。さとりさんには敵わないよ。

 

 

しばらくして、さとりさんの去り際に、私の心裏を突いた言葉が聞こえた。

 

「かがみ、その憎悪は封印しなさい。大きな過ちを犯す羽目になるわ」

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

さとりさんは、きっと全部知っている。

私、『古明地かがみ』が抱えているもの全てを。

 

 

ここに来て、正解だった。

 

 

誰もいなくなった部屋のベッドで、私は一人、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

ありったけの憎しみを込めて、生まれ育った里を想う少女。

 

『古明地かがみ』は、人知れず心の闇を蓄え続けている。

 

 

それは、人を蝕み、全てを奪う猛毒となるのである───。




ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
次からは第二章になります…たぶん。

ヒロインの名前は『古明地かがみ』ちゃんです!(わーいヾ(●´∇`●)ノ
『相手を具現化する程度の能力』をもっています。
この能力は、『相手の情報を全て読み取り、さらに読み取った相手の分身を作る』ことができます。プライバシーもへったくれもありません。恐ろしや。
さとり様はこれを「(浄玻璃の)鏡」と例えたワケです。恐ろしや。



さて、オリジナルスペルカードの紹介と行きましょう。

(人によっては不快に思う方もいらっしゃると思います。暴力的表現を含む内容ですのでお気をつけください。)

【想起『フィジカルテラー』】
直訳すると、「物理的な恐怖」(割と簡単かもしれないですね( ̄▽ ̄;) )。つまり、相手の弾幕ではなく、過去に受けた暴力的なトラウマを弾幕に置き換えた想起スペルということです。もちろん、相手によってトラウマは違うので、弾幕も十人十色。恐ろしや。

かがみの場合…↓
・広がるように飛ぶ丸い弾幕…里の子供達に投げられた小石
・尖った水色の弾幕…浴びせられ続けた数々の暴言
・横からのレーザー…里の大人達の蔑むような視線
・使い魔が発したレーザー…かがみの逃げ場を封じた悪ガキ
・目を狙った赤色のレーザー…お察しくださいm(_ _)m


(後書きクソ長ぇ…。)
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