遅くなってすみませんm(_ _)m
(もう何回謝罪したのか…嗚呼、嗚呼………)
ここから第二章スタート!
ストーリーをお楽しみください(っ´∀`)っ
少女の新しい生活 ~鬼ごっこ編~
私、古明地かがみは今、地底の洋館───地霊殿に住んでいます。
地底にいるのは、たくさんの妖怪にたくさんの動物たち、そして、たった一人の人間。その人間が、私。
妖怪は、空が見える穴の近くに、薄暗くても活気のある旧地獄の繁華街に、地霊殿に、と地底の至るところで暮らしています。
動物のほとんどは地霊殿のペットとして飼われていて、一部は妖怪になりました。
地上では化物扱いをされて忌み嫌われていた私を、地底のみんなは快く受け入れてくれました。地霊殿に移住してひと月以上過ぎた今、生まれて初めて、友達と呼べる人(妖怪だけど)ができました。
移住後、いろいろとバタバタしていたのがようやく落ち着いて、時々お友達と地底で遊んでいます。度々、こいしお姉さまに地上に行こうと誘われることがあるけれど、それは全部断っています。
こいしお姉さまにとっての地上は、隠れた『遊び場』。
私にとっては、───忌々しい『過去』。
………まぁ、それはいいとして。
今日も屋敷にお友達が来て、橋の近くであそんでいる……………、
はずでした。
「イヤあぁぁあぁああぁあぁぁああッッッ!!!!!だ、誰か!誰かァッ!」
古 明 地 か が み 、 現 在 落 下 中 。
「よっし、できた。かがみ、安心して落ちて!」
病気を操る蜘蛛の妖怪、黒谷ヤマメが、今やっと作業を終えたように清々しい笑顔をかがみに向け、汗一滴もない額を拭う。その真横、つい先程までヤマメがいた場所を、落下中のかがみが通過………
しなかった。その代わり、顔面から地面、…ではなく蜘蛛の巣に飛び込んだ。地面から幼子一人分程離れた位置に張られた、直径十尺はあろうかという蜘蛛の巣は、かがみの不時着を受け、外の世界のトランポリンのように凹み、上に乗っている者達を押し上げた。ヤマメはそれに合わせて跳ねたが、かがみは落下の衝撃で巣に雁字搦めにされてしまっていた。
「ありゃ、大丈夫?」
「大丈夫、、じゃない…。ヤマメさん、助けて…」
身動きの取れないかがみを心配して、ヤマメが何とか起こそうとする。が、かがみを絡め取っていた糸は不運にもねばねばした方の糸。しかも、妖怪のものなので虫のそれとは強度が段違いである。ヤマメは腕力だけで引きちぎるのを諦めた。ヤマメが途方に暮れていると、わあわあ喋りながら、蜘蛛の巣にこいしと桶───もとい『釣瓶落し』のキスメが降りてきた。
「よかったー!さっすがヤマメだよー!かがみを助けてくれてありがとう♪」
「元はと言えば、こいしが悪い」
「やっぱりそうだよねー。あんなの見てたら、みんなそう言うって」
「えー」
キスメとヤマメが互いに顔を見合い、キスメは呆れ顔、ヤマメはこくこくと頷きながらこいしを責める。当の本人は、いつものおどけた表情のまま。そのまま、かがみ、助かってよかったね、と義妹に声をかけ、羽交い締めにして何とか巣から離れさせようとする。すぐに糸が切れ、かがみは巣から解放された。服にまだ僅かに残ってはいるが。
勢いで尻もちをついたこいしを起こしたかがみの顔は、悍ましい笑顔だった。その顔を見たキスメもヤマメも、こいしすら戦慄する程であった。
事の発端は、以下の通りである。
──────────
「こいしー、かがみー、うちの近くで遊ばなーい?」
ある日の昼下がり、地霊殿の扉の前に人影が一つ。一帯に良く通る明るい声が響く。しばらくお待ち下さい、とはきはきした少女の声が扉の内で僅かにくぐもって聞こえた。それを聞くと同時に、ヤマメはふっと扉の右を見る。花々の陰に紛れていたのは、小さな一匹のトラ猫。黄がかった茶色の毛がふわふわと緩やかな風になびき、二つの黒い瞳が真っ直ぐヤマメを写している。ヤマメが猫を見返すと、子猫はおもむろに庭の方へゆっくりと駆け出し、少し走ってすぐに止まった。振り向くという動作付きで。その一連の動きは、ヤマメについて来いとでも言っているようであった。不思議な行動をとる子猫の意図を察したヤマメは、慌てて追いかける。それを見て、トラ猫は再び走り出し、時々止まる。
───数回繰り返されてヤマメが辿り着いたのは、地霊殿の裏に隠れた広い庭。芝生は、ペット達によるものであろう手入れが行き届いており、周辺の花壇には色とりどりの花が咲いている。どれも、地底ではまず見かけないものばかりである。わかる人にはわかるような、外の世界の花も植えられている。そんな、薄暗い地底とは思えない色鮮やかな庭の縁、パンジーの植えられた花壇のそばに、目当ての人物はいた。こいしがトラ猫の存在に気付き、慣れた手つきで猫を抱き抱える。子猫もそれを拒まない。しばらく庭に見とれていたヤマメははっと我に返り、二つの少女の元へ駆けた。
「探したよ、二人とも。ま、そのネコちゃんが案内してくれたんだけど」
「そうなの?ありがとう、トラちゃん」
こいしは抱いている子猫に礼を言って、頭を数回撫でた。猫は目を細め、どことなく嬉しそうだ。それを見て、かがみはヤマメに向き合った。
「それで、ヤマメさん、今日は何をするの?」
「こいし、確か、空を飛んでみようって言ったよね?」
「~♪………ん?そうだっけ??」
子猫を愛でるのに夢中で、話の流れにおいてけぼりを食らったようである。二人はそれに気付き、かがみは無言で呆れ、ヤマメは軽く話を説明した。それを聞いて理解したらしいこいしは、満面の笑みで義妹と友人の手を引き、敷地から文字通り飛び出した。
地霊殿から旧地獄街道を抜け、外れにある橋の側を通った先に、ヤマメの家と地上へ繋がる大きな穴がある。そこから望む空は、澄んだコバルトブルーの中に僅かに白が浮かんでいた。地上は快晴である。
一行は空をちらと見やり、すぐに視線を戻した。
「それじゃ、いくよっ!」
こいしのこの一言で、全員が動き出した。こいしはかがみの左手を引き、キスメと共に上へふわりと飛び上がる。下に残ったヤマメは、穴の壁に張り付き、白く細いものを伸ばす。そのまま何かを手際良く、てきぱきと作って、否、張っている。一方、こいし達はヤマメの作業を時々気にかけながら、上へ上へと上っていく。そして、ヤマメが腕でマルをつくるや否や、───こいしはあわあわと震えるかがみの手を離した。
「かがみ、頑張って!できなくても大丈夫だよっ!練習だもん!」
「…いや、そういう、、………もう遅いね…」
はぁ、とため息をつくキスメの心配をよそに、かがみは叫び声を上げて落ちていった…。
その後、かがみは周りを恐怖に染めた笑顔を見せることとなる。
──────────
「こいしお姉さま、何か言う事はありますか?」
かがみは相変わらず満面の笑みを浮かべている。どす黒さが全面に出ているが。首を傾げ、腕を後ろに組んでのこの笑顔なので、よほど鈍感でない限りはその恐ろしさが嫌でもわかる。
あまりの恐怖に眉一つさえも動かせない周囲。普段は楽観的なこいしすら身動きしない。生きている生物(?)であること以外は完全に氷である。
「ふふ、だったら無理矢理にでも口を開けるようにしますね?お姉さまぁ?」
ゆっくり、一歩一歩こいしに近づくかがみ。やはりオーラが黒い。とうとうキスメもヤマメも何処かへ逃げてしまった。未だに動けないこいし、だが、───。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!来ないでええええええええええ!!!!!!!!!!」
と大声で叫び、全力疾走。空を飛ぶどころではないようだ。酷く青ざめた顔と至る所に滴る冷や汗が必死さを物語っている。しかも、走り方は漫画にありそうなものだ。
待ああああああてええええええええええ!!!!!!!!と叫び、すぐさまかがみは追いかける。あろう事か姿勢まで同じである。しかもかなり早い。
ここまでくると絵面だけは最早ギャグの領域。
あっという間に会場は地底の入口から旧地獄街道へ………。
古明地姉妹の恐怖の鬼ごっこは幕を開けた───。
──────────
数刻を過ぎ、地上では日が地平線の向こうに形を潜めた頃、姉妹の鬼ごっこは終わった。勿論、こいしはかがみに捕まり、強烈なビンタを食らった。その後、まだ黒い笑みを浮かべた顔と赤い紅葉が頬に付いた顔は、『二度と生身の人間を落とさない』という約束を交わし、屋敷へ戻った。
心配症の長女に遅いと叱られ、頬の紅葉について小半刻ほど問い詰められたのはまた別の話。
かがみちゃん身体スペック高い。
純粋な妖怪相手にダッシュのみで追いつく。凄い。
あ、次回はたぶん夏休みよりかは前になる、かもしれません。
それまでゆっくりお待ちして頂けると嬉しいです!
閲覧ありがとうございました(^o^)/