さてと、さっきこの子供を食べるとか言っちまったし、怯えてるのも無理ないな
「おい、いつまで怯えているんだ?」
試しに心を読んでみると、(助かったと思ったのに、結局食べられちゃうんだ。あのムカデよりも強い妖怪だ、逃げられ無い。食べられる嫌だ。怖い。)その瞬間俺の腹が満たされた。ナルホドね。人間が俺のことを畏れる感情を読むことで腹が満たされるのか。この調子なら人でなくても生物なら何でも良さそうだ。けど、この旨さは癖になるな。取り敢えず、落ち着かせるかな。
「いつまで怖がってるんだ。俺の食事は今終わった。かなり美味かったぞ。」
子供は何が起きたのか解からないようようだった顔をキョトンとさせ、何言ってるのだろうこの人は。みたいな目を向けられた。
「また別の妖怪に襲われると面倒だろうし、家まで送ってやる。助けたのに死なれると疲れるからな。」
「あ…ありがとう。」
どうやら襲われないことを理解したのか心の方もいく分か落ち着きを取り戻してるようだ。
「早く背中に乗れ。どうせ疲れてんだろ?」
「お兄ちゃんありがとう!!」
そういうと嬉しそうに笑いながら背中に飛びついてきた。これなら歩かせたほうが良かったのかもしれないと思いながら歩みを進めた。
「どうして、この時間に妖怪なんぞに追われてたんだ?」
子供の方は困った顔で「おじいちゃんの病気治すために薬草探してたの!」
どうやらウソはついてないみたいだな。コイツは馬鹿なのか!いくら治すためでも自分を犠牲にしてまで薬草を探す価値があるのか。帰ったら爺さんとやらに叱ってもらおう。
「よく頑張ったな。偉いぞ。」
後で叱られることを考えれば今たっぷり褒めておいてやろう。
「えへへ、私瞳っていうの!お兄ちゃんの名前は?」
「お兄ちゃんは古明地こおりだ。一応お兄ちゃんも妖怪だ。悟っていう妖怪だ。」
そう告げると、一瞬少女の体がビクッとした。
「でも私のこと食べないんだよね?」
「食べたには食べたが。体を食べるわけじゃないんだ。瞳ちゃんが俺のことを畏れたその心を食べたんだよ。」
どうやらよくわからなかったようだ。けれど、自分が食べられることはないと結論づけたようで、
「お兄ちゃんは妖怪だけど、助けてくれて、カッコイイからいいの!!」
適当だなぁ。
「ほら村ってここだろ?家の人に言うことがあるから案内してくれ。」
そういうと少女は背中から飛び降りて家に向かっていった。俺も続いて少女の家に入っていく。中では元気そうな爺さんが瞳の事を思いっきり殴っていた。状況を整理するとどうやら爺さんは、病気ではなく仕事で腰を痛めて寝ているだけのようだったけど、瞳は爺さんが元気がないのは病気だと思ったようで、薬草を取りに行ったらしい。そこで爺さんが俺のすごたにようやく気づいた。
「お前さんは誰だ。」
「おじいちゃんダメだよ!!この人は、妖怪から私をたすてくれた良い人なんだよ。鬼みたいに強いの!!」
「いいからお前は少し反省してろ!!」
そう言われると瞳は正座で俯いて静かになった。
「助けて頂き感謝する。たがお前さんその見た目妖怪だろ?なぜ助けたんだ。」
「瞳ちゃんが俺のことを畏れてくれた。その心を読んだ時俺の腹が満たされたんだよ。その礼だ。」
そうすると爺さんは、少し考えてゆっくり口を開いた。
「お主この村の守り神になるか?」
一体この爺さんは何を言ってるんだ。そうすると爺さんは話を進めてしまった。
「お前さんは何もしなくて良い。我らの間でお前さんのことを敬い、畏れよう。お前さんは山の中で普通に暮らしてくれて良い。それでたまに迷い込んだ村人や襲われてる村人を助けてやってくれ。全員助けんでいい。お前さんのことを畏れた奴らだけで良い。今回みたいにそれを読み、その礼として村まで届けてはくれぬか。」
それなら別に良いか。食事もできるしな。
「解った。畏れた奴らは助けよう。そろそろ姉ちゃんが心配してるだろうから帰るよ。」
良くわからんが、腹が満たされたのだからそれでよしとしよう。姉ちゃんどうしてるかな。