ようやく苦労して洞窟に戻ると姉ちゃんが安心しきった顔で待っていた。
「遅くなってゴメン姉ちゃん。」
心配してなくてよかったと思って安心してると
「心配なんてする必要がないもの、あなたとは生まれてからずっと居るんですもの、それに心のほうで繋がってるから危なくなってもすぐ解るわ。」
流石だな姉ちゃん、やっぱり姉ちゃんは物知りだな。
「そんな事より、あなたにも妹ができたのよ!」
けれども、周りを見渡しても妹の姿は見えず、戸惑っていると、
「変わった子でね、よく見えなくなるのよ。詳しくは本人から聞いてみるといいわ。こいし、居るなら姿を見せて頂戴。あなたのお兄さんよ。」
そう言いながら辺りを見回すと肩のあたりに何かが触れる感覚がしたので振り向くと、薄緑色のフワフワした髪が頬を撫でてきた。更に首をひねれば満面の笑みで笑っている少女が居た。
「はじめまして、こいしちゃん?」
「はじめまして、お兄ちゃん❣」
そ言うとこいしちゃんは肩から飛び降りて俺の前に立った。身長は姉ちゃんと変わらないくらいの大きさだな。気になるところといえば胸のあたりにある目が閉じてしまっているというところだろうか。
「こいしちゃん?その目はどうしたんだい?」
まさか、姉ちゃんが見つける前に別の妖怪に潰されたのかもしれない、そう思うとやりきれない感情が心の底から沸き上がってきた。そうすると、こいしちゃんは変わらぬ笑顔で
「違うよお兄ちゃん。私のは元々なの。元々心が読めないのその代わり(無意識を操る程度の能力)が有るの。」
悟り妖怪ってスゲェー無意識まで操れるのか、と感嘆していると。
「違うわよ。こいしはきっと突然変異種なのよ。普通の悟り妖怪、つまり私は心の表面にある意識、今考えてることしかわからないのよ。けど、こいしの場合もっと深い所、精神の中枢にまで作用する恐ろしい能力なのよ。」
そう言われてこいしちゃんの方を見ると褒めてと云わんばかりの得意げな顔をしていた。可愛い。そう思い、こいしちゃんを抱きしめながら、こんな可愛い子が突然変異種で強い力を持つとは、強い力を持つという事はそれなりの責任がかぶさってくる。そう思うとこいしちゃんの小さな体がなより、小さく感じ、少し抱きしめる力を強くした。そうすると姉ちゃんが呆れながら
「こおり、貴方もよ。貴方も突然変異種なのだけれどね。考えても見なさい、貴方みたいな物理攻撃に秀でた悟り妖怪もそう聴かないわ。」
とどうやら姉ちゃんは俺の心を読んでいたみたいで先ほどのムカデとの戦闘のことも知ったようだ。俺は戦闘力はない方なんだけどな。あのムカデだって策を講じたからどうにかなったわけだし。
「少なくともワタシよりは戦闘力があるわ。」
このことに関してはそんなものかなぁと納得しておくとしよう。今日一日で色々と有り過ぎて脳の処理速度が追いつかないや。とりあえずゆっくりと寝よう。