東方地心録   作:妖希

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地上の生活6

落ち着け!落ち着くんだ!まずは呼吸を整えてしっかり現実を受け入れよう。

「ハァ……ハァ…」

落ち着いたところで顔の血を拭いながら勇義を睨みつけた。ここでもっと弱っている所を見せるわけにはいかない。嘘でもいい、虚勢でいいんだ。強がって見せなければ、勇義は調子に乗ってしまう。

「フゥ……これでこいしちゃんとお揃いだね。」

そう言いながらこいしちゃんの方を見る。こいしちゃんは、珍しく笑っていなかった。こんな時こそ笑った顔が見たかったのだがしょうがない。力いっぱい強がって、頑張って作った笑みは相当引きつっていることだろうし、自分自身笑えない。けれど、これで良いこのだ。引きつったこの笑みは勇義から見ればそれこそ狂気の笑みだろう。その証拠に勇義は俺への警戒心を一つ上げたようだ。冷静になってくると、糸を切られたことを思い出した。もちろん俺の糸にもデメリットは存在する。今回は二人共傷つかなければ良いな。という思いを紡いだ。しかし、その糸は切られた。その事により俺の心の中にはもう二人共傷つかなければ良いな。なんていう考えは微塵も残っていない。何故なら想いを切られたからだ。

「今度はこっちから行かせてもらおうか。

バク!テリー!」

「「了解(ッス)」」

その言葉をきっかけに勇義の体に異変が生じた、勇義の左手の皮膚が見る見る減っていく、傷は真皮にまで達し、その傷は未だ広がっている。動揺しているスキに一瞬で近くまで接近した。

「悟りから目を取るなんて酷いね。君も目は2つあることだし1つ貰うとしよう」

そう言ってからの俺の行動は速かった。勇義の左目に指を突っ込んだ。俺の指は勇義の体温をしっかりと感じていた。暖かい、温い、いつまでもこうしていたかったがそうもいかない、名残惜しいが急いで目に繋がる血管や神経を取り除き勇義の顔から目を取り除いた。そして、その目を俺の顔に近づけた。そうすると俺の目の有った場所から紡ぎ糸を伸ばして目に絡みつける。この糸には目が欲しい、良く見える目がほしいという想いを紡いであるのでこの糸が神経や血管の代わりを果たし、俺の視界は復活した。

この作業に集中していたので今更ながら勇義の呻く声が聞こえてきた。

「な…何をした!」

「俺の身体に住んでいる家族達に協力してもらったんだ。お前が切ってしまった糸を伝ってお前の体に待機させておいた。そいつらがお前の体を喰ったんだ。勿論生きたお前の体を喰うんだ。喰った虫達は喰ったそばから死んでいくから1度しか使えないんだ。心配するな。」そう、バクやテリーは微生物の集合体だ微生物1匹もバクやテリーだしそれらが集まってもバクやテリーだ。彼らの強みは全にして個であり、個であっても全であるということだ。また、微生物というのは一瞬で何世代もの世代交代を繰り返している。その中には今まで耐え切れなかったものにでも耐えうる体を手に入れる微生物が生まれてくる。彼らの恐ろしい所はそこだ。俺も相手にしたくないや。

「その身体ならもう次の一撃が限界だろう。次の技で最後だな。」

勇義は何も言わないが、俺の言葉を聞き妖力を絞り出している。俺も右手に妖力を集中させている。恐らく勇義が出そうとしているのは、技だ。けれど、俺には技がない。だから、持てる妖力を全て右手に集め力任せに殴るただの技だ。しかし、今の勇義にはこれでいいという確信があった。先に動いたのは勇義だ。

「三歩必殺!!」

1歩目で大気が揺れた、2歩目で地が割れた、あれはヤバイな、確かに必殺だ3歩目を歩かれたら俺は砕けちってしまうだろう。だから、歩かせなかった。さっき目をえぐった時バクやテリー達に地中に潜らせて俺の糸を足首に巻いといてもらった。俺の右手と勇義の足首は地中でつながっている。だから、俺は左手を思いっきり引っ張った。その事により、勇義は足を地面に縫われてあと一歩が踏み出せないでいた。

そんな勇義の顎を力一杯に殴り抜いた。

勇義は倒れた。俺の勝ちだ。

その確信と共に俺もゆっくりと意識を手放した。

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