外伝:あの子がフランドール・スカーレットになっていた件   作:冷水

3 / 6
超BAD ENDルート。

【閲覧注意】

本編では絶対にやらないIFストーリー




【外伝1-1】フランと咲夜

じゃら、じゃら、

 

十六夜咲夜が歩くたびに、鎖が擦れる音がする。

 

 

じゃら、じゃら、

 

十六夜咲夜は何もしゃべらない。

 

 

じゃら、じゃら、

 

銀の鎖が音を立てて鳴り響く。

 

 

 

 

 

咲夜が、レミリアの御前に馳せ参じた。

 

「フランドールお嬢様の居場所が、分かりました」

 

青と白のメイド服の裏には、大量の銀のナイフを。

 

腰には銀の鎖を巻き、髪留めは鋭く尖った杭のようなデザイン。

 

咲夜は対吸血鬼に特化した装備を付けている。

 

これから連れ戻すのは、凶暴と言われる吸血鬼。

 

レミリアは目を閉じ、咲夜の報告を聞いている。

 

 

 

「絶対に、連れ戻しなさい」

 

--御意に。

 

--抵抗された場合は、どうしますか?

 

「無理にでも連れ戻しなさい」

 

--銀製装備の使用は・・・

 

「当然、許可するわ」

 

--邪魔者は・・・

 

 

 

 

 

 

------

 

コン、コン

 

ドアを、ノックする音が聞こえる。

 

「こんな時間に、誰だ?」

 

深夜、フランは眠ってしまい、魔理沙はこれから寝ようとしていた。

 

パジャマに着替え、既に来客の服装ではない。

 

それでも夜の魔法の森を歩けるのは、里の人間ではありえないし、多分知っている誰かだろうと思う。

 

 

 

ドアを開けると、重装備に身を包んでいる咲夜だった。

 

「おいおい、こんな時間に物騒な恰好をして・・・何の用だ?」

 

「こちらに、フランドールお嬢様がいらっしゃると聞いて」

 

お嬢様?

 

魔理沙は首を傾げて、咲夜の言葉が上手く飲み込めない。

 

 

しかし、口元から覗く犬歯、翼のある種族、日光に弱いという特性。

 

それらを思い出すとともに、不思議と合点がいくものがあった。

 

フランドールは、吸血鬼で、紅魔館の住人だったのだ。

 

 

そして、目の前に居る、殺意を隠そうともしない咲夜。

 

紅魔館は、かなり閉鎖した組織であり、フランはそこから逃げ出してきたのだと思われる。

 

 

 

魔理沙はドアの近くにあった、箒を手に取った。

 

 

「そんな奴、ここにはいないな」

 

通せんとするように、魔理沙はドアの真ん中で陣取っている。

 

「そんなはずはないわ。少し、中を見せてくれないかしら?」

 

剣呑な雰囲気が、二人の間で交錯していく。

 

 

 

 

 

「まりさ・・・どうしたの?」

 

目をこすりながら、パジャマ姿で魔理沙の方へやって来るフランドール。

 

「バカ、来るな!」

 

「え?」

 

 

 

その瞬間、咲夜は蹴りを放ち、魔理沙を吹き飛ばす。

 

「ぐう・・・」

 

机にぶつかり、魔導書や何やらが床にばらまかれた。

 

 

「魔理沙!」

 

フランドールは、魔理沙に近寄ろうとする。

 

しかし

 

 

 

「フランドールお嬢様」

 

目の前には、十六夜咲夜が立ちふさがった。

 

「なに、あなた・・・誰よ・・・」

 

「これは失礼しました。私は十六夜咲夜。紅魔館でメイド長をやっております」

 

フランドールは、紅魔館では人間を見たことがない。

 

当然、十六夜咲夜の事をしらない。

 

だが、レミリアが差し向けた、追手であることだけは理解できた。

 

魔理沙を視界の端に捉える。

 

呻き声を上げているが、それほど大きな怪我はしていないように思える。

 

「心配なさらずとも、魔理沙には何もしませんよ」

 

 

 

キッと、咲夜を睨むフランドール。

 

「紅魔館へ帰りましょう。レミリアお嬢様が、帰りをお待ちしておりますよ」

 

 

----

 

逡巡するフランドール、ここで否を言えば、魔理沙に何をされるか分からない。

 

しかし、その迷いは魔理沙の言葉で揺れ動いてしまう。

 

「フラン・・・行かなくて、いい・・・」

 

魔理沙は、這って咲夜の足を掴んだ。

 

その瞬間、フランドールは覚悟を決めた。

 

 

----

 

「私は、帰らない!」

 

拳を握り、咲夜へ攻撃を加える。

 

吸血鬼の拳は、人間が食らえば、ひとたまりもない。

 

しかし、咲夜は霞のように、残像を残して避けてしまう。

 

 

 

「抵抗なさると、そう受け取ってよろしいのですね?」

 

冷たい目を、フランドールへ向けてくる。

 

それは暗殺者のように、ただひたすらに無機物を見るような目を、フランドールへ向けてくる。

 

 

 

その眼差しに、フランドールは寒気と恐怖を同時に感じた。

 

 

----

 

 

先手必勝とばかりに、フランはドアの前に立つ咲夜へ突進する。

 

しかし、咲夜はバックステップと共に、外へ出る。

 

咲夜は時を操り、残像を残しながらも、勢いよく後ろに下がる。

 

 

「ここなら、魔理沙に構わず戦えますよ?」

 

余裕の笑みを浮かべている。

 

フランドールの意図など、何もかも御見通しとばかりに、薄く冷酷な笑みを浮かべている。

 

 

空を飛び、蹴りを、拳を、そして炎で出来た剣を出し、咲夜へ向けて攻撃をする。

 

しかし、咲夜には当たらない。

 

 

 

 

「拍子抜けですね。そろそろ私から行きますよ」

 

銀のナイフを持つ咲夜は、それらをフランドールへ投擲してくる。

 

剣ではじくも、咲夜は次の瞬間には視界の外からナイフを放つ。

ナイフが風を切る音、咲夜の気配の現れる場所を吸血鬼の勘で察し、フランはぎりぎりの所でそれらを避けていく。

 

 

 

「そろそろ、終わりにしましょう」

 

咲夜の姿が、消える。

 

時が、止まる。

 

全てが静止した世界で、咲夜だけが動けている。

 

鎖を腰からはずし、背後へまわり込み、そして時は動き出す。

 

 

 

銀の鎖が、フランドールの首へまとわりついた。

 

「っ・・・」

 

まずいと思った時には、既に遅かった。

 

銀は吸血鬼にとて、弱点の一つとなる。

 

力が入らない。

 

(こんな鎖程度、引きちぎれない・・・!)

 

腕に、足に。

 

短めのパジャマが仇となり、そのまま吊し上げられていく。

 

 

最後に、持っている剣を咲夜へ投げようとする。

 

 

グサ、

 

 

髪留めが手のひらへ刺さる。

 

焼ける、痛みがフランドールを襲う。

 

 

「あぁ・・・」

 

四肢に、ナイフが一本ずつ刺されていく。

 

銀製の武器が、吸血鬼の能力を封じ、その力さえも、奪っていく。

 

こんな程度では、吸血鬼は死にはしない。

 

ナイフが取れれば、一日もすれば怪我も完治する程度には、フランドールだって強大な吸血鬼の一人である。

 

「いたぃ・・・」

 

涙を流し、手足から血を流すフランドール。

 

 

「待ちやがれ・・・」

 

魔理沙が、ミニ八卦炉と、箒を持ってやって来る。

 

咲夜の蹴りがまだ効いているのか、足取りはおぼつかない。

 

それでも、帽子だけはかぶり、咲夜へ鋭い視線を向けてくる。

 

 

「貴女には、用はないわ」

 

魔理沙がミニ八卦炉で攻撃をしてくる寸前に、咲夜は魔理沙の背後を取り、手刀を首筋に叩きつける。

 

ただの人間である少女には、それだけのことで、気を失ってしまう。

 

 

 

----

 

引きずれれて行くフランドール。

 

魔理沙は気を失い、何もすることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

End.引きずれれていく血まみれのフラン

 

 

 

 

 




これは「私がフランドール・スカーレットになっていた件」を書き始める前、やろうかな・・・って思っていた話です。

ですが、書き始める際には、フランドールの幼い笑顔や微笑みを書きたい、そう思いました。
なので、こんな怖いストーリーはありません。

実際には、いつかの後書きでも書いたように、今も第2章を一番書きたいと思っているのですが、最近、書くのが怖くなりまして、ちょっと手が付けられていない状態です。
この物語の一番の見どころは、作者的には2章なんじゃないかな・・・と思っています。

書き直しているんですが、1章の大詰めがなかなかまとまらないのと、読者の目をちょっと気にしすぎていたりで、もうちょっと時間が掛りそうです。

人によっては、見づらくないって言ってくれたり、評価のコメントしてくれたりするのですが、いつのまにか、自分の「文体」がめちゃくちゃになってしまいまして・・・。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。