ハヤテのごとく!~Image me on the eyes once again~   作:唐笠

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はい、元旦から私はなにをやってるんでしょうね…
まぁ、気にしたら負けだと思ってますが←オイ


第1話 シンデレラの魔法

 

シンデレラの魔法もいつかは解ける…

この世界に永遠を確約されたものなどありはしない。

あるのは上辺の付き合いと、揺れ動く絆だけで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、それを越えたものがあるとしたら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは、それを護り通せますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切なその人を傷付けずに護り通せますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それができるなら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、あなたにとって本当に大切な人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ではないことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

僕こと綾崎ハヤテはため息をついて本を閉じる。

まったく、この憂鬱な時にこんな本を読むものではない…

 

だけど、本棚にあるそれになぜだか手を伸ばさずにはいられなかったのだ…

 

コンコン

 

「あっ、はい」

 

僕に宛がわれた部屋へのノックに反応する。

 

「ハヤテ君、調子はどうかしら?」

 

「あははは…

僕はいつでも元気ですよ」

 

意味をもたない苦笑。

苦し紛れの嘘にもならないそれは今の僕の全てを表していた。

 

「無理しなくていいのよ…

誰だって、住んでた場所を追い出された辛いもの…」

 

「……………………………」

 

そう、僕は追い出された…

 

三千院家を…

ナギお嬢様の傍から……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~3日前~

 

「ん…」

 

気付いた時にはベッドで寝ていた…

真っ白な壁、風に揺らめくカーテン。

見慣れない場所だが、おそらくは病院なのだろう。

 

でも、なぜベッドに…?

……………………………そうだ、僕はたしかアーたんを助けようとして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に大切な人は誰ですか…?

 

その答えはでた。

2人の差はなんだったのだろう…?

その答えは今なお出ない。

 

でも、僕はナギお嬢様を選んだ。

10年前と変わらずに好きだと確信したアーたんではなく…

他の人とは決定的に違うと感じたアーたんではなく……

 

今思えば、その時の『他の人』の中にお嬢様が含まれていなかったのであろう。

目を閉じれば、こんなのにも多くのお嬢様との思い出、僕を呼ぶ声が聞こえるというのに…

あの時の考えの中にはいなかったんだ……

 

護ろう。

何があっても、その全てから…

いつまでも僕が傍で護っていくから……

 

バリンッ!

 

その決意がお嬢様に通じたのかどうかはわからない…

だけど、お嬢様は自らの手で王玉を破壊したのだ…

三千院家の財産相続権の証とも言える王玉を自らの手で……

 

「ハヤテを苦しめているなら、私はこんなものはいらない」

 

どうして…?

三千院家の財産はお嬢様を守る力でもあるのに…

 

「だって、ハヤテが私を護ってくれるんだろ?

なら……ハヤテがいれば、私はあんなものはいらないよ」

 

「お嬢様…」

 

この時、僕の中でなにかが決定的に変わった…

目の前にいるのは、いつもと変わらないお嬢様。

だけど、僕の目にはそれが…………

 

「今晩、お暇をいただけないでしょうか?」

 

今は決着をつけなければいけない。

10年前に止まった時間の決着を…

僕がここから歩き出すために……

なによりも………

 

「あぁ、行ってこい。

だが、必ず私の元に帰ってくるのだぞ」

 

「はいっ!」

 

君を護りたいから…

ずっと傍で、いつまでも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーたん!!」

 

「ハヤテ…」

 

アーたんにとり憑き、融合を果たそうとした英霊キング・ミダスから、アーたんを救い出すことに成功した僕はそっと彼女を抱き締めた。

10年前からやり直すように、そっと、だけれども力強く…

 

 

 

 

あまり多くの言葉は必要としなかった。

10年前からの時間を動かすだけなのだから…

 

「なら、私と一緒にここに残ってくれるかしら?」

 

だけど、それはすぐに終わりを告げる。

動き始めたそれは終わりに向かって進んでいたに過ぎないから…

それはアーたん自身もどこかで解っていたのだろう。

 

10年前、そのまま止まることがなければそれは変わっていたのかもしれない…

だけど、今の僕には進まなければならない時間がある。

使命と想い、その両方を胸に刻み…

 

だから、最後に言おう。

臆病な僕は心の中でしか言えないけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さよなら、僕の大好き"だった"人…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許さん…」

 

「っ!?」

 

別れを告げ、歩き出そうと背を向けたその時、地の底から響く声が聞こえる。

とっさに振り返れば、倒したはずのキング・ミダスがアーたんのすぐ後ろに迫っているのだ。

 

「王玉も王族の力も、この憑代も誰にも渡さんぞぉぉぉ!」

 

「アーたん!!」

 

さっきまで操られていたアーたんにキング・ミダスをいなすだけの力は残っていない。

僕はすんでのところで2人の間に割り込む。

 

「邪魔だ小僧ォォォ!」

 

「がふっ…」

 

「ハヤテ!」

 

最後の一撃とでも言うのだろうか…

キング・ミダスのそれは恐ろしい程に強力で、僕の意識はそこで途切れてしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから何があったのかは解らない。

だけど、僕は確かにここにいる。

腕を伸ばせば、身体に異常がないこともわかる。

 

なにからするべきだろう…?

 

現状の把握?

 

その後の顛末?

 

いや、それ以前に僕はしなければならないことがある。

そう、僕は……

綾崎ハヤテは『お嬢様の執事』なのだから…

 

「よっと」

 

頑丈さが取り柄の身体を伸ばすと、僕はベッドから降りる。

多少ふらつくが大したことではないだろう。

 

そう自分に言い聞かせると僕は病室から廊下へと出ていった。

すれ違う人々は老若男女と雑多だが、その中に見知った顔はいない。

 

まぁ、当然と言えば当然だろう。

数多の人が利用する病院で、しかもものの数分歩いた程度で知り合いと出会う方がおかしいと言うものだ…

 

そんなことを考えて歩いてる中、前方から一際目を引く少女がキョロキョロしながら歩いてくるのが視界にはいる。

小柄で華奢な体躯に、腰まで延びる長い髪。

おそらく、順調に成長すれば街ですれ違う人々が振り返る美少女になりそうだと勝手に考えてみたりする。

 

「……………………………」

 

その少女が無言で、だけれども確かな笑顔をこちらに向けてきた。

それも目があった僕に対して社交辞令として微笑むのではなく、好意をもった笑顔で…

 

なんだか恥ずかしくなった僕は照れ笑いしながらも、その少女の傍を通りすぎようとする。

 

グイッ

 

「えっ…」

 

状況が理解できない僕は驚きの声を出してしまう。

振り返れば、さっきの少女が僕の服の裾を掴んでいるのだ。

しかも、さっきとは違って不機嫌そうな顔で…

 

「えっと、なにかな…?」

 

「……………………………」

 

やはり少女は無言である。

…………………いや、無言ではない…

さっきは遠目で解らなかったが、確かに口を動かしている。

 

だが、病院とあって周りに聞こえるのはせいぜい足音程度だ。

いかにこの少女が小声であろうと掻き消されてしまうわけがない…

 

そんな僕の戸惑いを知ってか知らずか、少女は不機嫌そうな顔で口を動かし続けている。

これは非常にまずい状況である。

経緯はどうあれ、僕は見ず知らずの声を発せられぬ少女に不快な思いをさせているようなのだ。

 

そう途方に暮れている僕に助け船を出すかのように看護師さんが通りかかった。

 

「あっ、すみません」

 

「どうされましたか?」

 

「この喋れない子なんですけど、迷子かなにかみたいなんですよ」

 

「喋れない子…?」

 

僕の言葉に首を傾げる看護師さん。

そう言えば、看護師さんとその子は僕を挟んで対面しているため見えないのだろう。

 

「あっ、この子のことです」

 

僕は少しずれると、未だに僕の服の裾を掴んでいる少女を指さす。

と言うか、なんかさっきより不機嫌な顔になっているのは僕の勘違いだと思いたい…

 

「えっ?

だって、その子なら―――――――」

 

そう看護師さんが話し始めた時、急激に僕の意識が遠退いていった…

暗い闇に落とされるように意識が薄れていく……

 

大切な何かを見失ってしまいそうな程に深く、暗く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…」

 

意識が戻った時には、またあの病室のベッドに寝ていた。

ただ違うのは、そのベッドのすぐ傍にお嬢様のメイドであるマリアさんがいることだ。

 

「マリアさん…」

 

「目が覚めましたか、ハヤテ君」

 

いつも通りの優しい笑顔に僕はほっと安らぎを覚える。

 

「いきなりで悪いのですが、ハヤテ君に大事な話があるんです」

 

「やだなぁ…

そんなに改まってどうしちゃったんですか」

 

正直な話、この時の僕はどこかで怯えていたのかもしれない…

さっきの闇に沈んでいく感覚が未だに残っていたのだ……

いくら手を伸ばしても光に届かない、闇に呑み込まれていく感覚が………

 

「今から言うことは冗談でも嘘でもありません」

 

そこでマリアさんは一呼吸いれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハヤテ君を三千院家の……

いえ、ナギの執事からクビにします」

 

 




いきなりのクビを宣告されたハヤテ!
果たしてどうなる!?

A.冒頭に書いてあります
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