ハヤテのごとく!~Image me on the eyes once again~   作:唐笠

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ほーき雲さん、引き続き感想ありがとうございました♪


第3話 その手は届かなくて…

 

あなたには譲れないものがありますか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、あなたにとってなにですか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

必要なもの…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

失うと困るもの…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それとも、それ以上のなにかですか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、状況は大方のめた」

 

「では………」

 

「そうだな…

他ならない、あの小僧が絡んでいるんだ。だが、1ヶ月。

それ以内に解決しなければ、あの小僧の器もその程度……利用するに値しないとして本解雇を決定する」

 

「はい…

1ヶ月以内ですね……

(そう、1ヶ月の間、私がナギを守れば済むだけのこと。

ナギにとっては辛いかもしれないかもしれないけど、きっと代わりだっていつかは見付かるから……)」

 

 

 

 

 

ハヤテSIDE

 

お嬢様!

僕はあなたと約束したんです!

必ず、あなたの元へと帰ると!

 

だから、例え僕がクビだとしてもその場所に帰るまでは…!

 

「いたぞ綾崎だ!」

 

「邪魔するなぁぁぁ!!」

 

曲がり角から出てきたSPが僕の行く手を阻もうと立ちはだかる。

僕はそれを傍の塀に飛び乗り、更にもう一度高く飛び上ってやり過ごす。

 

病院を出てからSPと遭遇したのはこれで三回目…

そして、なぜだか僕の行く手を遮ろうとしてくる。

理由はわからない。だけど、僕が屋敷に行こうとしているのは知っているようだ。

 

「やっとだ…」

 

この曲がり角を曲がれば、三千院家のお屋敷…

お嬢様がいる所なんだ…

 

僕はそっと角から顔を覗かせ様子を確認する。

いつもにも増して門を警備するSPの数が多い。

 

なぜ、ここまでして僕を屋敷にいれたくないんだ?

クビを宣告されたから、報復に来たとでも思われているのだろうか…?

 

だけど、ここまで来て引き下がるわけにはいかない。

そう決心すると、僕は門に向かって直進する。

下手な小細工をしたところで、数で圧倒されることは目に見えてるから…

 

「綾崎!

貴様を屋敷に入れるわけにはいかん!」

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

一人、二人とSPの間を潜り抜けていく。

当然、僕を止めようと掴んだり道を塞ごうとはしてくるが、速さを殺さぬように姿勢を低くしながらフットワークを効かせ走ることによってそれをいなす。

 

門まで、あと10m

 

「綾崎を入れるなぁぁぁぁ!!」

 

あと5m

 

「こうなればあいつを呼べ!」

 

あと3m

 

お嬢様、今傍に向かいますから!

 

「呼ばれなくてもいますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執事ですから」

 

「っ!?」

 

門に手を掛けようとした正にその瞬間、その間に一人の影が入り込む。

僕と同じ黒い執事服に短く水色の髪、そして気持ち悪いほどに似た顔。

 

「お前は誰だ…」

 

「誰って三千院家の執事ですよ?

お嬢様の敵を全て排除するね」

 

バシッ!

 

その言葉が終わるかどうかと言うところで突如として繰り出される蹴り。

僕はそれを両手で防ぐが、痛みがだいぶ残る。

威力で言えばアーたんの執事であるマキナと同等かそれ以上…

 

はっきり言って強い…

しかし、それ以上――――――

 

「なんで僕と同じ姿をしてるんだ…」

 

「僕だって、できればこんな姿はイヤなんですよ。

だけど、そうでなければお嬢様が心を開いてくれない…」

 

「どういう意味だ…?」

 

「さぁね。

どっちにしろクビになった人は知る必要はないんだよ!」

 

ズシャァァァァン!

 

再度繰り出された蹴りを今度はかわす。

一度受けてわかったが、今の身体であの攻撃に何度も耐えられるものじゃない…

 

そして、もう1つ解ったことがある。

あいつが言った言葉…

たしかに『僕の姿じゃなければお嬢様は心を開いてくれない』と言った…

なら――――――――――――

 

「お嬢様の執事は僕なんだぁぁぁ!!」

 

僕は大きく跳躍すると、仕返しとばかりに顔面に向かって蹴りを放つ。

あいつはさっきの蹴りがコンクリートにのめり込んでいるため、こちらの攻撃を避けることはできないだろう。

もっとも、ヒナギクさんくらいの反射神経があるなら別だが…

 

「やれやれ、僕もなめられたものですね…

『Product Cord・桂 ヒナギク』」

 

パシッ!

 

だが、僕の蹴りはあっさりとあいつの右手に抑えられてしまった。

あの早さとあの状況に対応してくるのか…

 

しかし、さっきの言葉の最後…

風を切る音でなにを言っていたかよく聞こえなかったけど、無機質な声に思えたのは気のせいだろうか?

 

「考え事なんて余裕ですね!」

 

「なっ!?」

 

木刀を構えたあいつが、いつの間にか僕の懐に迫っていることに気付くが遅い。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

一瞬の刺突だった…

それは寸分違わず僕の鳩尾に命中し、その反動で飛ばされてしまう。

 

「ふっ…不様ですね」

 

倒れてる僕にあいつが近付いてくる。

その足音は高い音を放っていた…

 

「これでわかったでしょ?

あなたにはお嬢様を護ることなどできない」

 

たしかに僕はこいつの言う通り力不足なのだろう…

だけど、僕には果たさなきゃいけない約束がある……

 

「僕は……お…じょうさ………ま……の元へ……」

 

意識が今にも途切れそうだ…

辛うじて気力で意識を保っているだけで……

 

「哀れですね…

あなたの帰りを待ってる人など、ここにはいませんよ。

当然、お嬢様もね。もう、あなたのことなど忘れてしまいましたから…」

 

「えっ……」

 

嘘なのかもしれない…

だけど、嘘であるという確証はなかった……

 

飽きっぽいお嬢様のことだ…

僕のことだって忘れてしまうのに、そう時間はいらなかったのかもしれない……

 

そう考えがまとまると僕の意識は糸が切れたように途切れてしまった。

 

 

 

 

ナギSIDE

 

外が騒がしい…

マリアにも、あの気にくわないやつにも外にでるなとは言われたが、なぜだか胸騒ぎがした。

まるで大切な何かが遠くに……母のように遠くに行ってしまうような気がして…

 

バタンッ!

 

気付いた時には正門へ向かって走り出していた。

見ればSPが何やら慌ただしい…

 

イヤな予感が膨らんでいく…

取り返しがつかなくなる気がした……

 

そんな時、正門から見える範囲にハヤテが飛ばされていくのが見えた…

その姿は痛々しい程にボロボロだったのだ……

 

「えっ………」

 

それは今、私が最も見たくない光景だった…

 

「ハヤテ!」

 

私は無力だ…

 

「ハヤテ!」

 

私は与えられてばかりだ…

 

「ハヤテ!」

 

私はハヤテに何もしてあげれていない…

 

「ハヤテ!」

 

今の私では出られない門を必死に揺らして叫ぶこの声すら届かない…

 

「ハヤテ!」

 

あいつが冷たい笑みを浮かべてハヤテに近付いていく…

 

「ハヤテ!」

 

一度でいい…

この声がハヤテに届けば…

 

「ハヤテ!」

 

お願いだから目をさましてくれ…

誰でもいいからハヤテを助けてくれ……

 

「ハヤテ!」

 

無力な私に代わってハヤテを助けてくれ……

 

「そこまでよ」

 

そんな私の願いが届いたのか、聞き慣れた声が聞こえてきた。

涙に濡れた顔をあげれば、そこには見たことのない真剣を構えるヒナギクがあいつと対峙している。

 

「ヒナギクさん、退いていただけますか?」

 

「へぇ…

本当に気持ち悪いほど良くできているわね」

 

「お褒めの言葉として預かっておきます。

しかし、そこをひかないと言うなら強行突破させていただきますよ?」

 

「あら、木刀で真剣に勝てると思ってるのかしら?」

 

「たかだか一個体で僕に勝てるとでも?

しかし、ここで無駄な傷を負いたくもありませんからね。

それにソイツくらいいつでも殺れますから、今回は見逃しますよ」

 

「なら、その親切、ありがたくもらっていくわ」

 

それだけを言うとヒナギクは意識を失ったハヤテを背負って歩き出した。

あいつも本当に見逃すらしく、木刀をしまっている。

 

「ヒナギク待ってくれ!」

 

ダメだってわかってる…

それでも呼び止められずにはいられなかった……

 

「ナギ…

あなたの言いたいことは解っているつもりよ。

だけど、それが叶うことがないのもあなたが一番解っているいるでしょ?」

 

「なら……なら!

少しでいい…

ハヤテに触れさせてくれ…」

 

門の隙間からハヤテに触れようと手を伸ばす。

しかし、私の小さな腕はハヤテに届くまでには足りなすぎたのだ…

 

「ダメよ…

それが、どんな結果をもたらすかわからないんだから……」

 

その時見せたヒナギクの顔はすごく悲しそうだった…

そこには一筋の涙が流れている……

 

それは私のために流してくれてるのだろうか…?

わからないが、そこには苦しさがあることはたしかだ。

決して、利己的な理由で発言したわけでないと…

 

「ナギ…

ハヤテ君のことは心配しないでね…

私の家で世話はみるから……」

 

それだけを言うと、ヒナギクは歩いていってしまった…

 

「ハヤテ…」

 

「お嬢様、家に戻りますよ」

 

いつの間にか私の傍にきたあいつが私の肩に触れる。

 

「触るな!」

 

私はそれ振り払うと去っていくヒナギク……そして背負われているハヤテを見つめた。

せめて、あの曲がり角で見えなくなってしまうまでは……

 

「往生際が悪いですね」

 

しかし、それすら叶わず、私はあいつに引っ張られ門から離されてしまった。

 

「ハヤテーーー!」

 

意味はない…

それを知っている。

だけど、私は叫ばずにはいられなかった……

 

いつもなら応える声も、今は届くことすらないのだ……

 

それが私とハヤテの距離なのだから……




やっと一話の冒頭に繋げたかな…?
さて『あいつ』の正体ですが、勘の良い方なら判るかもしれない………のかな?←

では、次回もよろしくお願いいたします
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