ハヤテのごとく!~Image me on the eyes once again~   作:唐笠

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ヲタク大王さん、感想ありがとうございました。

今回は初のヒナギクSIDEから始まります


第7話 夢幻の道標

 

満たされない想い。

 

繋がることのない願い。

 

隔てる壁は誰よりも愛しい存在だった…

 

少年はまだ気付かない。

 

世界から、大切な何かが欠けてしまっていることに…

 

 

 

 

ヒナギクSIDE

 

それはハヤテ君が飛び出していった夜の出来事。

私が彼を止めることができず、それを成しうるだけの力を持たないと知った日の出来事だった…

 

そう、私は無力だったのだ…

いくら剣道が強かろうと、胡桃を片手で割ろうと、私が無力なのには変わりない。

それを証明したのは、私の大好きな彼だった…

 

泣いても意味はない。

だけど、彼が死んでしまうかもしれないと思うと涙が溢れてしまった。

そして、すがった。行かないでと…

だけど、彼が首を縦に振ることはなかった。会いに行ったのだ……

 

彼の大切な人に…

 

私はバカだ…

泣けば何かが変わると思ったのだろうか…?

 

私は愚かだ。

彼を引き取った時から気付いていたではないか…

 

私では一番にはなりえないと…

彼の『大切』という枠組みには入れても、彼女のそれとは違うと……

 

だから、私にできるのは彼の背中を押してあげることだけ。

そう考えていたのに、やはり耐えられなかった…

あの時の彼の瞳には目の前にいる私は映っていなかったのだから……

 

ガチャリ

 

そんな自嘲と自己叱咤を繰り返していると、玄関の戸が開く音がした。

もしかしたら、彼が帰ってきたのかもしれない。

どんな結果になったかは解らないが、もしかしたら私にも何かしてあげられるかもしれない。そう考え、玄関に向かっていく。

 

結果的には私の予想通り、彼がいた。しかし、そこにはもう一人…

グッタリとした彼の肩を持つ小柄な人物がいた。

 

「ハヤテ君、どうしちゃったの…?」

 

その言葉は彼を背負う人物に向けられたもの。

 

「気絶してるだけだ。

すまない、私が余計なことをしたばかりに…」

 

そう言う小柄な人物は悲しそうに目を伏せた。

私にはこの人物の痛みを真に理解してあげることはできない。

してあげたくてもできないのだ…

 

「あなたは何も悪くないわ…」

 

だから、私はこれだけしか声をかけてあげれない…

そして再度実感する。やはり、私は無力なのだと……

 

「じゃあ、後は頼んだよ…」

 

そう言うと、その人物は身を翻すように出ていこうとした。

まるで、未練など何もないといったふうに…

 

「………………………待ちなさいよ…」

 

なぜ止めたのだろう…?

止めて、私に何ができるというのだろうか…?

自分で自分が解らなかった…

 

「なんだ…?

日の出までに帰らないと、あいつが動き出してしまうのだが…」

 

「なんで…

ハヤテ君をここに連れてきたの……」

 

「そんなことはお前もよく解っているだろ?

もう………あそこは、ハヤテの帰る場所じゃないんだ…」

 

そう、それは私も知っていたこと…

こんなことを聞いても、何も意味を持たないのだ……

 

でも、彼はそこに帰ることを望んでいた。それは、この人物とて同じのはずだ。

なのに、この人物はまるで他人事のように語ったのだ…

それは彼を軽んじてる訳ではない。むしろ逆だ。彼を大切に想っている故の言葉…

そこには、決意と底知れぬ寂しさが潜んでいるのだろう。

私はそれすら拭いさってあげることもできない。変わらず、私は無力だった…

 

「話はそれだけか…?

なら、帰るからな。じゃあ」

 

「あっ……」

 

今度は止めることもできなかった…

ただ、誰もいない玄関の光景が広がるだけ……

 

話がなかった訳じゃない。

だけど、それも聞くまでもない問い。

答えは彼が好きだから。頭では理解していても抑えられないものがあるからである。

 

私は彼を背負うと、彼に貸している二階の部屋の布団へと運んでいく。

 

おそらく翌日、彼は白皇に行きたがるだろう…

 

なぜなら、彼は目的を果たして帰ってきたのだから……

 

 

 

 

 

ハヤテSIDE

 

「で、ワタル君、お嬢様について教えていただけますか?」

 

学校の屋上に着くやいなや、僕はワタル君に催促するように言う。

焦っても仕方ないと頭では解っているのに、僕は待つことができなかった。

少しでもいい。お嬢様のことを知れるなら何でも…

 

「とりあえず座れよ」

 

ワタル君はそう言い、辺りを見回しながら屋上の一角に座る。

もしかしてと思い、ワタル君と目線を合わせると、ワタル君はこくりとだけ頷いた。

それだけで察する。この話は他者に聞かれていいものではないと…

 

「弁当持ってきてないんだろ?

これ、くれてやるよ。ほらよっと」

 

「っと。ありがとうございます」

 

僕はワタル君が投げた、ラップに包まれた焼そばパンを受けとるとにっこりと微笑みかえす。

それは学生同士の何気ない日常と見ても何も差し支えのない光景。

 

だが、僕はワタル君の意図を読み取っていた。

ラップに包まれていると言うことは市販ではなく、ワタル君の手作り。

それは即ち………僕はラップを取ると共に自然な仕草でポケットに押し込んだ。

 

「まぁ、口に合うかはわかんねぇが、食べろって」

 

「いえいえ、ワタル君が作ってくれたんですから、美味しいに決まってるじゃないですか」

 

「…………………………お前、キモいな…」

 

「えっ…

いや、僕はそう言う意味で言った訳じゃありませんって!」

 

「寄るな変態!」

 

心外だ…

僕はどうやら虎鉄君(変態)と思われているようである……

 

「お前なんかと飯食ってられるかよ!」

 

「ちょっ、待ってくださいよワタル君!」

 

ワタル君は即座に片付けを始めると、僕のわきを走り抜けていこうとする。

僕はそれに慌てる"ふり"をする。

 

「(俺はお前とナギの味方だ。

だけど、他のやつは信じるなよ)」

 

「……………………………」

 

僕は走り抜けていくように見えるワタル君に何もしないでいるだけだ。

おそらく、僕がワタル君の意図に気付くまで彼の算段には入っていたのだろう。

 

そして、こんなに回りくどいことをしてまでも伝えられたのは2つ。

どうやら、状況は思った以上に深刻なようだ…

 

それでも僕は必ず辿り着いてみせる…

そう決意を固めると、ポケットの中にあるラップを握りしめた。

 





今回は少し短かったですね…
どうも、文字数調整が苦手です。

次回もよろしくお願いいたします
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