やはり俺がプロデューサーになるのはまちがっている。 作:小木終英
翌日、就活の為に大学の単位をほぼ全て取り終わっている俺は、特に学校に行くこともないので、約束通り今日から出勤することになった。
八幡「はぁ。働きたくねえなぁ」
小町「なに言ってるのお兄ちゃん!
お兄ちゃんを雇ってくれる会社なんてもう二度とないかもしれないんだよ!
これでサボって会社クビになったりしたら絶交だからね!」
こいつは妹の小町。世界一可愛いスイートマイエンジェルだ。
いや、これはさすがにキモいな。
八幡「いや、分かっちゃいるんだが、いざ働くとなるとどうしても憂鬱になっちまうんだよ。
しかも相手は若い女の子だろ?俺としては一番関わりたくない人種なんだが」
実際、担当アイドルに「なにアイツキモッ!」とか言われた日にはショック過ぎて会社やめるまである。
俺のメンタル豆腐過ぎるだろ...
小町「はぁ...そんなこと言ってるからいつまでも彼女が出来ないんだよ。チャンスはいっぱいあったのに」
八幡「いや、俺にチャンスなんてなかっただろ」
むしろ人生すべてがピンチまである。
ピンチの後にはチャンスがやってくるなんて真っ赤な嘘だからね?本当にやってくるのはさらなるピンチだけである。
いや待てよ?ピンチはチャンスなんて言葉もあるくらいだから、実際俺の人生はチャンスだらけなのかもしれない。
そうか、俺が神だったのか...
いやないか、ないな。
小町「またお兄ちゃんが変なこと考えてる。目が腐ってるよ?」
八幡「うっせぇ、目は元からだ。それに、俺には彼女なんて必要ない。なぜなら小町がいるからな」
小町「お兄ちゃんは相変わらずシスコンだなぁ。ま、そんなお兄ちゃんも好きだけどね!あ、今の小町的にポイント高い!」
八幡「小町...大学生にもなってそれはなかなか痛いと思うぞ」
小町「な...!お兄ちゃんに言われたくないから!さっさと仕事いきなさい!」
小町に追い出されるようにして家を出た俺は、電車に乗って事務所のある東京へと向かった。さらば愛しの千葉よ...
駅から歩くこと15分、地図で示された765プロ事務所までやってきたわけだが、
八幡「ここ本当に事務所かよ...」
目の前にあるのは、キラキラした芸能人のイメージとはかけ離れた古ぼけた2階建てのビルである。しかも一階は定食屋。
窓ガラスにガムテープで765と書いてあるからここであってるはずなんだが、
??「あのー、どうかしましたか?」
八幡「ウヒィっ」
しまった、急に後ろから声をかけられたせいで変な声が出てしまった。
声の方を見ると、全身緑の服を着たOLのような格好の女性がドン引きしながら立っていた。
やめて!俺をそんな目でみないで!
このままだと通報されかねないので、とりあえず事情を説明する。
八幡「えっと、俺、今日から765プロで働くことになった比企谷というものですけど、765プロの事務所ってここであってますか?」
音無「あぁ!あなたが新しく来るプロデューサーさんでしたか!私は事務員の音無小鳥です。今日からよろしくお願いしますね」
どうやら社長が事前に話を通しておいてくれたらしい。
八幡「こちらこそ、まだなんも分からない新人ですが、よろしくお願いします」
挨拶を終えて中に入った後、音無さんから今後の仕事についての説明を受けた。
音無さんによると、俺はもう一人いるプロデューサーと一緒に所属アイドル12人全員のプロデュースを受け持つことになるらしい。
アイドルについては昨日社長からもらった資料である程度は確認しているが、パッと見ただけでもかなりの曲者揃いみたいだ。
音無「アイドルたちが来るまではもう少しあるので、もう少しゆっくりしていただいて結構ですよ」
それならお言葉に甘えて一息つくか、と思っていると、不意にドアが開いた。
ガチャ
高木「やあ音無くん。比企谷くんももう来ていたか」
ってあんたかよ。アイドルが来たかと思ってちょっと緊張しちゃったじゃねぇかよ。
音無「あ、社長。おはようございます」
高木「うむ、おはよう。比企谷くんもおはよう」
八幡「どうも」
音無「社長、今日は早いんですね。何か大事な用でもあるんですか?」
高木「いやなに、アイドルたちにちょっとしたサプライズでもしようかと思ってね」
サプライズ?なんだか嫌な予感しかしないんだが...
高木「まあまあ、準備するから君はこっちに入っていたまえ」
八幡「はぁ」
なんだかよく分からんがとりあえず俺は社長室に押し込められた。
高木「準備が整ったら合図するから、それまでそこで待機していたまえ。
なーに心配することはない。君の自己紹介も兼ねてアイドルたちにちょっとしたドッキリをしかけるだけさ。」
なに考えてんだあの社長。
俺は普通に紹介してもらうだけでいいんだが。
基本的に面白い自己紹介をしようとすると必ずと言っていいほど失敗する。
ソースは中学生時代の俺。
クラス替えのとき、面白いやつだとアピールしようと思って自己紹介で一発芸をしたところ、だだすべりして、それから誰も話しかけてこなかった。
それどころかいつの間にか俺のギャグが学年中に広まり、廊下を通るたびに遠巻きにクスクス笑われるハメになった。
なんで遠巻きなんだよ!どうせなら話しかけてこいよ!
プロデューサーとしてここに勤める以上、アイドルになめられないよう威厳を保たなければならない。
やはりこれは阻止せねば!
八幡「あ、あの、俺やっぱり...」
高木「静かに!誰か来たぞ!」
俺の意志は無視ですか、そうですか。
はぁ、やっぱり辞めてえなぁ...
またまためっちゃ短くなっちゃいました。ま、まだ物語始まってねえし!(震え声)
次話からアイドルが登場します。