やはり俺がプロデューサーになるのはまちがっている。   作:小木終英

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第5話です。どうぞ。


やはり俺の初仕事はまちがっている。

翌日、重い足を引きずって事務所へと向かった。

出勤2日目でこれとか相当やばいな。やっぱり俺は社会に出ない方がいいと思います。

 

八幡「うーす」

 

律子「あ、おはようございますプロデューサー。準備が出来次第、営業に出発しますね」

 

朝一から仕事かよ...3年以上もの間不摂生な生活しかしてこなかった大学生にはきついな。

 

八幡「ああ分かった。それで、連れて行くアイドルってのは誰なんだ?」

 

律子「奥に美希が寝てるので、起こして車まで連れていってください。私ももうすぐこの書類が終わるので、片づけたら行きますね」

 

だからなんでそんなにアイドルの相手を任せるんだよ。これもうパワハラとして訴えてもいいよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奥の部屋に入ると、本当に星井美希が眠りこけていた。

こいつ無防備すぎるだろ。色々とヤバいところが見えそうなんだけど。まあ俺は紳士だから見てないけどな。

ほ、ホントだよ?ハチマンウソツカナイ

 

八幡「おい、星井。起きろ、仕事に行くぞ」

 

美希「うーん、うるさいなぁ。誰なの?そこの人」

 

会って2日目で存在を忘れられました。

じ、自己紹介のときに寝てたからだよね!俺の影が薄いわけじゃないよね!

 

八幡「俺はここの事務所の新しいプロデューサーだ。早く起きろ。仕事に行くぞ」

 

美希「ミキに命令しないでほしいな。それにミキ、ミキのことを星井なんて呼ぶ人とはお仕事したくないの」

 

なんだこいつ、可愛くねえ...

 

八幡「じゃあ、星井さん仕事に行きましょう。これでいいか?」

 

美希「ちがうの!ミキはミキなの!」

 

いや、女子の名前呼び捨てとか難易度高過ぎだろ。

 

八幡「いいから早く来い。俺が秋月からドヤされるだろうが。」

 

美希「や!」

 

強情な奴め...

 

八幡「星井!」

 

美希「や!」

 

八幡「星井さん!」

 

美希「や!」

 

八幡「ホッシー!」

 

美希「や!」

 

八幡「ミキミキ!」

 

美希「や!」

 

だめか...

このままやってても埒があかんな。

遅れたら本当に俺がドヤされる。

 

八幡「はぁ...分かったよ。行くぞ、『美希』」

 

美希「はいなの!プロデューサー!」

 

なんだその笑顔、可愛いじゃねぇか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにか美希を車に連れていき、あとは秋月が来るのを待つだけだ。

 

美希「ねぇプロデューサー、なんでプロデューサーの目ってそんなに腐ってるの?」

 

八幡「腐ってるとか言うなよ。普通に傷つくだろうが。あと目は生まれつきだ」

 

美希「ふーん。プロデューサーって目以外はかっこいいのに、なんだかもったいないの。あ、そうだ!ミキ、いいこと考えたの!」

 

いいこと?なんかこいつ碌なこと考えなさそうなんだが大丈夫か?

 

美希「はいプロデューサー。これ、かけてみて?」

 

そう言って美希はカバンから大きめの黒ぶちメガネを取り出した。

 

八幡「俺の目は腐ってはいるが視力はいいほうなんだが」

 

美希「違うの。これは伊達メガネだよ?これでプロデューサーの腐った目を隠せば、きっとイケメンさんになるって思うな」

 

八幡「お前、なんで変装道具なんて持ってんだよ。まだ必要ねえだろ」

 

美希「ミキはすぐにトップアイドルになるからカンケーないの。それに、伊達メガネはコーディネートとしても使えるんだよ?」

 

八幡「そうですか。でも今から営業に行くのに、イケメンになる必要ないだろ。」

 

美希「お仕事には見た目が大事なんでしょ?プロデューサーがそう言ってたって律子が言ってたの」

 

ぐっ、痛いところを突きやがって。

つーかこいつ俺のこと覚えてんじゃねぇか。

 

美希「じゃあ早速かけてみて?」

 

八幡「はぁ、分かったよ。でも似合ってなくても笑うなよ?」

 

美希「分かったの!」

 

美希に無理やり押しきられるかたちで眼鏡をかけてみた。

うん、我ながらいい男だな。

 

八幡「どうだ?」

 

美希「ミキの言った通りなの!プロデューサーはずっとこのままいればいいって思うな!」

 

思いのほか高評価だな。あれ?これ伊達メガネかけてれば入社試験通ったんじゃね?

まあ別にやりたいことがあったわけでもないし、どこでも一緒か。

 

八幡「それじゃとりあえず営業の間はかけとくか。俺の目のせいでお前らの仕事が決まらないんじゃ話にならんからな」

 

美希「それがいいの!」

 

それにしても秋月遅いな...

書類の処理に手間取ってるのか?

 

律子「すいませーん!遅くなりまし...誰ですか?」

 

八幡「ナチュラルに知らない人扱いすんな。お前は俺のクラスメイトかよ」

 

普通に校内を歩いてただけなのに、いつの間にか俺が不審者に祭り上げられてたからな?山本の野郎マジで許さん。

 

律子「えっ?もしかしてプロデューサーですか?」

 

八幡「本当に気づいてなかったのかよ...

なんなの?お前アンパンマンなの?」

 

実際バイキンマンのあの変装を見破れないとかアンパンマン純粋すぎるだろ。

 

律子「なに意味不明なこと言ってるんですか。それより、そのメガネどうしたんですか?」

 

八幡「ああ、これか?なんかこいつがこれで目を隠せって言ってきてな」

 

美希「こいつじゃないの!ミキなの!」

 

八幡「はいはい、美希な美希」

 

律子「随分仲良くなったんですね」

 

八幡「いや、別に仲良くはねぇよ。むしろ誰とも仲良くないまである。」

 

律子「またそんなこと言って...まぁいいです!早く営業に行きましょう!」

 

八幡「へいへい、頼りにしてるぜ『先輩』」

 

律子「なっ!/// 何ふざけてるんですか!早く行きますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

律子「ただいま帰りましたー!」

 

八幡「疲れた...」

 

律子「メガネはもう外したんですね」

 

八幡「こう見えても視力はいいからな。伊達でもかけてると目が結構疲れるんだよ」

 

まぁ今日は目より精神が疲れたけたどな。

 

春香「あ、プロデューサーさんお疲れ様で...大丈夫ですか?」

 

八幡「これが大丈夫なように見えるか?」

 

春香「あ、あはは...」

 

律子「やっぱりいきなり美希の営業はちょっとハードすぎましたかね...」

 

いや、ちょっとどころじゃねぇだろ。

ベリーハードすぎてアイテム2号が必要なレベル。

 

響「美希がまたなんかしたのか?」

 

八幡「あいつ、テレビ局のお偉いさんにヅラとか言いやがってな...あれ完全に怒ってただろ」

 

律子「こめかみピクピクしてましたもんね...」

 

音無「それは大変でしたね...美希ちゃんは?」

 

八幡「あいつは『ミキ、もう眠いの...』とか言ってたんで直帰させましたよ」

 

音無「プ、プロデューサーさん、それ

美希ちゃんの真似ですか?」

 

律子「微妙に似てるのがむしろ違和感バリバリですね」

 

バ-ン

 

美希「ただいまなのー!」

 

音無「あら?美希ちゃんおかえりなさい。今日は直帰じゃなかったの?」

 

美希「今日はごほうびに冷蔵庫にイチゴババロア入れてたんだけど、そのことをすっかり忘れてたの!」

 

八幡「美希、お前そのためにわざわざ来たのかよ...」

 

俺わざわざお前の家まで送って行ったんだけど?こいつマジで気まぐれすぎませんかね...

 

春香「美希イチゴババロア好きだもんね...って『美希』⁉︎」

 

真美「あ、兄ちゃんミキミキのこと呼び捨てにしてる〜!」

 

亜美「ひーきだ!ひーきだ!」

 

八幡「バ、バカちげーよ!あいつが名前で呼ばないと仕事しないっていうから仕方なくだな...」

 

真「じゃあボクたちも名前で呼んでくれるまで仕事しません!」

 

やよい「わたしも名前で呼んでほしいかも〜」

 

八幡「なっ!お前らなぁ!」

 

律子「いいじゃないですか。名前で呼んであげれば」

 

八幡「秋月まで...」

 

律子「秋月じゃなくて律子、ですよ?」

 

こいつら...

 

八幡「だが断る!

この比企谷八幡が最も好きなことのひとつは自分で強いと思ってるやつに『NO』と断ってやることだ!」

 

ふぅ、ついついフルで言っちゃったぜ...

ここぞというときこそ空気を読まないのが俺だからな!

 

やよい「だめ...ですか...?」ウルウル

 

八幡「ぅぐ...わかった!わかったから俺をそんな目でみるな『やよい』!」

 

やよい「わぁー!なんだかうれしいですー!」

 

響「ズルいぞー!自分も自分も!」

 

真「プロデューサー!ボクもお願いします!」

 

八幡「お前らも呼び方変えるからまた今度でいいだろ...俺はもう帰る」

 

真「あ、ちょっとプロデューサー⁉︎」

 

ぼっちはやることが終われば迅速に帰るのが鉄則だ。早く帰って録画してたシンデレラガールズでも見よう。

 

音無「プ、プロデューサーさん!」

 

八幡「あ、音無さんお疲れ様です。」

 

ガチャ

 

音無「ピヨ...」

 

 

 




たいへん遅くなりましたm(_ _)mドゲザ
勉強とかで色々忙しくて...
これからも亀更新だと思いますが見てくださるとうれしいです。
今回は八幡に名前の呼び方を変えさせたかったのでこの話を書きました。
最初から呼び捨てでもよかったんですが、八幡のキャラ的にいきなり女子をファーストネームで呼び捨ては違うかなと思いまして。
あとは作者は美希pなので美希との絡みが書きたかったんです!
ちなみにアイドルたちは恋愛感情があったわけではなく、ただなついているだけです。まだ。
次回からついに本編です。いつになるかわかりませんがよろしくお願いします。

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