三度目の正直、今度はしっかりやります。
俺には記憶がない。
気が付いたら幻想郷に住んでおり、当たり前の様に暮らしていた。
記憶がなくとも、不便な事は無かった。今までの記憶を取り戻す必要を感じなかった。
少なくとも、あの異変が起きるまでは。
目が覚めると、暖かな光が俺の視界に入った。布団から起き上がって伸びをすると、服を着替える。
顔を洗い、鏡を見る。金髪、黒いライダースジャケットに、紺のジーパン。これじゃ不良だ、少なくとも15歳の格好じゃ無い……と思いながら、外に出る。
人里離れたこの森の中に家を建てた普通の人間は俺ぐらいの物だろう。空気は澄んでいるが、周りには何もない。
家の隣の大きなガレージに入ると、台の上に一台のバイクが止まっていた。
俺の愛車、ハードボイルダーである。
お得意様の河童に直してもらったこのバイクは、俺がここに来た時からあった。この世界に来る前にも俺の愛車だったのか。
バイクに跨り、ヘルメットを被る。ガレージから発進すると、人里に向かった。
俺の仕事は飛脚である。届けものをするのが仕事だ。
人里にある飛脚屋「鳴海」に入ると、すでに荷物が溜まっていた。
「遅いわよ!」
「そうカリカリすんな、焼けるぞ」
「ポテトか!」
窓口担当の鳴海秋香(なるみあきか)にキレられる。予定より早くついたのになぁ。
「早く行く!」
「そうカリカリすんな、縮むぞ」
「ぶっ殺すぞ神城ォォォ!」
はいはい、とハードボイルダーに乗る。
配達タイムだ、有難く思え。
「ゆー便でーす」
妖怪の山にいる河童当ての荷物を配達してるなう。妖怪の山にはよく出入りするし、天魔様とも知り合いなので、そこいらの天狗には顔パスである。
やあ、と声がしたので、見ると河童……河城にとりが立っていた。
「盟友、届け物かい?」
そうだ。ほらよ、魔理沙からお手紙だ。
「魔理沙から?……はぁ修理依頼か」
あいつまた研究に没頭してんのか。
「そうじゃなきゃ乗りこんで来るからね」
苦い顔をするにとり。あ、これは前科あるな。
あまり駄弁るといけないので、適当に切り上げ、ハードボイルダーで次の場所へ。
バイクはいいものだ。風を感じられる。昔からこうなのかもしれない。風の心地良さを感じながら、辿り着いたのは紅魔館。
この配色はいつ見ても眼に悪い。真っ赤とかレミリア嬢はどういう考えなんだ。
「すー……すー……」
門番である筈の美鈴が、寝息をたてていた。俺はそれを気にせず、門を通ろうとする。
瞬間、美鈴の眉がピクッと動いた。
「おや、飛脚ですか」
「ああ、地底から招待状だ。レミリア嬢によろしく」
「確かに受け取りました。ありがとうございます!」
美鈴は眠っていても気で人の接近を感知しているらしく、俺が近付くと起きてくれる。けっしてシエスタでは無い。
その後、いくつか場所を周り、お昼休憩の前に午前中の荷物がなくなった。届け終わった。
人里へ帰ろうとすると、大きな銃声が聞こえた。
人里では、テロリストと思われる四人の男が人里の四方を囲んでいた。
次回は書き溜めてから書きます。感想よろしくお願いします。