今回は、過去最長(区切りのより所まで行きたかったから)プラス過去最高クラスに駄文な感じがします
なんていうか、上手く文で表現できた気がしない
それでも楽しんでもらえたら嬉しいです
数日前。某アジト。そのある一室に乾いた死人のような老人と流浪人といった風貌の男の二人が向かい合って座っている。
「どうか、お願いしたします」
流浪人の方が深く頭を下げる。しかし老人の方は、外見に似合わないほど若々しい声で「どうするか?」と楽しそうに考えている。
全く考えを読ませない老人に男の焦りは大きくなる。これから行う自分の計画にこの老人が介入すれば、一体何が起きるのか全く予想できない。下手をすれば、自分の目的が達せられない可能性もある。だからこそ、老人には静観してほしいのだ。
「ふむ………そうじゃな、ではこちらの条件を一つ飲んでくれるなら、今回わしは傍観に徹しようではないか」
老人の言葉に男の表情が全てがこわばる。条件。ただその一言葉。されど老人の出す条件は、陰陽の中で暗部たる何かだと想像は難しくない。今、自分が頭を下げているは、そういう化け物なのだから。
その男の考えを察してか、老人はおかしそうに笑う。
「そう強張るではない。なに一人、そのテロに
その言葉を一瞬、男は理解できなかった。それほどまでに老人の条件は軽かった。そして
思考の穴は主導権を老人に握られたと同じだった。
「その者の名は衛宮という者じゃ。今、一人陰陽塾に入塾しておる。そやつを巻き込むと約束できるのであれば、わしは今回傍観に徹しようではないか。お主らにとって、何ら困ることでもあるまい」
その言葉に嘘はない。事実、その名は忌むべきものであり巻き込むことに何ら不満もない。しかし僅かな部分が、それを躊躇させるが…
「ここにある札を使い、霊脈を細工するだけでよい。無論、お主らの計画が崩れることない物じゃ。ただ使うだけで構わん。さすれば、衛宮は
そう言って差し出される一枚の札。差し出された札をしばし見つめ、男は懐に直す。その行動を見て老人は深い笑みを浮かべた。
奇しくもその時、塾長の星読みがなされ衛宮の星に陰りが生まれた。
大地を沸騰した様に湧き上がる陰の気を纏う霊気。
「チィ、霊脈そのものかっ!?」
「むっ」
流石の鏡と言峰の目の前の事態に動きが止まる。霊脈に干渉するなど並の術師ではない。二人は急ぎ当事者を探すが、当然隙を見せるようなへまをするような敵ではない。
そして敵を探さんとするために、二人の意識はそれだけに向けられた。それは彼ら二人にとっては脅威ではないが、紛れもない災害にとっては一隅のチャンス。
鵺がひときは大きな声を上げる。するとまるで、その声に呼び寄せられるように、吹き出た霊気が鵺に集まっていく。鵺の巨体が一回りも二回りも巨大になっている。噴出した霊気を文字通り喰らい力としているのだ。
「チィ」
「ふむ」
その変化に二人は即座に行動を起こす。鏡は複雑な手印を結び、言峰は札からオリジナルの刃を生成する。
ほぼ同時に二人が攻撃を仕掛けようとした瞬間、二人は迫る敵意に気が付く。
「鏡よ」
隠形されたうえで投擲された札が二人に迫るが、その二枚の札を言峰が弾く。その隙に鏡が鵺を縛ろうと術を発動させるが…
「なにっ!?」
鏡が放った術は、鵺にあたる直前火花を散らし
「ふむ。呪的防壁ではないな。これは……………なるほど」
一目見て全てを察した言峰は、懐から今までとは全く
「ふっ!」
言峰はそれを抉りこむように鵺に向かって投擲する。それと同時に…
「満たし、放て
四季もまた青い宝石を投げ込む。青い爆発が起きる同時に投げ込まれた刃が鵺を貫く。その一撃の苦痛に鵺は悲鳴を上げる。
しかし四季はそれ以上に今、投擲された武器を見た衝撃に動きが止まる。
「あんた…どこで
「ふむ…まさかこのような場にて出会うとはな。私の名は言峰綺礼。お前の父、衛宮士郎とは
その衝撃に再び四季の動きが思考が止まる。
「その様子から察するに、あの男はお前に何も語らなかったと見えるな」
少し楽しそうに四季の様子を見ながら言峰はつぶやく。お互いの意識がお互いに向いている。その隙を狙ってか、鵺はその場を去ろうと空を蹴る。
「チィィ」
襲撃者の警戒と自身の術が効かなかったことにより鏡に打てる手がない。半歩遅れ、言峰も気が付くが、同じく襲撃者からの攻撃を示唆され、打つ手がない。
そして脅威が去った瞬間、
「っっがぁぁぁぁああああああああっ!!」
新たな霊災が発生する。言峰はその霊気を四季はその声に反応し、同じ方向を見る。そこには、頭を抱え苦痛に暴れている。
その霊子を見た鏡と言峰は、先の現状と考え見て、全てを察する。
「あの少年…『鬼』が憑いているな。生成りか」
言峰のそのつぶやきと鏡の笑いが大きくその場に響く。
一つ一つの事態を正確に処理するよりも早く刻々と変化する状況に、四季と凛の頭の思考が完全に止まる。唯一動けるのは、事情をある程度知っていた春虎だけだ。その隙に鏡は冬児に近づく。その正体をかつての二年前に起きた大霊災『上巳の祓』にて生まれた鬼だと推測する。
「ヒャハハ、立派な生成りじゃねぇか。『堕ちる』まで、あと一歩で処か」
冬児の額にはラグを起こしながら存在を主張する双角。さらには犬歯が鋭く牙の様になっている。
その光景に思わずといった空気が漂う。その中で、四季は動けずにいた。いや、もっと正確に言うならば、何かが自身を狙ってる。そんな感覚が四季の動きを完全に停止させていた。僅かに動く視線で、辺りを見渡すが全く正体がわからない。しかし、ふと視界の端に…
――――
それはそれは愉しそうにに弧を描く言峰の姿が映る。
――――ふむ、どうするべきか
混沌とする状況の中で、言峰の思考は恐ろしいほど冷静に動いている。ただ、鏡を止めようとしない時点で、彼の思考は現状とは少し違うものを捉えている。
――――鏡に手を貸し、鬼を降ろせば…より事態が混乱し、私好みの状況になるか。それとも
気づかれないギリギリで金縛りにかけ、困惑する四季を視界に収めながら、言峰は深く笑みを浮かべる。
――――こいつ…
誰もが冬児と春虎そして鏡に視線が向く中で、凛は言峰だけを見ていた。それゆえに僅かに言峰が現場を見ていないことに気が付く。
伝えたい。だが、ナニカが彼女からその行動を奪う。いや、その正体は分かっている。
――――怯えてんじゃ、ないわよッ!!
無意識な怯え。それが少女の動きを止めてる。そんな中で事態は、春虎が鏡に僅かに食って掛かる。それを切っ掛けに場の雰囲気が変わる。そして同じく…
――――やはり此処は止めるべきだな。整っていない、この場で弾けさせるには、余りにも愉悦が大きい
言峰も鏡を止めるべく動かんとしようとするが
「カガミ、何をしてるカ!!」
甲高い子供のような声が響いた。その声が聞こえた瞬間、鏡は煩わしそうに舌打ちを零し、言峰も笑みを消す。
誰もが目線を声のする方に向ける。そこには、祓魔官の制服を纏った子供の姿にカラスの羽やくちばしをつけたような烏天狗。しかも一匹だけではなく、続々とその場に現れる。
彼らは、現れると空にいる北斗の存在に驚き、次に鏡を責め立てる。その声にどこか場の緊張感がなくなっていく。
「ふむ。鏡だけを責めるのはやめたまえ」
「あっ!コトミネ。カァ、何があった。コトミネがいながら、鵺逃がすなんて、珍しい」
カアカアと場が先ほどとは違う形で混乱していく中で、言峰の言葉に烏天狗たちの視線と言葉が集まる。
視線が集まった言峰が口を開こうとした瞬間、
「鏡!言峰さん!!鵺はどうなった?祓われた気配はしなかったが」
大型バイクと共に颯爽と現れたのは、『十二神将』の中でも最も有名な存在で祓魔局のエース
彼は烏天狗たちの話を聞くと、即座に辺りを視る。
「言峰さん!一体何があったんですか?貴方と鏡がいながら逃がすなんて…それにそこに倒れている少年は」
話を振られた言峰は「不甲斐ない話だが」と前置きを置いて、事の詳細を話始める。それは
「というわけだ。今回の件に双角会が関わっている可能性は非常に高い」
「なるほど。それにしても陰陽塾か…そういいや、陣の奴が言ってたな」
全ての話を聞き終えた小暮は、倒れている冬児に視線を向ける。それはプロとしての目線。ゆえに緊張がその場に走るが…
「よしっ!鏡と言峰さん。今から俺と一緒に鵺を追ってくれ」
「はっ?マジっすか…さっきの話聞いてたでしょ。テロの可能性があるんですよね。なら敵はもうすでに隠形してるはずだし、あの鵺だって手が加わってる」
あえて小暮はそれを黙認する。そしてその発言に鏡が食いつくが、小暮は動じず「それを今から確かめに行く」と譲らない。このままこの場を去る流れ。それに漸くといった感じで思考が戻った四季が声を掛けようとするが、それよりも早く言峰が告げる。
「追うのは構わないが小暮よ、あの鵺には
「なんだってッ!?」
言峰の発言に小暮は一瞬その言葉の意味を理解できず、鏡もその表情に驚きが見て取れる。それほどまでにその言葉の衝撃は大きい。
「私自身に手段がないこともないが、ハッキリ言って祓うまでのレベルではない」
言峰の言葉に小暮は先ほどの言葉を撤回すべきかと迷う。自分たちもこの業界にいるからこそ、その名を知っている。しかし知っているだけで全く知識がない。その状態で追っても言峰の言う通り何もできないだろう。ゆえに一度戻り上に指示を仰ぐべきなのだろう。しかし自分たちが動かなければ、被害者が大勢生まれる。それは何としても避けねばならない。その2つの中で小暮は揺れる。その揺れに気がついてか、それとも無意識か言峰は笑みを浮かべながら言葉をつづける。
「しかし私に
「ッ!!わかりました。すみませんが、頼みます!行くぞ、鏡」
言峰の言葉を信じたのか小暮はバイクにまたがりその場を後にする。そして鏡も僅かに言峰に視線を向けたのち舌打ちをこぼしながら、最上位の難易度を誇る『
一人残った言峰は、老講師に向かい合う。
「すまないが、聞いての通り緊急事態でな。恐らくだが、もうしばらくすれば目黒区の部隊が到着するだろう。後始末は、彼らに任せてもらえばいい。それと今回の件に対する抗議は、すまないが後ほど祓魔局に申請してくれたまえ」
手短にそう告げると言峰は倒れている冬児の方に進み、頭に手を乗せる。その行為に老講師が春虎が慌てて止めようとするが
「ふむ。いい腕だ」
冬児の顔色が僅かに戻っているのを見て動きを止める。
「軽くだが応急処置を施した。暫くは持つはずだが、早急に安定させるべきだ」
「あんた…」
「なに、一応陰陽医としての資格もあるのでな。だが、急ぎたまえよ」
僅かに安定した呼吸。冬児を抱え込みながら春虎は何度目かわからない衝撃に襲われる。そして言峰は今度こそその場を『卯歩』にて去る。
台風が通り去った様に鎮まる中で、言峰が言った通り祓魔局の部隊が到着したのは5分後の事だった。
しかしこれはあくまで台風の目。次に来る風は今までの比ではない。
衝撃の事件から脱した四季たちは陰陽塾にいた。誰もが霊的なダメージを受けており、講師たちが全力で治療にあたっていた。それは四季も例外ではなく、今は治療が終わったが、その不可は思ったよりも大きいのかソファーから立てない。
その中で、夏目、天馬、京子、凛、春虎を交え冬児の話を聞いていた。その話に天馬も京子も凛も四季も少なからず動揺がある。
「みんな、悪かったな。今まで黙ってて」
現在、冬児はほかの塾生とは違う場所で結界を施されたうえで陰陽医の資格を持つ講師たちが、彼に駆けられた封印を安定させている。講師たち曰く応急処置が的確だったため、最悪からは少し遠のいているとのことだ。それでも油断はできない状態だ。
「別に構わないわよ。おいそれと、言えるような秘密じゃなかったわけだし。こういうことを言うのはたぶん間違えだと思うけど、春虎君と阿刀君が言いたくない気持ちも分からなくはないもの」
「遠坂さんの言う通りよ」
重い空気の中凛と京子が言葉を返すが、その重さはなくならない。そんな空気の中で春虎が重い口を開き、言い訳の様に話始める。
「俺、どこかでこのままでいいやって思ってて…また壊れるのが嫌で…」
ふと零された言葉にピクリと夏目が反応する。そして別の意味で凛と四季も眉を上げる。しかしその変化に春虎は気付かずに自嘲気味に話をつづけ…
「黙ってて、ごめん」
その場にいる夏目達に頭を下げる。そこにどんな葛藤があったかは分からない。それでも言わないといけない。そう思った四季だが、言うのをやめる。自分よりも言いたいことがあるであろう少年にその場を譲る。
「春虎。二度と、そんな
頭を下げる春虎に、居合の様に鋭く夏目が告げる。その言葉にわかっていたはずの四季や凛すらも息をのむ。その言葉は、乙種の霊威を纏っている。
「ごめんか…ならこれで――――
四季たちからは見えない角度で呟かれた一言。一瞬、春虎の頬が朱色に染まる。そして夏目は四季たちの方へと振り向く。
「全く、春虎も冬児も僕たちの事を馬鹿にしすぎです。冬児が生成りだった……それだけの事で、僕らが態度を変えると心配していた。冗談じゃない、生成りだろうが何だろうが、冬児は冬児です」
不敵に告げた夏目は四季たちに「そうでしょう?」と確信にも似た言葉を送る。
「ええ、その通りね。全くまさか私たちがその程度の事で怯えるなんて思われていたなんて心外よ」
「確かにな。ただ霊障を負っただけの存在にビビってたら、やっていけないな。むしろ凛や夏目と同感だ。そんな事で怯えると思われていたことの方が、ショックだし頭にくる」
「……その通りね。天馬、あなたもそうでしょう?」
「へ?う、うん!そうだよ、水臭いよ春虎君!!」
凛の言葉を皮切りに、誰もが夏目の言葉に同意する。
「誰だって言いたくない事はある。それに、厄介事って意味だと、
「そうだよ。僕だってみんなに迷惑かけてるんだし。春虎だって言ったじゃないか、
「夏目…みんな――――」
夏目の言葉に春虎は涙を浮かべる。僅かにあったしこりが消えていくような感じ。一度涙をぬぐい、笑顔を浮かべ
「………ありがとう」
ただ感謝を述べる。春虎の感謝に四季は恥ずかしそうに頬を掻き、凛は全くとため息をこぼすが、僅かに四季に視線を向けて笑みを浮かべ、天馬も恥ずかしそうに鼻を掻き、京子は肩をすくめる。
そして夏目は、ヒマワリの様に温かな笑顔を春虎に向ける。
空気が変わり、温かなものが場を満たす。
一息の安息は終わりを迎え、二陣目の風がゆっくりと吹き始める。
如何でしたでしょうか?
次はもっと早めに更新できるように頑張ります!!それにもう少し納得できる様にしていきたいと思います
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