東京レイヴンズ~英霊を従えし陰陽師~   作:スペル

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お待たせしました!!
いささか、上手く文にできたか不安ですがどうにか完成しました!!

楽しんでもらえたら、嬉しいです!!


第十四夜 表へ

大友は陰陽塾の人通りの少ない場所で天海に連絡を取っている。その表情はいつもの様な枯れたものではなく、苛立ちを隠せていない。

 

「……なんで、鏡のアホがうちの生徒たちと衝突しとるんですか。ダダでさえ、動的霊災に巻き込まれとるのに」

 

『それは不運だったとしかいえねえよ。第一、誰が予測できるんだってんだよ。出来るとしたら、それこそ美代ちゃんぐらいだぜ』

 

「そこやのうて、鏡の方ですよ」

 

『鏡は独立祓魔官だぞ?修祓の最中に鉢合わせるって事はなきにしもあらずだろうが』

 

「あんな事仕出かしてですか…?」

 

『鏡の奴が何をしたかは詳しく知らねえが、現場は小暮と言峰の奴が上手くさばいたって聞いたぞ。言っとくが、被害はお前のところだけじゃねえぞ』

 

ほんの僅かに強められた口調に大友は唸る。先ほどまで「自分がいない間に起きた事件で負った霊障の治療」を行っていた。もちろん、天海の言う通り、現状東京で同時に起きた霊災は即刻ニュースで流れている。幸い負傷者は出てはいないが、多くの霊障を負った患者が、都内の陰陽医のいる病院に運ばれている。

 

『しかもまだ、霊災は終わっちゃいねえ。もう聞いていると思うが、鬼門と裏鬼門に二体づつ。既に二体は修祓したが、もう二体は依然として潜伏中。おまけに奴ら隠形まで使いやがるから、発見が極めて困難。しかも飛行型ときた。通常の方法じゃまずどうにもならん』

 

「ヘリでもなんでも使ったらいいでしょう」

 

『無茶いうんじゃねぇよ。鵺の機動力には及ばねえし、第一各関係各所許可を取らなきゃいけねぇ』

 

「それこそ部長がやったらいいでしょ!!無駄に顔広いんですから」

 

『うんだと、テメェ!!今クソ忙しい時に電話かけてきやがって!!こっちだって暇じゃねぇし、事はそれどころじゃねぇんだよ!!』

 

「?どういうことです」

 

重苦しく呟かれた言葉に大友は反応する。問われた天海は「極秘情報だぞ」と念を押してから告げる。

 

『今回の霊災には、魔術が使われている事が分かった』

 

「なんですって!!」

 

その事の重大さに大友は、冷静さを乱し声を荒げる。

 

『声がでけぇよ、バカ!!言峰の奴がそう判断したんだよ』

 

「言峰さんが?でもそれだけで決めつけるのは…」

 

『実際に鏡の奴の呪術が弾かれたらしい。少なくともそんな事が出来る術を俺は陰陽では知らねぇな』

 

「そうですか」

 

天海の言葉に大友は何も言えなくなる。それでも自分がいればと思ってしまう。そんな大友の心情を察してか、天海がその時だけは神妙に詫びを入れる。

 

「呼び出しに応じたのはあくまで僕の判断ですので…」

 

『そうか、ならいいや』

 

「おいコラ、待て、このジジイ。昔の義理引っ張り出して人をただ働きさせといて、その態度はどういう事や!!」

 

『ただ働き?おかしいな、美代ちゃんには、うちの講師貸すからにはって、しっかりギャラの請求されたんだが……』

 

「あの…ごうよくババア!?マジか、なんで僕の周りにはこんなんしかおらんねん!!」

 

衝撃の事実に大友は喚かずにはいられない。その声に天海は「美代ちゃんらしい」と笑っているのが、余計にむかつく。

 

『とにかくだ、現状で双角会のメンツは、うちが何人かしょっ引いているが、リーダー格は未だに尻尾を掴ませてねぇ。呪捜部もまだ気が抜けねぇ。ギャラが欲しいなら直接くれてやるから、こっちきて手伝え』

 

「はあ?今、塾が大変なんですよ!そないな状況で手が空く訳ないでしょ…ってか、リーダー格って前に比良多君の言ってた、六人部ですか?」

 

『そう考えてる。鏡や言峰の話じゃ、直接霊脈をいじって妨害してきたってのがクサい。実際あいつの上司の大連時も使っていた手だ。だが…』

 

「それだと、魔術が説明つかない」

 

『ああ、そもそも双角会の奴らは、普通の陰陽師以上に魔術に対して否定的だからな』

 

天海の言葉に大友もまた思考する。それ自体は自分も知っている。だからこそ、天海の言葉に自分の同意せざる得ない。

 

『そうい訳だから、俺は忙しい。愚痴なら他でしな。……………ああだが、ちょうどいいから、お前さんに教えておく情報がある。ついさっき、言峰の申請も通り、祓魔局は作戦を決定した』

 

「なんです、作戦って。そもそも、その作戦に陰陽塾が関わるんですか?」

 

口でそう言いながらも、大友は嫌な予感がした。魔術とは陰陽にとってはパンドラの箱だ。ゆえに名は知れども、全く詳細を知らない。だからこそ、知っている存在は限られる。そしてその数少ない一人を大友は知っている。

 

『まず前提として、祓魔局は動的霊災鵺をおびき寄せるために、二年前と同じく餌を用意する事となった』

 

「餌?」

 

『ああ、竜だ』

 

「り、竜ってまさか」

 

此処まで来て大友は前提を理解する。本物の竜を使役する陰陽師など、都合よく東京に何人もいるわけはない。

 

『土御門の竜を利用するために祓魔局は、その主である土御門家次期当主土御門夏目に協力を要請するそうだ。一応、父親は、既に許可を出している』

 

この時点で大友は最悪だと思っていた。しかしそんな大友を畳みかける様に天海は淡々と告げる。

 

『そこまでが祓魔局の作戦だ』

 

「なんですって…」

 

『更に施された魔術に対応するため、言峰は正式に陰陽塾に申請したそうだ。衛宮家の次期当主衛宮四季に修祓の協力依頼をな。そして二人の両親は、息子の安全を100%保つことを条件にその件を承諾した』

 

「……わかってて(・・・・・)、その作戦を承認したんですか」

 

『仕方ねぇだろ。現状で打てる手はそれしかねぇ。そしてそれもわかってるさ。こちらも持てる手を使って、護るつもりだ。なんて言ったって、まだ未成年の子供を修祓の前線に出す(・・・・・)んだからな』

 

「最善を尽くしてくださいよ」

 

『いわれるまでもねぇ。最良を尽くすさ』

 

大友は元上司の言葉を祈りながらも一抹の不安を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大友が天海より事の詳細を知ったと同時、塾長室に呼ばれた四季たちもまた、美代よりその作戦を聞かされていた。

 

「そんな!!夏目君も四季もまだ学生なのよっ!?どうして祓魔局の作戦に駆り出されないといけないよの!!」

 

「これは強制ではありません。夏目さんや四季さんが拒否するなら、私はその旨を伝えます」

 

伝えられた話に、京子と天馬は唖然とし、凛はどこか苦虫をつぶしたような表情を一瞬見せる。

当の本人である夏目も顔を青くし、唇を噛んでいる。そして四季はどこか精神を落ち着かせる様に目を瞑っている。

 

「あんな事件の後なんですよ!!あんまりだと思います!!祓魔局は陰陽塾の現状を把握できていないんですか!!」

 

その理不尽な命令に普段温厚な天馬ですら言葉を荒げる。しかし美代は、何も言わずに二人の決断を待っている。そしてそれは意外にも春虎と凛も同じ。

 

「受けます」

 

しばしの瞑想のち、小さいながらも四季はしっかりと覚悟を感じさせる言葉でそう呟く。その言葉に京子と天馬は唖然とした表情を見せる。

 

「現状で自分しか対処できないなら、全力で臨みます。少なくともそれが、持ってしまった者の役目だと思っているので」

 

「…僕も祓魔局に出頭します」

 

四季の言葉に続く様に夏目もまた覚悟を滲ませながら同意する。二人の意思を変えようと京子が代案を出すが、二人の意思は全く揺るがない。

そんな京子をたしなめるためか、それとも二人に知らせておくべきかと考えてか、美代は淡々と、

 

「おそらく祓魔局は初めから夏目さんに竜を使わせるつもりです。本家への連絡も未成年だからこその形式を踏んでいるだけ」

 

「どういうことですか?」

 

「知っておくべきでしょうね。今回の事件には、双角会が関わっています。だからこそ(・・・・・)、夏目さんなんです」

 

「そんな!!つまりは人質って事じゃない!!」

 

その言葉だけで察した京子は言葉を荒げる。それは余りにも危険すぎる。その脳裏に半年前の事件が思い出される。

 

「勿論、祓魔局もそれがわかっているからこそ、夏目さんのみは何が何でも護るでしょう。そういう意味では祓魔局にいた方が安全なんです」

 

「質問ですが、四季(・・)もそれには適応されますか?」

 

今まで無言だった凛が鋭い目つきで塾長に問う。その意味を理解しているからだろうか、一瞬美代は視線を下げる。

 

「ハッキリ言って、夏目君よりも四季の方が危険度が大きいです。しかも家柄の事もあります。その状況全てを確認したうえで聞きます、大丈夫ですか?」

 

凛の言葉に春虎たちも理解し、全員の視線が美代に集まる。集まる視線の中で美代は重く口を開く。

 

「祓魔局は最善を尽くしすとだけ言っています」

 

「つまり、事によってはないがしろにすると」

 

「お婆様それはッ!!」

 

「そんな!!」

 

美代の言葉に凛の目つきは更に鋭くなり、京子も天馬も声を荒げる。夏目や春虎も四季にみて心配そうにしている。

そんな中でも四季は――――

 

「構いません」

 

決意を告げる。誰もが驚く中で、美代と四季の視線が交差する。そしてそれを見た凛は、あきらめたようにため息を吐く。

 

「それなら私も同行します」

 

()!!」

 

「私がいれば、少しは役に立つでしょう?塾長、構いませんか?」

 

「ええ、そう祓魔局に伝えておきます」

 

凛の言葉に美代は笑みを浮かべ承諾を告げる。そして美代は今度は夏目と視線を合わせ、こちらもまた承諾する。

そして夏目の意思に答える様に春虎もまた同行する事を告げる。しかし事態はうまく運ばない。突然なった電話。そして告げられたのは、冬児の意識が戻った事とその冬児が姿を消したこと。安静になったとはいえ油断は許さない状況。

その言葉に最も付き合いが長い春虎の焦りが大きくなる。夏目の事は心配だが、同じくらいに冬児の事も心配だ。

そんな春虎の迷いを察したのか、京子が元気よく言葉を発する。

 

「春虎、天馬!!あんたたちは、急いで冬児を探して。夏目君と四季には私と遠坂さんがつくわ」

 

その申し出に誰もが驚く。特に顕著なのは春虎だ。

 

「ま、待てよ、京子!俺は夏目の――――」

 

「式神で冬児の友達でしょう。それと私も夏目君と冬児の友達よ。もちろん、遠坂さんだってね」

 

「ええそうね。それに私たちの方が祓魔局にとっては都合がいいわ」

 

京子の言葉に続く様に凛もまた言葉を発する。何か思うところがあったのか凛は「それと凛でいいわよ、倉は…京子さん」京子と手を握る。

 

「ええ、凛ちゃんの言う通りよ。私は陰陽庁の長官の娘なのよ。あんたが行くよりも役に立つわよ」

 

滅多に家柄を言わない京子のその言葉には強い決意を感じさせた。

 

「構いませんね、塾長」

 

「仕方ありませんね。ですが、四人とも無茶だけはしない様に」

 

美代はその言葉に微笑む。そして誰よりも唖然としている春虎に京子はチャーミングなすまし顔で、いつぞやの春虎の言葉を告げる。

そしてその背を押す様に夏目が春虎の肩に手を置く。

 

「春虎。倉橋さんの言う通りだ。僕や衛宮君の心配はいらない。きちんと、僕らの役目を果たしてくるから、春虎は冬児を頼む」

 

「事が終わったら、冬児に迷惑かけた詫びに全員に何かおごらせようぜ」

 

夏目の言葉に続く様に四季もまた春虎の背を押す。二人の言葉を受けて、春虎は覚悟を決める。

 

「わかった。みんなよろしく頼む。それで全部終わったら、四季の言う通り冬児の金でなんか食べようぜ!!」

 

決意を決め、各々は己の役目を果たすために動き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるビルの屋上。その存在は、夜の東京を見下ろしている。

 

「まさか間接的に手を出してくるとは……いささかあの術師を甘く見すぎていたか」

 

己の詰めの甘さを悔いる様なセリフを呟いた後、鋭い鷹の目で再び夜の東京の街を見る。

 

「さて、現状で打てる手は少ないが…すまないが(・・・・・)、少々関わらせてもらう」

 

そう呟いて男はその場から姿を消す。その身に纏う赤い外套をはためかせ。




如何でしたでしょうか?
上手く文にできていたでしょうか・・・不安です

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