東京レイヴンズ~英霊を従えし陰陽師~   作:スペル

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第一話です
後一話ぐらいは、平和な日常が続きますのでご了承下さい

楽しんでくれたら嬉しいです


第一夜 安息の刻 その1

衛宮家(えみやけ)。陰陽師を目指す者ならば、誰だって知っているであろう家の名である。しかし、それは決していい意味ではなく悪い意味である。ある意味その名は、陰陽師の開祖の子孫である土御門家よりも有名な名。

そんな衛宮家の屋敷の一室。カーテンの隙間から洩れる日の光が、その部屋の主を眠りから目覚めさせる。

 

「うん、夢‥‥?」

 

朦朧と覚醒する意識の中で、何か夢を見ていた様な気がする。しかし、どんな夢だったのかは、全く思い出せない。

 

「まあ忘れるぐらいなら、大した夢じゃないんだろ」

 

自分でそんな言葉を口にしながらも、その言葉を否定する。上手く言葉にできないが、何か大切な事を強制的に忘れてしまった様な、違和感とも呼べない違和感が少年の胸の内の僅かな場所に張り付いてる。

 

「って、そんな事を考えてる暇なかった」

 

即座に部屋の時計を確認した少年 衛宮四季(えみやしき)は急いで身支度を整えて一階に下りていく。

 

「よう、四季」

 

「おはよう、四季。時間は大丈夫?」

 

「おはよう。父さん、母さん」

 

リビングに下りた四季の耳に、父である衛宮士郎(えみやしろう)と母である衛宮桜(えみやさくら)の挨拶が届く。二人に挨拶を返した四季は、静かに自分の席に着き、母が作った朝食を食べはじめる。

 

「えらく急いでたべるなぁ」

 

「うふ。今日は凛ちゃんと約束があるんですよ」

 

「ああ、それでか」

 

せっせと朝食を食べる四季の姿に疑問を持つ士郎。そんな士郎の疑問に台所から戻ってきた桜が答える。桜の言葉に士郎は、納得と言った表情を浮かべる。桜は急いで朝食を食べる四季を微笑ましそうに見ている。

 

「ご馳走様。っと、行ってきます」

 

「おう、ゆっくり楽しんで来い」

 

「凛ちゃんによろしくね」

 

了解と言って外に出た息子の姿を見た二人。先ほどとは違うゆったりとした時間が流れる。

 

「もう半月になるんですね。あの子が陰陽師になると言った、あの日から」

 

「ああ、時間が経つのは速いもんだ」

 

「あの時は本当に驚きました。四季が陰陽師に興味があるのは知っていましたが、まさかあんな手で来るなんて」

 

「確かにな。ホント、誰に似たのやら」

 

「貴方に決まってるじゃないですか」

 

「やっぱり‥?」

 

「はい」

 

その中で二人が思い出すのは、去年の出来事。ある意味大事件だったそれを思い出し、二人は笑みを浮かべる。

 

「憧れでしたからね。あの子にとって陰陽師は、自分の夢を叶える」

 

「そうだな」

 

そう言いながら士郎は、四季が出ていった扉に視線を向ける。自分達の家柄故に、その道がどれだけ険しいモノかを士郎は知っている。かつての自分がそうだったのだから。

だからこそ士郎は、自分の息子の未来を願うようにそして憐れむ様な表情を見せる。

 

「夢か‥‥それとも運命(さだめ)か」

 

小さく呟かれた士郎の声は、近くいた桜にも聞こえる事無く消えていった。

 

そして屋敷を出ていく四季の姿をナニカが期待する様に見ている事に彼は気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏の強い日差しが射し込む中、四季は急いで約束の場所に向かって走る。

 

「はあはあ、ギリギリかな」

 

走りながら携帯の時計を確認した四季は、若干の安堵の表情を見せる。

そんな四季の耳に見知った声がいた。

 

「よう、坊主。朝っぱらから、そんなに急いで何処に行くんだ?」

 

「あ、アンタか」

 

声のする方を振り向けば、青い髪にアロハシャツを着た男が釣り道具を片手に手を振っている。

西洋人だろう堀が深い顔は、隠し切れない野性味が見て取れる。

 

「そう言うアンタは、また釣りなのか?」

 

「おうよ。釣りってのは、何度やっても飽きねえしな。お前もやってみるか?精神力を楽しく鍛えられるぜ」

 

そこそこ親しく話している四季だが、目の前の男の名前を知らない。会うたびに尋ねているのが、そのたびにのらりくらりと躱される為、四季自身もう聞くのを諦めていた。

 

「また今度機会があればな」

 

「そうかい。それはそうと、何で急いでんだ…いや、坊主が急ぐ理由と言えば、嬢ちゃんしかねえか」

 

自分で尋ねておきながら男は、勝手に納得したのかニヤニヤと四季を見ている。

 

「あの嬢ちゃんは、良い女だからな。捨てんじゃねえぞ」

 

「なっ!!」

 

四季にそう告げながら男は、海辺に向かって歩き始める。男の言葉に息をつまらせる四季、何か言おうとしているが言葉にならない。

そんな四季を横目に見ながら男は

 

「まだまだ青いね~」

 

面白そうな笑みを浮かべた。その後四季は暫らくその場に立ちつくし、平常運転に戻ったのはそれから数分後だった。

そして、待ち合わせの時間に間に合わないと理解すると、四季の絶叫が辺りに木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四季が約束の場所に着いたのは、約束していた時間を十分ほどオーバーした頃だった。

汗だくに息を切らせながら辿り着いた四季は、急いで辺りを見渡す。待ち合わせの相手は直ぐに見つかった。

彼女のイメージカラーである赤で彩られた服と黒いニーソックスが異常に似合っている艶のある美しい黒髪をツインテールにして、木陰で待つ姿は、一枚の絵の様だ。

 

「悪い凛。遅れた」

 

何かに怯える様に発せられた言葉。その言葉に反応したのか、凛と呼ばれた少女は、ゆっくりと四季の方を振り向く。

そして四季の姿を見つけると、それはそれは綺麗な満面の笑みを浮かべる。しかし、対照的に四季の顔色はどんどんと悪くなり、先ほどとは違う汗が流れ始める。

 

一歩凛が歩を進めた。反射的に四季は、一歩後退した。そんな四季の反応を見た凛は、より笑みを浮かべながら近づいてくる。四季は既にその場から動けなくなっている。

そして即座に四季の近くまで来た凛は綺麗な笑みから対照的に、イラつきマックスと言わんばかりの不機嫌な表情に変わり

 

「遅い!!!」

 

怒鳴る付ける様に、ただ一言を四季に向かって言い放った。




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それにしても自分で書いててあれだけど、桜の凛ちゃん呼びには、違和感しか感じない
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