終わり方が結構変な気がしますが・・・これ以上話を長くしたくなかったので無理やりに終わらせました
その為、後半は結構変かもしれません
凛の口から怒りの言葉が発せられたると、四季の身体は恐怖から震える。幼馴染でもあり、共に東京の陰陽塾で学ぶ学友でもある少女
第三者から見れば、誰にでも分け隔てなく接し、頭脳明晰で面倒見が良いと言うし、しかも美人と言う、正に絵にかいたような優等生だろう。
しかしそれは自分の口から言わせれば、凛の本質ではない。彼女が周りにそう認識させているだけだ。ある意味陰陽の乙種に近いだろう。動作や話し方などを使い、巧みに自分を偽る凛の本質を掴めている人間は陰陽塾にもそう多くはないだろう。
(あいつらが凛の本質を知ったら、どう思うだろう)
小さい頃からともにいた自分に言わせれば彼女は正真正銘「あかいあくま」だ。誰よりも負けず嫌いで意地っ張り。そして敵対する者は容赦なく潰しにかかる。
そしてなにより問題なのが
(我儘って事なんだよな)
子供の頃から自分を知っていると言う理由から、四季は当然の様に彼女の我儘に付き合わされた。それこそ、喉が渇いたからジュースを買ってきてと言う、子供らしい物から様々だ。
そして断ろうものなら、それはそれは満面の素敵な笑みで毒を吐かれたり、子供の特権を使い大人を味方につけるなどして絶対に断れない状況にしてしまう。あかいあくまなのだ。
「四季。今凄く失礼な事を考えてなかった?」
軽く恐怖を紛らわせるために現実逃避していた四季だが、ジト目でかつ人差し指を鼻に突き付ける形で、自分の顔を覗き込んでいる。綺麗な青い瞳に僅かに影がある。ヤバイと瞬時に察した四季は、考えるまでもはなく言葉を発する。
「考えてない!!絶対に考えてない!!」
「‥まあいっか。遅れてきた罰は、おいおい考えるとして行きましょっか」
「はい」
うん素直でよろしい。と笑みを浮かべながら歩き出した凛の後ろを、苦笑いをした四季が付いて行く。
気がつけば、二人は肩が触れ合うギリギリの距離まで近づき並んでいた。それが現在の二人の距離だ、その距離を片方はもどかしく思い、もう片方はその距離に何も疑問を抱かない。
故に二人の距離は決して交わらないし、交わってはいけない。今交わってしまえば、それは少女が望むモノと似て非なるモノになる。少女もそれが分かっているからこそ、その一歩に満たない場所に行けない。
少年は、近すぎるが故にそれに気づかず。少女は、聡明であるが故に踏み込めない。
そんなもどかしくも愛おしい距離を保ちながら二人は歩いて行く。
二人が辿り着いたのは、街を一望できる丘の上に来ていた。そこにシートを引きながら二人は風景を眺めている。別段何を話す訳でもなく、二人はシートの上に座り景色を眺める。
「そう言えばさ、あんた今朝のニュースみた?」
「ニュース?」
不意に問いかけに対して四季は問い返す様に声を返す。実際四季は、凛が言わんとしているニュースを知らない。起きたのがギリギリだったと言うのもあるし、急いでいたので気にもしてなかった。
四季の反応に凛は、そうよ。と髪をかき上げながら内容を話し始める。
「簡単に言っちゃうと、ある田舎町で一研究員である陰陽師が暴れて何人か負傷者が出たみたい」
「??。それがどうかしたのか?そんなモン呪捜管たちがとっくにおさめたんじゃないのか」
「ところがどっこい、犯人は未だに逃亡中。目的も不明と来てるの」
そこまで聞いて四季は僅かな違和感に気がつく。何かとは判らないのだが、まるで砂糖の塊を食べてしまって、他の味が感じ取りにくくなってしまっている様な、そんな違和感。
「何かお前の気になる様な事があったのか?」
「あたしも別に最初は気にしてなかったんだけどね、その場所が問題なのよ」
「場所?」
四季には凛はええそうよ。と告げ、その場所の名前を告げるが、勿論四季には聞き覚えが無い。
しかし、次の一言でその違和感の正体がハッキリとする。
「ええそうよ。確かにそこはただの田舎町‥ただ土御門家の本家がある場所なのよ」
「ッ!!」
凛のその一声に四季は息を呑む。土御門本家‥現在の陰陽術を作り上げた
だからこそ気がつく。そこに唯の一研究員が暴れる?おかしい、だったら土御門家の秘術を狙ったと言われた方が納得がいくし、陰陽師で言うところの運動がダメな理系派の人間が、未だに呪捜官に捕まっていない?
「気がついたいね」
四季の反応を察した凛は、人差し指をピンと伸ばして自分の考え口にする。
「わかってると思うけど、呪捜官はプロよ。一介の研究員が一人で逃げ切れるわけがない。それが出来るとしたら」
「『
「そう言う事」
四季の言葉に凛は満足したように頷く。
「一波乱ありそうだな」
「そうね」
そう呟く四季は、ふとある事気がつく。
「なあ、そう言えば夏目って、今俺達と同じで帰省してるし…巻き込まれてるとか無いよな?」
「無きもあらずね。あの優等生の事だから、自分の家の問題に口を挿まない訳がないだろうし」
「…ヤバいんじゃね?」
「まあ、大丈夫でしょう。向こうには本家筋の人間がいる訳だから、夏目君を巻き込ませるようなことにはならない筈よ。ヤバそうなら、当主あたりが無理やり送り返すでしょ」
「あ~でも‥一理あるか」
実際にはもっと切迫した状況な訳だが、それを知らない二人がそう楽観視してもおかしくはない。
「そうよ。それに彼、なかなか上手いし身ぐらいは守れるでしょ」
そう言ってはい、この話はお終い。と言う凛。しかし長年付き添って来た四季には、その声に僅かな不安を感じ取る。
その真意を悟った四季は、しれっと言い放った。
「心配してるなら、素直にそう言えばいいのに。相変わらず、不器用な奴」
「なっ‥!!」
放たれた一言に凛は、顔を真っ赤にして狼狽える。
「わ私は別に心配なんてしてないわよ!!ただ、彼との決着をつける前にいなくなられたら困るから‥そうよ、そう言う心配よ!!」
慌てて理由を述べていくうちに、知らない間に自分が心配してますと告げる凛。
その理由を聞いて四季は笑みをこぼす。
実際凛の成績は、学年の中でもトップレベルだ。凛に対抗できるのは、四季が知る限り二人しかいない。
一人は、先ほどから名前が挙がっている
土御門家の次期当主であり、その名に恥じない実力を持つ。しかも成績は凛とドッコイドッコイだ。とある複雑な理由を持っているが、四季自身はあまり気にしていない。
もう一人は、
現在では陰陽界を引っ張る一族の令嬢であり、確か陰陽庁のトップが彼女の父親で、陰陽塾の塾長が祖母と言う、正しくお嬢様だ。何かと夏目に張り合っている節がある。
しばし四季は、凛の苦し紛れの言い訳を聞いていた。
「はぁはぁ‥買ってきました」
「ありがと」
しばし言い訳を続けていた凛だが、突如思い出したように意地の悪い笑みを浮かべた。その笑みを見た瞬間、長年の経験からヤバイと判断した四季が、何か手を打とうとするよりも早く凛は飲み物を要求した。唯のそれと侮るなかれ。彼女は品目を指定したのだ。それもこの街で扱っている場所が一か所しかなく、しかも今の場所から軽く十キロは離れていた。
遅れてきた罰よ。と微笑みながら告げた凛の姿を見た、四季は抗う事を諦めた。抗えばより碌でもない事になる事を経験から知っているのだ。
そして全力ダッシュで買って戻ってきたと言う訳だ。その為息は切れ、シートの上に大の字で寝転がる。
視界の端では、凛が買ってきたジュースをおいしそうに飲んでいる。
「そう言えばさ、
その声は、鞘を心配するのではなく四季本人を心配するような言葉だった。
「心配すんなよ。全然問題ねえから」
そう言って四季は自分の胸辺りを指す。凛が言っている鞘とは、四季が陰陽塾に行く前に、士郎より渡された鞘の事だ。士郎曰くお守りとして渡したらしい。
凛が心配する理由は、鞘を受け取った時、鞘は意思があるかのように四季の体内に取り込まれたのだ。それによって一週間高熱にうなされたと言うのが理由だ。
その後士郎より、心配ないと告げられている。しかし、四季はその時の父親の表情がどうしても忘れられない。なぜ心配しなくてよいのかは、結局説明されず、四季自身も体に異変がなく、陰陽医からも心配がないと言われ、納得した。一種の護符の様な役割を担っているらしい。
「そっか」
四季の言葉を聞いた凛は、それだけ告げる。その表情は四季には見えないが、安堵に染まっている。
その後二人は、食事をとったり街を意味なく二人で歩いたりしながら、一日ともに過ごした。
「さてっと、お互い明日には東京に戻らないといけないから、今日はもう解散しましょうか」
「それもそうだな」
凛の言葉に四季もうなずく。夏期講習もそろそろ始まるし、戻るべきなのだろう。
明日の集合時間を決め、二人は別れる。
物語の始まりを告げる日は、確実に近づいていた
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いよいよ、次回から原作に突入します