東京レイヴンズ~英霊を従えし陰陽師~   作:スペル

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主人公よりも凛の方が存在感を見せている・・・・次は活躍させたいな
違和感とかあったら、言って下さい。自分でも少し、上手くまとめれたか不安があるので


原作二巻
第三夜 土御門 その1


陰陽塾。未だに幼い鴉達が学ぶ場所。そう問われれば一般の人達は古臭い家屋を想像するかもしれない。しかし時が経つにつれゆっくりと近代を取り入れ始めたためなのかわからないが、現代の陰陽塾は、無駄のない最新鋭の現代風のビルである。されど纏う雰囲気は神殿の様な厳粛さを併せ持っている。

 

そんなビルの黒き烏羽(からすば)色の制服と白い制服に身を包んだ男女が続々と入っていく。

四季も例にもれず、校舎と言えるビルに向けて歩いている。その隣には凛の姿はない。基本的に朝に弱い凛。だからこそ、あえて早く行動する事でその弱点を隠している。

その為二人が朝に揃って登校すると言うのは極めて少ない。

 

二枚の二重ドアとなっている自動ドアの一枚目をくぐった四季は、その空間の左右に置かれた狛犬に視線を向け

 

「おはよう。アルファ、オメガ」

 

朝の挨拶を告げる。普通ならば、何をやっていると思うだろう。しかし、この陰陽塾において言えば、全くおかしくない。

 

「ふむ。おはようである。今日も勉学に励むとよい」

 

「元気そうで何よりである」

 

陰陽塾の守護を任される式神「アルファ」と「オメガ」それが狛犬の正体。厳つい表情や姿からは想像も出来ない程、親しみやすく話しやすい存在で、塾生の間では密かに人気者なのだ。自分の家柄を気にしない二体に四季は好感を持っている。故に毎朝の挨拶を欠かさないのだ。

 

アルファとオメガに挨拶を交わした四季は、ゆったりと自分のクラスの扉を開ける。もう既に多くの生徒が教室に集まっている。その中で四季は、窓側の一番後ろから七列目の席ヘ向かう。その場所の隣には既に凛が座っている。彼女の隣が常に四季の指定席なのだ。

 

「おはよう。衛宮君」

 

「おう。おはよう天馬」

 

席に向かう途中に挨拶を交わしたのは、痩せ気味で眼鏡をかけた見るからに気弱そうな少年百枝天馬(ももえてんま)。家柄的に友好を広めにくい四季に対しても、気負うことなく話しかけてくれる四季の学友である。

 

「どうだった夏季休暇は?確か故郷に戻ってたんだよね?」

 

「まあ、久しぶりに落ち着いてのんびり過ごせたかな。学生寮もいいんだけど、やっぱ我が家が一番だって再認識したかもな」

 

四季の言葉に天馬も苦笑しながら同意する。互いに他愛もない話をする二人。ふと天馬が四季にある事を尋ねる。

 

「そう言えば、四季君。今学校に流れてる噂って本当かな?」

 

「噂?なんだそれ」

 

天馬の言葉に聞き覚えがない四季は、興味津々と言った感じで逆に問う。その反応に天馬は、少し音量を落としながら話し始める。

 

「うん実はね、このクラスに転入生が来るんだって」

 

「この時期で陰陽塾に、転入生?」

 

天馬の言葉に四季は、今一現実味がないと言った感じの反応を見せる。理由として、陰陽師と言う世界はとにかく閉鎖的で狭い。その為陰陽師をめざし、陰陽塾に通う塾生は基本的に古くから陰陽に関わっているのがほとんどだ。その為一般人がこの世界に入って来るのは、極めてまれな事だ。

しかも陰陽塾の授業(カリュキラム)には無駄がない。一年の後半に入って来るなど、生半可な事ではない。

それ故に四季の反応も当然かもしれない。

 

「ガセじゃないのか?」

 

「僕もそう思ったんだけど、先生たちがここ最近慌ただしかったんだって。それに真新しい制服二着を発注したんだって」

 

「なるほど…確かにそれはガセと切り捨てれないな」

 

「そうでしょ。だから皆、噂が本当か少しソワソワしてるんだよ」

 

天馬の言葉に四季は苦笑する。何と言うか年相応の反応に笑いが出る。

 

「それじゃあ噂が本当かどうか、もう暫く待ってみるか」

 

「うん。そうだね」

 

そこで話を切り二人は、お互いの席に向かう。

 

 

席に腰を下ろした四季。

 

「その様子だと、噂は聞いたみたいね」

 

()()はどう思う」

 

「普通ならガセよって一蹴するんだけどね。前に言った件があるから、可能性は高いと思うわよ」

 

「来るとしたら、土御門家の誰かって事か?」

 

「でしょうね。しかも十二神将像クラスと戦えるレベル。‥‥上等じゃない」

 

凛は闘志をありありと燃えさせる。負けず嫌いもここまで来たら凄いなと四季は思う。その負けず嫌いな部分がきっと、凛の強さの根幹の一つなのだろう。

闘志を燃やす凛の隣で、珍しく四季も来るかもしれない存在に想いを馳せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばし時間が経った頃、教室の扉が開く。

 

「いや~お待たせお待たせ。皆のお待ちかねの転校生連れてきたで~」

 

現れたのは、四季たちの担任である新米教師大友陣(おおともじん)。背が高くヒョロリとしていて枯れた印象を与えるが、何より目を引くのが手に持つ杖と右足から生える時代錯誤と言える木製の義足。

頼りないという印象を与えがちだが、凛曰く「かなりの腕を持っている」とのこと。そしてそれは四季自身が感じた事でもある。

 

大友に続く様に現れたのは、本当に何処にでも良いそうな少年といかにもと言えるヤンキー風の少年。

 

「注目~。今日から皆と一緒に学ぶ、土御門春虎クンと阿刀冬児クンや。はい、挨拶しな」

 

「‥‥つ、土御門春虎(つちみかどはるとら)です」

 

阿刀冬児(あととうじ)です」

 

目元に五芒星(シャーマン)をつけた平凡そうな少年春虎が緊張をしながら、ヤンキー風の少年冬児は気負うことなく、自己紹介を告げる。

余りの淡白さに大友が言っているが、四季は不思議と春虎に意識を向ける。

ふと春虎の表情から緊張が消える。春虎の視線の先には、夏目がいた。見て伝わる何かを四季は微笑ましそうに見る。

 

「二人は皆より遅れるわけやから、最初の方は講義についてこられんかもしれんから、いろいろ教えたってや。仲良くするんやで~」

 

どうやら顔見せが終わるらしい。そう思った直後一つ手があがる。それを見た四季は、深くため息をつく。

 

――――頼むから、最低限で終わってくれ

 

これから起きる討論を予期して四季は、願わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手を上げたのは京子だった。何かと夏目に張り合っている彼女の事だ。今回も何かしらのアクションを起こすとは思っていたが、思った以上にあからさまだと四季は思う。

 

「大友先生。質問があります」

 

「なんや?なんでも聞いてあげたってや…カノジョの有無からなにまでな~」

 

「この時期に突然入塾するなんて、おかしくありませんか?本来なら、来期の募集を待つべきでしょう」

 

告げたのは明らかな拒否の念。しかしそれはある意味で四季や凛の様な例外を除きこの場に居るメンバー全員が抱いている事だ。

 

「そうやねんけどな。ちょっと深い事情があって、半端なこの時期に入塾するはめになってもうたんや」

 

「事情ってなんですか?」

 

「事情は事情やで」

 

「言えないようなことなのですか?」

 

「実はその通りや」

 

その言葉に京子の顔が怒りで赤く染まる。

 

「私達は必死な思いで突破して、此処にいるんです!!それなのにそこの二人は言えない事情とやらで、あっさりと入塾したんですかっ!!」

 

京子の怒りも最もだ。それでも大友はペースを崩さない。むしろペースを自分のモノにしている。

その中でふと、視線を春虎に向けて、そして静かながらもよく通る声で問う。

 

「…‥彼が土御門家の人間だからですか?」

 

空気が張り詰める。それだけの意味を持つのだ。土御門と言う名は。

そんな空気を破ったのは、またしても意外な人物。

 

「言いがかりも甚だしい」

 

凛としてよく通る声で告げたのは、もう一人の土御門である夏目。手を突き机から立ち上がる夏目の姿は、何時ものイメージからは離れたモノ。だからこそ、驚きが湧き上がる。

 

「君は一体、何の根拠があって、土御門の名を出す?同じ土御門の人間として言わせて貰うが、今回の件に関して土御門家は一切関与していない。ただの思い付きで言ってるのであれば、それは僕ら二人に対する侮辱だ。即刻取り消して貰おうか」

 

鋭い刃を思わせる言葉が、教室の空気を切る。塾生たちが息を呑む音が響く。

それは発端である京子も例に漏れない。それでも今更引き返せない。

 

「だ、だったら説明してちょうだい。何の説明もなく、納得できるわけないでしょ!!説明が無ければ、土御門家の意向が反映されているとしか思えないわ。そこにいる彼はあなたの式神だそうね。彼を傍に置くために入塾させたと考えるのが普通でしょ」

 

これは長くなるなと四季が場違いな事を考えていると、隣で立ち上がる音が聞こえる。それだけで全てを察した四季は、やっぱりこうなったかと深く息を吐いた。

 

「発言、宜しいでしょうか?」

 

突然、場の空気を裂きながら凛が立ち上がる。視線が凛に集まる。しかし凛は、むしろそれが当然と言わんばかりに堂々としている。

 

「まず、倉橋さん」

 

「な、なによ」

 

「貴方の言い分は正論です。でもそれを告げたいがためだけに、私達の時間を奪うのは違うのではないかしら?」

 

「ん!私が何時、貴方達の時間を奪ったっていうのよ」

 

「今まさにです。本来ならば、顔見せが終わり講義に入れたのにも関わらず、貴方がそれを延長させている‥‥くだらない張り合いの為に。違うかしら?」

 

正論。紛れもない正論が為に京子は何も反論できない。

 

「そもそもこの世界において言えない事情なんて珍しくないと思いますが。それを考査するのも陰陽師にとって大切なスキルだと思いますが」

 

凛の言葉に京子は息を呑む。案に告げているのだ。この程度の事情など、自分で理解できないの?と。

明らかにプライドを刺激している。しかし、明らかに正論であるために言い返せない。

その反応に満足した凛は、次の標的である夏目に視線向ける。

 

「次に夏目君」

 

その言葉に夏目は何か構える様に凛を睨み付ける。

 

「僕は間違った事を言っているつもりはない」

 

「ええ。貴方の意見も決して間違っていない。それでもこの世界におけるあなた達の家名の重さは理解しているでしょう?その決意を持ってこの塾に来たのだから、貴方の反論は、そこにいる彼の覚悟を侮蔑していないかしら」

 

案にその程度の覚悟せずに、この場所に来たわけじゃないでしょ?と告げる凛。

 

「それに彼らが入塾するならば見せて貰います。あなた方が此処にいるべきかどうかは、遅かれ早かれじゃないかしら?勿論、私達も敗けるつもりもありませんが」

 

打ち抜く様な目で春虎達を見る凛。示さなければ、貴方達に居場所など無い。と告げる。

知らぬ間に場の空気が、転入して来た二人を受け入れ切磋琢磨して受ける者と挑む者に変わってきている。

その手腕に四季は流石と呟き、大友は小さく口笛を吹き、冬児はおおという表情を見せる、春虎は身を震わせる。夏目と京子は悔しそうに唇を噛む。

 

――――勝った

 

――――勝ったって思ってるよな

 

ゆったりと座った凛を見た四季は、そんな事を考えていると察する。そんな中で四季の意識は不思議と、春虎から離れなかった。




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凛の反論
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