東京レイヴンズ~英霊を従えし陰陽師~   作:スペル

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いよいよ、物語がスタート
キリが良い所で切る為に、結構長くなってしまいました

そして何度やっても、急急如律令の最初の「きゅう」が正しく変換されない
その為、今後も上の形となります 
ご了承ください

違和感なくいけたかな?
楽しんでくれたら嬉しいです


第六夜 盲信者

前代未聞の試合から翌日。四季と凛は、変わらずの指摘席に座って全体を見渡している。いつもよりも空気が明るい。それが四季と凛の感じた事。理由は言うまでもなく、あの試合が原因だろう。その証拠に、春虎が教室に入れば彼を中心にクラスメイト達が話しかける。

そこに否定の意見はなく、間違いなく彼ら彼女らに土御門春虎という少年は認められた証拠だ。

 

「やるわね、彼」

 

「そうだな。少なくとも俺にはできない」

 

凛の言葉に答える四季の表情は、何処か羨望に春虎を見ている。その感情に気がついたのだろうか、凛が誰にも気がつかれない様に四季の足を踏む。一瞬、痛みで顔が歪むが、理由を察してありがとうと告げる。礼を言われた凛は、フンといいながら顔をそらウ。不思議と朱色に染まった顔を見られたくなくて。

 

その後、事の発端でる京子が春虎を呼んだことで教室話更に沸き立つ。如何に陰陽師を目指す雛たちといっても、年相応の学生なのだから仕方がない。

ふと四季の視界の淵に、何かを戸惑う様な夏目の姿が映る。しばし、春虎達が出ていった扉を見つめたかと思えば、決意した様な瞳と共に立ち上がり二人を追うように教室から出ていった。

 

そしてその後、春虎と京子は帰ってきたが夏目は戻ってこない。その事を疑問に感じつつも四季は講義を受ける。

結局、午後の講義に夏目は出席しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

放課後、本来ならばもう既に寮に帰っている時間帯なのだが、四季と凛の二人はまだ教室にいた。いや、二人だけではなく春虎や冬児そして京子の三人もとどまっている。

 

「おかしいよな」

 

「ええ、おかしいわね」

 

真面目な優等生である夏目が何も言わずに講義を欠席。それ自体が既におかしい。二人はそう考えるが、明らかに話しかけれる様な雰囲気ではない。

ふと、音をたて扉が開かれる。瞬間、五人の視線がそこに集まる。現れたのは、夏目ではなく天馬。何も知らなかった分、集まる視線に驚く。

萎縮を感じた四季が、何時もの様に天馬に話しかける。

 

「どうしたんだ、天馬。お前がこの時間帯に残ってるなんて珍しいな」

 

「あ、四季君。うん。実は大友先生が、至急春虎君にこれを渡してほしいって頼まれて」

 

「俺に‥?」

 

突然、自分の名前が出たことに驚く春虎。対する四季と凛の二人は、大友が天馬に渡したであろう物を見る。修行僧など持ち歩く錫杖(しゃくじょう)である。冬児と京子も興味をひかれたのかそれを見る。天馬曰く「前回の試合で折れた木刀のリベンジマッチらしい」。貰った春虎自身はどうするか困り果てている。

自分の仕事を達した天馬は、ふと自分の疑問を口にする。

 

「そう言えば、春虎君達はどうしてまだ教室に居るの?四季君だって普段だったら帰ってる時間でしょ?」

 

「そこにいる二人は知らんが、俺らは夏目待ちだ。午後の講義出席してなかっただろ?」

 

天馬の疑問に答えたのは冬児だった。その言葉を聞き、天馬も納得という表情を見せる。

 

「俺ら二人も同じだよ。あの夏目が講義を欠席したからな、どんな理由なのかと…まあ、野次馬根性だな」

 

そしてそれに続くように四季が答える。四季の答えに天馬は納得の表情を見せる。何て言ったて学年一の優等生が理由も告げづに欠席したのだ、興味を惹かれるのも理解できる。

 

「俺が最後に夏目を見たのは、昼休みに教室から出ていく姿だけど、誰かその後のこと知ってるか?」

 

「ああ、それなら。そこのバカと喧嘩したらしいぜ。倉橋も一緒にいたらしい」

 

「え!そうなの」

 

四季の言葉に答えた冬児の言葉に天馬は驚いた顔をする。何て言ったて昨日の今日なのだ、あららと言いたげな顔をしている。天馬の視線を京子は無視を選択、対する春虎は不貞腐れた様に告げる。

 

「すっぽかしたって言ったて、どうせ特別カリキュラム(・・・・・・・・)だろ?別れる前に、例のスーツ姿の野郎が迎えに来たしな」

 

一瞬、冬児を除く全員が何を言っているのか理解できないかった。一番早く動いたのは凛。彼女は立ち上がり、春虎の前まで歩いて行く。そして確認する様に問う。

 

「春虎君、確認したいのだけどいいかしら?」

 

「え?…ああ、いいぜ」

 

何処か否定を許さない声に身を竦ませながら春虎は凛の言葉を待つ。

 

「貴方の言う、スーツの男性というのは、昼休みなどに訪れる人の事かしら」

 

「そうだけど、何でそんな事聞いてんだ?」

 

凛の質問の位置が読めないという顔をする春虎。対する面々は、あらかたの事情を察する。

 

「初めに言っておくとね。夏目君は、特別カリキュラムなんてものは受けていないわ。たぶん、貴方を心配させまいと嘘をついたのね」

 

「嘘ってどう言う事だよ!!」

 

凛の言葉に今まで呆けていた春虎の顔が強張り、言葉が荒くなる。しかし凛はそれをどこ吹く風と受け流し、四季に視線を向ける。向けられた四季は、バトンタッチをする様に話始める。

 

「あれは呪捜官で事情聴取を受けてたんだよ」

 

「はあっ!?何で夏目が事情聴取されないといけないんだよ!!」

 

「呆れた。遠坂さんも言ってたけど、夏目君本当に隠してたみたいね」

 

告げられる言葉に今度こそ春虎は驚く。そしてその姿を見た京子は、先ほどの凛の言葉が真実であると察する。不穏な空気に先ほどまで静観に徹していた冬児は、イスに座り直し情報を集めようとしている。自分だけがのけ者された様で、苛立った春虎が何かを言うとした刹那

 

「春虎様!!」

 

突如、彼の護法式『コン』が実体化し臨戦態勢に入る。何事かと誰もが疑問に思った瞬間、一歩遅れて四季が察する。

 

「下がれッ!!」

 

四季が怒鳴ると同時に、教室の廊下側の窓を粉砕し、何かが教室に入り込んでくる。四人が何が起きたのか全く理解していな中で、コンと四季と凛の三人は動いた。

 

「凛!!」

 

「OK」

 

机を踏み台に二人が、春虎達の元へと跳ぶ。二人は流れる様に呪符を取り出し、頭上に現れた存在を遮る様に告げる。

 

「「急急如律令(オーダー)ッ!!」」

 

上に放たれたのは護符。空中に静止したように呪符が壁となり、使用者を護る術だ。

着地した四季は、改めて上に居る存在を見据える。それは(もや)とも取れ、霧とも取れ、煙とも取れる何か。しかしそれは生きているかのように蠢めいている。

 

「な、なんだよあれ!?」

 

「陰陽塾では、あんなものまで飼ってるのか?」

 

「わかんない。って言うか、何で僕に聞くの?」

 

騒然と事態を飲み込めない春虎達が焦る様に言葉を発する。しかし肝心の四季は答えずに、未だに空中に漂う泥土(でいど)のような噴煙のようなそれを視る。

 

「これって…」

 

「ああ、蠱毒(こどく)だ」

 

「なんでそんなモノがって聞くだけ野暮ね」

 

「だろうな」

 

震える様な京子の言葉を受け継ぐ様に四季が正体を告げる。その言葉を聞いた冬児と天馬は驚き、凛は不敵に笑って見せる。

 

「おい、まさかあれも式神なのか!!」

 

「ああ、それもバリバリの禁呪だぜ」

 

陰陽庁に許可なく作るとこすら禁じられるそれが四季たちに襲いくる。

 

「ででも、おかしいよ!!塾舎全体には結界が張られている筈なんだ!!式神といえど許可なく侵入できない筈なのに!!」

 

「その疑問に答える必要があるかしら」

 

「え?」

 

「簡単な事よ。外が無理なら内側で使えばいい。結界って言うのは、あくまで外側から護る物。内側からの侵略には無力よ」

 

慌てる天馬たちに、上に漂う蠱毒を睨み付けながら凛が静かに告げる。そして同時に、上に溜まっていた蠱毒から目が生まれ、その不気味な瞳が春虎を見据える。

 

「春虎様!!」

 

「来るぞ!!」

 

四季とコンが吠えると同時、雨漏りの様に蠱毒から不気味な雫が垂れ落ち襲いくるが…

 

「そう簡単には…」

 

「行かせないわよ」

 

二人が放った護符が、蠱毒の侵入を拒む。しかし蠱毒も学習しているのか、垂れ落ちた雫は意思を持つかのように左右から襲いくる。

 

「行かせね」

 

「クッ――――白桜、黒楓ッ!!」

 

即座に動ける様にしていたコンが右側から迫る蠱毒を切り伏せ、続いて京子が護法を操り左の蠱毒に対処する。

しかし、いくら切り伏せようともラグが輪郭を歪ませても即座に本体に吸収され、全く勢いが減らない。

しかも

 

「うわぁ…ま、前からも来た!!」

 

「四季、お願い!!」

 

「わかってる、急急如律令(オーダー)

 

まるで天幕を張る様に四方から蠱毒が攻めはじめる。

 

「春虎!!お前の護法に後ろを護らせろ!!倉橋は、『夜叉』の一体を右を放て」

 

中央にて四季の指示が飛ぶ。未だに状況が読めない春虎は、四季の指示に戸惑っていたが、凛の「早くしろッ!!」という怒鳴り声に震え、急いでコンに命令する。対する京子は、即座に行動を起こし指示を実行する。現状四季の指示が正しい事を理解したのだ。

しかし、蠱毒の勢いは殺せずに、六人は徐々に窓側に追いやられる。

 

「ダメだな。ご丁寧に携帯も繋がらねえ」

 

「窓が開かない。何でだよ、クソッ!!」

 

「チィ。完全に後手後手ね」

 

二人の言葉に凛は唇を噛む。現状の襲撃が明らかに計画されたものだと理解する。

既に壁際まで追い詰められており、四季とコンが最も勢いのある正面を、京子が護法を操作し左右を、凛が真上を防御してどうにか持ちこたえている形だ。

冬児が窓にイスを投げつけるが、全く意味をなさない。完全に物理破壊を封じられておる。

 

「クソ‥‥おい、倉橋、遠坂、衛宮。お前らの誰でもいいが、この結界を破壊できないのか?」

 

「ふざけないでよ!!今はそれどころじゃないわよ!!」

 

「残念だけど、こっちも手一杯で動けそうにないわね」

 

「悪いけど、こっちも二人と同じだな」

 

蠱毒の攻勢が強すぎ、現状では誰かが手を緩めただけで崩れる様な危険な状態なのだ。そんな状態で結界の破壊まで出来るはずもない。

しかもいつ崩れてもおかしくないという時限爆弾のような状態なのだ。

「天馬、アンタも手伝いなさい!!二人よりは戦力になるでしょ」京子の言葉で天馬も呪符を使おうとするが、慣れない手つきで使ったためか床に落としてしまう。急いで広い術を唱えるが、既に教室全体に広がった蠱毒の前では完全に焼け石に水だ。

 

その中で黒楓の薙刀を躱した一滴が春虎に迫る。反射的に春虎は、錫杖を持った手で受けようとするが、それよりも早く放たれた凛の護符がそれを防ぐ。

 

「わっ悪い」

 

「別に構わないわ」

 

ふと、全体を見ていた冬児が口を開く。

 

「‥‥どうやら、こいつは春虎が狙いらしいな」

 

「お、おれ?」

 

「ああ、完全にそういう動きだ」

 

冬児の言葉に天馬と京子は顔を見合わせ、四季と凛はやっぱりかと呟く。

 

「まさか、これって夜光信者(・・・・)の‥‥」

 

「あり得るわね…ったく冗談じゃないわ!!」

 

「というか、それ以外に考えられないでしょ」

 

三人の言葉に今度は春虎と冬児が聞きとがめる。その存在を二人は、入塾と同時に塾長から教わっていた。しかし、現在陰陽の基礎を生み出した土御門夜光(つちみかどやこう)を信仰する者達とこの蠱毒に何のつながりがあるのか全く理解できない。

二人の疑問に答えたのは、前方で防御する四季だった。

 

「さっきの話に戻るが、お前らが入塾する二日目に、夏目を拉致しようとした夜光信者がいたんだよ。それ自体は塾講師たちによって防がれたけど、呪術戦になるまでになったんだよ。お前らが特別カリキュラムの講師だと思ってた呪捜官は、その事に対して取り調べと事情聴取してたんだよ」

 

「で、でも夜光信者ってのは、夜光を信仰する奴らなんだろ?だったら、何でこんなことをするんだよ!!夏目を夜光だと思ってるなら(・・・・・・)、こんな真似しない筈だろ!!」

 

四季の言葉を聞いた春虎が戸惑う様に問う。そうそれが土御門夏目に関するうわさ。かつて現代陰陽の基礎を生み出した夜光は、最後の術にて失敗。東京に霊脈を乱し、霊災を生み出した。しかし、そん中でも陰陽師たちの間では、ある噂があった。「土御門夜光の術は成功しており、現代に転生した」という噂だ。そしてそ転生者だと思われているのが土御門夏目なのだ。

 

「確か、捕まった奴は『夜光の覚醒を促しに来た…』とか言ってたらしいぞ」

 

最早狂気と盲信の押し付けに近い。信仰とは呼べず、狂信に近いだろう。

 

「そんな‥‥」

 

四季の言葉に唖然になる春虎。そんな中で凛が厳かに告げる。

 

「でもまあ、これは全く別の目的でしょうけどね」

 

「…どう言う事だ?」

 

凛の言葉に冬児が反応する。凛は、上を見据えながら己の考えを口にする。

 

「考えてもみなさいな。夜光信者(あいつら)にとって、土御門夜光とは完璧でなくてはならない。でも春虎君が来て夏目君は大恥をかいたはわ。それは一点の曇りも許されないダイヤに起きた曇り。なら、その曇りを払う事こそが夜光の為とかと思ってるんでしょうね。だから、貴方という曇りをなくすための行動なんでしょうね」

 

余りにも常識外れの考えに誰もが唖然とする。いや四季と凛だけは唖然とせず、蠱毒を見据える。

 

「貴方にいらぬ心配を掛けない為に嘘までついていたのにね。これじゃあ報われないわね」

 

春虎の中に何かが湧き上がる。そのまま外に吐き出そうとした瞬間

 

「ふざけるなよ…」

 

別の怒りがこぼれた。誰もが声の主である四季に向けられる。

 

「てめえらの都合で命をもてあそぶんじゃねえッ!!」

 

瞬間、四季の感情に呼応する様に暴風が吹きすさぶ。蠱毒を吹き飛ばし安全圏が生み出される。誰もが驚愕する中で四季が春虎に告げる。

 

「お前はどうする、春虎。今の状況を考えるに夏目に何かが迫っているのは間違いない」

 

四季の言葉に誰もがそうだと、なぜ気がつかなかったという顔をする。午後の講義を欠席したのが、そういう理由だとするのならば納得がいく。

 

「春虎君。夏目君に言ったわよね?お前には周りと触れ合う勇気がないって」

 

「それは…」

 

若干落ち着いた事で、冷静になれたのだろう。だからこそ今問う。恐らくは、先ほど言っていたケンカの原因なのだろう。京子の言葉に春虎は答えれない。

 

「当然だとは思わない?彼に関わると言う事は、こう言う事に巻き込まれるって事なのよ。誰だって関わりたいとは思わないし、彼だって躊躇して当たり前だわ」

 

京子の言葉に春虎は唇を噛む。そうしている間にも、吹き飛ばされた蠱毒たちが再び襲いくる。

四季が凛が京子がコンが、再び構えた刹那、カランと錫杖の音が響く。春虎は、止まることなく四季とコンのいる場所まで歩を進める。

 

「-----コンに四季、悪いけど退いてくれ」

 

春虎の言葉にナニカを感じたのか四季は道を譲る。コンはしばし粘ったが、春虎の決意に敗け、脇をそれ道を譲る。

迫る蠱毒を、春虎は錫杖で一突き。ラグが生まれ動きが止まる。鬼気迫るその姿に誰もが驚く中で、春虎は四季と凛、天馬に京子を見据え頭を下げる。

 

「四季、遠坂、倉橋、天馬。巻き込んですまない。だけど、頼む!!夏目を助ける為に力を貸してくれ」

 

春虎の懇願に誰もが一瞬無言になる。

最初に動いたのは四季だった。春虎と同じ場所に立ち蠱毒を見据えながら告げる。

 

「心配するな。逃げろって言われてもそうする心算だったからな」

 

「まあ、このまま尻尾を巻いて逃げるってのは、私のプライドが許さない訳だし」

 

続くように凛が呪符を取り出しながら答える。そして天馬は身体をぶるっと振るわせた後「うん」と告げる。

そして京子も少し考えた素振りを見せた後

 

「まあ、このままじゃどのみち殺されかねないしね。やるしかないんじゃない」

 

苛立告げにしかし不敵に告げる。春虎は四人にもう一度だけ「すまん」と謝る。すると今度は、冷静に低い声で冬児が告げる。

 

「だったら、話が早い。実は今一つ打開策を思いついた。上手くいくかどうか、先輩である四人の意見を聞かせてくれ」

 

反撃が始まる。

 




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