明かすのは、次回になりますが・・・・
楽しんでもらえたら、嬉しいです
冬児の作戦は「呪詛返し」を行い、術者に蠱毒を返し居場所まで案内してもらおうと言う物だ。
「おお、確かにそれならいけそうだ!!」
説明を聞いた春虎は打開策に喜び現す。
「それにしても冬児お前、一体何時呪詛返しなんて覚えたんだよ」
「いや、俺は使えねえぞ」
「はい?」
突然のカミングアウトに春虎の時が止まる。
「という訳で、この中で呪詛返しが出来る奴はいるか?いないなら、別の策を考えるしかないが」
「随分と他力本願な作戦ね」
冬児の言葉に凛は呆れた声を出すが、まあいいわと告げる。
「私が出来るけど、倉橋さんはどう?」
「ええ、やった事はないけど知識としてなら」
「そう、なら二人でやりましょう。そうすれば時間も短縮出来るはずだし」
そう言いながら凛と京子は、準備に取り掛かる。しかし曲がりなりにも格上が放った術だ、如何にトップレベルの二人とは言え、難しい。
だからこそ、凛は問う。
「四季。これを『視て』どう?」
「たぶん、火行をメインに組まれてるな。薄らと霊気に火が視える。だから、水なら呪力を弱めれる」
じっくり観察していた四季の言葉に、凛はなるほどと告げる。
「じゃあ、水札で攻撃すれば‥‥」
「でも、これだけの広範囲となれば、かなりの呪力が必要になる。結界を壊す分の呪力も尽きるぞ」
京子が希望が見えたという様に笑みを浮かべるが四季が待ったを掛ける。再び打つ手なしかと思われたが、今度は冬児が不敵に問う。
「なあ、水ってのは呪術じゃないといけないのか?」
「いや、そう言う訳じゃない。実体のある水でも効果はある」
その言葉を聞いた冬児は、そうかといい。一枚の札を取り出し一点を目掛け投げる。
「確かこうだったよな…
冬児が唱えると同時、札に炎が生まれる。それを見た四季が、成程と冬児の考えを察する。投げられた札が、教室の上に設置されたスプリンクラーに触れ、教室全体を消火用の水が降り注ぐ。
「ナイス!!」
冬児の行動により呪力が弱まった事を確認し、凛と京子が呪詛返しの準備を急ぐ。冬児と春虎は、蠱毒を攻撃し勢いをより弱まらせる。
「天馬、今から俺が指示するから、結界を破壊しろ」
「え!ぼ、ぼくが」
四季のの突然の言葉に天馬は驚き狼狽えるが、先ほどの決意と四季の目を見て覚悟を決める。天馬の決意を見た四季は、辺りを視る。教室全体を薄く覆っている霊気は、学生だと侮っているのか、それほど強固な物ではない。物理的防御と世界からの分断がメインであり、呪術に対する耐性はさほど高くない。
―――これならいける
「天馬。今から、俺が札を投げる。その後、追撃を掛けてくれ。一点に呪力を集中してくれればいい」
「わかったよ」
天馬の返事を聞いた四季は、流れる動作で呪符をケースから引き抜き、天馬の後ろの壁に目掛け投げる。
「
札が金気を纏い、剣の形を作る。グサッと壁に突き刺さる。瞬間、結界の霊気が僅かに乱れる。
「今だ、天馬!!」
「うん。いけ、
四季の言葉に答える様に天馬が、突き刺さった剣に札をぶつける。金気の剣を糧とし水気の札が発動、突き刺さった剣から放たれた水流がが結界を打壊す。
結界が壊れると同時
「「出来たッ!!」
呪詛返しが発動。先ほどまで教室に満ちていた蠱毒たちが、一纏まりになり教室から出ていく。それを見た六人は、それを追うように教室から駆け出した。
蠱毒が導いた先は、昨日春虎達が試合をした呪練場だった。アリーナ中央に夏目とスーツ姿の男の姿。それを見た春虎の叫びに答える様に夏目もまた歓喜の声をこぼす。春虎に少し遅れ四季たちも夏目の姿を確認する。
「状況を見るに、あいつが犯人みたいね」
「ええ、少し信じられないけど」
状況を見渡し、呪捜官が犯人だと決める凛に同意する京子。そして京子は、講師たちに簡易式を飛ばしたため、もう逃げ場はないと告げ、夏目の解放を要求する。それに続くように天馬も吠える。が、予想に反し、呪捜官は簡単にそれを受けていれた。毒気を抜かれる面々だが、彼を止めれる術がないため口惜しいが何もできない。事実蠱毒や呪詛返しのせいで面々は限界に近い。しかし、主を危険にさらされた式神はそんな事関係がない。虎が吠えるが、呪捜官はどこ吹く風と受け流す。此処で戦えば、夏目にも危険が迫ると冬児に指摘され、本当に渋々敵意を消す春虎。
「オーケー。それでは失礼します」
悠然とその場を後にしようとする呪捜官に口惜しさを感じながらも手が出せない。だが、突如夏目が告げる。
「貴方は僕の
それはお手本のような乙種だ。そしてその言葉は、今まで冷静を保っていた男を揺さぶった。
だが、それは悪い方向にも傾く。
「王よ!なんと嘆かわしいか」
「失望を覚えまするぞ」
仮面を脱ぎ捨て本性が露わになる。そこには先ほどまでの冷静な姿など何処にもなく。
しかも
「幼き器といえど、あんな小僧に唆されるとは!!」
「両翼たる、我らの前で‥‥未だに目覚めぬとは言え、暴言にも程がありまする!!即刻訂正を」
まるで人格が分かれたかのように、二つの声質でしゃべり始める。それを見た凛の表情が険しくなる。余りの状況の変化に、誰もが驚く。夏目にすら噛みつき、その実夏目を見ないその姿を見た、冬児は「まずいな」と呟く。
「ならば、是非もなし。今はまだ時期ではないと思っていたが…」
「我々が、
瞬間、無風のアリーナが揺れ始め、呪捜官の後ろに巨大な霊気が渦き、姿を現す。
「…鬼…ッ!?」
その現れた存在に春虎、冬児、京子、天馬、凛、夏目は息を呑む。そこにいたのは、絵にかいたような鬼の姿を模し、仮面を付けた
かつて、土御門夜光には、二体の護法ありといわれ、式神でありながら軍の最高位を授かった二体。その片翼は、隻腕の鬼だったと言いう。
誰もが唖然となる中で、呪捜官は高らかに告げた。
「我が名は、飛車丸」
「我は、角行鬼」
誰もがその名に騒然とした、次の瞬間
「魔の目を晦ませよ、
眩い閃光がアリーナを包み込む。突然の事に対処できなかったのか、誰もが目をつぶる。
そんな中、夏目の耳に信じられない声が届く。
「夏目無事か?」
「ッ!!」
そこにいたのは四季だった。実は四季は、アリーナに夏目の姿を確認すると隠形を使い、人知れずアリーナに続く道を走っていたのだ。
――――よし、拘束自体は強力じゃない
即座に夏目の動きを拘束する術を視て、即座に解除する。それまでの動きに無駄はなく、閃光が治まる頃には夏目は自由になっていた。
目が慣れた男が、突然の乱入者を視界に納める。
「貴様は…ッ!!」
四季の姿を確認した瞬間、男の顔が信じられない程怒りに染まる。
「
一瞬、春虎と冬児は男が何を言っているのか理解できずいた。かろうじて夏目たちは男の意味を察する。
怒りの感情を向けられた四季は、顔を険しくしながら男を見据える。
「それは俺の
「よくぞまあ、汚らしい面を王の前にお出しになったモノだ。そもそも貴様の様な
男の唾を吐き、怒りは吐き続ける。そしてふと、名案が浮かんだという様な顔をする。しかしその顔は明らかに狂気に満ちている。
「いいでしょう、王に仕える身として衛宮の血をここで絶っておきましょう」
殺意が四季に向けられる。向けられていない筈の夏目が顔を青くする程の殺意だが、四季は冷静に呪符を取り出す。
「ああ、名案だ。‥‥そう、王に曇りを与える者と同じようにね」
「ッ!!春虎、避けろ!!」
男の意図を読んだ四季が叫ぶが、それよりも早く角行鬼がアリーナの壁を殴りつける。霊的なダーメージは防がれるが、物理的な勢いは相殺できない。アリーナの淵に脚を掛けていた春虎は、勢いに揺られアリーナに落ちて来る。
「春虎っ!!」
「チィ!!行け!!」
夏目が叫ぶと同時、四季はいつくかの簡易式を飛ばし、落下のクッションとする。
「無駄の事を」
落下の勢いを殺せてもすぐそこに角行鬼という脅威があるのだ。押しつぶすように脚を振り上げる角行鬼。間に合わない。誰もがそう察し、冬児は手すりに手をかけ叫び、京子と天馬は顔を覆い、夏目は顔を真っ青にする。そして凛は、静かに一人を見ていた。
「邪気を縛れ、
角行鬼が脚を振り上げると同時、四季が軸足となっている場所に二枚の札を投げ込む。木行の札は、即座に脚を縛るツタとなり動きを僅かに止める。そして直後、もう一枚の火行の札が木行の力を借り、爆発を起こす。爆風にあおられ、角行鬼が尻餅を着く。
余りにも流れる様に放たれる手に、誰もが驚きの声を上げる。
「おのれ、売国奴の裏切り者がッ!!」
「そう簡単に思い通りにさせるかよ」
害悪を向ける男に四季は不敵に告げる。
隠し続けてきた牙が、遂に本性を見せる。
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