東京レイヴンズ~英霊を従えし陰陽師~   作:スペル

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衛宮の設定こんな感じでいいのだろうか?
なんか後半が雑になっているかもしれません 違和感とかあったら教えて下さい
出来る限り直していこうと思います

楽しんでくれたら嬉しいです


第八夜 衛宮 その2

目の前で放たれた呪術の技に誰もが驚嘆の声をこぼす。それほどまでに流れるほど美しい技だ。アリーナで繰り広げられる四季の呪術を見ながら天馬は「すごい」と声をこぼす。

 

「さっきから気になってたんだが、あいつ何でさっきから衛宮(・・)の名前に怒ってんだ?」

 

先ほどから感じていた疑問を冬児は問う。それは時を同じく夏目の元に来た春虎も彼女に問うた。冬児の問いには凛が、春虎の問いには夏目が答える。

 

かつてその家は土御門に匹敵する栄華を栄えていた。そしてその家に一人の天才が生まれた。彼は文字通り天才だった、それこそ土御門夜光に匹敵するほどの。二人は、短い時間で親友となった。ある時、彼の目の前に異国の女性が倒れていた。彼はその女性を手厚く介護した。女性は彼に恩義を感じ、自分の領地に招待した。そこで彼は、陰陽とは違う魔術を知る。そしてその家と深い交流を持ち、彼は陰陽を独自に進化させた。しかし、それを他の者達は良しとしなかった。特に土御門の分家の者達の一部の者達は、彼を彼の家を許さなかったが、夜光がそれを押しとどめた。そして戦争が起きた。国が危機に瀕した時、夜光は彼に助けを求めたらしい(・・・)。されど彼はそれを拒んだ。そして悲劇は起きた。その後、陰陽の家は彼を彼の家を責めた。そして彼は人知れず姿を消した。

その天才の名は衛宮式(えみやしき)

 

話された事に二人は息を呑む。かつて天馬はいくら落ちぶれようとも土御門の『家格』は変わらないと言った。それと同じだ、陰陽の世界は狭い。一度家につけられた烙印は、早々に剥がす事は出来ない。故に、一度『裏切り者』の烙印を付けられたなら、それは今なお消えない。つまり四季は、スタートが他と違う。マイナスからのスタートなのだ。

 

話を終えた凛は、アリーナで戦う四季を見つめながら告げる。

 

「それだから結構苦労してるよね。実際何だかんだとあいつと話すのって、私や此処にいる二人だけだし。他の面々は何処か見下して、四季を見るのよね」

 

一体どんな気持ちなのだろうか。それに似た心境を経験している冬児にはよくわかる。

そんな話をしている間に、事態は大きく動く。

 

 

 

 

見鬼(けんき)』とは、霊気を視る才能であり、陰陽師を目指すならば、なくてはならない才能だ。これが無ければ、陰陽師にすらなれない。

そしてその見鬼の力を持って、四季は自身の前に立ちはだかる鬼を視る。霊気の流れから次の動きを予測し躱す。そして隙を見つけて呪術を放つ。

然したるダメージにもなっていない無いが、確実に霊気の乱れを四季は視ている。

 

「何をしているのですか、角行鬼ッ!!そんな裏切り者即刻、踏みつぶして…ッ!!」

 

何時までも死なない四季に憤りを感じた男が吠えるが、直後目の前に迫る金気を纏う剣を視認する。慌て、護符を使い防御するが、その顔は隠しようもない怒りに染めらている。

 

「おのれぇぇぇっ!!」

 

――――いいぞ、もっと冷静さを失え

 

冷静さを失い単調な命令に成ればより読みやすくなり、自分に有利に傾く。故に、四季は不敵笑い挑発する。これもまた一瞬の乙種なのだろう。確実に流れは、四季に傾いている。

しかし

 

――――問題は、俺の残りの呪力で削り切れるかだよな

 

蠱毒戦での呪力消費と、迫る圧によるプレッシャーが予想以上に四季の体力と呪力を奪っていた。

集中力も散漫になり、危うい場面が多くなる。そしてその綱渡りが長く続く訳もなく、拳を回避した直後、脚を縺れさせる。

 

「しまっ…」

 

刹那、好機と感じたのか角行鬼が回し蹴りを四季に向かって放つ。避けられない。即座にそう悟った四季は、護符を取り出そうとするが‥

 

―――やば、品切れだ

 

蠱毒の時に全てを使い果たしてしまったため、完全に打つ手がなくなる。どうすると思考する中でどうしようもない現実が迫った瞬間

 

「うおぉぉぉぉお!!」

 

「はる‥」

 

角行鬼と四季の間に春虎が現れる。

何でここに来たのか、春虎自身判らない。ただ、夏目から彼の家の事を聞き、そして戦う四季の目を見たとき、考えるよりも先に身体が動いたのだ。それは直感だった、淋しく一人で戦う四季をこれ以上一人にさせてはならない。なぜだか判らないが、春虎はそう思ったのだ。

春虎の乱入にも呪捜官は慌てない。むしろ歓喜の笑みを見せる。殺すべき対象を同時に葬れるかもしれないのだ。

クソッと悪態衝きながら春虎は、本能的に錫杖を持った腕でガードする。直後、高く澄んだ音が鳴り響く、二人の身体は衝撃で飛ばされたが、想像していたよりも明らかに軽い。一体何がと考えるが、直ぐに担任講師である大友から渡された錫杖が原因だと察する。

 

―――いい仕事するぜ、大友先生

 

笑みを浮かべる。これなら四季の足手まといになれずに戦える。そう思った春虎の耳に四季の声が届く。

 

「何やってる。此処は俺に任せて、早く夏目を連れて逃げろ」

 

満身創痍に近い状態にありながら四季は二人を気遣う。それが春虎には、少し歪に視えて、そして腹が立った。

 

「ほう」

 

「おや、面白い玩具を持っているみたいですね」

 

今の春虎には、二人の声など聞こえていない。ただ真っ直ぐと四季を見る。

そんな戦場に

 

「止めて!止めてくださいっ。お願いだからもう‥二人を」

 

夏目の切羽詰まった声が届く。その言葉に呪捜官は、歓喜に震える様に自身の存在を道めさせようとする。そして王の命には従うと告げる。しかし春虎の目には、四季を見る目が狂気と怒りに染まっている様に見えた。故に直感する。こいつは何があろうと四季を殺すと。

だからこそ、今ある感情を夏目に言わねばならない言葉を、四季に伝えねばならない想いを吐き出さないといけないと悟る。

 

「まあ待てよ、夏目」

 

春虎の言葉に夏目は振り返る。今にも泣きそうな顔をした幼馴染と自分よりも他人を気遣う友人を見ながら告げる。

 

「んな、ネジのおかしいおっさんに合わせる必要なんかこれっぽちもないぜ。前世なんていう不確かな仲間に何か頼る必要なんてない。現代(いま)のお前の仲間は、俺達だろう!!」

 

春虎の言葉に夏目は状況を忘れ、ただ真っ直ぐに春虎を見る。

 

「だから、噂やなんやらに怯えるな。一人で背負いこむな、引きずるな、恰好をつけるな。確かにお前を怯える奴も迷惑だと思う奴もいるかもしれない。けどな、それでもお前に力を貸してくれる奴は、確かに存在すんだよ!!だから、恐がらずに向き合え。勇気を持って向き合え」

 

その言葉が夏目に伝わると、不思議と先ほどの疲労感が薄れる。主と式神。その繋がりが増強したのを確かに感じる。そして春虎は、そのままの体勢のまま告げる。

 

「四季!!俺はド素人だ。何も知らないしお家のことなんて言う難しい事は判らない。でも、お前があの時話しかけてくれて本当に嬉しかった。だから、お前は俺のダチだ!!一人なんかじゃない!!」

 

春虎の言葉に今度は四季が驚愕し息を呑む。それは彼がずっと待ち焦がれた言葉。焦がれ焦がれ続けた言葉。まさか土御門の家の者に言われるとは。どうしてか判らない。それでも、今までの自分の努力を始めて第三者に認めて貰った気がして、何処か救われた。

 

「全くもって」

 

「下らぬ!」

 

無理解と断絶を含んだ呪捜官の口から放たれた。

 

「やはり貴様らは捨て置けぬ!!王を惑わす道化と裏切り者が!!」

 

「そうですね。角行鬼、そこの二人を始末しなさい」

 

呪捜官の言葉に角行鬼が駆け出そうとした刹那

 

「滑稽で笑えるわね」

 

凛とした声が届く。誰もが声の発信者である、遠坂凛に視線を集める。

 

「さっきから見てたけど、その子供も笑わない様な、一人二役は本当に滑稽よ」

 

見下し嘲笑うような視線を呪捜官に向ける凛。その言葉に呪捜官が吠えるが、凛はどこ吹く風で更に言葉を発する。

 

「思い上がりもここまで行けば、一種の才能よね。自分が偽物だとも疑いもせず、二つの偉大な名を穢しているのですもの」

 

「口の利き方には気を付けなさい小娘。貴方だってまだ死にたくはないでしょう」

 

どうにか怒りを隠し、冷静に話すようにしているつもりだろうが、その顔はひどく歪み声も荒々しい。対しする凛は、一度大きくため息を吐き「呆れた」と呟いた後、それはそれは美しい笑みを浮かべる。その笑みに一瞬誰もが見惚れる。

 

「まず第一に、貴方は飛車丸の転生者だと言っているけど、ならば夜光に知っているんでしょうね」

 

「ふん。何を言い出すかと思えば、当然です!私は前世にて、王の全てをその後ろで見てきたのですから」

 

凛の言葉にまるで自分に酔う様な表情をしながら自信満々に告げる呪捜官。それを聞いた凛は笑みを浮かべ告げる。

 

「じゃあもちろん知っているわよね?彼の土御門夜光が最後に行った儀式(・・・・・・・・)の仕組みを」

 

瞬間、呪捜官の顔が凍り付く。それを見た凛は意外そうな顔をしながら問う。

 

「あら?まさか答えられないなんて事はないでしょう?何て言ったて、常に夜光の傍に仕えた式であり、最も信頼した式なのだから、知ってて当然の筈ですよね?」

 

「あ、あああ…」

 

凛の言葉に呪捜官は何も答えない。まるで自分に言い聞かせるように「私は飛車丸だ」と呟き続けている。

そしてそんな呪捜官に対して凛は攻め手を緩めない。

 

「第二に、貴方とそこの鬼は気がついていないだけかもしれないけど、一度足りとして夏目君を夜光様と呼んでない(・・・・・)わよね?おかしくないかしら?どうして前世の名で呼ばないのかしら?先ほどから、王や北辰王と、それこそ現代の名でしか呼んでいないわ。本当に貴方達が転生者なら、親しい呼び名を知っててもおかしないのだけれど?むしろ其方で呼ぶほうが、当然だと思うのだけれど?どうしてかしら?」

 

正に乙種のたたみ掛けといえるだろう。呪力がほぼ尽きかけている凛は、言葉で動作で戦うと決めたのだ。事実、凛の指摘は聞く者を成程と納得させるものがある。既に春虎達の考えから彼らが本物であるということは抜け落ち始めている。

 

「理解してもらえたかしら?貴方の言葉には重みも真摯さも感じない。今のを答えらえないと言う事は、貴方が唯の自意識過剰な痛い奴っていう証拠なのよ。ねえ、そう思うでしょ四季」

 

瞳だけを四季の方に向ける凛。それに答える様に四季も立ち上がる。

 

賭け(・・)は私の勝ちよ」

 

「そうだな」

 

「もう、迷いはないでしょ」

 

「ああ」

 

「なら、さっさと倒しない…協力してね」

 

「ああ、そうだな」

 

二人にしかわからない絆。それを感じさせる会話。四季はふと春虎を見て告げる。

 

「俺も勇気を出して頼るよ。だから、春虎、冬児、天馬、夏目、倉橋!!俺と一緒に戦ってくれ!!」

 

それはほとんど懇願に近い。初めて四季は凛以外に懇願する。そしてそれは一種の乙種となる。故に秘められた想いが真摯に伝わる。だからこそ、誰もが頷く。その言葉を聞いた四季は、笑みを浮かべながら、春虎に近づく。

 

「あいつにデカいの喰らわせる算段があるけど、かなり時間を喰う。だから、暫く任せる」

 

「おう任せろ!!そっちも頼りにしてるぜ」

 

「ああ、任せておけ」

 

互いに笑みを交わし行動を起こす。それと同じく、先ほどまで狼狽えていた呪捜官は迷いを忘れる様に狂った声と共に角行鬼に指令を出す。

指令を受けた角行鬼は、春虎に迫る。普通に考えれば、未熟な雛鳥一人では対抗できるはずない、そう一人ならば(・・・・・)

 

「いまだ!頼む!!」

 

春虎の声に応える様に、コンが、白桜が、黒楓が、角行鬼の動きを止める。その隙に春虎が錫杖で角行鬼の腕を貫く。凄まじいラグと共に角行鬼の動きが止まる。そしてその隙を三体の護法が責める。

そして四人の働きを視界に納めながら四季は、自分の役割を果たすために動く。

 

『いいか、四季。俺達衛宮の神髄は、造る事(・・・)だ。常にそれを忘れるな』

 

――――動きは春虎達が止めてくれる。なら、デカいのを準備すればいい

 

四枚の札を取り出し、箱を作る様に設置する四季。瞬間、その区切られた場所の霊気の流れが変われる。

 

「これは‥!!」

 

その瞬間を視た夏目は驚きの声をこぼす。先ほどまで角行鬼の霊気のせいで、不安定だったのが、流麗で一本の流れと変わる。そして一本の霊気を覆う様に、四枚の札から、火行の霊気が注がれる。

 

――――これは、霊気を製造している!!これが、衛宮の術っ

 

明らかにその場所の霊気だけが別物に変化する。そしてその変化は、その場にいた誰もが感じ取る。

 

「か角行鬼ッ!!裏切り者を先に…」

 

「行かせるかよ!!」

 

危険を感じ取った呪捜官が指示を出すが、それよりも早く春虎の一突きが、角行鬼の仮面を割る。

瞬間、鎖から放たれた獣のように、角行鬼が雄叫びを上げる。

 

「なんだ‥?」

 

露わになった角行鬼の顔は、能面の仮面のように無表情な人の顔に近かった。その淡白さが非常に不気味な存在。そして何を思ったか角行鬼は、辺りをなにこれ構わずに破壊し始める。

 

「こ、このおお愚か者!!あの仮面は、角行鬼の封印ですよ!?あ、あれがなくなれば、角行鬼は全てを破壊するまで止まりません!!」

 

焦った様に呪捜官の声が飛ぶ。既に角行鬼らしい声は消え失せている。

 

「こ、こんな筈では…!クソなんてことをしれくれたんです!!」

 

子供の癇癪の様に辺りに怒りをぶつける呪捜官の足元に角行鬼の拳が叩き付けられる。「ヒィイ!!」と対面も殴り捨てた声を出しながら、なりふり構わずゲートへと逃げ出す。春虎が追おうとするが、暴れる角行鬼が邪魔をして動けない。

そこへ

 

「準備OKだ」

 

四季の声が届く。誰もが四季に視線を向け驚嘆する。それを視たが故に。それはまるで炎の槍だろう。アリーナの結界のてっぺんにまで伸びる、大樹の様であり槍の様でる。

 

「夏目っ!!頼むぞ」

 

「はい、呪力も回復しました!!行けます」

 

四季の声に応える様に夏目が印を切る。

 

「土御門夏目の名において命じる。出でよ、北斗!我が敵を討て―――」

 

夏目の声に呼応して出てきたのは、一匹の本物の黄金の竜。土御門に仕え夏目が使役する使役式。誰もがその存在に、驚嘆する中北斗と呼ばれた竜は、悠然と自由を満喫している。

そこへ

 

「北斗!」

 

夏目の声が命として北斗に伝わる。しばし、めんどくさそうにわかったよとでもいう様に、北斗は角行鬼に向けて尾を振りかざす。たったそれだけ、たったそれだけのことで角行鬼は、大きくアリーナに叩き付けられる。

 

「今です!!」

 

動きが止まった。瞬間、北斗ですら目を丸くする程の火行の霊気の槍が、動き出す。

 

「灰へと還れ、急急如律令(オーダー)ッ!!」

 

ボゥと、視ているだけでやけどをしそうな程の焔の槍が、空気を霊気を燃やしながら、角行鬼を貫く。悲鳴すら許さず、角行鬼は一枚の式呪符となる。

 

「勝った‥」

 

誰かがそう言った途端、四季はドサッと地面に倒れる。視界の端で夏目と春虎が何かをしている様に見えるが、疲れて何もわからない。

そんな中、アリーナに下りてきた冬児と凛は、角行鬼だった呪符を見ながら告げる。

 

「やっぱり、偽物ね」

 

「ああ、途轍もなかったが、本物の鬼はあんなもんじゃなかった」

 

ひらひらと呪符を見つめる凛。それを見て京子は、驚きの声を上げる。

 

「それ式符?‥‥ってそれ市販のやつじゃない!!」

 

「え?でも可笑しいよ、角行鬼は使役式のはずだよね」

 

「偽物って事よ。本物なら、未熟な四季の術でもあそこまで簡単に倒れるはずがないもの」

 

そう言いながら凛は、地面に倒れ眠っている四季の顔の位置でしゃがみ込み笑み浮かべながら

 

「お疲れ様」

 

と、優しく呟いた。

 

一つの山場を終えた。これより、土御門と衛宮二つの家の運命の歯車がかみ合い、動き出す




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