Chinzyuhu produced Waiting Bar Avanti 作:Pubの親父
今回は前後の2本立て。
さてさて、今回の訪問は欧州娘みたいですけどね・・・
となると、嫌がらせをしようと手ぐすね引いている娘が何人かいるわけで・・・
Chinzyuhu produced Waiting Bar Avanti
紳士「やぁ、またお会いしましたね。あなたも行かれるのですか?では、ご一緒しませんか?北海道は余市町、その片隅にある小さな役所、余市警備府。その一角にあるWaiting Bar Avanti。週末の夕方ともなると鎮守府にいる艦娘・妖精さん・勤務のスタッフで賑わうレストランのウェイティングバーがお目当ての場所です。おや、着きました。私がドアをお開けしましょう。」
ドアを開ける紳士
紳士「やぁ、ベル。いつものを。」
ベル「かしこまりました。」
Chinzyuhu produced Waiting Bar Avanti “欧州艦の回”
紳士「ねぇ、ベル。この
ベル「サラダボウル・・・日本語で言うところの“ごった煮”ってやつですか?」
紳士「“ごった煮”ねぇ・・・」
そういって私は、まず出されたチェイサーを一気に呷った。
紳士「最大勢力の
店内に設置している大型モニターでは、
ベル「ここでは何もないですけどね。みなさん、仲良くお酒や食事を召し上がっていますよ。」
紳士「ここは中立地帯だからねぇ・・・まぁ、仲が悪いわけじゃないし、業務に差し障りがないから良いのだけれども、なにせ国も違えば文化も違えば歴史も違う艦娘・船娘が一つ屋根の下の組織で共同で任務を果たしているわけだ。そりゃ派閥もできるわな。」
ベル「確かにそうですよねぇ。私もここでの初任務の時にはまさかあの“ゴルシコフ”さんと組むなんて思ってもみませんでした。鋼鉄の艦だった時代には、いつお互いにミサイルを撃ち込むかどうかだった私たちが、深海棲艦という共通の敵に全く違う世界で戦うなんて思ってもみませんでした。」
紳士「だから世界は面白いのさ。」
そういって私は、一杯目のボウモア・ウィズ・ソーダを飲み干した。同じものをもう一杯注文する。
紳士「ここの司令官だって、まさか異なる世界の、異なる国の、異なる文化の艦娘・船娘数千名を指揮しないといけないんだよ。まぁ、彼を擁護する気はさらさらないけど、指揮する側も、される側も、任務を指示する側もされる側も気を遣うし、いろいろあるんだよ・・・特に、今日はね。」
ベル「あぁ・・・」
それは10日ほど前にさかのぼります。
東京の統合軍幕僚監部から、札幌の北部方面統合幕僚監部を経由して届いた指示を聞いて司令官は副官である私を執務室に呼びました。
「ベル、頭が痛いよ。海軍は何を考えているのかね・・・いや、考えているからこの指示を出したのかもしれないけど。」
そういって差し出された文書にはこう書かれていた。“欧州派遣艦娘をそちらに寄港させる、ついてはその受け入れに当たってほしい。”
ベル「・・・どう言えばいいのでしょうか?」
私は司令官に思ったことを直接言いました。こういうスタイルをこの司令官は好んでいます。下手に腹の探り合いをするのではなく、直接かつ明確に話をすることで、時間も、考えも短縮しよう、それがこの警備府でのルールです。
司令官「どうもこうもないよ。本省の連中も考えたものだ。彼女たちも体よく本土から追い出された格好だな。演習のため、と言ってはいるが・・・」
私はその資料に目を通します。確かに演習のため、と文書に記載されていますが・・・
ベル「対欧州向けのアピールでしょうか?」
司令官「だろうね。
ベル「こっちも状況は同じですよ・・・ドイツ艦娘とイタリア艦娘は歓迎するかもしれませんが、ほぼ間違いなくオランダ艦娘は敵意剥き出しでしょうし、フランス艦娘もいい気はしないでしょう。」
司令官「
司令官が笑いながら言います。
ベル「私たちと
司令官「
ホテル・モスクワ、ロシア艦娘派閥を皆はそう呼んでいます。そのリーダーは、スラヴァ級巡洋艦娘“ヴァリャーグ”さんです。彼女、普段は姐御肌なのですが、スイッチがひとたび入ると猛烈な勢いで攻撃的な性格になります。まぁ、そのおかげで対ロ航路は安全宣言を出せるぐらいに平穏になりました。敵潜水艦が一隻でも侵入したら、“ヴァリャーグ”さんの妹分のフリゲート艦が速攻で撃沈するでしょう。誰も彼女を怒らせたくはありません。
司令官「見えるよ、近未来が。ロシア艦娘にしてみたら、彼女たちは
司令官は困った表情を浮かべて、窓の外の景色を眺めるように現実逃避をしました・・・
紳士「で、明日がその欧州艦娘の来航日なのだが、こちらの用意はどうなっているか聞いている?」
ベル「いえ、今日は
紳士「私も人から聞いたのですがね。洋上での出迎えは、米アーレイ・バーク級駆逐艦娘“ウィンストン・S・チャーチル”と英チャーチル級潜水艦娘“チャーチル”が行くそうです。」
ベル「えぇ!?」
ベルの大声に、カウンター席にいた全員が彼女の方を向きました。
ベル「失礼しました。」
そういって、ベルは振り向いた人に謝ります。
ベル「それって完全に喧嘩を売っているじゃないですか?」
紳士「それだけじゃないよ。ドイツ6にイタリア4でしょう?来航艦娘は。で、一人一人にホストシップをくっ付けるわけだけど、駆逐艦娘は子供だから伊マエストラーレ級フリゲート艦娘「マエストラーレ」「シロッコ」そして「リベッチオ」だよ。」
ベル「それって先代の接待ということですか?」
紳士「そうなるなぁ・・・」
紳士は笑いながら2杯目のボウモア・ウィズ・ソーダを飲み干しました。
紳士「品を変えようかな。ターキーライのウィズ・ソーダで。」
ベル「かしこまりました。アルゴ、お願い。」
アルゴ「かしこまりました。」
私とベルが話し込むことがあると、ママ役は“ベルナップ”から加イロコワ級駆逐艦娘“アルゴンキン”に移ります。
紳士「問題はここからだよ。ここの艦娘・船娘は揃いも揃って全員ナチ嫌いと来ている。まぁ、好かれる要素はないのだが。みなババを引きたくはないから押し付け合いになってね。結局、
そう紳士は嫌な笑みを浮かべます。どうせろくなことではないのでしょう。であれば、最初からろくでもない組み合わせを言いましょうか。
ベル「“ヴァリャーグ”さんとか?」
紳士「当たらずとも遠からず、だな。英23級フリゲート艦“ノーフォーク”だよ。先代はデンマーク海峡海戦でそれこそビスマルクと交戦。プリンツ・オイゲンは露デルタ級潜水艦娘“カレリア”。」
ベル「Oh・・・」
私はそういうしかありませんでした。それこそ運命の皮肉でしょう。
紳士「“リットリオ”のホストは米タイコンデロガ級巡洋艦娘“アンツィオ”。“ローマ”には仏ジョルジュ・レイグ級駆逐艦娘“プリモゲ”」
ベル「Oh・・・」
運命とはなんと皮肉なのでしょう。
紳士「ベル、バドの瓶をくれ。」
そういって紳士はバドワイザーの瓶を受け取ると一気に飲み干しました。
紳士「ベル、明日司令官はおそらく体調不良で自室で休息していることになると思うよ。なので、副司令官に職務を代行してもらうことになるかもしれない。それに、療養のために定山渓温泉あたりにいると思うので・・・」
ベル「明日、“くらま”と“みずほ”と“ニッツェ”が半ば強制的に起こしに行きますのでよろしくお願いします。」
そういって、私はにこやかな微笑みを浮かべました。
紳士「それは困るな・・・ベル、ターキーライをダブルで。」
翌朝、余市沖
チャーチル「ウィン、連中はまだ来ないの?」
まぁそう急かすなって、チャーチル。
私、USSアーレイ・バーグ級駆逐艦娘“ウィンストン・S・チャーチル”とHMSチャーチル級潜水艦娘“チャーチル”は内地派遣欧州艦娘との合流地点で待っています。
チャーチル「しかしまぁ、あの亡霊が復活するとは思ってもみなかったわ。」
ウィン「全くです。ノルマンディで、カーンで、パリで、バルジで殲滅したはずのあの亡霊が再び蘇るとは、思いもしませんでした。」
チャーチル「そのあたりの荒仕事は、もっと恨みの深いロシア人にやらせるとしましょう。我々が火中の栗を拾う必要はありません。」
如何にも英国人らしい判断だ、と私は思う。
その時、私が飛ばした哨戒ヘリが連中をキャッチした。
ウィン「来ましたよ。哨戒ヘリが捕まえました。」
チャーチル「分かりました。歓迎するとしましょうか。Welcome to Japan。Welcome to united nation。ですね。」
確かに。ようこそ連合軍へ。ようこそ“敵地へ”、深海棲艦とは別の意味の敵地へ、だな。そう私は思った。
2時間後
ウィン「ようこそ余市警備府へ。私が案内役を務めます“ウィンストン・S・チャーチル“であります。
チャーチル「同じく、チャーチル級潜水艦娘“チャーチル”であります。」
私達が敬礼すると、彼女たちは顔を引きつりながらも返礼した。そりゃそうだろう。
私は心の中で、彼女たちに同情した。
ビスマルク「出迎え、ありがとうございます。KMS“ビスマルク”です。」
指揮官の“ビスマルク”さんの顔が引きつっています。
ウィン「そんなに緊張しないでください。司令部までご案内します。みなさん、楽にしてください。合同演習とは聞いていますが、いつまででも居ていいとうちの司令官は言っていますし、みな同じ思いです。」
ロシア艦娘がいびって、ドイツとイタリアの艦娘が仲裁に入る形でね、と私は心の中で付け加える。」
2日前・Avanti
急にドイツ艦娘数人に呼び出された。まぁ、吊るし上げに会うことはないだろうと私と“チャーチル”はAvantiに入った。
テーブル席には数名の同僚が座っていて、JeverとMORETTIの瓶が見えた。それですべてが分かった私が悔しい。
テーブルに向かうと案の定、独リュッチェンス級駆逐艦娘“リュッチェンス”にブレーメン級フリゲート艦娘“カールスルーエ”、伊ヴィットリオ・ヴェネト級巡洋艦娘“ヴィットリオ・ヴェネト”がすでに飲み始めていました。
リットリオ「おお、チャオ。わが友よ!」
リュッチェンス「グーテン アーベント。わが友よ!」
既に軽く出来上がっています。確かに、テーブルの上にはかなりの数の瓶が置かれています。彼女達は結構な酒豪ですが・・・
私と“チャーチル”もその勢いに負けていられませんから、大急ぎで私はアンカー、“チャーチル”はパンクIPAを注文して一気に流し込みます。
それを見た三人は“おお!”と歓声を上げます。どこのだれがこの状況を招いたのでしょうか・・・
ウィン「で、私たちをここに呼んだのはなぜですか?大方、明日以降の件に関することだとは思いますが・・・」
リュッチェンス「そうですね。誘導係のあなた方には伝えませんと。良いですか!?“ビスマルク”さんと“リットリオ”さんに変なことをしたら独伊艦娘は黙っていないですからね!!」
ちょっと酔いが回るのが早すぎませんか?店内が静まり返っていますよ・・・
リットリオ「よろしいですかな。私にとっては先代、“リュッチェンス”さんには特別な思いがあるのですよ!?分かりますか?!」
ちょっと待て、まだシュナプスもグラッパも飲んでいないよね!?
確かに、3人ともそれぞれ思い入れがあるでしょうが・・・
カールスルーエ「申し訳ありません。ですが、姉さんの気持ちも汲んでください。」
日本になじみすぎていませんか?貴殿。そういって彼女が頭を下げます。まぁ、分からなくもないですが・・・
責任、重大だな。2日後の私たちは洋上でそう思った。
後半へ続く
(修正は多分、確実にします。)
2016/2/26
全話改訂。其の一