悪魔は天使に成り代わる。   作:ルーさん

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プロローグ
悪魔は天使に成り代わる。00


グルリグルリと目が回る感覚がする。だけども周りは真っ暗で、自分が目を開けているのか、閉じているのか、本当に自分が回っているのか、全てが分からなくなって行く。

なんでこんな所に居るのか、どうしてこんな訳の分からない状態なのか、全てが分からない。

自分がどんな奴だったか思い出せない、どんな物を好み、どんな人生を送ったのか思い出せない、どの様な人間関係だったのか分からない、そもそも自分と言う存在が本当にあるのかさえも、一切…思い出せないのだ。

あるのは知識だけ。こう言う技術が会った、こんな道具があった、人との接し方はこうだ、こんな遊びがあった。こんな政治体制があった、こんな本があった、こんな食べ物があった。そう言う、思い出せない記憶の中の、何気無い知識。

 

「…_…」

 

不思議と、声は出なかった。しかしこの訳の分からない中から出られれば、声が出る様になるのだと、根拠は無いがらも漠然と…そう思った。

 

_しかし、本当に真っ暗だ。

 

改めてそう思った、どこまでも真っ暗で、しかも、まるで母親と言う存在に包み込まれているかの様な安心感がある。

ここでは危害を加える者は居ないのだろう。自分は直感か、本能か良く分からないが、それを察した。危険で無い事、それは良い、それはとても良い、何せ身体が上手く動かせない為、危害を加えられたら自分は抵抗する暇なく、直ぐに殺されてしまうだろうから。

だから危険が無い事は、とても良い事。なのだが…如何せん暇だ。真っ暗で、身体も動かしにくいし…もちろん自分が楽しめるような娯楽も無い。

…誰か居ないのだろうか。周りが真っ暗で何も見えない中、動かしにくい腕を適当に動かして周りに人が居ないか確認する。

しばらく動かすと、不意に指先に何かが当たった。

 

「……?」

 

自分は何が居るのかきになり、しつこく、だけども優しく指先に触れた物を触る。途中から触っていた相手は自分がさっきまで探していた人間だと分かって居たが、特に反応が無いので思わずツンツンと突きまくった。

ようやく相手から反応が帰って来たと思うと、自分の指先を(恐らく手で)掴まれた。

 

_しつこく触り過ぎて相手を怒らせてしまったか?

 

そう思って謝ろうとするが、声が出ない事に気が付く。身振り手振りで謝ろうとしても、周りが真っ暗で何も見えず、謝ることすら出来ない。

 

_どうしよう、このままでは嫌われてしまう。

 

自分はオロオロと、どうするべきか頭の中にある知識から探した。

手話?ダメだ相手に意味が伝わらない。

手に書く?ダメだ、相手に自分の知っている言語が伝わるとは限らない。

どうする?どうする…!

 

「…______。」

 

自分が知識を総動員して、どうするか探っていると相手が声にならない声を掛けて来た。声にならないのにどうして分かる?とか、そんな疑問が残るが、声?を聞いた瞬間どんどん眠気が自分を襲って来る。

 

「____」

 

意識を失う寸前、最後に相手から「お休み」と言われた様な気がした。

 

 

 

 

 

 

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